年金情報
知っておきたい年金情報
年金制度の沿革
年金が複雑とよく言われます。そこで手始めとしてその沿革を知ることが、年金を少しでも身近なものとして理解することの手助けになると思います。
- 年金の歴史
次の図にありますように、厚生年金と国民年金の始まりは異なります。
厚生年金は、昭和17年の「労働者年金保険法」が前身になります。
一方、国民年金は、昭和34年の無拠出制「福祉年金」が前身、現在の拠出制の国民年金は昭和36年4月が始まりになります。この国民年金は、被用者年金制度に加入していない自営業者等が加入の対象としていて、このことにより「国民皆年金」体制が整いました。
※上図は大きな流れを表していますが、これに加えて制度を将来的な少子高齢化に対応すべく度々改正が行われてきています。- 主要な改正の歴史
年月 内容 昭和15年6月 船員保険法施行 昭和17年6月 労働者年金保険法(男子工場労働者)施行 昭和19年10月 厚生年金保険法に改称(女子、及び職員) 昭和34年11月 国民年金法(無拠出)の制定 昭和36年4月 国民年金法(拠出制)施行 通算年金通則法の制定 昭和40年4月 厚生年金基金制度の創設 昭和48年4月 物価スライド制の導入 昭和61年4月 基礎年金制度導入(第3号被保険者制度導入) 平成元年4月 国民年金基金制度の創設 完全自動物価スライド制の導入 平成3年4月 学生の国民年金の強制適用開始 平成7年4月 第3号被保険者の特例届出①(7年4月~9年3月) 平成9年1月 基礎年金番号の導入 平成9年4月 JR共済、JT共済、NTT共済の厚生年金保険への統合 平成10年4月 60歳台前半の特別支給の老齢厚生年金と失業給付の調整 平成12年4月 学生の納付特例制度の創設 平成14年4月 農林漁業団体職員共済組合法の廃止(厚生年金への統合) 厚生年金保険の被保険者資格の延長(上限70歳未満まで) 市町村の保険料収納事務が国へ移管 半額免除制度の導入 平成15年4月 厚生年金保険総報酬制導入 平成16年4月 マクロ経済スライドの導入 平成17年4月 第3号被保険者の特例届出② 平成18年7月 多段階(1/4,3/4)免除制度の導入 平成19年4月 70歳以上の被用者の老齢厚生年金の給付調整の導入 離婚時の厚生年金の分割制度(合意分割) 平成20年4月 離婚時の厚生年金の分割制度(3号分割) 平成22年1月 日本年金機構スタート 改正船員保険制度開始
- 主要な改正の歴史
- 基礎年金制度の導入
昭和61年4月に「基礎年金制度」が導入されることにより、被用者年金制度の被保険者は次の図のように「2階建て年金」を受給することになりました。
「厚生年金加入記録のお知らせ」
厚生年金の記録について、保険料の計算の基となる標準報酬月額等が事実と異なっているかどうかを、年金受給者の方による確認のために、「厚生年金の加入記録のお知らせ」が届けられます。
- 送付対象者
- 年金を受給している方であって、厚生年金保険又は船員保険の被保険者期間(受給している年金の種別が遺族給付である方の場合は、当該給付の支給の要件となった被保険者又は被保険者であった方の被保険者期間。)を有する方
- 基礎年金番号を有する60歳以上の年金を受給していない方で、厚生年金保険又は船員保険の被保険者期間を有する方
※ 上記に該当される方でも、「ねんきん定期便」が送付された方(送付予定の方を含みます。)など、送付の対象とならない場合があります。
- 送付期間:平成21年12月~(約1年間)
- 送付順序:年齢の高い方から順次、送付となります。
- お知らせ内容
- 厚生年金保険、船員保険及び国民年金の加入履歴
- 厚生年金保険及び船員保険の標準報酬月額と標準賞与額の月別状況
- お知らせが届いた方の手続き
- うぐいす色の封筒が届いた方
お届けした厚生年金加入記録にお示ししている「年金加入履歴」などをご確認してください。- 記載内容に「もれ」や「誤り」がある場合
同封した回答票の裏面にある(記入例)をご覧のうえ、回答票の該当部分を記入して、返信用封筒で返送してください。 - 記載内容に「もれ」や「誤り」がない場合
同封した回答票を返送される必要はありません。
- 記載内容に「もれ」や「誤り」がある場合
- オレンジ色の封筒が届いた方
お届けした厚生年金加入記録にお示ししている「年金加入履歴」などを確認してください。- 記載内容の「もれ」や「誤り」の有無に関係なく、必ず、同封した回答票の該当部分をすべて記入して、返信用封筒で返送してください。
- うぐいす色の封筒が届いた方
※厚生年金の「標準報酬月額等級表」と「保険料率」の変遷
※「ねんきん定期便」及び「厚生年金加入記録のお知らせ」に関するお問い合わせ
- 「ねんきん定期便専用ダイヤル」
0570-058-555(ナビダイヤル)
IP電話・PHSからは 03-6700-1144
受付時間 月~金曜日 9:00~20:00
第2土曜日 9:00~17:00
ねんきん定期便
「ねんきん定期便」は、過去の年金加入記録を確認するとともに、年金制度に対する理解を深めることを目的として送られてくるものです。既に平成21(2009)年4月より、ねんきん定期便が送付が開始されています。これは、年金制度が複雑なため、現在の納付状況及び将来の受給できる年金額が判りにくいという不満が多くあり,それに対応するためにはじめられています。
年金制度は、将来の生活設計に非常に重要なものです。「ねんきん定期便」内容を良く確認し、納付した額に見合う年金を受け取れるように速やかに対処しましょう!
- 送付対象者: 国民年金、厚生年金の全ての加入者
- 送付開始日: 平成21(2009)年4月より
- 送付周期 : 毎年誕生月に送付
※1日生まれの方は、誕生月の前月に送付
- 年金定期便の内容
- 平成21年度
- ①年金加入期間
- ②年金見込額
(ア)50歳未満の場合: 加入実績に応じた年金見込額
(イ)50歳以上の場合: 「ねんきん定期便」作成時点の加入制度
に引き続き加入した場合の将来の年金見込額
※既に年金受給中(全額停止も含む)の場合、年金見込額は知らさ
れません。 - ③保険料の納付額
- ④年金加入履歴
- ⑤厚生年金の全期間の月毎の標準報酬月額・賞与額、保険料納付額
- ⑥国民年金の全期間の月毎の保険料納付状況
- 平成21年度
- 平成22年度以降
- 35歳、45歳、58歳の方々
平成21年度と同内容(①~⑥)の更新記録 - 上記以外の方々
上記①~③についての更新記録及び上記⑤及び⑥については、
直近1年分の記録
- 35歳、45歳、58歳の方々
「ねんきん定期便」の手続について
届いた年金加入記録の内容を充分に確認すると共に、「もれ」や「誤り」がある場合は、こちら の説明も参照の上、必要事項を年金加入記録回答表に記入の上、同封の返信用封筒で返送して下さい。
「ねんきん定期便」の封筒、本体及び解説リーフレット
- 「ねんきん定期便」には二種類の送付用封筒があります。
- オレンジ色の封筒
「ねんきん特別便」を送付する際に名寄せ作業によって得られた記録が、本人の記録である可能性が高い方のうち、「ねんきん特別便」に未回答の方・「訂正無し」と回答された方・標準報酬月額に誤りがある可能性のある方に送付される。 - 空色の封筒
上記以外の方に送付される。
※実際の封筒については、こちら を参照して下さい。
- オレンジ色の封筒
- 「ねんきん定期便」は下記に従って、異なる内容の書類が届きます。
- 50歳未満の場合
- 50歳以上の場合
- 年金受給者かつ現役加入者の場合
※それぞれの書類の内容については、こちら をご確認ください。
「ねんきん定期便」に関するQ&A
ご質問の前に、こちら 、あるいは、詳細は、こちら のホームページをご参照の上、内容をご確認ください。
ねんきん特別便
一連の年金記録問題に端を発し、社会保険庁の年金記録が正しいかどうかの問い合わせがはじまりました。
「ねんきん特別便」送付に関する時期及びその内容等は下記とおりです。
「ねんきん特別便」に関するQ&A
ご質問の前に、こちら 、あるいは、詳細は、こちら のホームページをご参照の上、内容をご確認ください。
年金時効特例法
年金記録の管理に対する国民の信頼を確保することを目的として、年金記録の訂正による年金の増額分は、時効により消滅した分を含めて、ご本人または、ご遺族の方へ全額をお支払いするため、年金時効特例法が制定され、平成19年7月6日から施行されました。
詳細は、こちら のでご確認ください。
厚生年金特例法
厚生年金制度に対する国民の信頼を確保することを目的とし、被保険者から厚生年金保険料を源泉控除(天引き)されていたにもかかわらず、事業主が社会保険事務所に対して、保険料納付も被保険者の資格関係等の届出も行っていたことが明らかでない事案について、
- 年金の保険給付の対象とするための年金記録訂正を行い、
- また、事業主は時効(2年間)消滅後であっても、納付すべきであった保険料(以下「特例納付保険料」という。)を任意で納付することができることとし、社会保険庁がその納付を勧奨する
等を趣旨とし、厚生年金特例法が制定され、平成19年12月19日から施行されました。
詳細は、こちら でご確認ください。
被保険者
国民年金の被保険者
国民年金(基礎年金)には、日本国内に住む20歳以上60歳未満のすべての人が加入しなければならない。学生であっても20歳になれば加入しなければなりません。
- 第1号被保険者
- 対 象:20歳以上60歳未満の農林漁業・自営業・学生などの人
- 手 帳:市区町村役場に届出
- 保険料:各自が個別に納付(平成21年度:月14,660円)
※保険料は、毎年度280円引き上げられ、平成29年度以降は固定の予定
- 第2号被保険者
- 対 象:民間会社の会社員(厚生年金に加入)や公務員・教職員等(共済組合に加入)。
ただし、65歳以上70歳未満で、老齢基礎年金の受給権者は被保険者としない。 - 手 続:勤務先で手続する。
- 保険料:給料等から天引き(標準報酬月額等X保険料率を労使で折半、保険料率は、平成21年9月~平成22年8月:15.704%)
※厚生年金の保険料率は、毎年0.354%引き上げられ、平成29年度以降は18.30%に固定。
- 対 象:民間会社の会社員(厚生年金に加入)や公務員・教職員等(共済組合に加入)。
- 第3号被保険者
- 対 象:第2号被保険者に扶養されている20歳以上60歳未満の配偶者で年収130万円未満の人
- 手 続:配偶者の勤務先経由で届出
- 保険料:納付する必要がない。
※第2号被保険者・第3号被保険者の国民年金の保険料は、厚生年金及び共済年金のそれぞれの保険者から支払われる。
- 任意加入被保険者
強制加入に該当しない方でも、次のいずれかに該当すれば、申し出て被保険者となることができる- 日本国内に住所を有する20歳以上60歳未満の者で、被用者年金各法に基づく老齢年金等を受け取ることができる者
- 日本国内に住所を有する60歳以上65歳未満の者
- 日本国籍を有する者であって、日本国内に住所を有しない20歳以上65歳未満の者
- 特例任意加入被保険者
次のいずれかに該当する方は、申し出て被保険者となることができる。
ただし、任意加入被保険者が特例任意加入被保険者の条件に該当するときは、申し出があったものとみなされる。- 昭和40年4月1日以前に生まれた、老齢又は退職を支給事由とする年金たる給付の受給権を有しない方で、
- 日本国内に住所を有する65歳以上70歳未満の方
- 日本国内に住所を有しない65歳以上70歳未満の方
- 昭和40年4月1日以前に生まれた、老齢又は退職を支給事由とする年金たる給付の受給権を有しない方で、
厚生年金の被保険者
- 当然被保険者
厚生年金の被保険者は厚生年金の適用事業所で働く70歳未満の者。 - 任意単独被保険者
70歳未満で、厚生年金が適用されていない事業所で働いている方が認可を受けて任意単独被保険者になることができます。
ただ、保険料納付義務者が事業主になるため事業主の同意が必要です。しかも、保険料は事業主に半分負担してもらわなければなりません。 - 高齢任意加入被保険者
70歳以上の方で70歳になっても老齢基礎年金・老齢厚生年金の受給資格期間を満たしていない方。- 適用事業所で働いておられる方
社会保険庁長官に申し出ることで高齢任意加入保険者になることができます。
事業主の同意があった場合は保険料負担は本人・事業主で折半。
事業主の同意がない場合は全額自分で保険料納付する必要があります。 - 適用事業所以外の事業所で働いておられる方
社会保険庁長官の認可と事業主の同意が必要です。
この場合も保険料は事業主と折半負担になります。
- 適用事業所で働いておられる方
保険料
国民年金(第1号被保険者)
平成21年度:月14,660円
- 保険料の納付仕方
※前納、口座振替等をすることで割り引きになります。- 口座振替:社会保険事務所又は金融機関の窓口で手続き。
- クレジット納付:社会保険事務所で手続き。
- 金融機関、郵便局、コンビニ窓口:送付された納付書により納めます。
- インターネット、携帯電話。詳細は、こちら で。
- 国民年金の保険料は、全額社会保険料控除の対象です。
- ※第3号被保険者は徴収されません。
保険料の免除
障害を負った、所得が少ない等、保険料を納めることが経済的に困難な方のために、保険料の納付が免除または猶予される制度があります。
- 法定免除
第一号被保険者(申請4分の3免除、申請半額免除、又は申請4分の1免除の規定の適用を受ける被保険者を除く)が、次のいずれかに該当したときには、14日以内に「免除事由該当届」に国民年金手帳を添えてを社会保険事務所長等に提出することによって保険料が免除される。免除される期間は、条件に該当するに至った日の属する月の前月からこれに該当しなくなる日の属する月までの期間である。- 障害基礎年金又は被用者年金各法に基づく障害を支給事由とする給付であって政令で定めるものの受給権者(最後に厚生年金保険法に規定する障害等級<3級>に該当する程度の障害状態に該当することなく3年を経過した障害基礎年金の受給権者<現に障害状態に該当しない者に限る>その他政令で定める者を除く)であるとき
- 生活保護法による生活扶助等を受けるとき
- 国立ハンセン病療養所、国立脊髄療養所、国立保養所、その他厚生労働省令で定める施設に入所しているとき
- 申請による全額免除
第一号被保険者が、次のいずれかに該当したときには、「免除申請書」に国民年金手帳等を添えてを社会保険事務所長等に提出することによって保険料が全額免除(申請一部免除の適用を受ける期間、学生納付特例を受ける期間、若年者納付特例を受ける期間を除く)される。免除される期間は、申請のあった日の属する月の前月から社会保険庁長官が指定する月までの期間である。- 前年の所得が、次の計算式で求められる額以下であるとき:
(扶養親族等の数+1) X 35万円 + 22万円
※世帯主又は配偶者のいずれかが上記免除事由のいずれにも該当しないときは免除されない。 - 被保険者又は被保険者の属する世帯の他の世帯員が生活保護法による生活扶助以外の扶助を受けるとき
- 地方税法に定める障害者又は寡婦であって、前年の所得が125万円以下であるとき
- 保険料を納付することが著しく困難である場合として天災その他の厚生労働省令で定める事由があるとき
※世帯主又は配偶者のいずれかが上記免除事由のいずれにも該当しないときは免除されない。
- 前年の所得が、次の計算式で求められる額以下であるとき:
- 申請による一部免除(申請4分の3免除・申請半額免除・申請4分の1免除)
第一号被保険者が、次のいずれかに該当したときには、「免除申請書」に国民年金手帳等を添えてを社会保険事務所長等に提出することによって保険料が一部免除(申請全額免除の適用を受ける期間、他の申請一部免除の適用を受ける期間、学生納付特例を受ける期間、若年者特例を受ける期間を除く)される。免除される期間は、申請のあった日の属する月の前月から社会保険庁長官が指定する月までの期間である。- 前年の所得が、それぞれの場合において次の計算式で求められる額以下であるとき:
4分の3免除の場合:78万円+扶養親族等の数 X 38万円
半額免除の場合 :118万円+扶養親族等の数 X 38万円
4分の1免除の場合:158万円+扶養親族等の数 X 38万円 - 申請全額免除の免除事由ⅱ~ⅳ
※世帯主又は配偶者のいずれかが上記免除事由のいずれにも該当しないときは免除されない。
参考)所得基準のめやす(一部免除については上記計算式に社会保険料控除額等が加算されています)世帯構成 全額免除 一部免除 4分の3免除 半額免除 4分の1免除 4人世帯
(夫婦、子x2)162万円 230万円 282万円 335万円 2人世帯
(夫婦)92万円 142万円 195万円 247万円 単身世帯 57万円 93万円 141万円 189万円
- 前年の所得が、それぞれの場合において次の計算式で求められる額以下であるとき:
- 学生納付特例
第一号被保険者である学生等(20歳以上の学生)である又は学生等であった第1被保険者が、次の免除の条件のいずれかに該当したときに、「免除申請書」に国民年金手帳等、学生等であることを証明する書類等を添えて社会保険事務所長等に提出することによって保険料が免除される。免除される期間は、申請のあった日の属する月の前月から社会保険庁長官が指定する月までの期間である。- 前年の所得が次の計算式で求められる額以下のとき:
(扶養親族等の数+1) X 35万円 + 22万円
※学生本人の所得によってのみ判断される。 - 申請全額免除の免除事由ⅱ~ⅳ
- 前年の所得が次の計算式で求められる額以下のとき:
- 若年者納付特例
平成17年4月から平成27年6月までの期間において、30歳に達する日の前月までの被保険者期間のある第1被保険者等が、次の免除条件のいずれかに該当したときに、「免除申請書」に国民年金手帳等、学生等であることを証明する書類等を添えて社会保険事務所長等に提出することによって保険料が免除(申請全額免除の適用を受ける期間、申請一部免除の適用を受ける期間、学生納付特例の適用を受ける期間を除く)される。- 前年の所得が次の計算式で求められる額以下のとき:
118万円+扶養親族等の数 X 38万円 - 申請全額免除の免除事由ⅱ~ⅳ
※配偶者が免除事由のいずれにも該当しないときは免除されない
- 前年の所得が次の計算式で求められる額以下のとき:
保険料の追納
保険料の免除を受けた場合、その分、将来受け取れる年金額が減少します。それを解決するために、金銭的余裕ができたときに、免除を受けた分の保険料を納付することができます。
- 被保険者又は被保険者であったもの(老齢基礎年金の受給権者を除く)は、社会保険庁長官の承認を受け、承認の日の属する月前10年以内の期間に係る免除された保険料の全部又は一部を追納することができる。ただし、半額・1/4・3/4免除者については、それ以外の額を納付したときに限ります。
- 一部を追納するときは、原則として、学生納付特例又は若年納付特例に係る保険料につき行い、次いで法定免除、申請による全額免除、申請による4分の3、半額免除、4分の1の期間に係る保険料をそれぞれ先に経過した月分からに順次行う 。
- 保険料の免除を受けた月の属する年度の初日から3年以内に追納する場合は当時の保険料額ですが、それ以上経過しているときは加算額が徴収されます。
- 保険料が追納されたときは、追納が行われた日に追納に係わる月の保険料が納付されたものとみなされます。
厚生年金(第2号被保険者)
平成21年:15.704%(平成21年9月~平成22年8月)
- 毎月の給料: 標準報酬月額 X 保険料率
- 賞与 : 標準賞与額 X 保険料率
- 労使で折半で、実質は7.852%の負担で、給料天引きです。
育児休業期間中の保険料徴収の特例
育児休業をしている被保険者が使用される適用事業所の事業主が、社会保険庁に申し出たときは、当該被保険者に係わる保険料であってその育児休業等を開始した日の属する月からその育児休業が修了する日の翌日が属する月の前月までの期間に係わるものの徴収はされない。
受給資格期間
保険料納付済期間
- 第一号被保険者期間(任意加入被保険者期間を含む)のうち保険料を納付した期間
- 第二号被保険者期間のうち、20歳以上60歳未満の期間(障害基礎年金と遺族基礎年金では20歳前及び60歳以後の期間も保険料納付済期間である)
- 第三号被保険者期間
- 昭和61年4月1日前の国民年金の被保険者期間のうち、保険料を納付した期間
- 昭和36年4月1日から昭和61年3月31日までの厚生年金保険・船員保険の被保険者期間、共済組合の組合員期間、私学教職員制度の加入者期間のうち、20歳以上60歳未満の期間(障害基礎年金と遺族基礎年金では昭和36年4月1日前の期間も保険料納付済期間である)
保険料免除期間
- 保険料全額免除期間(法定・申請・学生納付特例・若年者納付猶予)
- 保険料1/4・半額・3/4免除期間
- 昭和61年4月1日前の国民年金の被保険者期間のうち、保険料の納付を免除された期間
※詳細は、こちら で
合算対象期間 (昭和61年4月1日以後の期間)
- 国民年金に任意加入できた期間のうち、任意加入被保険者とならなかった20歳以上60歳未満の期間
- 第二号被保険者期間のうち、20歳前及び60歳以後の期間
合算対象期間 (昭和61年4月1日前の期間)
- 国民年金に任意加入できた期間のうち、任意加入被保険者とならなかった60歳未満の期間
- 任意脱退した期間
- 通算対象期間のうち、昭和36年4月1日前の期間
- 昭和36年4月1日から昭和61年3月31日までの間に通算対象期間を有しない者が、昭和61年4月1日以後に保険料納付済期間又は保険料免除期間を有するに至った場合におけるその者の厚生年金保険の被保険者期間のうち、昭和36年4月1日前の期間
- 昭和61年3月31日において法律によって組織された共済組合が支給する退職年金又は減額退職年金の年金額の計算となった期間であって、昭和36年4月1日以後の期間
- 通算対象期間のうち、旧保険料納付済期間及び旧保険料免除期間並びに国民年金・厚生年金の被保険者期間とみなされる期間、共済組合等の組合員期間・加入者期間とみなされる期間以外の昭和36年4月1日から昭和61年3月31日までの期間
- 昭和36年4月1日から昭和61年3月31日までの間の厚生年金保険の被保険者期間、共済組合の組合員期間・加入者期間のうち、20歳前及び60歳以後の期間
- 昭和61年4月1日前に旧厚生年金保険又は旧船員保険の脱退手当金の支給を受けた者が、昭和61年4月1日から65歳に達する日の前日までの間に保険料納付済期間又は保険料免除期間を有するに至った場合におけるその者の当該脱退手当金の計算の基礎となった期間のうち、昭和36年4月1日以後の期間
- 共済組合が支給した退職一時金であって政令で定めるものの計算の基礎となった期間のうち、昭和36年4月1日から昭和61年3月31日までの期間
- 国会議員であった期間(60歳未満の期間に限る)のうち、昭和36年4月1日から昭和55年3月31日までの期間
- 日本国内に住所を有さず、かつ、日本国籍を有していた期間(20歳前及び60歳以後の期間を除く)のうち、昭和36年4月1日から昭和61年3月31日までの期間
- 昭和36年5月1日以後国籍法の規定により日本の国籍を取得した者(20歳に達した日の翌日から65歳に達した日の前日までの間に日本国籍を取得した者に限る)その他政令で定める者の日本国内に住所を有していた期間であって、国民年金の被保険者とならなかった期間
- 前号(12)の者の日本国内に住所を有しなかった期間(20歳以上60歳未満の期間に限る)のうち、昭和36年4月1日から日本国籍を取得取得した日の前日までの期間
合算対象期間は受給資格期間(原則25年)を計算するときは算入しますが、年金額を計算するときは算入ししない。
受給資格期間の短縮特例
受給資格期間が25年未満であっても、次の生年月日に対応する年数を満たせば、老齢基礎年金が支給されます。
- 生年月日による特例(昭和5年4月1日以前に生まれた方)
生年月日 | 受給資格期間 |
---|---|
大正15年4月2日~昭和2年4月1日 | 21年 |
昭和2年4月2日~昭和3年4月1日 | 22年 |
昭和3年4月2日~昭和4年4月1日 | 23年 |
昭和4年4月2日~昭和5年4月1日 | 24年 |
- 被用者年金制度の特例(被用者年金各法の加入者期間が生年月日に応じて以下の年数以上の方)
生年月日 | 受給資格期間 |
---|---|
昭和27年4月1日以前に生まれた方 | 20年 |
昭和27年4月2日~昭和28年4月1日 | 21年 |
昭和28年4月2日~昭和29年4月1日 | 22年 |
昭和29年4月2日~昭和30年4月1日 | 23年 |
昭和30年4月2日~昭和31年4月1日 | 24年 |
- 厚生年金の中高齢の特例(昭和26年4月1日生まれで、40歳(女子:35歳)以後の厚生年金の被保険者期間が15年から19年以上ある方。)
- 但し、このうち7年6ヶ月以上の期間は、第4種被保険者又は船員任意継続被保険者以外の被保険者でならない。
- 35歳以後の第3種被保険者期間又は船員任意継続被保険者期間については、このうち10年以上の期間は船員任意継続被保険者期間でなければならない。
生年月日 | 受給資格期間 |
---|---|
昭和22年4月1日以前に生まれた方 | 15年 |
昭和22年4月2日~昭和23年4月1日 | 16年 |
昭和23年4月2日~昭和24年4月1日 | 17年 |
昭和24年4月2日~昭和26年4月1日 | 18年 |
昭和25年4月2日~昭和26年4月1日 | 19年 |
※第3種被保険者期間を計算する場合は、昭和61年3月31までの期間は実期間X4分の3、昭和61年4月1日から平成3年3月31日までの期間は実期間X5分の6、平成3年4月1日以降は実期間で計算する。ただし、年金額は実期間で計算する。
年金の支給開始時期は?
- 年金の支給開始が何時からかについて、未だ60歳から始まると理解している方が意外と多いように思われます。
- 以前は、サラリーマンや公務員の年金といえば、定年になる60歳と同時にもらえました。しかし、今ではどの年金に入っているのかや、性別、生年月日により年金の支給開始年齢が異なります。
- 年金制度の移行期の暫定策として60歳から65歳までの間、特別支給の老齢厚生年金がサラリーマンに支給されます。この年金は60歳から少しずつもらえる仕組みにはなっていますが、それでも60歳から満額の年金を受け取ることはできません。
- 特別支給の老齢厚生年金も2階建ての仕組みになっています。
- 1階部分は、国民年金の老齢基礎年金に相当する定額部分
- 2階部分は、厚生年金の老齢厚生年金に相当する報酬比例部分
- そして、この定額部分の支給開始年齢が、生年月日により段階的に引き上げられています。
- 今年から60歳を迎えられる男性の方は、定額部分の支給はありません。
- 国民年金の老齢基礎年金及び本来の老齢厚生年金は65歳からの支給開始となります。
※昭和36年4月2日以後生まれの男性及び昭和41年4月2日以後生まれの女性は、特別支給の老齢厚生年金の支給はなく、老齢基礎年金・老齢厚生年金が65歳から支給されます。
離婚時の厚生年金の分割制度
離婚時の年金分割制度とは
離婚等をしたときに厚生年金の標準報酬(保険料納付記録)を、離婚した場合に当事者間で分割することができる制度です。
この年金分割制度には、離婚時の厚生年金の分割制度(合意分割制度、平成19年4月1日実施)と離婚時の第3号被保険者期間についての厚生年金の分割制度(3号分割制度、平成20年4月1日実施)があります。
分割されるのは厚生年金の標準報酬(保険料納付記録)です。
- 分割の効果
- 分割をした方
自身の厚生年金の標準報酬から、相手に分割した記録を除いた残りの記録に基づいて、年金額が計算されることとなります。 - 分割を受けた方
自身の厚生年金の標準報酬と相手から分割された標準報酬に基づいて、年金額が計算されることになります。
ただし、分割後の標準報酬に基づく老齢厚生年金等を受けるには、自身の厚生年金の加入期間や国民年金の保険料を納付した期間等によって受給資格期間を満たしていることが必要とされています。 - ※手続等の手順については、こちら を参照して下さい。
- 分割をした方
合意分割
合意分割制度は次の要件に該当した場合に、当事者からの請求により、厚生年金の標準報酬を当事者間で分かるすることができる制度をいいます。
- 要件
- 平成19年4月1日以降に、離婚した場合や事実婚関係を解消した場合など
※平成19年4月1日以前の離婚は対象になりません。ただし、分割の対象には平成19年4月前の分も含みます。 - 当事者の合意や裁判手続きにより年金分割の割合を定めたこと
※分割割合の上限は1/2で、下限は分割を受ける側の分割前の持分にあたる割合です。
※分割例
分割前 第1号改定者の標準報酬総額 4,000万円
分割前 第2号改定者の標準報酬総額 1,000万円
分割割合 2分の1の場合
分割後 第1号改定者の標準報酬総額 2,500万円 (-1,500万円)
分割後 第2号改定者の標準報酬総額 2,500万円 (+1,500万円) - 請求期限を経過していないこと
※分割請求ができるのは離婚した日・事実婚を解消した日等の翌日から起算して2年以内です。
- 第1号改定者: 標準報酬を分割される方
- 第2号改定者: 標準報酬の分割を受ける方
- 対象期間の標準報酬月額
第1号改定者⇒改定前の標準報酬月額×(1-改定割合)
第2号改定者⇒改定前の自分の標準報酬月額+(改定前の第1号改定者の
標準報酬月額×改定割合) - 対象期間中の標準賞与
第1号改定者⇒改定前の標準賞与×(1-改定割合)
第2号改定者⇒改定前の自分の標準賞与+(改定前の第1号改定者の
標準賞与×改定割合)
- 平成19年4月1日以降に、離婚した場合や事実婚関係を解消した場合など
- 効果
- 分割を受けた当事者が年金支給開始年齢に達したのちに年金分割を反映した年金を終身に渡り受給できます。
※分割を行った元配偶者が仮に死亡しても、自身の年金には影響しません。
- 分割を受けた当事者が年金支給開始年齢に達したのちに年金分割を反映した年金を終身に渡り受給できます。
- 標準報酬の改定
- 年金受給権発生前の離婚(まだ年金を受給してない人)
老齢基礎年金の受給資格期間を満たしていて、1年以上厚生年金の期間を有していたときは、報酬比例部分の支給開始年齢から支給されます。
厚生年金の加入期間が1年未満のときは、65歳から支給されます。 - 年金受給権が発生しているとき(すでに年金を受給している人)
標準報酬改定請求のあった日の翌月から改定されます。
※すでに年金受給中で、離婚した場合、遡っての分割はされません。将来に向かってのみ分割の効力があります。
- 年金受給権発生前の離婚(まだ年金を受給してない人)
- 障害厚生年金の受給権者
- 障害厚生年金の額の計算の基礎となる被保険者期間に係る標準報酬が、離婚のため改定または決定されたときは、当該標準報酬改定請求のあった日の翌月から改定されます。
- ただし、300月みなしの規定が適用されている障害厚生年金については、離婚時みなし被保険者期間は、その計算の基礎とはされません。みなし被保険者期間以外の期間で改定が行われます。(障害厚生年金額が下がるのを防止するためです)
※離婚時みなし被保険者期間とは、分割を受けた者の厚生年金加入期間のうち、第1号改定者と第2号改定者の厚生年金加入期間が重複していない期間をいいます。
- 離婚時みなし被保険者期間の特例
- 次の被保険者期間には算入されません。
- 特別支給の老齢厚生年金の支給要件となる1年以上の被保険者期間
- 定額部分の計算の基礎となる被保険者期間
- 長期加入者の特例となる被保険者期間
- 特例老齢年金の支給要件となる被保険者期間
- 脱退一時金の支給要件となる被保険者期間
- 加給年金額加算要件の被保険者期間の月数(240月以上)
- 在職老齢年金の計算時、加算された改訂後の標準賞与額は除外する。
- 遺族厚生年金の被保険者期間に参入する。
(離婚時みなし被保険者期間のある第2号改定者が死亡した場合、合計で20年以上の場合、長期要件になります)
- 次の被保険者期間には算入されません。
- 厚生年金基金の期間
分割は基金加入期間も対象となります。
分割請求をするときには、基金加入期間も含めて日本年金機構に請求します。
ただし、基金から支給されるプラスアルファー部分は、分割の対象となりません。 - 共済組合員期間を有する人の年金分割
共済組合員期間についても、分割の対象となります。
厚生年金と共済組合の期間が混在するときは、分割の方法は両制度とも同じです。 - 情報の請求
按分割合を決める前に、年金事務所で、標準報酬改定請求を行うために、次にあげる必要な情報を請求することができます。- 当事者それぞれの対象期間標準報酬総額
- 按分割合の範囲
- 分割の対象となる期間その他省令に定める情報
3号分割
3号分割制度とは、次の要件に該当した場合に、国民年金の第3号被保険者であった方からの請求により、平成20年4月1日以後の相手方の厚生年金の標準報酬を2分の1ずつ当事者間で分割することができる制度をいいます
この制度により分割される標準報酬は、平成20年4月1日以後の国民年金の第3号被保険者期間中の相手方の標準報酬に限られます。
- 要件
- 平成20年5月1日以後に、離婚した場合や事実婚関係を解消した場合など
※離婚の届出をしていない場合でも認められる場合があります。 - 平成20年4月1日以後に、国民年金の第3号被保険者期間があること
※この制度により分割される標準報酬は、平成20年4月1日以後の国民年金の第3号被保険者期間中の相手方の厚生年金の標準報酬に限られます。
※分割請求ができるのは離婚した日・事実婚を解消した日等の翌日から起算して2年以内です。
※3号分割の対象とならない婚姻期間中の厚生年金の標準報酬については、合意分割の条件に当てはまる場合、合意分割制度に基づいて分割できるものとされています。
※特定被保険者が障害厚生年金(特定被保険者期間の全部または一部を計算の基礎としている場合に限る)の受給権者であるときは、この3号分割の請求をすることはできません。
なお、特定被保険者が障害厚生年金の額の計算となる被保険者期間を除いて3号分割を請求することはできます。
- 平成20年5月1日以後に、離婚した場合や事実婚関係を解消した場合など
- 特定被保険者: 標準報酬を分割される方
- 被扶養配偶者: 標準報酬の分割を受ける方
- 特定期間: 特定被保険者が被保険者であった期間であり、かつ、
その被扶養配偶者が第3号被保険者であった期間
- 効果
- 分割を受けた当事者が年金支給開始年齢に達したのちに年金分割を反映した年金を終身に渡り受給できます。
※分割を行った元配偶者が仮に死亡しても、自身の年金には影響しません。
- 分割を受けた当事者が年金支給開始年齢に達したのちに年金分割を反映した年金を終身に渡り受給できます。
- 標準報酬の改定
- 標準報酬の改定及び決定の請求があった日から将来に向かってのみその効力が生じます。
- すでに老齢厚生年金の受給権のある人が離婚のため標準報酬の決定または改定が行われたときは、当該標準報酬改定請求のあった日の翌月から、分割にかかる年金の額に改定されます
- 被扶養配偶者みなし被保険者期間の特例
※被扶養配偶者みなし期間とは、特定期間に係る被保険者期間について、被扶養配偶者の被保険者期間であったものといいます。- 次の被保険者期間には算入されません。
- 特別支給の老齢厚生年金の支給要件となる1年以上の被保険者期間
- 定額部分の計算の基礎となる被保険者期間
- 長期加入者の特例となる被保険者期間
- 特例老齢年金の支給要件となる被保険者期間
- 脱退一時金の支給要件となる被保険者期間
- 加給年金額加算要件の被保険者期間(240月以上)
- 在職老齢年金の計算時、加算された改訂後の標準賞与額は除外する。
- 遺族厚生年金の被保険者期間に参入する。
- 次の被保険者期間には算入されません。
- 厚生年金基金の期間
分割は基金加入期間も対象となります。
分割請求をするときには、基金加入期間も含めて日本年金機構庁に請求します。
ただし、基金から支給されるプラスアルファー部分は、分割の対象となりません。 - 共済組合員期間を有する人の年金分割
共済組合員期間についても、分割の対象となります。
厚生年金と共済組合の期間が混在するときは、分割の方法は両制度とも同じです。
第3号被保険者期間の特例
平成17年4月の改正により、第3号被保険者の届出に関して、次のような特例が設けられています。
- 原則
第3号被保険者(厚生年金、共済組合等の加入者の被扶養者)の届出は、2年以上遅れると、届出を行った日の属する月の前々月までの2年間しか、保険料納付期間に参入されません。それ以外の期間は保険料未納期間となるため、その期間に係わる年金が将来受け取る際に減額される場合や、受け取れなくなる場合がありました。
- 特例(平成17年4月改正)
- 平成17年4月1日前の第3号被保険者の未届出について、届出さえ行えば特例的に2年前より以前の期間も第3号被保険者期間となり、保険料納付済期間として算入されます。昭和61年4月までさかのぼって届出ができます。
- 平成17年4月1日以後、2年以上遅れて第3号被保険者の届出をした場合でも、やむを得ない事由がある場合には2年前より前の期間も、第3号被保険者の期間として認められます。
マクロ経済スライド
平成16年4月の改正により、「マクロ経済スライド」が導入され、今後は年金の給付水準の延びが自動的に調整されます。次の図のように物価(賃金の上昇)に対する年金額の増加の割合を緩やかに調整されます。
「マクロ経済スライド」とは、
- 国全体の経済の動向
- 少子高齢化に伴う公的年金の加入者の減少
- 平均余命の伸びによる将来の年金受給者増加 など
年金財政に影響を及ぼす社会・経済情勢の変化を調整率として年金の給付水準に反映させていくというものです。
ここで、マクロ経済スライドによる改定のポイントとなるのは、スライド調整率と呼ばれる一定率です。
これは、公的年金の被保険者数の減少率(実績値)と平均的な年金受給期間(平均余命)の延び率を勘案した一定率で、2025年までは、スライド調整率は平均0.9%と見込まれています。- スライド調整率の見込み
- 公的年金被保険者数の減少率…0.6%程度
- 平均余命の伸び率を勘案した一定率…0.3%程度
- スライド調整率の見込み
- マクロ経済スライドは、最終的な保険料水準による保険料負担の範囲内で年金財政が安定する見通しが立つまでの間適用する(これを「スライド特例期間」という)ことされ、その後は、年金額改定の原則どおりにもどすとされています。
- マクロ経済スライドの適用については、世代間の公平の観点から、新しく年金を受給できるようになった世代も既に年金を受給している世代も同様に行なうことになります。
- ※マクロ経済スライドによる給付水準の調整は、1人あたりの賃金や物価が上昇する場合にのみ実施されますから、これらが下落する場合は通常の賃金スライドや物価スライドが実施されることになります。
- 即ち、賃金や物価の上昇があった場合でも、その上昇率が0.9%を超えたもので無い限りマクロ経済スライドの調整により年金額アップの改定は行なわれません。例えば、現在のように物価が下落しているような場合には、マクロ経済スライドは実施されませんから、0.9%は加味されずに物価下落率分だけを翌年度より下げる改定を行うことになります。
具体的には、- ①物価が0.9%を超えて上昇したとき、
例えば、物価が1.2%上昇したとすると、年金は1.2%-0.9%=0.3%上昇することになります。(今までの物価スライドのときは、1.2%上昇しました。) - ②物価の上昇が、0.9%以下のときは、
例えば、物価が0.4%上昇したとすると、0.4%-0.9%=-0.5%とマイナスとなります。このマイナスとなった場合は、年金額を減らさずに据え置くことになります。言い換えますと、前年度と同じ年金額となります。 - ③物価が上昇せず、下がったときは、
例えば、物価自体が0.3%下がったとしますと、-0.3%-0.9%=-1.2%年金額が下がるのではなく、マクロ経済スライドは物価上昇の場合にだけ適用になります。物価が下がった場合は、年金は物価が下がった部分0.3%減ることになります。
- ①物価が0.9%を超えて上昇したとき、
審査請求・再審査請求 (不服申立て)
- 審査請求・再審査請求(不服申立て)の仕組み
- 年金の不服申立て制度は二審制
障害年金や老齢年金、遺族年金、健康保険などの処分に不服がある場合は、その処分を是正するため、不服申立てをすることができます。
現在、年金等に関する不服申立ては社会保険審査官に行う審査請求と社会保険審査会に行う再審査請求の二審制をとっています。
- 年金の不服申立て制度は二審制
- 審査請求
審査請求は、裁定請求に対する不支給決定等の処分に不服がある場合、その処分があったことを知った日から60日以内に各都道府県におかれている社会保険事務局の社会保険審査官に対して行うことになります。 - 再審査請求
再審査請求は、審査請求において出された決定に不服な場合に行いますが、決定書の謄本が送付された日の翌日から60日以内に厚生労働省におかれている社会保険審査会に対して行います。 - 訴訟
年金制度や社会保険制度では、「審査請求前置主義」を採っています。つまり、処分の不服をいきなり裁判に持ち込むことは法律上できず、審査請求、再審査請求と経過を踏まえてから行うことになります。
ただし、再審査請求を行い3ヶ月を経過してもその裁決が出されない場合は、提訴することができます。
老齢年金の繰り上げ・繰り下げ
在職老齢年金(老齢厚生年金・厚生年金保険)
雇用保険との調整(老齢厚生年金・厚生年金保険)
国民年金基金
国民年金基金制度とは?
国民年金基金は、自営業の方やフリーで働く方がサラリーマン並の年金を受け取れるようにするための公的な年金制度です。
自分の収入にあわせて設計でき、将来受けとる年金を確実に増やすことができます。
サラリーマンは厚生年金(+厚生年金基金)のような上乗せ分にあたるものがありますが、自営業との方が加入される国民年金は1階(基礎)部分しか受給できません。
ゆとりある老後生活のためには、2階(上乗せ)部分を自分で用意する必要があります。
詳しくは、こちら でご確認して下さい。
どんな人が加入できるの?
国民年金基金は国民年金の第1号被保険者(自営業の方やフリーで働く方、およびその配偶者の方)の保険料を納めている方で、20歳以上60歳未満の方が加入することができます。(全額免除、一部免除、学生納付特例および若年者納付猶予を受けられている方は対象となりません。)
- 付加年金と同時に加入することはできません。
- 農業者年金に加入している方は加入することができません
基金の種類
国民年金基金は、上記のように老齢基礎年金の上乗せの給付を行う制度です。各都道府県に1つずつ設立される「地域型基金」と同種の事業に従事する人で全国を通じ1つ設立される「職能型基金」の2種類があります。
「地域型基金」と「職能型基金」のいずれか一方にのみ加入できます。任意に加入できますが、脱退は任意にはできません。
確定拠出年金
確定拠出年金は、掛金の拠出額が確定している年金制度。この制度には「企業型年金」と「個人型年金」の2種類がある。加入者が資産の運用方法を選択でき、掛金とその運用結果によって受取年金額が決まる。
- 企業型年金
- 企業が掛金を負担し、その従業員が加入する。
- 拠出限度額(平成22年1月より下記のように引き上げ)
- 企業年金等に加入していない企業の従業員…月額51,000円(引き上げ)
- 企業年金等に加入している企業の従業員……月額25,500円(引き上げ)
- 個人型年金
- 加入者が掛金を負担する。自営業者等や勤務先に確定給付企業年金も確定拠出年金(企業型)もない従業員が加入する。
- 拠出限度額(平成22年1月より下記のように引き上げ)
- 自営業者等…月額68,000円(据え置き)から国民年金基金の掛金額を控除した額
- 制度を実施しない企業の従業員…月額23,000円(引き上げ)
- 運用方法
- 運営管理機関は、運用商品を選定する場合には、元本確保型の運用商品を1以上選定するとともに、
- (1)選定した運用商品が、3以上のリスク・リターン特性の異なる区分に属することであること
- (2)個別社債、個別株式を選定するときは、それらとは別に3以上選定すること
- (3)運用商品の提示の際に、その運用商品を選定した理由を加入者等に示すこと等が義務づけられている。
- 運営管理機関は、運用商品を選定する場合には、元本確保型の運用商品を1以上選定するとともに、
確定給付企業年金
- 確定給付企業年金は、企業年金の受給権の保護を図る制度として、平成14年4月1日から施行された。この制度には「規約型企業年金」と「基金型企業年金」の2種類がある。事業主等は将来にわたって約束した給付が支給できるよう、年金資産の積立を行う義務がある。
- 規約型企業年金
- 労使が合意した年金規約に基づき、企業と信託会社・生命保険会社等が契約を結び、母体企業の外で年金資金を管理・運用し、年金給付を行う。
- 基金型企業年金
母体企業とは別の法人格を持った基金を設立した上で、基金において年金資金を管理・運用し、年金給付を行う企業年金(厚生年金の代行は行わない。) - 給付
- 老齢給付: 加入者等の老齢を事由に、年金給付を行う。
- 脱退一時金: 加入期間が3年以下で年金給付を受けられない場合に支給する。
- 障害給付・遺族給付: 加入者等が高度障害又は死亡した場合には、それぞれ障害給付又は遺族給付を行うことができる。
沖縄・中国残留孤児等の特例措置
沖縄の特例措置
- 国民年金
- 対象者
大正15年4月2日~昭和25年4月1日までに生まれた人 - 昭和36年4月1日(20歳に達した日)~昭和45年3月31日までの間のうち沖縄に住所を有していた期間は被保険者期間及び保険料免除期間とみなします。
※平成4年3月31日までは特例追納として納付することができました。
- 対象者
- 厚生年金
- 対象者
- 昭和20年4月1日以前生まれの方
- 昭和45年1月1日~昭和47年5月14日迄の間に沖縄の厚生年金の被保険者であった期間がある方
- 昭和29年5月1日~昭和44年12月31日までの期間、適用事業所に相当する事業所に使用されていた方
- 特別納付保険料の納付で増額
- 特別措置の期間
平成18年4月1日から平成23年3月31日までの5年間に限り、特別納付ができる。特別納付は、各年度に1回、計3回以内。
詳細は、こちら でご確認ください。
- 特別措置の期間
- 対象者
中国残留邦人等などの特例措置
明治44年4月2日以降生まれのいわゆる「中国残留邦人」の方が永住帰国され、その日から引き続き1年以上日本に住所を有している場合には、帰国前の期間を国民年金の「保険料免除期間」とみなします。
なお、保険料免除とみなされた期間は、永住帰国した日から6年を経過した日の属する月の末日までの間に追納し、保険料納付済期間とすることができます。
- 平成20年4月より老齢基礎年金が満額支給されます。
中国残留邦人等の方々に、帰国前の公的年金が加入できなかった期間だけでなく、帰国後の期間についても特例的に保険料の追納を認めることとして、その追納に必要な保険料の全額を国が負担することにより、中国残留邦人等の方々に対して、老齢基礎年金が満額支給されるようになります。 - 「老齢基礎年金の満額支給」の対象となる方は、次のいずれにも該当する方です。
- (1)明治44年4月2日以降に生まれた方
- (2)昭和21年12月31日以前に生まれた方
(昭和22年1月1日以降に生まれ、昭和21年12月31日以前に生まれた永住帰国した中国残留邦人等に準ずる事情のあるものとして、厚生労働大臣が認める60歳以上の方を含みます) - (3)永住帰国した日から引き続き1年以上日本に住所を有している方
- (4)昭和36年4月1日以降に初めて永住帰国した方