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「年金減額は違憲」鳥取の受給者が全国で初めて提訴

 過去の物価下落時に年金を減額せず据え置いた特例を解消するために年金額を引き下げるのは生存権を侵害し違憲だとして、鳥取県の年金受給者24人が2月17日、国を相手に減額の取り消しを求める訴えを鳥取地裁に起こしました。
 訴状では、消費税増税が確定した上での減額は政府と厚生労働相の裁量権を逸脱しており、健康で文化的な最低限の生活や財産権などを侵害し違憲としています。
 年金受給者らでつくる「全日本年金者組合」によると、今後は全国各地で数千人が順次提訴する見通しとのことです。

改正労働安全衛生法の省令案が公表されました(ストレスチェック等)

 2月16日に第87回労働政策審議会安全衛生分科会が開催され、「労働安全衛生法の一部を改正する法律の施行に伴う厚生労働省関係省令の整備に関する省令案要綱(労働安全衛生規則の一部改正など)」に関する諮問が行われました。
 ストレスチェック制度関係の省令案概要も示されています。
 詳しくはこちらをご覧ください。

国民年金の「後納制度」期限を17年春まで延長 厚生労働省

 厚生労働省は5日、自営業者などが加入する国民年金の保険料を納め忘れた人が10年前までさかのぼって後払いできる「後納制度」の期限を2017年4月まで1年半延長する方針を固めました。後払いすれば年金の受給資格を得られたり、将来の年金額を増やしたりできることから、無年金や低年金となる人を減らす狙いで、今国会で関連法の改正を目指すとしています。
 国民年金の保険料を納め忘れた場合、原則は納期限より2年を経過すると、時効によって納付することができなくなりますが、2012年10月からは年金確保支援法に基づき過去10年分まで後払いできるようになりました。ただし、これも今年9月30日までの3年間の時限措置となっています。

平成27年度における国民年金保険料の前納額

 平成27年度及び平成28年度の国民年金保険料額が公表されたことに伴い、平成27年度における国民年金保険料の前納額が発表になりました。

  • 6ヶ月前納 (平成27 年4 月~平成27 年9 月分、平成27 年10 月~平成28 年3 月分)
    ・口座振替の場合:92,480円(毎月納める場合より1,060円の割引)
    ・現金納付の場合:92,780円(毎月納める場合より 760円の割引)
  • 1年前納 (平成27 年4 月~平成28 年3 月分)
    ・口座振替の場合:183,160円(毎月納める場合より3,920円の割引)
    ・現金納付の場合:183,760円(毎月納める場合より3,320円の割引)
  • 2年前納 (平成27 年4 月~平成29 年3 月分
    ・口座振替:366,840円(毎月納める場合より15,360円の割引)
    ※ 参考

平成27年度雇用保険料率

 平成27年度の雇用保険料率は、平成26年度の料率を据え置き、一般の事業で1.35%、農林水産・清酒製造の事業で1.55%、建設の事業で1.65%とし、 平成27年4月1日から適用することを発表しました。
 ※ 参考

厚生労働省が平成27年度の年金額改定について公表

 厚生労働省は30日、平成27年度の年金額改定について公表しました。
 年金の支給額は、物価や賃金に応じて毎年決められることになっており、厚労省は、総務省から本日「平成 26 年平均の全国消費者物価指数」(生鮮食品を含む総合指数)が公表されたことを受けて、今年4月からの年金の支給額について発表しました。
 厚労省の発表によると、物価や賃金の上昇から年金の支給額の伸び率は本来2.3%になるとしていますが、それに対して、年金の財政基盤の強化に向けて、支給額の伸び率を物価や賃金の上昇よりも低く抑える「マクロ経済スライド」によるスライド調整率として0.9%、また平成12年度から3年間物価が下がったにもかかわらず、景気に配慮して支給額を引き下げなかった特例措置への段階的な解消のために0.5%がそれぞれ差し引かれ、支給額の伸び率を0.9%の引き上げに抑制するとしています。国民年金は現在の満額で月額64,400円から、本来の伸び率より約600円低い65,008円に、厚生年金は夫婦2人の標準的な世帯で、現在の月額219,066円から、本来の伸び率より約2,000円低い221,507円となりますが、物価の上昇分には及ばないため、実質的には引き下げとなります。
※ 詳しくはこちら(厚生労働省)

デフレ下でも年金0.9%減、厚労省改革案

 厚生労働省は1月21日、年金の伸び率を物価や賃金の伸びより抑える仕組み(マクロ経済スライド)の強化を柱とする報告書案を社会保障審議会部会に示し、了承されました。マクロ経済スライドについて、将来、物価・賃金が下落するデフレになった場合でも実施するよう求めました。
 2004年の年金改革で導入されたマクロ経済スライドは、年金財政が安定するまで、年金の伸びを少子高齢化による財政悪化分(現時点の試算で0.9%)だけ抑える仕組みで、物価が1%増でも年金は0.1%増にとどめます。現行制度では、デフレ下では適用できないことになっていますが、報告書案は、物価下落時でも0.9%減を完全に適用できるようにします。
 報告書には、高所得高齢者の基礎年金の減額などの必要性や、国民年金保険料の納付期間を現在の60歳から65歳に延長することも盛り込まれました。

「障害基礎年金の障害認定の地域差に関する調査結果」が公表されました(厚労省)

 日本年金機構は、障害基礎年金について新規に申請を受けて決定を行った事例のうち、都道府県の事務センターにおいて不支給と決定された件数の割合が都道府県間で異なることから、各都道府県における障害基礎年金の認定事務の実態を調査しました。
 <調査結果のポイント>

  • 1.   障害基礎年金について新規に申請を受けて決定を行った事例のうち、精神障害・知的障害にかかる事例の割合が全体の66.9%を占めていた。また、不支給割合が高い県は、精神障害・知的障害の等級非該当割合(注)が高く、不支給割合が低い県は、精神障害・知的障害の等級非該当割合は低かった。
    (注)決定を行った事例のうち、障害の程度が2級に達せず、都道府県の事務センターで不支 給となる件数の割合をいう。
  • 2.  肢体の障害の等級非該当割合は、不支給割合が低い県でも低くない場合があるなど、不支給割合の地域差と必ずしも同じ傾向となっていなかった。
  • 3.  内部障害や外部障害(肢体の障害を除く)の等級非該当割合は、ある程度の地域差がうかがえるが、抽出した事例数が少ないことから、地域差の傾向を確認することは困難であった。
  • 4.  精神障害・知的障害の年金支給状況を、診断書の記載項目の一つである「日常生活能力の程度」で見ると、不支給割合が低い10県においては「日常生活能力の程度」が(2)相当であることが障害基礎年金を支給する目安(障害等級2級相当)となっている一方、不支給割合が高い10県においては「日常生活能力の程度」が概ね(3)相当であることが障害基礎年金を支給する目安となっていた。
     ※ 精神障害・知的障害については、診断書に記載された「日常生活能力の程度」のみではなく、具体的な症状や治療の経過、日常生活状況等を総合的に評価し、認定しているため、診断書に記載された「日常生活能力の程度」が同じであっても、認定結果に差異が生じることはあり得る。
     「日常生活能力の程度」が(2)の場合
         不支給割合が低い10県→ 5.3%が等級非該当
         不支給割合が高い10県→70.8%が等級非該当
     (参考)
    「日常生活能力の程度」・・・請求者が日常生活においてどの程度援助を要するかを、
    (1)~(5)の5段階で評価するもの。
        (2)精神障害(知的障害)を認め、
           家庭内での日常生活は普通にできるが、
           社会生活には、援助が必要である。
        (3)精神障害(知的障害)を認め、
           家庭内での単純な日常生活はできるが、
           時に応 じて援助が必要である。
    (精神障害・知的障害の診断書より抜粋)
     なお、国民年金・厚生年金保険障害認定基準では、
    2級は「残遺状態又は病状があるため人格変化、思考障害、その他妄想・幻覚等の異常体験があるため、日常生活が著しい制限を受けるもの」(統合失調症の例)などと規定されている。
  • 5.   精神障害・知的障害の診断書に就労状況についての記載がある場合の等級非該当割合(12.5%)と、記載がない場合の等級非該当割合(11.9%)に、大きな差異はなかった。
  • 6.  初診日不明による却下処分となった割合は、全体で0.7%であった。また、初診日の判定にかかる地域差の傾向を確認することは困難であった。
    ※詳しくはこちら

2018年4月、国民健康保険が都道府県移管へ

 厚生労働省は、2018年4月(平成30年度)に国民健康保険の財政を立て直すため、運営を市町村から都道府県に移管する方針を固めました。
 都道府県への移管は、2013年に社会保障国民会議が提案していた案となります。国民健康保険の財政を立て直すため合計3400億円を拠出する方向で、2015年度の予算では移管に向けての財政支援のため、国費1700億円を追加投入しました。
 大企業の社員が加入する健康保険組合などの負担を増やしてさらに1700億円を捻出する予定で、都道府県側と調整しています。
 今月下旬に開始される通常国会で関連法の改正案を提出する見通しです。

マイナンバー制度 社会保障分野について

 改正する様式の一覧が厚生労働省より発表になりました。
パンフレット

  • 年金関係
    ・被保険者資格取得届
    ・資格喪失届
    ・被保険者報酬月額算定基礎届
    ・被保険者報酬月額変更届
    ・被保険者賞与支払届
    ・健康保険被扶養者(異動)届
     ※ 参考
  • 雇用保険関係
    ・被保険者資格取得届
    ・被保険者資格喪失届
    ・離職票
    ・未支給失業等給付請求書
    ・日雇労働被保険者資格取得届
    ・教育訓練給付金支給申請書
    ・高年齢雇用継続給付支給申請書
    ・育児休業給付金支給申請書
    ・介護休業給付金支給申請書
     ※ 参考

最低賃金16円引き上げへ

 厚労省の審議会で29日、地域別の最低賃金を全国平均780円と、前年より16円引き上げることを決めました。これを基に都道府県ごとの最低賃金を決め、10月頃適用されることとなります。

 また最低賃金では、生活保護の受給水準を下回る「逆転現象」が5都道府県で起こっていましたが、今回の引き上げにより解消する見通しとなりました。

有効求人倍率、6月は1.10倍に改善 92年以来22年ぶりの高水準

 仕事を求めている人1人に対し、企業から何人の求人があるかを示す有効求人倍率は、厚生労働省が29日発表した6月の倍率は前月より0.01ポイント高い1.10倍となり、バブル経済が崩壊した直後の1992年6月(1.10倍)に並ぶ22年ぶりの高水準となりました。
 新規求人倍率(季節調整値)は1.67倍となり、前月を0.03ポイント上回り、正社員有効求人倍率(季節調整値)は0.68倍となり、前月を0.01ポイント上回りました。
 6月の有効求人(季節調整値)は前月に比べ0.3%増となり、有効求職者(同)は0.1%減となりました。6月の新規求人(原数値)は前年同月と比較すると8.1%増で、これを産業別にみると、医療,福祉(15.3%増)、製造業(14.2%増)、サービス業(他に分類されないもの)(9.8%増)などで増加となり、教育・学習支援業(1.6%減)で減少となっています。
 都道府県別の有効求人倍率(季節調整値)をみると、最高は愛知県の1.57倍、最低は沖縄県の0.68倍となりました。
※詳しくはこちら(厚生労働省)

8月1日より雇用保険の基本手当日額が変更になります

 今年度の雇用保険の基本手当日額が発表されました。具体的な変更内容は以下の通りです。

  • (1)基本手当日額の最低額の引下げ
    1,848 円 →  1,840円 (-8円)
  • (2)基本手当日額の最高額の引下げ
    基本手当日額の最高額は、年齢ごとに以下のようになります。
    • ○ 60歳以上65歳未満
      6,723 円 →  6,709円 (-14円)
    • ○ 45歳以上60歳未満
      7,830 円 (※) →  7,805円 (-25円)
    • ○ 30歳以上45歳未満
      7,115 円 →  7,100円 (-15円)
    • ○ 30歳未満
      6,405 円 →  6,390円 (-15円)

※詳しくはこちらをご覧ください。

出産育児一時金、42万円に据え置きへ

 7月7日、厚生労働省は出産育児一時金の額について、現在の42万円を継続する案を社会保障審議会の部会に示し、了承されました。
 来年1月以降、出産時の事故により子どもが重い脳性まひになった場合に補償金が支払われる産科医療補償制度の掛け金が3万円から1万6千円に引き下げとなることから、出産育児一時金の額についても引き下げを求める議論がありましたが、4年半前の前回の改訂から出産費用が増加していることや公立病院でも出産費用が平均40万円を超えていることから、据え置かれました。

医療・介護改正法成立、介護保険負担2割に

 介護保険や医療提供体制を見直す地域医療・介護総合確保推進法が6月18日、参院本会議で与党などの賛成多数で可決、成立しました。
 介護分野では、介護保険の自己負担割合(現行1割)を、年間年金収入が280万円以上の人に限って2015年8月から2割に引き上げます。特別養護老人ホームの入所要件を原則「要介護3」以上に限定し、介護の必要性が比較的低い「要支援1~2」の人に対するサービスの一部を市町村の事業に移して地域の実情に応じたケア態勢を整えます。
 医療分野では、医療事故の原因究明と再発防止を目指す「医療事故調査制度」の創設を盛り込みました。また、在宅医療・介護を推進するため、消費税増税分を活用した基金を各都道府県に設置します。

公的年金減額の仕組みを検討へ―厚生労働省

 厚生労働省はマクロ経済スライドの制度を見直し、物価や賃金の動向に関係なく、名目額が下がる場合でも毎年度0.9%分を削減する方向で、2015年の通常国会への関連法案の提出を目指す方針です。  現役世代と年金受給者の両方に負担を求める方針で、高齢者の反発で法改正への調整が難しくなることが予想されています。

諸外国の年金制度比較 厚生労働省

 厚生労働省は12日、諸外国の年金制度についての情報を公開しました。ドイツ、英国、アメリカ、フランス、スウェーデンの5か国についての制度をそれぞれ紹介すると共に、日本を含めた上記5か国の制度の比較を表にまとめ、公開しています。
 年金の支給開始年齢について、フランスは2017年までに62歳に引き上げるのに対して、アメリカは2027年まで、ドイツは2029年までに67歳に引き上げるとしており、英国は2034年から2046年にかけて68歳に引き上げるとしているなど、各国の年金事情をうかがい知ることができます。
※詳しくはこちら(厚生労働省)
「上記5か国の年金制度の国際比較 ※平成26年6月作成」(PDF)

配偶者控除見直し、政府税制調査会が論点整理

 政府税制調査会は11日、総会を開き、専業主婦らがいる世帯で夫の所得税が軽くなる「配偶者控除」の見直しなどについて論点整理を取りまとめました。
 論点整理では、現行の配偶者控除の仕組みは見直すべきだとの見解を示す一方で、家庭での子育てなどを評価し、税制面の配慮を残すことが必要とも言及しました。「税制にとどまらず、社会保険制度や企業の賃金制度の課題も検討が必要」と指摘し、政府税調として結論を出すことを見送りました。
 論点整理は政府が6月下旬に閣議決定する成長戦略に反映させるとしています。ただ、政府税調の中里実会長(東大教授)は会合後の記者会見で「女性の就業拡大には税制だけ議論しても問題は解決しない。税制を超えた幅広い議論が必要」とし、見直しは中長期的課題との認識を改めて示しました。

マイナンバーカードに健康保険証も一元化を

 政府のIT総合戦略本部の会合が6月3日に開かれ、安倍総理大臣は、2016年から配る社会保障と税の共通番号(マイナンバー)を利用するための個人カードに関し、20年をメドに健康保険証や金融機関などで使える機能を持たせるようにすることを目指す考えを示しました。
 会合で、安倍総理大臣は、社会保障や税の情報を一元化するためのマイナンバー制度について、「健康保険証などのカード類を個人番号カードに一元化し、カード一枚で身近なサービスを受けられる「ワンカード化」、電気・水道等の公共サービスの手続を一度にまとめて行える「ワンストップ化」を2020年を目途に実現するための作業を加速してほしい」と述べました。
 政府は、個人の医療情報の扱いなど利用範囲をどこまで拡大するか今秋に方向性を示します。

改正国民年金法が成立 保険料納付猶予の対象者拡大

 国民年金保険料の納付率向上策や年金記録の訂正を厚生労働省が審査する仕組みを盛り込んだ年金事業改善法が6月4日の参院本会議で可決、成立しました。10月1日から順次施行します。
 改正法は、2016年7月から25年6月までの時限措置として、国民年金の保険料の納付を猶予する対象を、従来の30歳未満から50歳未満に拡大することが柱となっています。また、保険料未納期間がある人を対象に、過去10年までさかのぼって後から納付できる制度が15年9月で終了となることから、さかのぼれる期間を5年に短縮した上で制度を18年9月まで3年延長する規定も設けました。その他、保険料延滞金利率の引き下げ(14.6%から9.2%)、年金記録訂正の手続きの規定なども盛り込まれました。

次世代育成支援対策推進法、10年間延長!新たな認定制度創設

 次世代育成支援対策の更なる推進・強化を図る次世代法が改正されました!

  • 法改正のポイント
    • 法律の有効期限が平成 37 年3月 31 日まで10 年間延長
    • くるみん認定を受けた企業のうち、特に次世代育成支援対策の実施状況が優良な企業に対する新たな認定(特例認定)制度が創設
      参考リーフレット

遺族年金 国に23年分支払い命令、時効認めず 大阪地裁

 時効を理由に遺族年金を受け取れなかった女性が国を訴えていた裁判で、大阪地裁は国に23年分の年金およそ2,200万円を支給するよう命じました。
 年金記録問題をきっかけに、夫の死後28年経って見つかった記録を基に遺族年金の支払いを求めていました。
 大阪地方裁判所は、女性は10回ほど問い合わせや相談をしていたのに、担当者は、そのつど記録は見当たらないと回答し、社会保険事務所の組織全体が繰り返し不適切な取り扱いをしていた。と指摘しました。
 判決について厚生労働省年金局事業管理課は、「判決の内容を精査して、関係省庁と協議のうえ、適切に対処したい」としています。

協会けんぽの申請書・届出書が新様式に(平成26年7月から)

 全国健康保険協会(協会けんぽ)では、加入者・事業主が記入する申請書・届出書を平成26年7月から様式を新しくするとの公表をしました。
 協会けんぽでは、申請書・届出書を「見やすく」「わかりやすく」「記入しやすく」するために様式を新しくするとし、協会けんぽサイト上にリーフレットを掲載して案内しています。従来の様式でも使用は可能ですが、新様式への切り替えを推奨しています。
詳しくはこちら【全国健康保険協会】
リーフレット(PDF)

年金75歳から繰り下げ受給 86.9歳で同額に

 厚生労働省は5月28日、公的年金の受給開始年齢を個人の選択で75歳まで繰り下げた場合の試算額をまとめました。原則どおり65歳から受給を開始した場合と受け取る年金の総額が同じになるのは、試算は物価などの影響を除いて、現行制度を前提に機械的に計算すると86.9歳になります。
 現行制度では、原則65歳となっている年金の受給開始を70歳まで遅らせることが可能ですが、田村憲久厚労相は75歳まで延ばすことを検討するとしています。厚生労働省は、今の段階で具体的な検討はしておらず、実際の制度とは異なる可能性があるとしたうえで、衆議院厚生労働委員会の理事会に試算を示しました。

国民年金 13年度納付率が60%へ回復

 厚労省は20日、2013年4月から2014年2月分までの国民年金保険料のうち、2014年3月末までに納付された月数を集計した「現年度分の納付率」をまとめたものを発表しました。
 60%台に回復したのは2008年以来5年ぶりで、2013年度通年での納付率はさらに上がる見通しです。
 ※詳しくはこちらをご覧ください。

基礎年金受給75歳まで繰下げ検討

 田村厚生労働相は、基礎年金の受給開始年齢を受給者の判断で最長70歳まで繰り下げて手取り額を増やせる現行制度について、75歳程度までの繰り下げを選択できるようにすることを検討する考えを示しました。
 少子高齢化の影響で、今後は年金の支給水準が下がり続ける見込みですが、受給を遅らせることで月々にもらえる額の目減りは緩和できます。
政府内には主要国並みに受け取り年齢を一律で67~68歳まで上げる案があります。田村厚労相は67歳、70歳になるまでもらえないのは、国民の反発が非常に大きい」と慎重な見方を示しました。
 今年は5年に1度年金制度の持続性を点検する財政再計算の年です。これを機に年金改革論議が本格化しそうです。

今年度の後期高齢者医療保険料 1.8%増の月5,668円

 厚生労働省は4月2日、75歳以上の約1,600万人が加入する後期高齢者医療制度について、2014~15年度の保険料の見込み額が、12~13年度に比べて99円(1.8%)増の全国平均で1人当たり月5,668円になると発表しました。
 後期高齢者医療制度の保険料は、各都道府県の広域連合が2年ごとに定めます。今回は27都県で平均保険料が上がり、20道府県では下がりました。保険料の軽減対象拡大のほか、医療費が想定ほど伸びず、剰余金が生じたことなどが影響し、減額した団体が増えました。
 都道府県別では、最も保険料が高いのが東京都で月額8,092円、最も低いのが秋田県の3.205円でした。

障害年金の「肝疾患による障害」の障害認定基準の一部改正について

 厚生労働省は3月18日、平成26年6月1日から、国民年金・厚生年金保険障害認定基準(以下「障害認定基準」)のうち「肝疾患による障害」の基準を改正することを発表いたしました。

  • 改正の主なポイント
  1. 重症度を判断するための検査項目について見直しを行いました。
  2. 障害等級を客観的に判断するため、検査項目の異常の数を入れました。
  3. アルコール性肝硬変の基準を追加しました。

詳しくはこちらをご覧ください。

財政検証で年金支給年齢引き上げ試算へ

 厚生労働相の諮問機関である社会保障審議会の年金部会は3月12日、年金運用の実質的な利回り目標などを示した専門委員会からの報告を受け、今後の公的年金の支給水準の見通しを示すため5年ごとに実施する財政検証の作業に着手することを了承しました。

 今回の財政検証では、国民年金の保険料の納付期間の延長や支給開始年齢を67歳や68歳に引き上げるなど現行制度を変更した場合の試算を実施します。

 また、週20時間以上働いていたり、月5~6万円程度の収入がある短時間勤務の労働者が国民年金から厚生年金に移った場合の試算を行う方針も示しました。

 厚生労働省は、今年6月をメドに財政検証の結果を公表することにしています。

厚労省 国民年金保険料の支払い期間を45年に延長検討

 厚生労働省は、公的年金制度を巡って、基礎年金の保険料納付期間を現在の40年間から45年間に伸ばすことを検討し、年内をめどに改正案を取りまとめる方針を2月26日、自民党厚労部会に示しました。

 厚労省は、公的年金制度について5年に1度行う今春の財政検証で、納付期間を延長した場合の年金財政への影響を試算します。その結果を踏まえ社会保障審議会で議論し、来年にも通常国会に関連法案を提出する意向です。

 保険料を納める期間は、65歳までの雇用延長が一般的になったことを踏まえ、段階的に65歳まで延長することを義務化する、61~65歳まで任意で納めることができるようにするなどの案があります。年金水準は今後下がる見通しで、保険料を納める期間を長くして将来の受給額を増やす狙いがあります。

4月以降の新規加入者に対する国民年金基金の掛け金を引き上げ

 国民年金の上乗せ給付として自営業者らを対象とする国民年金基金で、4月以降の新規加入者の掛け金(保険料)が引き上げられることが2月19日分かりました。加入者の年齢や性別で上げ幅は異なりますが、40歳男性なら7%程度増える見込みです。一方で、加入者に約束する予定利回りは現在の1.75%から1.5%に引き下げます。

 同基金は、加入者の減少と受給者の増加で財政が悪化しています。掛け金や給付額は全国一律で、厚生労働省に掛け金引き上げなどの認可を申請します。

第186回国会(常会)提出法律案ー厚生労働省関係    画像の説明

 現在開催中の通常国会に、以下の改正案(一部、新法あり)が提出されています。

雇用保険法(本年4/1および10/1施行予定) 画像の説明

  • 育児休業給付の充実
  • 教育訓練給付金の拡充及び教育訓練支援給付金の創設
  • 就業促進手当(再就職手当)の拡充
  • 平成25年度末までの暫定措置の延長(3年間)

パート労働法(公布から1年以内に施行予定) 画像の説明

  • 短時間労働者の均等・均衡待遇の確保
  • 短時間労働者の納得性を高めるための措置
  • その他(事業主名の公表規定の創設等)

年金関係(主に本年10/1施行予定) 画像の説明

  • 年金保険料の納付率の向上方策等
  • 事務処理誤り等に関する特例保険料の納付等の制度の創設
  • 年金記録の訂正手続の創設
  • 年金個人情報の目的外利用・提供の範囲の明確化

専門的知識等を有する有期雇用労働者等に関する特別措置法(来年4/1施行予定)画像の説明 

  有期の業務に就く高度専門的知識を有する有期雇用労働者等について、労働契約法に基づく無期転換申込権発生までの期間(通算5年)に関する特例を設ける。

労働者派遣法(来年4/1施行予定) 画像の説明

  • 特定労働者派遣事業と一般労働者派遣事業区別の廃止(すべて許可制に)
  • 専門26業務の廃止(派遣労働者個人単位の期間制限(3年)と派遣先の事業所単位の期間制限(3年、一定の場合に延長可)を創設
  • 派遣元事業主に対し派遣労働者へ新たな派遣先を提供すること等の義務付け等

労働安全衛生法 画像の説明

  • 化学物質管理のあり方の見直し
  • ストレスチェック制度の創設
  • 受動喫煙防止対策の推進
  • 重大な労働災害を繰り返す企業への対応 等

厚労省 来年度の年金支給額0.7%引下げ

 厚労省は31日、2014年度の年金支給額を、今年度支給額から0.7%引き下げることを発表しました。
 年金支給額は、「特例水準」を本来の水準に戻す為1%引き下げる一方で、名目手取り賃金変動率が0.3%上がったことを考慮した設定になっています。

厚労省 労災保険特別加入申請書のEXCEL版をアップ

 厚生労働省のサイトの労災保険給付関係請求書等ダウンロードページに、特別加入申請書などのEXCEL版がアップされました。
厚生労働省  労災保険給付関係請求書等ダウンロード

国民年金保険料、4月から210円アップの月額1万5250円

 2014年度の国民年金保険料が1万5250円(月額)と13年度の1万5040円から210円増えることが28日、分かりました。今年4月分の保険料から適用され、上昇は2年連続となります。厚生労働省が31日に公表します。
 
 国民年金保険料は毎年280円ずつ引き上げ、17年度以降は1万6900円に据え置くと決められていますが、実際は物価や賃金の動向を反映して毎年上げ幅を調整しています。12年の全国消費者物価が前年比横ばいで、09~11年度の平均実質賃金も前期比0.4%下落したため、引き上げ幅が圧縮されました。

労働者派遣見直し 最長3年の派遣期間を事実上無期限に

 2015年春から、労働者派遣制度について、原則、最長3年となっている派遣期間を、事実上無期限とする見直し案が決定固まりました。

 労働者派遣制度では、現在、通訳や秘書など「専門26業務」と呼ばれる業務を除いて、1つの業務での派遣期間は、最長3年と決められています。新たな制度では、まずこの業務区分を廃止するとしています。

 29日の労働政策審議会では、企業が労働組合などの意見を聞くことを条件として、3年ごとに働く人を入れ替えれば、全ての業務において、無期限で派遣労働者の受け入れを認める最終案が了承されました。制度見直しによって企業は派遣社員を活用しやすくなり、派遣社員の働き方の選択肢も広がる見通しです。

 厚生労働省は、この新しい労働者派遣制度を2015年4月からの実施を目指す方針です。

 ※厚労省の資料はこちらから

平成26年度の雇用保険料率を告示 ~平成25年度の雇用保険料率を据置き~ 厚生労働省

 厚生労働省は、27日、平成26年度の雇用保険料率を告示しました。

 平成26年度の料率は、平成25年度と同様、一般の事業で1.35%、農林水産清酒製造の事業で1.55%、建設の事業で1.65%となります。

 雇用保険料率は、労使折半で負担する失業等給付の料率に、事業主が負担する雇用保険二事業の料率を加えたものです。 このうち、失業等給付の料率については、「労働保険の保険料の徴収等に関する法律」に基づき、雇用保険受給者実人員の状況や積立金の状況を勘案し、厚生労働大臣が労働政策審議会の意見を聴いて、一定の範囲内で変更することが可能となっています。

 平成26年度の失業等給付の料率については、昨年12月26日に了承された「労働政策審議会職業安定分科会雇用保険部会報告書」の中で、平成25年度に引き続き、1.0%にするべきとされました。

 このため、雇用保険二事業の料率を加えた全体の料率は、一般の事業で、1.35%となります。

 ※詳しくはこちら(厚生労働省)

未支給給付の請求権者の順位等について(一部改正)

 平成26年1月16日に「国民年金法施行令等の一部を改正する政令」が公布されました。
施行は、同年4月1日からです。
【改正内容】

  • ●国民年金法施行令の改正
    • [未支給年金を受けるべき者の順位]
      国民年金法第19条第4項により政令で定めることとされている「未支給の年金を受けるべき者の順位」が、次のように一部改正されました。
      死亡した者の
      ①配偶者
      ②子
      ③父母
      ④孫
      ⑤祖父母
      ⑥兄弟姉妹
      ⑦これらの者以外の3親等以内の親族
  • ●厚生年金保険法施行令の一部改正
    • [未支給の保険給付を受けるべき者の順位]
      厚生年金保険法第37条第4項により政令で定めることとされている
      「未支給の保険給付を受けるべき者の順位」が、次のように一部改正されました。
      死亡した者の
      ①配偶者
      ②子(死亡した者が遺族厚生年金の受給権者である夫であった場合における
      被保険者または被保険者であった者の子であって
      その者の死亡によって遺族厚生年金の支給の停止が解除された者を含む)
      ③父母
      ④孫
      ⑤祖父母
      ⑥兄弟姉妹
      ⑦これらの者以外の3親等以内の親族
    • [特別支給の老齢厚生年金の障害特例の改善の対象となる障害年金]
      厚生年金保険法附則第9条の2第5項に規定する
      「政令で定める障害を支給事由とする年金たる給付(障害特例の改善の対象となる障害年金)」を次のとおり定めました。
      ①厚生年金保険法による障害厚生年金及び旧厚生年金保険法による障害年金
      ②国民年金法による障害基礎年金及び旧国民年金法による障害年金
      ③旧船員保険法による障害年金
      ④国家公務員共済組合法による障害共済年金、旧国家公務員等共済組合法による障害年金及び旧国の施行法による年金たる給付であって障害を支給事由とするもの
      ⑤地方公務員等共済組合法による障害共済年金、旧地方公務員等共済組合法による障害年金及び旧地方の施行法による年金たる給付であって障害を支給事由とするもの
      ⑥私立学校教職員共済組合法による障害共済年金及び旧私立学校教職員共済法による障害年金
      ⑦移行障害共済年金、特例障害農林年金及び移行障害年金

国民年金 過去の未払い料の支払い制度を50歳未満に拡大

 厚生労働省は、国民年金の保険料を納付しやすくするため、未払いとなっている保険料を過去にさかのぼって支払える制度を継続させるなど国民年金法などの改正案を、2月中旬の通常国会提出を目指す国民年金法等改正案の概要が1月17日にわかりました。

 国民年金の保険料の納付率は、平成24年度末で59%にとどまっていることから、厚生労働省は、納付率を上げるための制度改正を盛り込んだ国民年金法などの改正案を、今週召集される通常国会に提出することになりました。

 改正案は、2015年9月までの特例措置として認められている、未払いとなっている保険料を過去にさかのぼって支払える制度を、2015年10月以降も継続するとしています。支払える期間は現在の過去10年分から過去5年分に短縮されます。

 また、低所得者の保険料納付を猶予する制度の対象を、現行の「30歳未満」から「50歳未満」に広げます。納付猶予は現在、フリーターや無職の若者が対象ですが、30~40代にも非正規労働者が広がっている現状を踏まえ、年齢を引き上げます。収入のある親と同居していてる場合でも、本人や配偶者の所得が一定額を下回れば納付を猶予されます。さらに、保険料を滞納した場合に課される延滞金の利率は、来年1月から今の年14.6%から9.2%に引き下げるとしています。厚生労働省は、通常国会で改正案の成立を図りたいとしています。

年収400万円以上の国民年金保険料滞納者へ差押え

 国民年金保険料の納付率アップを図るため、資産の差押えの対象者を「年収400万円以上、滞納13カ月以上」とする方針を出しました。
一方、所得が低い人向けに保険料納付を猶予する制度の対象者年齢を30歳から50歳未満に拡大し、4月から順次実施の見込みです。

280万円以上の年金収入者は介護保険負担増の対象に

 一定以上の所得がある高齢者の介護保険の自己負担割合を、現在の1割から2割に引き上げる案に関して、「年金収入で年280万円以上」の人を対象とする方針を厚生労働省は自民党厚生労働部会に示した。
通常国会で介護保険法を改正し、2015年度の実施を目指すとしています。

社会保険未加入の建設業者を排除へ

 社会保険加入率をアップするため、社会保険未加入の建設業者について、公共事業の元請と一次下請に参加させない方針を明らかにしました。
将来的には二次下請以下からも排除する方向。
今後、未加入業者への指導を強化し、2017年度には加入率100%を目指している。
〔関連リンク〕
 -建設業の社会保険未加入対策について
 -社会保険等未加入対策の全体像

年金記録解明の作業体制を縮小へ

 社会保障審議会の特別委員会が「消えた年金問題」に関する報告書を
まとめました。未解明の年金記録(2,112万件)の全件解明は難しく、調査の
限界を認めていることがわかりました。
今後は自ら記録を調べて申し出た人への対応を中心にし、作業体制を大幅に縮小する方針に。

再就職手当を拡充へ

 厚生労働省は、雇用保険の「再就職手当」を拡充する方針を明らかに
しました。
 再就職後6カ月間継続して就労した場合に、前職の賃金と再就職
後の賃金の差額(6カ月分)が支給される。通常国会に提出する予定の
雇用保険法改正案に盛り込み、2014年度にスタートする見通し。

政府が公的年金減額幅の圧縮を検討 0.6~0.7%に

 政府が、4月分からの公的年金支給額について0.6~0.7%の減額を
検討していることがわかった。当初は1%減額する計画だったが、
物価上昇を考慮して減額幅を圧縮する。これにより、国民年金を
満額受給している人は月400円ほど減額となる。

求職者支援制度を見直しへ 厚労省方針

 厚生労働省は、失業者などが無料で職業訓練を受けられる「求職者支
援制度」の内容を見直す方針を固めた。補助金目的の業者による就職
実績の水増しを防ぐため、安定した仕事に就いた場合のみ実績として
認める。来年度中の新ルール適用を目指す。

雇用保険法の見直し案がまとまる

 雇用保険法見直しの最終報告が厚生労働省の審議会でまとまり、教育
訓練給付は「原則2年(最長3年)、年間48万円」を上限に費用の最大
6割を補助することが決定した。育児休業給付については、半年間に限り
「賃金の2分の1」から「賃金の3分の2」に引き上げる。同省は来年の通常
国会に改正案を提出し、来年4月以降、順次施行を目指すとしている。

中小企業の数が400万社を割る

 中小企業庁は、政府が実施した「経済センサス・活動調査」の結果を集
計し、中小企業の数が385万社(2012年2月時点)だったことを発表した。
同庁が調査を開始して以来、初めて400万社を割り込んだ。

国民年金保険料滞納者に対する督促を拡大へ

 厚生労働省は、国民年金保険料の納付率アップを図るため、現在は
悪質な滞納者の一部にしか送っていない督促状を、2014年度からは
「年収400万円以上で13カ月以上滞納している人」に送付することを
発表した。これにより対象者は現在の約3万人から14万人程度に増加
する見通し。

均等法指針改正で間接差別の範囲の見直し

 厚生労働省は、男女雇用機会均等法の改正指針を公布した。内容は
「間接差別となり得る措置の範囲の見直し」「性別による差別事例の追
加」「セクハラの予防・事後対応の徹底」「コース等別雇用管理について
の指針の制定」で、2014年7月1日に施行される。
〔関連リンク〕
 男女雇用機会均等法施行規則を改正する省令等を公布しました~間接差別となり得る措置の範囲の見直し等を行い、平成26年7月1日に施行~

ハローワークの求職者情報を民間紹介会社に開放へ

 厚生労働省は、ハローワークが持つ求職者情報を、民間の職業紹介
会社に開放する方針を明らかにした。求職者の了解のもと、許可を得た
会社が登録情報(職歴、希望職種、希望年収等)を閲覧し、就職先を紹
介できるようにする。早ければ2015年度から実施の見込み。

「消えた年金記録」約2,112万件が未解明

 厚生労働省の年金記録問題に関する特別委員会は、持ち主が不明と
なっていた「消えた年金記録」5,095万件(2006年時点)のうち、2,112万
件が未解明のままであると発表した。同省がまとめた報告書によると、
年金記録解明のためにこれまでに費やした費用は4,013億円、年金が
回復した人は269万人(回復額計1.9兆円)だった。

公的年金の支給総額と受給者数が過去最高に

 厚生労働省は、2012年度における公的年金の支給総額が約53兆2,397
億円(前年度比1.9%増)、受給者数が3,942万人(前年度比2%増)となり、
いずれも過去最高となったと発表した。なお、加入者数は6,736万人で、
前年度から39万人減少した。
〔関連リンク〕
 平成24年度厚生年金保険・国民年金事業の概況について

「教育訓練給付」の上限は3年で144万円に

 厚生労働省は、雇用保険法の改正案について、「教育訓練給付」に関
する当初の拡充案(3年で最大180万円を支給)を縮小し、上限を3年で
最大144万円にすることを決定した。労使双方から「給付水準が高すぎる」
との批判があったため。

「次世代育成支援対策推進法」を10年延長へ

 厚生労働省は、従業員の子育て支援を企業に義務付ける「次世代育成
支援対策推進法」を10年延長する方針を明らかにした。来年3月末で期
限が切れるが、少子化の傾向が続くことを考慮し、来年の通常国会に同
法の改正案を提出する考え。
〔関連リンク〕
 次世代育成支援対策推進法の概要

消費増税分は介護報酬に上乗せへ

 厚生労働大臣の諮問機関である社会保障審議会(介護給付費分科会)
は、来年4月からの消費税率引上げに伴い介護サービス事業者のコスト
が増加した分を、介護報酬に上乗せする方針を決定した。年末の予算
編成を経たうえで上乗せ率を決め、来年4月から適用すされる。

完全失業率 横ばいの4.0%

 総務省が10月の完全失業率を発表し、前月と同じ4.0%だったことがわ
かった。また、厚生労働省が発表した同月の有効求人倍率は0.98倍
(前月比0.03ポイント上昇)となり、2カ月ぶりに上昇した。

「専門26業務」廃止で派遣労働拡大へ

 厚生労働省は、労働者派遣法の改正方針を固め、労働政策審議会に
見直し案を示した。主な内容は、通訳などの「専門26業務」以外では
最長3年までしか派遣労働者に仕事を任せられない仕組みを廃止する
ことなど。同省は来年の通常国会に改正法案を提出する方針。

「付加年金」約22万人分の誤処理が発覚

 日本年金機構は、追加の保険料を支払うことにより将来受給する国民
年金額が上積みされる「付加年金」に関して、旧社会保険庁時代から
合わせて約21万8,000人分の事務処理を誤ったとみられることを厚生
労働省に報告した。同省は、期間中の付加保険料を本人に返す方針。
〔関連リンク〕
 付加年金(日本年金機構)

70~74歳の医療費負担を2割に 来年4月から

 政府は、特例で1割に据え置いている70~74歳の高齢者の医療費窓口
負担を、来年4月から本来の2割に戻す方針を固めた。来年4月以降
に誕生日を迎えて新たに70歳になる人が対象で、現在すでに70~74歳
の高齢者は特例で1割に据え置く。特例は5年かけて廃止する考え。

介護保険「訪問介護・通所介護」を市町村に移管 厚労省案

 厚生労働省は、介護保険制度において要支援認定を受けた軽度者向け
サービスのうち、保険給付から市町村事業へ移管する対象を訪問介護
と通所介護に限定する案を、社会保障審議会に示した。同省は年内に
改正案をまとめ、来年の通常国会に提出する方針。

非正規労働者数が過去最高を更新

 総務省が7~9月期の「労働力調査」の結果を発表し、非正規労働者
が1,908万人となり、四半期ベースで集計を開始した2002年以降で過去
最高を更新したことがわかった。雇用者全体の数(役員を除く)も増加した
が、正規労働者は減少した。

国保保険料 高所得世帯は引上げへ 厚労省案

 厚生労働省は、国民健康保険(国保)について、収入が約1,000万円
以上の単身世帯などの所得が高い世帯の保険料を、年間で2万円引き
上げる見直し案をまとめた。対象世帯が納める介護保険料についても
2万円引き上げ、財政改善を図る。2014年4月から実施の方針。

厚年基金の約2割が解散に向け準備

 厚生労働省は、昨年6月以降、95の厚生年金基金が解散を議決して
いたことを発表した。現在ある全国551の基金のうちの約2割を占める。
政府は、来年4月に運用困難な基金の解散を促す法律を施行する。

完全失業率が4.0%に改善

 総務省が9月の完全失業率を発表し、4.0%(前月比0.1ポイント低下)
と2カ月ぶりに改善したことがわかった。また、厚生労働省が発表した
同月の有効求人倍率は、0.95倍で、前月と同じだった。

「育児休業給付」の引上げを検討 厚労省

 厚生労働省は、育児休業給付について、休業前の賃金の50%を補償
している現在の制度を、最初の半年間に限り、3分の2に当たる67%に
引き上げる案を労働政策審議会に示した。来年度の通常国会に雇用保
険法改正案を提出し、同年中に新制度を実施の予定。

確定拠出年金の掛金上限を2~3割引上げへ

 政府は、運用実績によって受給額が変動する確定拠出年金について、
企業や個人の毎月の掛金の限度額を2~3割程度引き上げる考えを示し
た。厚生労働省と財務省は金額を含めた調整に入っており、来秋の施行
を目指すとしている。

雇い主の違反による厚生年金の加入漏れが350万人超

 田村厚生労働大臣が政府の推計結果を発表し、厚生年金の加入資格
があるにもかかわらず、雇い主が手続きを怠ったために未加入のままに
なっている人が350万~400万人に上ることがわかった。厚生労働省は
手続きを怠っている事業所の把握に向け、日本年金機構などと連携を
強める方針。

ハローワークが保育士の就職を仲介へ

 厚生労働省は、認可保育所で保育士が不足している等の問題を受け、
ハローワークが保育所と求職者を仲介し、就職につなげる取組みを
実施する方針を明らかにした。保育士の資格を保有する人の就職を促
すため、ハローワークを運営する地方の労働局に通知を出す考え。

「有期労働契約の特例」を特区から除外の方針 政府

 政府は、「国家戦略特区」の規制緩和に関して、改正労働契約法で定め
られた「有期労働契約者が5年超働いた場合の無期転換ルール」を適用
しなくてもよいとする「有期労働契約の特例」を除外する方針を示した。
厚生労働省が特区の内外で労働規制に差をつけることに難色を示して
いるため。

専業主婦らの健康保険料軽減措置見直しを検討 厚労省

 厚生労働省は75歳以上の人が加入する「後期高齢者医療制度」に
関して、家計に余裕のある専業主婦など(約180万人)の保険料を9割
軽減している特例の廃止に向けた検討に入った。社会保障改革の方針
に従い経済力に見合った負担を求めるためで、年間約220億円を投じて
いる税金の削減を目指す。

均等法省令改正で「間接差別」の内容を見直しへ 厚労省

 厚生労働省は、昇進や職種変更に関して、合理的理由のない転居を
伴う転勤に応じることを条件にする「間接差別」を禁じる方針を明らか
にした。育児や介護などの理由で転勤が難しい人が不利にならないよう
にするためで、男女雇用機会均等法の省令を改正して「間接差別」の
内容を見直す。年内の省令公布を目指す。

「産業競争力強化法案」を国会提出

 政府は、企業の再編を後押しする税制優遇などを盛り込んだ「産業競
争力強化法案」を臨時国会に提出した。デフレ脱却に向けて産業の新
陳代謝を促し、企業支援を本格化させたい考え。

世帯間の所得格差が過去最大に

 厚生労働省が2011年の「所得再分配調査」の結果を発表し、所得格
差を示す「ジニ係数」(0~1の間で、1に近いほど格差が大きくなる)が
0.5536(3年前の前回調査比0.0218ポイント上昇)となり、過去最大を
更新したことがわかった。高齢化により所得の少ない世帯が増加したこ
となどが原因。

公共工事入札制度 若手技術者活用で優遇へ

 政府・与党は、建設業の人手不足が深刻化していることを受け、若手
技術者を活用する企業を優遇するなど、新たな公共工事の入札制度を、
早ければ2014年夏から導入する方針を示した。復興やインフラの更新、
東京オリンピックの施設整備など、今後も公共工事が続くと見られ、若手
の人材育成が急務であるため。

消費増税分の約6割を年金関連で消化

 厚生労働省と内閣府は、消費増税に伴う2014年度の増収額(5.1兆円)
の使い道の詳細を明らかにした。このうち、子ども・子育て支援を中心
とした社会保障の充実には5,000億円が充てられる。また、基礎年金の
国庫負担分の返済などにも充てるため、全体の約6割(約3兆円)を年金
関連で消化する。

「高額療養費制度」70歳未満の低所得者の負担軽減を検討

 厚生労働省は、高額療養費制度を大幅に見直す案を社会保険審議会
の部会に示した。70歳未満で所得が多い層(約1,300万人)に対して自
己負担を増やす一方、所得の少ない層(約4,000万人)については負担
を減らす案が有力で、2015年1月の実施を目指すとしている。

「高度外国人材ポイント制度」 在留要件の認定要件を見直しへ

 法務省が昨年5月に導入した「高度外国人材ポイント制度」の見直し案
をまとめ、在留要件を緩和することがわかった。在留外国人からは、年収
基準などの認定要件が厳しすぎるなどと不評だったため。来月中に改正し、12月から施行される予定。

「解雇規制緩和」の対象は専門職に限定

 「国家戦略特区」の検討を進める有識者ワーキンググループの八田達夫
座長は、特区での解雇等の規制緩和対象を、弁護士などの専門職と
大学院卒者に限定することを明らかにした。労働時間の特例については
見送りとなり、今月から始まる臨時国会での法案提出に向け調整に入る。

日雇い派遣禁止等を見直しへ 規制改革会議

 政府の規制改革会議は厚生労働省に対し、現在は原則禁止されている
「日雇い派遣」や「専ら派遣」等について、抜本的に見直すよう求める意見書をまとめた。今後、労使双方の代表が参加する同省の審議会で議論し、年内に結論を出す予定。

特区での「ホワイトカラー・エグゼンプション」導入を断念

 政府は、成長戦略の柱と位置付ける「国家戦略特区」において、一定
水準以上の年収がある人の残業代をゼロにできる「ホワイトカラー・
エグゼンプション」の導入を断念したことを明らかにした。同制度の導入
については、厚生労働省から強い反発が出ていた。

政府が成長企業への公的年金投資を検討

 政府は公的年金の運用改革の一環として、成長企業の株式に重点的
に投資する考えを示した。成長企業を後押しすることによって企業の
収益アップも見込む。約120兆円を運用する年金積立金管理運用独立
行政法人(GPIF)による来年度からの運用開始を予定している。

認可保育所の利用要件を緩和へ

 政府が「子ども・子育て会議」を開き、2015年から認可保育所の利用要件を緩和する方針を明らかにした。現行ではフルタイムで働いている人だけが対象となっていたが、パート勤務や在宅勤務、夜勤の人も利用できるようになる。

完全失業率が6カ月ぶりに悪化

 総務省が8月の完全失業率を発表し、4.1%(前月比0.3ポイント上昇)
と6カ月ぶりに悪化したことがわかった。一方、厚生労働省が発表した
同月の有効求人倍率は、0.95倍(同0.01ポイント上昇)で、6カ月連続
で改善となった。

消費増税分から社会保障制度の充実に5,000億円

 内閣府は経済財政諮問会議において、来年4月からの消費増税分から
社会保障制度の充実に充てる予算額は5,000億円程度になるとの試算
を示した。低所得者の国民健康保険料軽減や保育所の整備などに使わ
れる見込み。

財政悪化の厚年基金が特例解散へ

 大気社やトーソーなど5社は、加入する厚生年金基金から「特例解散」
の決議の通知を受けたことを発表した。財政悪化に伴うもので、今後は、
国の代行部分における積立不足分の費用負担が発生する見込み。解散
は厚生労働省の認可後となるため、2014年度以降となる。

障害者雇用の基本計画を閣議決定

 政府は2013~17年度の「第3次障害者基本計画」を閣議決定し、「50人
以上の企業で雇用される障害者数46.6万人」といった具体的な数値目標
を初めて明記した。社会情勢の変化に対応するため、第2次計画までは
約10年間の計画となっていたが、第3次では5年計画とした。

賃上げ減税の適用条件を緩和へ

 政府・与党は、企業減税についての最終案をまとめ、「給与総額を5%以上増やした企業」に対して検討されていた税優遇の適用条件を「2%以上」に緩和することが明らかになった。来春からの消費増税による景気の腰折れ防止に向け、企業の投資を促す。

「裁量労働制」を拡大 厚労省方針

 厚生労働省は、労働者が働く時間を柔軟に決定することができる「裁量労働制」を拡大する方針を固めた。対象となる業務を広げ、手続きも簡単にできるようにする。
来年の通常国会への労働基準法改正案の提出を目指す。

年金事務処理違反が1,151件

 日本年金機構は、保険料免除の申請書を放置するなどの事務処理違反が計1,151件あり、約2,700万円の支給漏れや過払いがあったことを発表した。同機構は受給者に対して謝罪するとともに、金額の訂正を進めている。

介護保険の自己負担割合を見直しへ 厚労省

 厚生労働省は、所得が一定以上ある人の介護保険の自己負担割合を、現在の1割から2割に引き上げる見直し案を社会保障審議会介護保険部会に示した。年金収入で年280万円以上か290万円以上の人が対象となる見込み。来年の通常国会で介護保険法を改正し、2015年度の実施を目指す。

消費増税時対策として年金受給者に1万5,000円支給

 自民・公明両党は、来春の消費増税時における低所得者対策として、住民税の非課税世帯(約2,400万人)に1人当たり1万円を支給する方針を固めた。
このうち年金受給世帯(約1,300万人)などについては、5,000円を加算する。

今年度の最低賃金 全国平均で12円増

 厚生労働省が2013年度における都道府県ごとの最低賃金をとりまとめ、
全国平均が764円(前年度比15円増)となったことがわかった。新賃金は
10月頃から順次適用される。最低賃金が生活保護の受給額を下回る
「逆転現象」は、北海道を除いて解消されることとなる。

「胆管がん」を労災対象として明記へ 厚労省

 厚生労働省は、印刷会社の従業員が相次いで「胆管がん」を発症して
いる問題で、原因物質とみられている「1、2ジクロロプロパン」と「ジクロロメタン」にさらされる環境下で働き胆管がんを発症した場合に、労災対象となることを省令に明記すると発表した。改正された省令は10月1日から施行される。

高額療養費制度を見直しへ 高所得者の上限額引上げ

 厚生労働省は、高額療養費制度について「70歳未満」と「70~74歳」の
高所得者の月々の上限額を引き上げ、負担を増やす方針を示した。上限
額の目安となる所得の区分を細分化し、所得に応じた負担を徹底して医
療費の抑制を図りたい考え。制度の見直しは2014年度以降になる見込み。

「事前協議制」撤廃で厚年基金の解散条件緩和へ

 厚生労働省は、厚生年金基金が解散する際に解散理由を書面で同省
に提出して了解を得る「事前協議制」を10月1日に撤廃することを明らか
にした。来年4月1日からの基金の解散条件の緩和に向けた施策の一部
を前倒しすることで、基金に対して早めの解散を促す考え。

「雇調金」の支給要件を12月から厳格化

 厚生労働省は、「雇用調整助成金」の支給要件を今年12月から厳格化し、2008年秋のリーマン・ショック前の水準に戻すことを明らかにした。利用の長期化を防止するための要件等を復活させ、代わりに労働移動を支援する助成金を拡充する方針。

「年収300数十万超」は介護保険2割負担に 厚労省案

 厚生労働省は、社会保障審議会介護保険部会で、現在は一律「1割」と
なっている介護保険サービスの自己負担割合を、夫婦の年収が300数十
万以上の世帯を対象に「2割」に引き上げる方向で検討に入った。介護
保険法改正後、2015年度の実施を目指すとしている。

介護保険の「要支援」サービス 市町村に裁量権を移管へ

 厚生労働省は、介護保険の「要支援」向けサービスを2015年度から市
町村の事業に移管する改革案を示した。サービス内容や価格などを市
町村の裁量で決定できるようにし、高齢化に伴う介護費用の増加を抑え
てコスト削減を図る。同省は、改革案を社会保障審議会に示し、制度
づくりを本格化させる考え。

障害年金の認知不足発覚で広報強化へ 厚労省

 障害年金の受給資格があるにもかかわらず、制度や手続方法を知らな
かったために申請をせず未受給のままの人が相当数いることが、厚生
労働省の調査でわかった。同省では、新たに障害者手帳に障害年金の申請
方法を記載するなど、広報活動を強化して受給資格がある人の申請を促す
方針。

国民年金の後納期限を3~5年に延長へ 厚労省案

 厚生労働省は、低迷する国民年金保険料の納付率向上のため、
2015年10月から、保険料を過去に遡って納付できる期限(現行2年)
を引き延ばす方針を固めた。「3~5年」程度を軸に検討しており、
国民年金法改正案を早期に国会に提出することを目指す。

政府、残業代ゼロ実験導入へ トヨタ、三菱重工などの年収800万円超想定

 政府が、一定水準以上の年収の会社員を対象に週40時間が上限といった労働時間の規制を適用しない「ホワイトカラー・エグゼンプション(労働時間の規制除外制度)」について、一部の企業に実験的な導入を特例的に認める方向で検討していることが8月14日、分かりました。

 この制度が適用される会社員については、時間外労働への残業代の支払いはなく、休日、深夜勤務での割増賃金もありません。対象は、年収800万円を超えるような大企業の課長級以上の会社員が想定されています。経済産業省は本人の判断で仕事の繁閑に応じ働き方を調整できるようになり、生産性向上につながるとしていますが、2007年に第一次安倍政権がこの制度の導入を検討していた際は、労働組合の反対のため見送りとなった経緯があります。労働組合からは今回も「過労死を引き起こす」と反発があり、厚生労働省からも疑問の声が出ています。

 経済産業省は「産業競争力強化法案」に、先進技術の開発事業などに取り組む企業に特例的に規制緩和を認める「企業実証特例制度」の創設を盛り込み今秋の臨時国会に提出の予定ですが、この制度の一つとして、労働時間規制の適用除外の実験的な導入も認める方針です。法案成立後、企業からの導入希望の申請を受け付ける見通しで、実際に適用することになった場合、本人の同意や労使合意も必要となる見込みです。経産省によると、トヨタ自動車や三菱重工業など数社が導入を検討しているとのことです。

基礎年金番号、性別変更前番号の使用可能に―厚生労働省

 性同一性障害で性別変更した人の判別のため、基礎年金番号の10桁のうち前半4桁に付けられていた固定番号について、8月8日、厚生労働省は、使用を廃止し、性別変更前の番号を継続して使えるよう日本年金機構に改善を求める方針を決定し、同日、改善を要望していた当事者団体「日本性同一性障害と共に生きる人々の会」に制度変更を通知しました。

 昨年10月、日本年金機構は加入状況の正確な把握のため、性別変更した人は新しい番号と元の番号を併用することにした際に、固定番号を割り当てられていた人は400人近くに上ります。厚生労働省によると、性別変更前の番号だけで加入状況を確認できるシステム改修のめどが立ったため、今後、希望者は性別変更前の番号を付与するとのことです。

2012年度決算 厚生年金・国民年金、運用益大幅増で最高黒字

 厚生労働省は8月9日、公的年金の2012年度の年金特別会計の収支決算について発表しました。 自主運用を開始した2001年度以降最高の黒字額を記録したそうです。時価ベースで、会社員が加入する厚生年金が10兆2,692億円の黒字、自営業者などが入る国民年金が7,226億円の黒字となりました。資産運用の好調を背景に、積立金の市場運用を始めた2001年度以降で黒字額は過去最高となりました。 黒字は厚生年金が2年連続、国民年金が4年連続になります。  厚生年金、国民年金の積立金残高(12年度末)の合計は、前年度から6兆6254億円増の126兆269億円でした。  厚生労働省は「年度後半から株価が上昇し、積立金の運用が好調だったことがある」としています。  いずれも黒字ですが、積立金からの取り崩しがなければ歳出が歳入を上回る超過でした。受給者が増える一方、保険料を払う現役世代が減っているのが要因です。2012年度は運用益は黒字決算となりましたが、厚生労働省は「単年度の結果で年金財政の評価はできない」といいます。
 ※参考:厚生労働省資料

国民年金 全滞納者へ督促検討

 政府は8日、国民年金の保険料納付率を向上させるための対策案を発表しました。

 それによりますと現在は一部の滞納者にしか行っていない督促を、全滞納者を対象とすることや、納付期限がきたらすぐに延滞金を課すなど徴収体制の強化を柱として検討しています。

 また経済的な理由で納付ができない人のため、必要な手続きが取られていなくても日本年金機構が職権で免除する案なども盛り込まれました。

 厚生労働省が秋から法改正を視野にいれて検討を始めます。

厚労省 「ブラック企業」実態調査へ

 厚生労働省は8日、長時間勤務やパワハラなど労働環境が悪い「ブラック企業」への集中的な取り締まりを9月から実施すると発表しました。

 調査は1か月間で集中的に実施し、離職率が高い企業やまたは法令違反の疑いがある企業など約4,000社への立ち入り調査を予定しています。

 この立ち入り調査により長時間労働や残業代不払いなど労働基準違反がないよう指導し、再発防止の徹底を図ることのほか、重大で悪質な違反が確認された企業は送検し、会社名などの公表も行うとのことです。

今春の大卒者の2割が非正規雇用

 大学を今春卒業した約56万人のうち、非正規労働、就職・進学をしていない卒業者など「安定的な雇用に就いていない者」は11万5564人だったことが、文部科学省が8月7日発表した今年度の学校基本調査(速報値)で分かりました。前年度に比べ約1万3000人減少していたものの、依然として今春の大卒者の2割を占めています。

 大卒者就職率は67.3%(前年同期比3.4ポイント増)で、そのうち雇用期間の定めのない正社員などとして就職した人は35万3173人でした。前年より1万8078人増え、景気回復を裏付けました。

 同省では「安定した雇用に就けない人が2割もいることは、引き続き改善すべき課題」として、ハローワークと連携した就職支援に力を入れていく考えです。

最低賃金、デフレ脱却に向け14円引き上げへ―中央最低賃金審議会

 8月6日朝、厚生労働省の中央最低賃金審議会は2013年の最低賃金の引き上げ額の全国平均を昨年度より7円高い14円とする目安を決定しました。現在の全国平均は時給749円で、今回示された時給の全国平均額は763円になります。

 審議会は7日に田村憲久厚労相に目安を答申し、改定後の最低賃金は今秋中に適用されるとのことです。

労働者派遣制度の見直しで専門26業務の枠組みの廃止、有期雇用は最長3年へ―厚生労働省

 労働者派遣制度の見直しを検討している厚生労働省の「今後の労働者派遣制度の在り方に関する研究会」は、派遣期間に制限がない専門26業務の枠組みを廃止し、現在派遣先の業務単位で行われている派遣期間の上限を個別の労働者ごとに設け、労働者が交代すれば、長期的に同一業務に派遣労働者が就業できるよう制度を決定する方向です。また、登録型派遣などの有期雇用についてはすべての業務で派遣期間を最長3年にすることが適当だとする案を取りまとめることが分かりました。

 これまで同研究会が専門26業務の扱いや派遣労働者の保護について検討を進めてきた報告書の案は8月6日に示される予定で、厚生労働省は来月以降、労使が参加する審議会でこの案をもとに具体的な議論を進める方針です。

「再就職支援給付金」→「再就職支援奨励金」の名称変更に伴い一部申請様式に変更 厚生労働省

 平成25年5月16日から「再就職支援給付金」の名称が「再就職支援奨励金」へと変更になりました。これに伴って、ハローワークに「再就職援助計画」等が提出された日が平成25年5月16日以降である労働者分については、一部の申請様式が変更となり、さらに、ハローワークに「再就職援助計画」等が提出された日が平成25年8月1日以降である労働者分についても、一部の申請様式が変更となります。

  • 【労働移動支援助成金(再就職支援奨励金)】
  • 助成内容について
    <概要>
     事業規模の縮小等により離職を余儀なくされる労働者等に対し、民間の職業紹介事業者に労働者の再就職支援を委託し再就職を実現させた中小企業事業主に、助成金が支給されます。
    <受給額>
    • (1)本助成金は、再就職援助計画の認定または求職活動支援基本計画書の提出時点での、支給申請者の年齢に応じて下記の額が支給されます。
      対象者が45歳未満の場合 対象者が45歳以上の場合
      助成率 委託費用の1/2 委託費用の2/3
    • (2)支給対象者1人当たり40万円、同一の計画について300人を上限とします。
      <主な受給要件>
       受給するためには、次の要件のいずれも満たすことが必要です。
    • (1)次のいずれかに該当すること。
      [1]雇用対策法に基づく 再就職援助計画 を作成し、公共職業安定所長の認定を受けること
      [2]雇用保険法施行規則に基づく求職活動支援基本計画書を作成し、都道府県労働局長又は公共職業安定所長に提出すること。
    • (2)中小企業事業主であること。
    • (3)再就職援助計画の認定後(又は求職活動支援基本計画書の提出後)に、計画対象者の再就職支援を民間の職業紹介事業者に委託すること。
    • (4)計画対象者の離職の日から2か月以内(45歳以上の対象者については5か月以内)に再就職を実現すること
    • (5)(3)の委託に係る計画対象者に対し、求職活動等のための休暇を1日以上与え当該休暇の日について、通常の賃金の額以上の額を支払うこと。
       このほかにも、雇用関係助成金共通の要件などいくつかの受給要件があります。

詳しくはこちら(厚生労働省) をご参照下さい。

生活保護費、8月から「生活扶助」の減額始まる

 生活保護費のうち、食費や光熱費などに充てる「生活扶助」の基準額の引き下げが8月1日から始まりました。生活保護費の引き下げは2004年度以来で、今後3年間かけて、最大で1割減額され、子供などの人数の多い世帯ほど引き下げの幅が大きくなります。都市部の子供を持つ若い世代の減少幅が大きく、厚生労働省の試算では、都市部の40代夫婦と小中学生の子2人の世帯で、これまでに比べ月約7千円減少することになるとしています。

 生活保護受給者は全国で約215万人、約158万世帯で、うち96%の受給世帯で減額されます。厚生労働省は、家族が多い世帯に対しての優遇措置を見直すとともに、近年の物価の下落を反映させるとして、今後3年かけて、最大10%、段階的に引き下げ、2015年度まで3年かけて国費を約670億円削減することを見込んでいます。

完全失業率が4%を下回る

 労働力調査(基本集計) 平成25年(2013年)6月分 について、就業者数、雇用数なは増加、完全失業率は低下したことが発表されました。(2013年7月30日公表)

  • (1) 就業者数,雇用者数について
       就業者数は6333万人。前年同月に比べ29万人の増加。6か月連続の増加
       雇用者数は5571万人。前年同月に比べ43万人の増加
  • (2) 完全失業者
       完全失業者数は260万人。前年同月に比べ28万人の減少。37か月連続の減少
  • (3) 完全失業率
       完全失業率(季節調整値)は3.9%。前月に比べ0.2ポイント低下

※参考:統計局ホームページ

最低賃金 生活保護費との逆転 11都道府県に

 最低賃金の引き上げについて協議する厚生労働省の審議会は、最低賃金で働いた場合、1か月の収入が生活保護の受給額を逆転現象が11都道府県が起きていると発表しました。

 11都道府県は、北海道、青森、宮城、埼玉、千葉、東京、神奈川、京都、大阪、兵庫、広島で、時給で比べた生活保護費との差は、北海道の22円が最大です。

 中央最低賃金審議会は今回の調査結果をもとに、今年度の最低賃金引き上げの目安を議論する予定です。

年次有給休暇算定の基礎となる全労働日の取扱いについて平成25.7.10基発0710第3号

 最高裁が、年次有給休暇の権利の発生要件となる出勤率の算定において、「無効な解雇の場合のように労働者が使用者から正当な理由なく就労を拒まれたために就労することができなかった日は、『出勤日数』に算入すべきものとして『全労働日』に含まれる」とする判決を下しましたが、これに関し厚生労働省労働基準局長から、以下の内容の平成25.7.10基発0710第3号 ①年次有給休暇算定の基礎となる全労働日の日数は就業規則その他によって定められた所定休日を除いた日をいい、各労働者の職種が異なること等により異なることもあり得る。

 したがって、所定の休日に労働させた場合には、その日は、全労働日に含まれないものである。 以下が変更点になります。

 ②労働者の責に帰すべき事由によるとはいえない不就労日は、3.に該当する場合を除き、出勤率の算定に当たっては、出勤日数に算入すべきものとして全労働日に含まれるものとする。例えば、裁判所の判決により解雇が無効と確定した場合や、労働委員会による救済命令を受けて会社が解雇の取消しを行った場合の解雇日から復職日までの不就労日のように、労働者が使用者から正当な理由なく就労を拒まれたために就労することができなかった日が考えられる。

 ③労働者の責に帰すべき事由によるとはいえない不就労日であっても、次に掲げる日のように、当事者間の衡平等の観点から出勤日数に算入するのが相当でないものは、全労働日に含まれないものとする。

  • (1)不可抗力による休業日
  • (2)使用者側に起因する経営、管理上の障害による休業日
  • (3)正当な同盟罷業その他正当な争議行為により労務の提供が全くなされなかった日 なお、上記の取扱い変更に伴い、「全労働日が零となる場合の年次有給休暇」は削除されています。

※参考:こちら をご参照下さい。

障害年金2万人請求漏れ 厚労省調査

 厚生労働省は18日、障害年金を受給できるのに請求手続きをしていない人が、身体障害者手帳を持つ20歳以上の人のうち0.4%程度に上るとの調査結果を明らかにし、制度の周知徹底が政府に求められそうです。

 手帳保有者の数から推測すると、請求漏れは2万人程度とみられるとの事ですが、精神障害者や知的障害者の調査は実施していないことから障害年金全体の請求漏れは2万人を上回る可能性が高いとの事です。

厚労省、年金受給年齢引き上げについて「25年度までありえない」

 田村憲久厚生労働相は16日の閣議後の記者会見で、今年度から2025年度にかけて厚生年金の受給開始年齢を段階的に引き上げている最中であるため、25年度までにさらに受給開始年齢を引き上げることはない、と述べました。今後慎重に検討していくということです。  

育児休業給付金増額検討へ―厚生労働省

 7月11日、厚生労働省は育児休業給付の制度について増額の検討に入りました。年内に労働政策審議会の雇用保険部会で給付率の引き上げ幅などを議論し、来年の通常国会への雇用保険法改正案の提出を目指しています。

育児休業給付は、原則として1歳未満の子供の養育のために育休を取得した場合、要件を満たしている育児休業の取得者に、雇用保険から休業前の賃金の原則50%を支給する制度です。これについて厚生労働省内では60%への引き上げなどの案が出されています。

 男性の育児休業取得率の向上を促進し、女性が出産に伴って離職する傾向に歯止めをかけ、育児への支援の充実で、少子化対策につなげる方針です。

海外派遣社員の労災給付上限を引き上げへ 

 厚生労働省は7月10日、企業が海外へ派遣した社員などを対象にした労災保険の給付上限額の引き上げを決めました。特別加入者の給付基礎日額に、22,000円、24,000円を加え、上限を25,000円に引き上げます。ケガや病気、障害、死亡の場合に支払われる年金などの給付額をこれまでより最大で25%増やすことができます。省令の制定に向けて作業を進め、9月から適用する予定です。

※詳しくはこちら をご参照下さい。

8月から雇用保険の基本手当の最低額8円下げへ

 7月1日、厚生労働省は雇用保険の基本手当日額の最低額を8月1日から8円引き下げることを発表しました。現在の基本手当日額の最低額の1856円を1848円に引き下げます。基本手当は平均給与額に連動させることが雇用保険法で定められているており、2012年度の働いている人の平均給与額が2011年度に比べ約0.5%低下したため、雇用保険法に基づき、基本手当も引き下げることとなりました。

※ご参考:厚生労働省ホームページ 雇用保険の基本手当日額の変更

国民年金納付率 7年ぶりの改善

 厚生労働省は24日、国民年金の保険料の平成24年度の納付率は59%で、前の年度を0.3ポイント上回り7年ぶりに改善したことを発表しました。

 滞納者に差し押さえの可能性を指摘する「特別催告状」を送付する取り組みを24年度から全国で初めて一斉実施したため改善したとみられます。

事務処理ミスが3年で4,500件超 日本年金機構

 6月20日、厚生労働省社会保障審議会の年金記録問題に関する特別委員会において、日本年金機構は事務処理ミスが3年で4,590件あったことを説明しました。

 2010年1月に日本年金機構が発足してから2013年3月までの約3年間で、入力ミスやデータの読み間違いなどの事務処理ミスが、4,590件であったということです。

 今回の説明によって判明したミスの内容は、「入力ミス」「申請書類のデータを見間違えるなどした『確認・決定』の誤り」「未処理・処理遅れ」などで、窓口での説明が誤っていたケースもありました。

 なお、年金機構は今後このようなミスが起こらないように再発防止に努めるとし、内容をデータベース化して職員の教育に役立てる方針だということです。

年金制度改革関連法案が成立 財政悪化の基金廃止へ

 財政状況が悪化している厚生年金基金の解散の促進を柱とした年金制度改革関連法案が、6月19日午前の参議院本会議で自民、民主両党などの賛成多数で可決・成立しました。

 改正法は、厚生年金基金全体のおよそ4割を占める、積立金が不足している代行割れ基金を5年以内に解散させ、母体企業に代行部分を返還させます。また、5年を過ぎても資産が基準額に満たない基金には厚労相が解散命令を出せるため、全体の9割が存続しない見通しです。

 一方で、基金全廃方針を撤回し、財政が健全とされる約1割の基金は存続を認めましたが、民主党が求めていた「10年以内に、存続基金は解散するか他の企業年金に移行するよう検討する」との付則も加えました。

 このほか、夫がサラリーマンを辞めた時に国民年金への資格変更の手続きを行っていなかった専業主婦への救済策も盛り込みました。切り替えを忘れていた期間を保険料は未納だが年金に加入はしていたものとして扱い、過去10年分の保険料の追納を認めます。

 概要:

GPIFの運用見直し議論へ

 年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が、価格が変動しやすい株式への投資比率を増やすことを決めました。GPIFの役割や今回の運用方針の狙いや背景をまとめました。政府は公的年金の積立金など、公的資産の運用の在り方を検討する有識者会議を近く設置することにしています。

 政府は閣議決定した経済の成長戦略で、公的年金である国民年金や厚生年金の積立金など、合わせておよそ200兆円に上る資産を有効に活用するため、運用方法を見直す方針を打ち出しました。そして、近く有識者をメンバーとする会議を設置して、運用の在り方について検討に入り、今年の秋までにまとめることになっています。

 公的年金の運用をについては、政府内や自民党から「国債に比重が偏りすぎで、幅広い資産への分散投資を検討すべきだ」という指摘が出ています。それは、海外の年金運用機関と比較して運用実績で劣るためです。GPIFは今回、国内株式への投資割合を11%から12%に、外国株式を9%から12%にそれぞれ増やし、日本国債など国内債券は67%から60%に減らすことを決定しました。

 しかし損失リスクも考慮する必要があります。たとえば、米カルパースは株式への投資割合が全体の6割を超えます。2012年の収益率は13.3%に対し、GPIFの2011年度の収益率は2.3%でした。ただ、リーマン・ショックが起きた2008年のカルパースの収益率は、27.8%のマイナスだったのに対し、GPIFは2008年度で7.6%のマイナスで済みました。大事な年金資金を扱うだけに、リスクをいかに抑え、運用成績を上げるかが求められます。

 厚生労働省は「年金の加入者の資産を守るため、安全性を最優先にした運用を行うべきだ」として大幅な見直しには慎重な姿勢をとっており、公的年金の積立金などの運用の在り方を巡る議論が今後活発化しそうです。

 政府は公的年金などの運用見直し検討を成長戦略に盛り込みました。政府の有識者会議が2013年秋までにGPIFなどの年金資金の運用方法について提言をまとめます。優秀な人材を雇うなど、さらに専門性を高める事が求められます。

精神障害者も雇用義務付け 障害者雇用の改正法案成立へ

 衆院厚生労働委員会は6月12日、精神障害者の雇用を企業などに義務付ける障害者雇用促進法改正案を全会一致で可決しました。13日の衆院本会議で可決、成立する見通しで、2018年4月に施行します。

 改正法は、施行から5年間は、障害者全体の雇用状況や国の支援体制を勘案して法定雇用率を決める激変緩和措置を盛り込んでいます。「負担が重く、時期尚早」と精神障害者の雇用義務化に反対姿勢の経済界に配慮した形となりました。

国民年金保険料 14年度から2年の前納制度導入へ

 厚生労働省は6月12日、国民年金の保険料をまとめて前払いすると割引が適用される前納制度で、2年分の前払いを2014年4月分から認めると発表しました。現在、1年分前納の場合の割引額は年間3780円ですが、2年分前納すると2年間で1万4000円程度割り引かれます。支払い方法は口座振替のみとなります。

 13年度の保険料(1万5040円/月)で計算すると、本来の納付額は36万960円ですが、2年分前納すると34万6600円と約4%の割引となります。

 11年度の国民年金の納付率は過去最低を更新しており、低迷する納付率の改善につなげたい考えです。

国保の都道府県への運営移管 保険料は市町村別に

 社会保障制度改革国民会議は10日、国民健康保険制度の運営主体を市区町村から都道府県に移すことに大筋で一致しました。

 また、保険料の徴収率を維持するため、市町村の保険料を一律にせず、徴収に努力した市区町村は保険料が安くなる等、意欲を高める仕組みにすべきとの意見がでました。

年金支給開始年齢、引き上げを検討へ―社会保障制度改革国民会議

 6月3日、社会保障制度改革国民会議の清家会長は首相官邸で開催された会合で、現在65歳への引き上げが決定している厚生年金の支給開始年齢について、さらに引き上げを検討すべきとの考えを示し、引き上げを検討する方針について会合は大筋で一致しました。

 日本では2013年度から公的年金の支給開始年齢の段階的な引き上げを開始し、男性は平成25年度に65歳となります。日本より高齢者の人口比率が低い米国とドイツでは67歳に、英国は68歳に段階的に引き上げの予定である点から、年金制度を持続させるためには、支給開始年齢の引き上げは不可欠との指摘が多くなっています。

 会合では、年金額を抑えるマクロ経済スライドを早期に機能させるべきとの認識でも一致しており、デフレ経済下でも機能させる方向で議論が続けられる見込みです。年金額の一部の減額や、低所得者への影響を抑える対策も合わせて検討すべきとの意見も出されています。

マイナンバー法案、24日成立の見通し

 国民一人一人に番号を割り振ることにより納税や年金の情報を一元管理するマイナンバー法案が23日参議院内閣委員会にて全会一致で可決されました。同法案は24日の参院本会議で可決、成立する見通しで、2016年からの制度の運用開始を目指しています。

 共通番号制度が導入されると社会保障給付や納税に関する情報が一つの番号で把握でき、脱税や生活保護の不正受給防止につながると期待されていることや、また希望者に交付される個人番号カードを使うことにより児童扶養手当などの受給申請や確定申告の際に添付書類が不要になります。

 安倍総理大臣は「制度の導入・運用にあたっては、国民の利益を第一に考え、真に国民生活に定着した制度になるよう全力で取り組んでいく」と述べ、成立に理解を求めました。

介護保険制度の見直しを検討 介護保険部会

 厚生労働省は5月15日、社会保障審議会の介護保険部会を開き、介護保険制度で比較的介護の必要度が低い「要支援1」「要支援2」と認定された人を介護保険の対象から切り離すことを含め、制度を見直す検討を始めました。介護保険の財政を安定させるため、40歳から64歳の現役世代が支払う介護保険料を健康保険組合加入者の「人数による負担」から、「収入に応じた負担」に変更することなども示されました。

 要支援1、2は、重度化を防ぐ介護予防の観点から2006年度に新区分として導入されました。昨年末の全認定者約554万人のうち、要支援1、2の人は計約150万人。実際には、配食や掃除、買い物といったサービス利用が多く、自立支援につながらないとの批判があります。急増する介護費用を抑えるため、介護保険の給付対象から外して市町村の事業に移すべきだとの議論が出ています。

 介護費用は約7.8兆円(10年度)で、うち要支援向けは約0.4兆円と5%程度ですが、25年の全体の介護費は21兆円まで増大する見通しです。また、現在65歳以上の人が支払っている保険料は月4972円(全国平均)ですが、これも8200円程度にアップする見通しとなっています。

 制度の改正については賛成、反対両方の意見が出ていますが厚労省は議論を重ね、年内に改革の方向性をまとめる方針です。

「消えた年金記録」問題の年金記録確認第三者委員会を縮小へ

 5月14日、政府は年金記録確認第三者委員会(総務省)の体制を縮小する方針を決めました。

 基礎年金番号導入後、社会保険庁(当時)でコンピュータ化された年金記録について、2007年に不備のある年金記録が約5,000万件に上ることが判明、社会保険庁の管理体制の甘さが浮き彫りになりました。

 このいわゆる「消えた年金記録」問題を処理するために、総務省に設けられたのが「年金記録確認第三者委員会」です。設置後約10万件もの申立てがありましたが、当時に比べ申立て件数が減っているとして、当委員会を縮小、将来的にはこれらの業務を厚生労働省に移換する方向で検討しています。

日本年金機構、性同一性障害者に共通番号割り当てる

 日本年金機構が、性同一性障害のために性別変更した人を判別するために、基礎年金番号の前半4桁に共通の固定番号を割り当てていたことが7日、わかりました。またこの4桁の固定番号が、情報公開制度に基づき一時的にインターネット上で公開されていたということもわかりました。この番号が公開されていたから性同一性障害であることを知られてしまう可能性もあり、批判が相次いでいます。

介護保険 軽度者(要支援者)の分離を検討

 厚生労働省は、介護の必要度が低い「要支援1」「要支援2」と認定された人へのサービスを、将来は介護保険制度から切り離すことも含めて見直していく方針を固めました。

 政府の社会保障制度改革国民会議が4月の論点整理で、軽度の高齢者は保険給付から市町村事業に移行し、ボランティア、NPOなども活用して対応すべきだと提案しています。

 24年12月末現在、「要支援1」と「要支援2」を合わせた要支援者は約150万人となり、全体の介護費用に占める割合は約5%となっています。

「ねんきん特別便」で4万人へ未回答の可能性

 日本年金機構は4月24日、「消えた年金記録」問題で、加入記録に誤りがないか全受給者・加入者に確認を求めた「ねんきん特別便」に記載された自分の記録に漏れや誤りがあるとした約1307万人のうち、約4万人(受給者約3万人、加入者約1万人)について、調査結果が未回答となっている可能性があることを明らかにしました。

 回答が遅れているために誤った記録が訂正されず、年金額が本来の額より低くなっている可能性があります。7月に対象者に文書を送り、誤った記録があれば返送を求めます。

 機構が同日の社会保障審議会の特別委員会に報告しました。原因について機構は「年金記録問題が発覚した当初の混乱期で、調査結果の入力処理を確実に行っていなかったことなどが考えられる」としています。

年金支給漏れ 1300件、10億円超

 年金機構が4月16日、新たに1300件、計10億円超の支給漏れがあったことを、総務省の年金業務監視委員会に報告しました。原因は、未払い分の時効処理の基準が明確化されていなかったため、と見られています。

 新たに年金記録が見つかった場合、年金時効特例法により過去全期間について差額分を支払うことになっていますが、一部で誤って時効が適用されてしまい、支給漏れが発生してしまったということです。

 日本年金機構では17日より、「時効特例給付専用ダイヤル」が設置されています。受付時間は午前9時から午後6時までです(月~金)。

「領収証」等に係る印紙税の非課税範囲が拡大

 国税庁HPによりますと、「所得税法等の一部を改正する法律」により印紙税法の一部が改正され、平成26 年4月1日以降に作成される「金銭又は有価証券の受取書」に係る印紙税の非課税範囲が拡大される、ということです。

 現在、「金銭又は有価証券の受取書」については、記載された受取金額が3万円未満のものが非課税とされていましたが、平成26 年4月1日以降に作成されるものについては、受取金額が5万円未満のものについて非課税とされることとなりました。

 詳しくはこちら をご覧ください。

4月12日に「公的年金制度の健全性及び信頼性の確保のための厚生年金保険法等の一部を改正する法律案」が国会に提出されました。

 公的年金制度の健全性及び信頼性の確保を図るため、①厚生年金基金について他の企業年金制度への移行を促進しつつ、特例的な解散制度の導入等を行うとともに、②国民年金について第三号被保険者に関する記録の不整合期間の保険料の納付を可能とする等の所要の措置を講ずる。

【改正の内容】

  1.  厚生年金基金制度の見直し(厚生年金保険法等の一部改正)
    1.  施行日以後は厚生年金基金の新設は認めない。
    2.  施行日から5年間の時限措置として特例解散制度を見直し、分割納付における事業所間の連帯債務を外すなど、基金の解散時に国に納付する最低責任準備金の納付期限・納付方法の特例を設ける。
    3.  施行日から5年後以降は、代行資産保全の観点から設定した基準を満たさない基金については、厚生労働大臣が第三者委員会の意見を聴いて、解散命令を発動できる。
    4.  上乗せ給付の受給権保全を支援するため、厚生年金基金から他の企業年金等への積立金の移行について特例を設ける。
  2.  第3号被保険者の記録不整合問題(※)への対応(国民年金法の一部改正)保険料納付実績に応じて給付するという社会保険の原則に沿って対応するため、以下の措置を講ずる。
    1.  年金受給者の生活の安定にも一定の配慮を行った上で、不整合記録に基づく年金額を正しい年金額に訂正
    2.  不整合期間を「カラ期間」(年金額には反映しないが受給資格期間としてカウント)扱いとして、無年金となることを防止
    3.  過去10年間の不整合期間の特例追納を可能とし、年金額を回復する機会を提供(3年間の時限措置)
  3.  その他(国民年金法等の一部を改正する法律等の一部改正)
    障害・遺族年金の支給要件の特例措置及び国民年金保険料の若年者納付猶予制度の期限を10年間延長する。

【施行日】
1は、公布日から1年を超えない範囲で政令で定める日
2は、公布日から1月を超えない範囲で政令で定める日((3)は施行から1年9月以内、(1)は施行から4年9月以内)
3は、公布日

 詳細は、こちらをご参照ください。

政府が専業主婦の年金救済法案を閣議決定

 政府は年金の切り替えを忘れたことにより保険料の未納期間が生じた専業主婦を救済する国民年金法等改正案を4月12日午前の閣議で決定しました。

 3年間の時限措置として過去10年間の未納分の追納を認める法案で、未納分を追納することで年金の給付額を増やすことができます。夫の退職時に国民年金に切り替え手続をせず、保険料が未納になっている専業主婦は全国に約165万人いるとみられています。

 また、未納があるにもかかわらず、記録ミスなどから本来より高い年金を受給している人については追納期間終了後、10%を限度に減額します。

 一方、企業年金の一つである厚生年金基金制度の改革法案もあわせて閣議決定しました。財政難が深刻な基金に対し、改革法施行から5年以内の解散を促すことを柱とし、運用資産を十分に保有している基金に限り存続を認めるというものです。

精神障害者雇用の義務化 2018年4月実施法案を今国会提出へ

 厚生労働省は4月11日の自民党厚労部会に、精神障害者の雇用を企業などに義務づける障害者雇用促進法改正案を提示して了承を得、今国会に提出する方針です。

 厚生労働省の諮問機関である労働政策審議会の分科会において、精神障害者の雇用義務化が必要であると意見書がまとめられ、これに対し経営者側委員から「経営環境が厳しく時期尚早」との意見もあり、5年後の実施が妥当であるかどうかが焦点となっていました。

 障害者雇用促進法改正案では、募集・採用の機会提供や賃金決定などにおける障害者への差別禁止を明記し、厚生労働大臣が必要と判断すれば、企業側に助言や指導、勧告を行うことができるようにしました。その上で、企業などに対し、身体、知的障害者の雇用を一定の割合で義務づける「法定雇用率」の対象に、2018年4月から精神障害者の雇用を追加するとしています。ただし、5年間の猶予期間を設ける旨も盛り込まれています。

“解雇改革”に慎重な見方~雇用安定化に配慮を-内閣府有識者会合

 人材活用の在り方を検討してきた内閣府の「経済社会構造に関する有識者会議」の分科会「人的資源活用検討専門チーム(座長・清家篤慶応義塾長)」は9日、「成長のための人的資源の活用と今後の方向性について」と題した労働市場改革に関する報告書を発表しました。

 政府の産業競争力会議などで経営者の代表が「労働者を解雇しやすいルールを作るべき」と主張し、雇用の流動化が議論されている中、雇用の安定化にも配慮するように強く求めました。

 報告書は、企業が競争力を強めるため「最適な人材配置を図り、より生産性を高めていく必要がある」と雇用流動化に一定の理解を示す一方、「こうした取り組みは企業内の人材移動を通じても可能だ」と指摘しました。勤務時間や職種を限定した「職種限定正社員」「業務限定正社員」など正社員の種類を多様化し、多元的な働き方が必要だとした上で、「改革を通じて雇用の安定化が図られる層が増えるよう配慮すべきだ」としています。

 また、転職しても賃金が下がらないようにするため、異なる企業の社員の能力を客観的な基準で評価できる「職業能力評価制度」の整備を求めている他、高齢化を受けて“生涯現役型社会”を作る必要があるとし、「高齢者の就労を促す形での年金制度の見直しが必要」と指摘したほか、女性の就労の促進のため「保育・子育て支援への重点投資を検討すべきだ」と指摘しました。

年金積立金9年連続取り崩し続く

 公的年金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は4月1日、2013年度の予算や資金計画を公表した。厚生労働省は団塊の世代の大量退職などによって国民年金と厚生年金の支給額は、団塊世代の大量退職などによって、約25兆2000億円となる見通しで、保険料や国庫負担では賄いきれないことから厚生労働省は積立金を4兆6000億円あまり取り崩す方針です。2012年度に比べて取り崩しの額は減りますが、現役世代から入ってくる保険料や税金で足りない分を積立金で賄う異例の事態が9年連続して行われています。

 公的年金は毎年入ってくる保険料と税金による国庫負担で給付それに、これまでの保険料の積立金の運用益などを財源に年金の支給を行っています。以前は保険料・税収と運用益で積立金が増えていました。

 しかし、低成長や年金受給者の高齢化、団塊世代の大量退職などで毎年の収入だけでは給付がまかなえず、GPIFが積立金を取り崩し資産を市場で売却して年金の支払いに充てています。

 積立金は最も多かった2004年度末には、時価ベースでおよそ148兆円ありましたが、2011年度末の時点ではおよそ120兆円となっています。厚生労働省では「少子高齢化の進展に対応するため、現在、保険料や支給開始年齢の引き上げを進めている最中で、今後、積立金の取り崩し額は減少していく見通しだ」としています。

国民年金の追納・後納保険料額(平成25年度分)が公表されました

 日本年金機構は4月1日、平成25年度分の国民年金の追納保険料、後納保険料の額を公表しました。

 後納制度は、過去10年分まで国民年金保険料が納められる制度で、平成24年10月から始まりましたが、今年2月末までの申込件数は約50万件にのぼりました。

厚生年金基金 代行割れ基金5年で解散

 厚生労働省は1日、厚生年金基金制度の見直しに向けた厚生年金保険法改正案の概要をまとめ、今国会に必要な法案を提出することになりました。

 代行部分(国から預かる資産)に損失を抱える基金は5年で解散させます。運用資産が代行部分の1.5倍未満にとどまる基金に対しては、解散または他の企業年金制度などに移行させます。1.5倍以上の資産などを持つ基金は存続を認めます。存続する基金は全体の1割弱の見通しです。

4月1日から改正高年齢者雇用安定法、改正労働契約法施行

 4月1日から厚生年金の支給開始年齢が61歳に引き上げられるのに合わせて企業に希望者全員を65歳まで雇用するよう義務づける改正高年齢者雇用安定法が施行されます。

 高年齢者雇用安定法は定年を過ぎた60歳以上の雇用を確保するため、これまでも

  • (1)定年の廃止
  • (2)定年の引き上げ
  • (3)継続雇用制度の導入
     のいずれかを導入する義務がありました。

 (3)継続雇用制度では、労使協定を締結すれば再雇用基準を独自に決めることができたため、65歳まで希望者全員が働ける制度ではありませんでした。

 改正法では労使協定で再雇用者を独自に決めることができる基準を撤廃しました。希望者全員を雇用しない場合は企業名を公表されることがあったり、助成金を支給しないなどの措置も講じます。継続雇用の対象外となるのは、解雇事由に該当する場合や健康上の問題を抱えるなどの一定の場合に限ります。

 改正労働契約法も4月1日施行しました。同じ職場で5年を超えて働く有期契約社員が希望した場合、企業に無期雇用への転換を義務付けるものです。

 長期間働いているパートはモチベーションが高く、今回の法改正は安定した雇用の維持につながる。と前向きな意見もでており、無期転換に応じる企業も多い。しかし、体力のない中小企業を中心に、5年未満で有期契約を解除する「雇い止め」が増える懸念が一方ではあります。

第三者行為災害事案に関する控除期間の見直し

 厚生労働省は、2013年3月27日の第51回労働政策審議会労働条件分科会労災保険部会の資料を公開し、第三者行為災害事案に関する控除期間の見直しについての詳細を明らかにしました。

 それによると、第三者行為災害事案に関する控除期間の見直しが必要とし、前払一時金の支給停止期間を考慮し、控除期間を3年から7年に延長することとすることを提言しています。

参考ページ

「中小企業人材確保推進事業助成金」は「中小企業労働環境向上助成金」へ

 厚生労働省は、中小企業のための各種給付金としている「中小企業人材確保推進事業助成金」を、平成25年度より、この制度の内容を一部変更し、新たに創設する「中小企業労働環境向上助成金(団体助成コース)」に移行する予定であることを発表しました。

リーフレット

「労働安全衛生規則の一部を改正する省令案要綱」に関して、食品加工用機械、解体用機械の安全対策を充実

 厚生労働大臣から、25日、労働政策審議会(会長:諏訪康雄 法政大学大学院政策創造研究科教授)に対し、「労働安全衛生規則の一部を改正する省令案要綱」及び「電離放射線障害防止規則等の一部を改正する省令案要綱」について諮問を行いました。これらについて、同審議会安全衛生分科会(分科会長:相澤好治 学校法人北里研究所常任理事)で審議が行われた結果、同審議会から厚生労働大臣に対して、それぞれ妥当であるとの答申があり、厚生労働省では、この答申を踏まえて、省令の改正作業を進めるとしています。

【省令案のポイント】
第1 労働安全衛生規則の一部改正
労働安全衛生規則の一部を改正する省令案は、昨今の食品加工用機械及び解体用車両系建設機械に関する労働災害の発生状況を踏まえ、これらの機械の安全確保対策を充実するもので、具体的には次のとおりです。

  • 1 食品加工用機械の危険箇所への覆いの設置等の義務付け
    食品加工用機械による労働災害は年間約2千件発生しており、身体に障害が残る災害も多く発生していることから、食品加工用機械の危険な部分への覆いの設置や送給時・取り出し時の用具の使用等を義務付けること、機械一般の対策として、機械の目詰まり等の調整時には、原則として機械の運転を停止する等の措置を義務付けることについて、労働安全衛生規則の改正を行うこととしたものです。
  • 2 解体用車両系建設機械への鉄骨切断機等の追加
    工作物などの解体に使用される建設機械である鉄骨切断機、コンクリート圧砕機、解体用つかみ機(以下「鉄骨切断機等」といいます。)による労働災害は年間100件程度発生しており、死亡災害などの重篤な災害も発生していることから、現在解体用機械として規制されているブレーカと同様に、車両系建設機械構造規格を備えないものの譲渡・提供の禁止、定期的な自主検査の実施等の措置を義務付けるとともに、鉄骨切断機等の用途・性質に応じ、運転室の備付け、転倒する危険がある場所での作業装置の長い機械の使用禁止等を義務付けることについて、労働安全衛生規則の改正を行うこととしたものです。

第2 電離放射線障害防止規則等の一部改正
電離放線障害防止規則等の一部を改正する省令案は、除染に伴い除去された土壌や汚染廃棄物(以下「事故由来廃棄物等」といいます。)の処分の業務を行う事業者へ以下の(1)から(5)までの事項の実施を義務付けます。
なお、管理区域の設定、被ばく線量の測定・記録、被ばく限度、施設の線量等の限度等については、現行の規定と同様とします。

  • (1)事故由来廃棄物等の処分を行う設備が満たすべき要件
    排気・廃液が漏れるおそれがない構造とすること、出入口に二重扉を設ける等
  • (2)汚染の拡大防止のための措置
    汚染状況に応じたマスク・保護衣の着用、作業後の汚染検査の実施、容器の使用等
  • (3)作業の管理等
    作業の方法・手順、安全装置の調整等に関する規程(マニュアル)の策定、保守点検作業に関する監督署への届出
  • (4)特別の教育
    処分に従事する労働者に、あらかじめ、線量管理の方法、作業の方法、機械の使用方法等に関する学科教育、作業や設備等の使用に関する実技教育を実施
  • (5)除染特別地域等に処分施設を設置する場合の特例
    施設を設置する以前に土壌等が汚染されている状況を踏まえ、汚染検査、容器の使用等に一定の特例を設ける

詳しくはこちら(厚生労働省サイト)

精神障害者の雇用義務化 2018年4月実施案提出へ

 厚生労働相の諮問機関である労働政策審議会の分科会は3月21日、企業に対する精神障害者の雇用義務化について、2018年4月実施が妥当であると判断しました。

 14日、分科会は精神障害者の雇用義務化が必要であると意見書をまとめていましたが、経営者側委員から「経営環境が厳しく時期尚早」との意見もあり、21日の会合では5年後の実施が妥当であるかどうかが焦点となっていました。

 厚労省は今国会に障害者雇用促進法改正案を提出する方針で、国の企業支援策が不十分な場合に制度を弾力的に運用するための措置が要綱に盛り込まれるなど、今後の動向が注目されます。

「障害者の雇用の促進等に関する法律の一部を改正する法律案要綱」の諮問及び答申について

財政が健全な厚生年金基金は存続へ

 厚生労働省は3月19日、財政難が深刻な厚生年金基金制度を見直す、関連法案の概要を決めました。財政が健全な一部の基金については、最低限必要な積立金の1.5倍の資産があるなどの厳しい基準を設けた上で存続を容認します。この基準に該当するのは、約560基金のうち1割程度ですが、実際には他の年金制度に移行したり、解散を選択したりする基金も多いとみられ、存続するのは数十基金にとどまる見込みです。

 厚労省は民主党政権下では制度全廃の方針を打ち出していましたが、自民党などの反対に配慮して一部基金の存続を認め、自民、公明両党と最終調整をしたうえで、4月中の国会提出を目指します。

 法案概要によると、今後は基金の新設を認めず、解散時に母体企業が債務を連帯して負う仕組みは廃止し、施行から5年間は積立不足を抱える基金の解散を促進させる施策を導入します。また、5年後に存続基準を満たしていない基金には、厚労相が解散命令を発動できるようにするとのことです。

「同日得喪」の要件が変わります。

 今までの「特別支給の老齢厚生年金の受給権者であって、退職後継続して再雇用される者について」の要件より、平成1月25日通知により、平成25年4月から「60歳以上の者で退職後継続して再雇用される者に」の要件に変更になり、被保険者資格届にその者が退職したことを後、新たな雇用関係を結んだことを明らかにできる書類を添付する事ことになります。

「年金記録問題に関する特別委員会」が設置

 厚生労働省は、年金記録問題への適切な対応のため、「年金記録問題に関する特別委員会」を日本年金機構評価部会に設置することを発表しました。この委員会は、必要な対応策について調査審議を行うとともに、平成26年7月を目途に行う日本年金機構における中期目標期間(平成22年1月~26年3月)の業務の実績に係る評価等に関し今後の討議に資するよう、年金記録問題へのこれまでの取組内容を整理し、年金記録問題への対応に資する取組(再発防止策)の提言を行うため、専門的な検討・整理を行うものとして設置するものです。
 

  • <審議項目>
  1. 年金記録問題への今後なお必要な対応策についての意見・提言
  2. 年金記録問題に係るこれまでの取組内容の整理
  3. その他年金記録問題への対応に資する取組(再発防止策としての事務処理誤り、文書保存のあり方)の提言
     
     上記の審議事項について調査審議を行い、平成26年3月を目途に、検討結果を報告書としてまとめるとしています。

公的年金、円安・円高で運用益5兆円 2012年10~12月

 厚生年金と国民年金の公的年金の積立金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は3月1日に2012年10~12月期の運用損益が5兆1352億円の黒字になったと発表しました。運用利回りは4.83%のプラスでした。四半期で比較できる2008年度以降、過去2番目に大きい黒字になったそうです。日銀の追加金融緩和や経済対策の期待で2012年11月末からの円安・株高などによる国内株式や外貨建てで運用している外国資産の膨らんだことが考えられます。12月末時点の運用資産額は111兆9296億円で、9月末時点に比べ4兆2065億円増えています。

 10~12月期の運用資産別の収益率は国内株式が16.71%、外国株式が13.78%、外国債券が13.62%と大きく上昇しています。国内債券は0.06%のマイナスでした。

 しかしGPIFは年金の支払いが額が増え、取り崩しが進んでいます。2012年度は6.4兆円の取り崩しを予定しています。一方で4~12月期で計3兆4949億円の運用益を上げています。2013年からは円安・株高も運用が好転される見通しがあり、厳しい年金財政にはプラスなりそうです。

 GPIFは各資産の配分比率を決めています。国内債券の下限は59%、外国株式は上限が14%だ。12月末時点で国内債券が60%、外国株式は12.9%と下限に近づいています。GPIFの審議役は3月1日、配分比率に関して「来年度に入ったら、できるだけ早く作業をしたい」とのことです。国内債券を減らし、国内株式や外国資産の引き上げを検討していきます。

厚生労働省が労災保険請求書などダウンロードできる書類の種類を拡充

 これまでも、労災保険の療養(補償)給付請求書などは厚生労働省のホームページからダウンロードできましたが、厚生労働省では2月12日から、それらに加えて、休業(補償)給付請求書などもダウンロードできるように、書類の種類を拡充しました。

 ※なお、ダウンロード(印刷)したものをさらにコピーすると、様式にずれなどが生じ、正しく処理できなくなる場合があるので、コピー利用は避け、請求書は利用の都度、ダウンロード(印刷)して使うことを奨励しています。

主婦年金過払い問題で減額猶予を短縮

 今国会への提出を目指している専業主婦らへの年金過払いの解消し、無年金化を防止する法案について、厚生労働省は本来の年金額の水準に戻す猶予期間を民主党政権下の法案から3か月短縮するよう修正したことが分かりました。

 当初の法案は、年金額を5年かけて本来の額に戻す内容だったため、自民党から「過払い期間が長すぎる」などと批判が出ていました。

非正規労働者の割合が過去最高に

 総務省が2月19日に発表した2012年平均の労働力調査の詳細集計によりますと、パートやアルバイト、派遣社員などの非正規労働者が役員以外の雇用者に占める割合は、1年間の平均で35.2%となり、前の年を0.1ポイント上回って、統計を取り始めた2002年以降で最も高くなりました。3年連続で過去最高を更新したことになります。

 正規労働者の数は去年1年間の平均が3340万人で、前の年より12万人減りました。一方、パートやアルバイト、派遣社員などの非正規労働者の数は1813万人で、2万人増えました。12年平均の完全失業者数は285万人でした。

 男女別の非正規割合は、男性が0.2ポイント減の19.7%(566万人)で3年ぶりに低下しました。一方、女性は0.1ポイント増の54.5%(1247万人)でした。

 今回の結果について、同省は「正規の労働者として働く若い人が減る一方、医療・福祉を中心としたサービス分野で、非正規の仕事が増えたことが、非正規労働者の割合を押し上げる要因となった」としています。

円高の影響を受けた事業主に対する雇用調整助成金の特例を終了します

 これまで、円高の影響を受けた事業主には、生産量要件を緩和し、以下の特例を適用していました。

  • 円高の影響を受けた事業主に対する生産量要件
     経済上の理由により、最近1か月の生産量、売上高などがその直前の1か月または前年同期と比べ 、原則として5%以上減少している、または減少する見込みであること。これを平成25年3月31日をもって、終了します。

 平成25年4月1日以降に助成金の対象期間を設定する(利用を開始する)すべての事業主は、以下の要件を満たす必要があります。
雇用調整情勢金の主な支給要件

  • 雇用保険適用事業所の事業主であること
  • 経済上の理由により、最近3か月の生産量、売上高などが、
  • 前年同期と比べ 10%以上減少していること

 参考:厚生労働省HP

精神障害者の雇用義務化へ 改正案を提示

 厚生労働省は13日、障害者雇用促進法改正案の概要を自民党厚生労働部会に示しました。この改正案は、企業に精神障害者の雇用を義務付けることに重点を置いています。精神障害者の新規求職者数は11年度には約4万9千人に達しており、精神障害者の就労意欲の高まりを受けた改正とみられます。2018年4月の実施に向けて、今国会に改正案を提出、成立させたいとしています。

 民間企業で働く障害者数は9年連続で過去最高を更新していますが、現在は身体障害者と知的障害者のみが企業に対する障害者雇用義務の対象となっています。精神障害者も雇用義務の対象とすることで障害者全体の社会進出をさらに進めたい考えです。

非正規労働者の人材育成の奨励金制度を創設

 厚生労働省は1月23日、重点分野等(健康、環境、農林漁業等)の事業主が行う非正規雇用労働者の人材育成に係る奨励金の創設について発表しました。

 日本再生人財育成支援事業非正規雇用労働者育成支援奨励金の名称で、健康、環境、農林漁業分野等において、雇用する労働者(非正規雇用の労働者を含む)に対して、一定の職業訓練を実施した事業主や、被災地の復興のために必要な建設関係の人材育成を行った事業主は、奨励金が利用できます。

 有期契約労働者等に対し、一般職業訓練(Off-JT)または有期実習型訓練(Off-JT+OJT)を行った場合に、賃金および訓練経費について助成します。

厚生年金基金 制度廃止で大筋一致 厚労省専門委員

 厚生労働省は24日、厚生年金基金制度の専門委員会を開き、制度廃止を求めることで大筋で一致しました。財政が健全な基金の存続を求める声が強かったが、制度を存続すれば、代行部分の損失を膨らませる危険が続くと判断しました。また厚労省は24日、基金の年金支払い能力の試算を公表しました。2011年度末時点の手元資産で、受給者や加入者の加入期間分の年金支給ができる基金は全体の3%にとどまっています。 

三大都市圏で派遣の時給上昇

 求人情報最大手のリクルートジョブズ(東京・中央区)がまとめた2012年12月の三大都市圏(関東、東海、関西)の「派遣スタッフ募集時平均時給調査」で、派遣社員の平均募集時給は前年同月比12円(0.8%)高い1480円となりました。4カ月連続で前年同月を上回ったものの、前年同月比プラスとなった職種は11月度の4職種から3職種に減少しており、事務系が全体を押し上げました。エリア別では、関東、関西は前年同月比プラス、東海はマイナスが続いています。大手のディップの調査でも、昨年12月の全国平均は同7円高い1306円でした。

 事務系の派遣社員は「企業の需要が回復する一方、求職者の派遣離れが続いているため、時給を上げて人を確保する動きがみられた」(ディップ)とのことです。年末年始のチラシや出版物を作るデザイナーなどの時給上昇も目立ちました。

 従来のけん引役だったIT(情報技術)系は前年と同額にとどまりました。ただ「時給が比較的安いサポート業務などが増えたため金額の伸びは止まったが、IT人材の需要は引き続き高水準」(リクルートジョブズ)といい、引き合いが強い状態が続いています。

生活保護削減、引き下げ幅最大10% 3年間で800億円

 2013年度予算で焦点となっている生活保護について、厚生労働省・自民党は23日、生活費にあたる「生活扶助費」を、3年間かけて現行より約800億円減らす検討に入りました。支給基準額の引き下げ幅は世帯類型や住む地域で変わりますが、世帯ごとの給付水準の引き下げ幅は最大で10%になる見込みです。公明党はまだ方針を決めておらず、同党との調整が焦点となります。

 生活保護基準額をめぐっては、社会保障審議会の作業部会が、一般の低所得世帯(年収120万円未満)の消費支出と生活扶助費を比べた検証結果を公表。60歳以上の高齢者世帯では低所得世帯の生活水準を下回っているものの、子どもがいる夫婦世帯や母子世帯などで生活保護が上回る、との報告をまとめています。

 厚労省はこの結果をふまえて基準引き下げを検討しました。生活扶助10%削減を衆院選の公約に掲げた自民党が一層の引き下げを要求。見直し案では、〈1〉年齢や世帯人数、地域に応じて調整する〈2〉前回見直しの2008年以降の物価下落分を反映する〈3〉来年度から3年間かけて段階的に実施する――との考え方が提示されました。厚労省は生活扶助費の引き下げ幅について6~7%引き下げる方向でしたが、デフレによる物価下落分が5%に膨らみ、8%になる見通しとなっています。

「消えた年金」問題対応へ新組織 厚労相

 田村憲久厚生労働相は2013年1月22日の閣議後記者会見で、消えた年金問題で「法的根拠のある組織」を立ち上げて対応する意向を示しました。

 持ち主不明の年金記録はなお4割が解明されておらず、新政権の対応が問われていました。

 民主党政権下で対応にあたった年金記録回復委員会は1月17日に廃止になっていました。田村厚労相は「解明作業を諦めたわけではない」とし、新組織が引き継ぐ方針を示しました。立ち上げ時期や新組織の名称は未定としましたが、「委員長には磯村元史函館大客員教授にお願いしたい」と述べました。磯村氏は年金記録回復委員会でも委員長を務めていました。

65~69歳の就業率が急上昇、団塊世代まだまだ働く

 団塊世代が65歳に到達し大量退職が懸念された「2012年問題」が、取り越し苦労に終わった可能性が出てきた。65~69歳の人口に占める就業者の割合(就業率)は昨年13年ぶりの水準に急上昇し、新たに加わった65歳が高い労働参加率を維持していたことを示唆している。元気なシニア層の活用は今後も成長力強化のカギを握りそうです。

 2012年1月~11月を平均した就業率は前年から0.8ポイント上昇して37%になりました。働く意欲のある人をすべて含めた労働力人口の全体に占める比率もこの年代は0.8%上昇し38.2%で、いずれも1999年以来の高水準です。

 一方、65歳から69歳の失業率は2012年11月で3.1%と前世代の平均(4%)を下回っています。それでも仕事があれば働ける人を含めると、潜在的な失業率は見た目以上に高いという見方もあります。

 また、日本の高齢者は世界的にみても労働意欲が高いのが現状です。2010年での65歳以上の男性の労働力率は日本で28.8%先進主要7か国のなかでトップでした。背景にあるのは、日本が長寿国家で元気のいいシニアが多い点です。しかし、今後は雇用のミスマッチが目立つようになる可能性があるということを指摘する声もあります。

診断書なくても障害認定…年金却下取り消し判決

 障害の程度を認定する医師の診断書がないことを理由に、夫の障害厚生年金の申請が却下されたのは不当として、名古屋市西区の女性(51)が国に却下処分の取り消しを求めた訴訟の判決が2013年1月17日、名古屋地裁でありました。

 福井章代裁判長は「診断書がなくても、障害の認定は可能」と述べ、処分を取り消すよう命じました。

 判決によると、女性の夫は1993年10月、名古屋市内の病院から胃がんと診断され、自宅療養を続けましたが、2001年2月に亡くなりました。女性は07年9月に夫の障害厚生年金を請求。社会保険庁は、93年10月の初診時から1年半後の診断書がないことを理由に、請求を却下していました。

 判決は、「国は障害の状態を判断するための基礎資料を医師の診断書と限定しておらず、医師の証明書や夫の日記から病状を認定できる」と指摘。夫は当時、頭痛やめまいから軽い労働ができない状態だったとして、請求の却下は違法と判断しました。

13年度から生活保護引き下げへ、低所得世帯を逆転

 生活保護の支給水準が2013年度から引き下げられる見通しになりました。生活保護世帯と一般の低所得世帯の生活費を比較、検証する厚生労働省社会保障審議会の基準部会は16日、夫婦と子供(18歳未満)2人の4人世帯で、生活保護の支給額が低所得世帯の生活費を14・2%上回っているなどとする報告書を公表しました。保護を受けていない世帯を上回る「逆転」現象が起きており、田村憲久厚労相は同日午後、「(支給水準を)全体として引き下げることになる」と明言しました。検証報告書で、現在の基準が単身世帯より多人数世帯に有利だと指摘されたことについては「適正化を図る」と述べました。

 試算したのは、最も基本的な生活保護費で、食費や光熱水費などに充てる生活扶助の基準額。世帯人数や年齢、地域によって異なり、生活保護を受給していない世帯のうち、収入が低い方から1割の低所得者世帯(平均年収約120万円)の消費実態と比べました。

 検証結果を反映した厚労省の試算によると、最も差が開いたのは、夫婦と子供2人の4人世帯。全国平均では生活保護支給が約18万6千円で、低所得者の支出約15万9千円より約2万7千円(14・2%)高い結果となりました。

 一方、受給者の多数を占める60歳以上の支給額は一般世帯の生活費より低くなっており、60歳以上の単身世帯では支給が約7万3千円と、低所得者の支出約7万7千円を約4千円(約4・5%)下回りました。基準額は単身世帯より多人数世帯、高齢者より若者、地方より都市部が高くなる傾向がみられました。

 報告書を受け、政府、与党は具体的な引き下げ幅を協議し、13年度予算編成の過程で月内にも決定します。引き下げが実現すれば04年以来となります。

18の厚生年金基金 財政健全化のため指定基金に

 厚生労働省は10日、18の厚生年金基金を財政危機とみなす指定基金に加えたと発表しました。大半がAIJ投資顧問に資産を委託していました。以前に指定された指定基金を含めると、全体では97基金とななりました。

 厚生労働省は、積み立て金額が支給に必要な金額の8割を下回るか、3年連続して9割を下回るかした基金について、向こう5年間の財政健全化計画を作成し適切な運用を行うよう指導する「指定基金」制度を、平成17年度から設けています。

農業者年金、未払い発覚

 農業に従事している人が、国民年金の上乗せ部分として任意で加入する農業者年金で約30年前から未払いがあったことが分かりました。未払いになっている総額が最高で1人あたり300万円を超えている人もいるということです。

 農林水産省所管の独立行政法人が運営する農業者年金は、農家が任意で加入する制度で、国民年金に上乗せして年金が支給されます。関係者によりますと、この上乗せ部分で未払いがあり、全国で約150人の受給者に本来支給されるべき年金が支払われていないということです。

継続雇用「基準満たせば拒めず」 最高裁、64歳男性勝訴

 65歳までの雇用確保を定めた高齢者雇用安定法に基づき導入された継続雇用制度で再雇用を希望した男性(64)=兵庫県川西市=が、選定基準を満たさないとの理由で会社が拒否したのは不当として、再雇用されたことの確認などを求めた訴訟の上告審判決で、最高裁第1小法廷は2012年11月29日、会社側の上告を棄却し、男性の勝訴が確定しました。

 継続雇用制度の再雇用をめぐる初の上告審判決です。山浦善樹裁判長は「男性は選定基準を満たしており、雇用が継続されると期待することには合理的な理由がある」と判断、会社の拒否について「やむを得ない特段の事情がなく、社会通念上相当ではない」と指摘しました。

消えた年金なお4割 2222万件、未解決で幕引きも

 自民党の安倍晋三政権時代に当時野党の民主党が暴いた「消えた年金」問題ですが、持ち主不明の年金記録、約5100万件のうち民主党政権で6割が解明されていたことがわかりました。残りの4割はなお持ち主が分かりません。今回の総選挙ではほとんど忘れ去られており、未解決のまま幕引きとなる可能性もあります。

 消えた年金問題は、年金保険料を納めた記録が旧社会保険庁にしっかりと保存・管理されずに起きたものです。本来よりも少ない額が支給されている年金の支給漏れも疑われています。民主党の指摘を受け、自公政権が2007年から解明をはじめました。2009年9月からの自民党政権は2010年~2013年度を集中処理機関として急ピッチで解明してきました。

 消えた年金の4割の2222万件を解明するのはそう簡単ではなく、現在調査を進めている記録は5万件にすぎず、持ち主の手がかりさえつかめていない記録が962万件もあるそうです。

 民主党政権が掲げた集中処理期間は2013年で終了します。その後はねんきんネットを使ってを使って自主的に対応するよう呼びかける予定だそうです。

 年金記録解明にかけた費用は2009年~2013年の合計で3,569億円に達します。例えば紙の記録台帳とコンピューター上の記録を突きわせる1人あたり約2,200円かかっています。60歳未満の加入者は記録が解明されても戻る年金は平均で年約4,000円です。民主党政権内ですら費用対効果の面から批判的な声があります。

協会けんぽ「総報酬割り」特例措置延長

 厚生労働相の諮問機関である社会保障審議会医療保険部会は28日、中小企業の従業員や家族が加入する全国健康保険協会の財政支援策の特例措置を延長する方針で大筋一致した。

 後期高齢者医療制度の財源は4割を現役世代の支援金で賄っています。支援金は各医療保険が加入者数に応じて負担するのが基本です。しかし、これでは中小企業向けの全国健康保険協会など、加入者数が多く給与水準の低い健保の負担が重くなります。厚労省は格差是正に向け、13年度から給与水準が高い健保ほど支援金額も高くなる総報酬割りを全面導入する意向でしたが、負担の増える大企業を中心に経済界の反発は強く同省は早期実施を断念ました。10〜12年度の特例措置として支援金総額の3分の1を総報酬割りで徴収していますが、当面この特例を継続します。

完全失業率 横ばい 4.2%

 総務省が30日発表した10月の労働力調査によると、完全失業率は3カ月連続で4.2%でした。
また、厚生労働省が同日発表した10月の有効求人倍率は、前月から0.01ポイント下がって0.80倍でした。

 完全失業者数は273万人で、前月と同じです。うち、勤務先の都合や定年退職など「非自発的な離職」は9万人減、「自発的な離職」は6万人増加でした。

 就業者数は6300万人で31万人増加しました。

厚年基金廃止に大半の委員賛成 厚生労働省専門委員会

 厚生労働省は11月27日、厚生年金基金制度の廃止の是非を議論する専門委員会を開き、大半の委員が廃止に賛成しました。運用難から積み立て不足の解消が見えず、国から借りて運用している資産での損失拡大を止めたいとの意見が多かったようです。ただ、一部の委員からは財政が健全な基金まで一律に廃止することに反対意見も出ています。

 厚労省は2010年で厚年基金制度を廃止する案を提示しています。国から預かる「代行部分」で約1兆円の損失が生じています。「損失が拡大するリスクを止めるのは早いほうがいい」と指摘する意見もあり、連合などの代表者も同じ意見でした。

 一方、「財政が健全な基金の受給者や加入者への給付を強制的に止めれば、厚労省が訴えられるリスクもある」という反対意見もあります。厚労省が厚年基金の財政問題を先送りしてきたという批判もあるようです。

埼玉県企業、半数が高齢者雇用に前向き

 埼玉りそな産業経済振興財団(さいたま市)は21日、埼玉県内企業を対象に高齢者雇用についてのアンケート調査をまとめました。人件費を抑えて経験豊富な人材を活用できるなどの理由から、県内企業の約半数が高齢者の継続雇用が経営にプラスの影響を与えると回答しましたが、若年者雇用への影響は懸念されます。

 高齢者の継続雇用に関しては「高年齢者雇用安定法」の改正法が来年4月に施行され、心身の健康状態が著しく悪いなど一部を除き、働きたいと希望する従業員全員を65歳まで雇用することが企業に義務付けられます。

 継続雇用制度を利用して勤務を継続する従業員の割合は「80~100%」が42%で最も多くなりました。その一方、「0~20%未満」の企業も34%と二極化しています。同財団は「年金で生活に余裕があるなどの理由で、継続雇用を希望しない人も多いのだろう」とみています。

 高齢者雇用による経営への影響については「プラス」「どちらかというとプラス」が合わせて48%、「マイナス」「どちらかというとマイナス」が21%でした。「特に影響ない」とする企業も30%ありました。

 懸念されるのは若年者の雇用への影響で、継続雇用など高齢者雇用により全体の26%が「新卒採用の抑制に影響する」と回答しました。特に製造業では約4割に上りました。厚生年金(報酬比例部分)の受給開始年齢が段階的に引き上げられるのに伴い、今後は継続雇用の希望者が増加し、景気動向によってはますます若年者の雇用を圧迫する恐れもあります。

年金減額遅れ2013年10月から 「もらいすぎ」9.6兆円に 政治の高齢者優遇で現役世代にツケ

 過去の特例措置で、高齢者が本来よりも高い公的年金を受け取っている年金を2013年10月から段階的に解消することが決まりました。年金減額を盛り込んだ改正国民年金法が11月16日、成立しました。減額の開始は当初の政府案から1年遅れ、年金の過払いは累計で約9.6兆円にのぼる見通しです。政治が高齢者優遇を続けた結果、現役世代に負担を押し付けた結果になりました。

 現在の公的年金の支給水準は本来より2.5%高い年金が支払われています。減額は3段階で実施し、2013年10月分から1%、14年4月分から1%、さらに15年4月分から0.5%下げて解消します。

 年金は物価が上がれば年金額を上げ、物価が下がれば下げるのが本来のルールです。もらいすぎ年金は2000~2002年度に物価が下落していたにもかかわらず、年金額を据え置いたことで生じました。当時の自公政権が高齢者優遇の政策として決定し、民主党を含む全会一致で決まったものです。

 年金財政への影響は深刻です。2000年度から2011年度までの累計の過払い給付は約7兆円。税負担では1.7兆円規模となります。今年度から、もらいすぎを解消する2015年4月までにさらに約2.6兆円の過払いが発生し、累計9.6兆円に膨らむ予定です。

 過払い解消が遅れたのは政治家の選挙対策が理由です。年金減額は高齢者の反発を招き、選挙結果に響くとの心理があるといいます。政府が今春に提出した法案では2012年10月から年金減額を始める内容だったが、通常国会では成立せず、臨時国会で焦点になったのは開始時期です。2013年4月分からと2013年10月分からの案が浮上したが、結局は参院選後の2013年10月からとなりました。

 もらいすぎの解消は2015年4月と2009年時点の想定から4年も遅れる。マクロ経済スライドの発動はもらいすぎの解消と物価上昇が条件で、今後少なくとも4年間は発動できません。仮にデフレがその後も続けば、マクロ経済スライドは発動できなくなってしまいます。月内に設置される見通しの社会保障制度改革国民会議では「デフレ下でもマクロ経済スライドが発動できる仕組みの検討が必要だ」という声も上がっています。

「共通番号制度」法案 衆院解散により廃案、先送りに

 政府は、国民1人ひとりに番号を割り振り、住所や所得などを政府や自治体がまとめて把握・管理し、社会保障の効率化を進める共通番号(マイナンバー)制度を始める目標を、2015年1月から1年延ばすことを明らかにした。衆議院の解散によって今国会に提出している同法案が時間切れで廃案になる見通しとなったため。

年金減額法案、年金生活者支援給付金法案成立

 特例措置により2.5%高くなっている年金額を本来水準まで引き下げる国民年金法等改正案が、16日の参院本会議で成立した。これにより2013年10月から2015年4月にかけて3段階で引下げが行われる。年間所得77万円以下の年金受給者に月額最大5,000円を支給する年金生活者支援給付金法案も成立し、2015年10月の実施を目指す。

民間企業の障害者雇用率が過去最高の1.69%

 厚生労働省は、今年6月1日時点での民間企業(従業員56人以上)で働く障害者の割合(障害者雇用率)が全労働者の1.69%となり、前年の同じ時点より0.04%増え、過去最高を更新したことを発表した。障害者雇用促進法により義務付けられている法定雇用率1.8%を達成した企業は、昨年より1.5%増の46.8%だった。

70~74歳医療費負担、特例措置を来年度より廃止

 厚生労働省は、2013年度から70歳に到達する人に順次、2割の医療費負担を求める検討に入った。すでに70歳以上の人は1割のままとし、これまで70~74歳医療費を1割としていた特例措置をやめる。消費増税を前に世代間の公平を求める内容だが、衆院解散・総選挙も絡み実現するかは不透明。

年金過払い分 平成25年10月から段階的に削減へ

 本来より2.5%高い公的年金の支給水準を引き下げることを盛り込んだ国民年金法の改正案について、民主・自民両党は、引き下げを開始する時期を遅らせる修正を行うことで合意し、改正案は来週中にも衆議院を通過する見通しとなりました。

 25年度後半と26年度前半に1%ずつ、26年度は後半にさらに0.5%を引き下げます。

協会けんぽ支援で攻防 大企業側「積立金活用を」

 厚生労働省は7日、社会保障審議会医療保険部会を開き、中小企業の従業員やその家族ら3480万人が加入する全国健康保険協会(協会けんぽ)の財政支援策の議論を始めました。現行の特例措置が今年度末で期限が切れるため、来年度以降の対策として中小企業側が大企業の負担増を求めたのに対して、大企業側は協会けんぽの積立金を活用して保険料率を抑える対策を示しました。

 協会けんぽ支援の特例措置として、今年度末まで、高齢者医療への拠出金の算出方法を給与の高い大企業側に重くする「総報酬制」を一部適用しているほか、協会けんぽに対する国庫補助率を引き上げています。協会けんぽの支援策は2013年度予算編成の焦点の一つで、新たな支援策が決まらなければ来年度以降は国庫補助率が16.4%から13%に下がり、「総報酬制」は廃止になって、中小企業の負担が増えることになります。

 75歳以上の後期高齢者医療への拠出金は協会けんぽと健保組合、公務員らの共済組合などが加入人数に応じて負担するのが原則。人数を基準にすると給与水準が低い協会けんぽの負担が相対的に重くなります。中小企業側は、「これ以上の保険料率引き上げは事業者の破綻や雇い止めにつながる」(協会けんぽ)と主張し、国庫補助率を20%まで引き上げると同時に、総報酬制を全面適用して大企業側に一定の負担増加を受け入れることを求めました。ただ、総報酬割を全面導入すれば協会けんぽの負担は年2100億円減る一方、給与水準が高い健保組合は1300億円増えます。厚労省も今年度の保険料率10%を上限に据えて、12月上旬までに新たな支援策を決める方針です。

 一方、大企業側が要請したのは協会けんぽの積立金の取り崩しです。協会けんぽは保険料引き上げなどによって財政が改善しており、2012年度末時点で4400億円の積立金ができる見通しで、経団連は「財政支援という当初の目的を達成したのであれば支援の時限措置を継続する必要はない」と指摘。協会けんぽの自助努力で保険料率を抑えることを求めました。

 協会けんぽの加入者の中でも「積立金を取り崩してでも保険料率を抑えてほしい」との声があります。厚労省も7日の議論を受けて、積立金取り崩しに必要な健康保険法改正の検討に入りました。

労働契約締結時の労働条件の明示 ~労働基準法施行規則が改正されました~

 有期労働契約の継続・終了について予測可能性と納得性を高め、紛争の防止につなげるため、労働基準法施行規則第5条が改正され、労働契約締結時に、契約期間とともに「期間の定めのある労働契約を更新する場合の基準」も書面の交付によって明示しなければならない事項となります(平成25年4月1日から施行)。

モデル労働条件通知書

財政難の厚年基金5年で解散、10年かけ制度廃止 救済の線引き曖昧 自助努力なし崩しも

 厚生労働省は11月2日、厚生年金基金制度の改革案を公表しました。財政難に陥っている基金を5年以内に集中的に解散させたうえで、10年かけて制度を廃止するといいます。基金が公的年金部分の積み立て不足を自助努力で解消できない場合に、会社員や企業が納めた公的な厚生年金保険料で穴埋めし、自主的な解散を促します。健全な基金や自民党はこの案に反対しており、厚労省案が実現するかは不明です。

 同省は審議会で成案を2012年末までにまとめ、2013年の通常国会に関連法案の提出を目指します。その中には中小企業が加入しやすい新しい確定拠出年金の設立も盛り込みます。

 これまでは年金受給者に配慮し、基金解散を厳しく規制してきましたが2012年2月に起きたAIJ投資顧問の年金消失事件を機に、厚年基金制度をこれ以上存続させることは難しいと判断したようです。
改革案は、当初の5年間を集中処理期間と位置づけたうえで、財政難の基金の解散を促します。現行制度では公的年金部分の積み立て不足を解消しない限り解散を認めていません。解散したくても解散できない基金が多いのが現状です。

 厚年基金の運用は本来、自己責任です。しかし今回の改正では、最終的には厚生年金保険料で穴埋めせざるを得なくなることが考えられます。過去に公的年金部分を国に返上した厚年基金は自己負担で損失を補填してきました。中小企業が集まる総合型基金の中には、不足額の穴埋め負担で母体企業の連鎖倒産が起きた例もあるほどです。今回の改正案は基金のモラルハザードを助長しかねません。

 財政が健全な基金は、10年かけて確定給付企業年金や確定拠出企業年金への移行を求められます。

 OB年金の減額基準の緩和は今秋以降に検討する項目としていましたが、今回の改革案には盛り込まれませんでした。

国家公務員、退職手当15%減の法案閣議決定、年金新制度も

 政府は2012年11月2日、国家公務員の退職手当を約15%減らす法案を閣議決定しました。国家公務員の加入する共済年金で上乗せ給付している「職域加算」の廃止後に新たな年金制度を設けることも盛り込みました。今国会に提出し、退職手当は2013年1月、新年金制度は共済年金と民間の厚生年金を統合する15年10月の施行を目指します。

 退職手当と年金を合わせた退職給付が、民間企業の平均より403万円高いことから、退職手当を15年7月までに3段階で引き下げ、官民格差を是正します。天下りあっせん禁止で増えた高年齢層の退職を促すため、早期退職者の割増制度の対象を拡充する措置を盛り込みました。

シルバー人材センター就労中のけが  健保適用へ

 厚生労働省は、シルバー人材センターの会員が作業中にけがをした場合、健康保険も労災保険も適用されずに治療費が全額自己負担になるケースが相次いでいるため、業務上のけがを除外している健康保険の規定を見直し、労災保険が使えない場合は健康保険を適用する方針を決めました。

 厚生労働省は、それぞれの保険を担当する部局を集めて検討を進めた結果、業務上のけがを除外している健康保険の規定を見直し、労災保険が使えない場合は健康保険を適用する方針を決めました。

 一方で、シルバー人材センターから一般の企業に会員を派遣するケースなど人材派遣に近いものについては、雇用関係を明らかにしたうえで労災保険に加入するよう求めることになりました。

 同様に請負契約で働く人やインターンシップの学生などでも課題になっていることから、厚生労働省は社会保障審議会で議論したうえで制度を見直すことにしています。

厚生年金基金制度、10年後に廃止…厚労省方針 自己責任の原則崩す

 厚生労働省は11月2日に開く社会保障審議会年金部会の専門委員会に厚生年金基金の廃止改革案を示す。年内にも成案をまとめ、2013年通常国会に必要な法案を提出したい考えです。

 厚生労働省が厚生年金基金制度を10年で廃止する改革案をまとめたのは、公的年金財政の悪化に歯止めをかける狙いがあります。厚年基金に任せきりでは、財政状況が改善しないとの判断によります。ただ、会社員の公的年金である厚生年金保険料で積み立て不足を穴埋めするやり方は、自己責任を原則とする企業年金制度の根幹を崩すことになります。

 厚生年金基金配信に向けた改革案の骨格は以下の通りです。

  • 法施行から10年で制度を廃止
  • 厚生年金基金が抱える最終損失は厚生年金保険料で穴埋め
  • 国から預かっている代行部分の返済額を減額
  • 倒産した企業が抱えていた損失を別の加入企業が負担する連帯債務義務の廃止
  • 他の企業年金制度への移行を促す

制度の谷間、健保で救済へ 仕事中けがの高齢者ら

 厚生労働省は10月19日、仕事中にけがをしたシルバー人材センターの高齢者らが労災保険の対象にならない場合、健康保険を適用して救済する方針を固めました。健康保険も労災保険も適用されず「制度の谷間」に落ちてしまう人が治療費の全額自己負担を強いられるケースが相次いだため、対策を協議していました。

 厚労省は社会保障審議会医療保険部会での議論を経て、2013年の通常国会に健康保険法改正案を提出したい考えです。

 シルバー人材センターを通じて請負の形で仕事をする高齢者や、インターンシップ(就業体験)中の学生らは、センターや企業との間に雇用関係がないため、仕事中にけがをしても労災保険を受けられない現状です。

平成24年7月末現在 国民年金保険料の納付率

 厚生労働省では、このほど、平成24年7月末現在の国民年金保険料の納付率を取りまとめましたので公表します。未納分を遡って納付できる過去2年分を集計した「平成22年度分の納付率」、「平成23年度分の納付率」と、平成24年4月分から6月分までの保険料のうち、平成24年7月末までに納付された月数を集計した「現年度分の納付率」をまとめています。

  • 平成22年度分(過年度2年目)の納付率(注1)は、63.0%
    (22年度末から+3.7ポイント)
    ※平成24年度末時点の目標は、22年度末から+5.5ポイント(注3)
  • 平成23年度分(過年度1年目)の納付率(注2)は、60.3%
    (23年度末から+1.7ポイント)
    ※平成24年度末時点の目標は、23年度末から+4.0ポイント(注3)
  • 平成24年4月~6月分(現年度分)の納付率は、54.6%
    (対前年同期比△0.6%)
    ※平成24年度末時点の目標は、60.0%(注3)
    (注1)平成22年度分(過年度2年目)の納付率:平成22年4月分~平成23年3月分の保険料のうち、平成24年7月末までに納付された月数の割合。
    (注2)平成23年度分(過年度1年目)の納付率:平成23年4月分~平成24年3月分の保険料のうち、平成24年7月末までに納付された月数の割合。
    (注3)数値目標は、いずれも日本年金機構平成24年度計画

 詳しくは、厚生労働省HPを参照して下さい。

改正労働契約法の施行日は平成25年4月1日が妥当-労働政策審議会

 厚生労働省の労働政策審議会(会長 諏訪康雄 法政大学大学院政策創造研究科教授)は、諮問を受けていた「労働契約法の一部を改正する法律の一部の施行期日を定める政令案要綱」、「労働契約法第十八条第一項の通算契約期間に関する基準を定める省令案要綱」等を「妥当」として、三井辨雄厚生労働大臣に答申しました。

 この答申は、9月19日に厚生労働大臣から諮問したことを受けて、同審議会が審議の結果行ったものです。

 厚生労働省は、この答申を踏まえ、速やかに政省令等の制定を進めることとしています。

【要綱のポイント】

  1. 「労働契約法の一部を改正する法律の一部の施行期日を定める政令案要綱」
     労働契約法の一部を改正する法律附則第1項ただし書に規定する規定の施行期日を、平成25年4月1日とするものです。
  2. 「労働契約法第十八条第一項の通算契約期間に関する基準を定める省令案要綱」
     労働契約法の一部を改正する法律の施行に伴い、労働契約法第18条第1項の通算契約期間に関する基準を定めるものです。
  3. 「労働基準法施行規則の一部を改正する省令案要綱」
     建議「有期労働契約の在り方について」に基づき、書面の交付の方法により明示しなければならない労働条件として「期間の定めのある労働契約を更新する場合の基準に関する事項」を加えるものです。
  4. 「有期労働契約の締結、更新及び雇止めに関する基準を改正する告示案要綱」
     3.の労働基準法施行規則の改正に伴い、契約締結時の明示事項等に係る規定を削除するものです。

詳細は、厚生労働省HPを参照下さい。

建設業者に対し社会保険加入の徹底促す制度を導入―国土交通省・厚労省

 国土交通、厚生労働の両省は建設業者に対し、従業員の社会保険への加入徹底を促すため、11月1日から建設業の許可・更新時や抜き打ち検査で保険加入状況を記した書面を確認する制度を導入することとしました。改善しない場合、厚労省の地方労働局や年金事務所に通報することとし、労働局などの立ち入り検査を拒否し続けると、数日間の営業停止や強制加入措置の対象とするとのことです。

 国交省の調査によると、建設労働者の2割が雇用保険、4割が健康保険や厚生年金に加入していません。ピークの1992年には84兆円あった建設投資が半減し、受注競争が激しくなっています。発注主からの価格引き下げ圧力に応じるために、下請け業者の間では社会保険料を削る傾向が強まっているとのことです。

共済年金上乗せ 月2,000円減

 政府は4日、公務員の共済年金独自の上乗せ給付「職域加算」(平均月額約2万円)を廃止して15年10月につくる新上乗せ年金「年金払い退職給付」について、平均的な受給月額を職域加算より2000円低い1万8000円程度とする方針を固めました。また、現職、OBを問わず、守秘義務違反などを犯した場合、新年金の一部を減額できる懲罰的制度も設けます。政府は早ければ次期臨時国会に関連法案を提出する方針です。

65歳雇用、健康状態が理由の例外認める 厚労省

 厚生労働省は2012年10月2日、65歳までの希望者の継続雇用を企業に義務づける改正高年齢者雇用安定法の成立を受け、心身の健康状態や勤務状況が著しく悪い人を継続雇用の対象外とできることを明確にした指針を公表しました。一部の例外を認めることで企業の過度な負担増を避け、若年層の雇用に大きな影響が出ないように配慮しました。

 10月2日に開いた労働政策審議会(厚生労働相の諮問機関)の専門部会で説明しました。改正法では、65歳までの希望するすべての人の継続雇用を義務づけています。厚生年金の支給開始年齢が2013年度から25年度にかけて段階的に65歳まで上がるのに伴い、無年金・無収入の時期ができないようにする狙いです。

 指針では「心身の故障で業務にたえられない」「勤務状況が著しく悪く職責を果たせない」など、就業規則に定めた解雇・退職事由にあたる場合には継続雇用しなくてもよいと明記しました。

 部会では法改正に伴う省令の見直し案も示しました。法改正で継続雇用先として認められたグループ企業の範囲として、議決権が50%超ある子会社や、20%以上の関連会社を定めました。

ハローワーク特区スタート―佐賀県・佐賀労働局

 佐賀県と佐賀労働局が一体となって就労を支援する「ハローワーク特区」が2012年10月1日、開始されました。国、県で別々の運営だった二つの窓口で運用が一体化されます。ハローワーク佐賀は佐賀・鳥栖両市と連携した取り組みを8月から、「特区」とは別に始めており、好調なスタートを見せています。

 特区の事業計画では、若者、障害者、生活保護受給者の就職を、国と県の両組織の職員がチームを作るなどしてサポートし、切れ目のない支援をすることで就労者を増やすことを目指します。特区は3年間、試験的に行い、他の自治体に広げられるか効果を検証する方針です。

 ハローワーク佐賀では、佐賀、鳥栖両市役所にハローワーク職員を常駐させ、生活保護などで来た市民に職業紹介をする取り組みを8月から始め、1カ月で414件の相談があり、34人の就職につながりました。特区以外の取り組みが順調なため、特区の成果が注目されています。

雇用調整助成金など 支給条件見直し

 業績が悪化しても従業員を雇用し続ける事業所に支給されている助成金について、厚生労働省は景気が持ち直しているとして、来月1日から、緩和していた支給の条件を厳しくし、リーマンショックの前とほぼ同じ水準に戻すことになりました。

 支給の条件が見直されるのは、厚生労働省が所管する「雇用調整助成金」と、「中小企業緊急雇用安定助成金」です。2つの助成金は、景気の低迷で売り上げや生産量が減少しても従業員を解雇せず、休業や出向させて雇用を維持する事業所に対し、国が賃金や手当の一部を助成しています。

 厚生労働省は、4年前のリーマンショック以降、雇用環境が急激に悪化したことから支給の条件を大幅に緩和し、3年前のピーク時には1か月に253万人分の申請がありました。その後、申請は減少傾向になり、先月は61万人分に減ったことから、厚生労働省は景気が持ち直しているとして、来月1日から、緩和していた支給の条件をリーマンショックの前とほぼ同じ水準に戻すことになりました。これまでの条件では、直近3か月間の売上高や生産高が、前の年の同じ時期などに比べて「5%以上減少」としていましたが、見直し後は「10%以上減少」と厳しくなります。一方、東日本大震災で大きな被害を受けた岩手、宮城、福島の3つの県については、支給の条件の見直しを半年間、延期することにしています。

 見直すのは(1)生産量(売上高)要件(2)支給限度日数(3)教育訓練費(事業所内訓練)の3項目。

  • (1)は現行、「最近3か月の生産量または売上高が、その直前の3か月または前年同期と比べ5%以上減少」を「(中略)10%以上減少」に変更するほか、中小企業事業主で直近の経常損益が赤字なら、「5%未満の減少」でも助成対象としていたものを撤廃します。
  • (2)は「3年間で300日」を「1年間で100日」に変更。さらに来年10月1日からは「1年間で100日・3年間で150日」とします。
  • (3)は「雇用調整助成金の場合2000円、中小企業緊急雇用安定助成金3000円」をそれぞれ「1000円」「1500円」に引き下げます。

 厚労省によれば支給要件の見直しは、2013年4月1日から第2弾を実施。「助成率」の引き下げや「上乗せ」要件廃止のほか、事業所外訓練の教育訓練費も半額になるといいます。

詳細は、厚生労働省HPを参照下さい。

厚生年金基金制度廃止へ

 AIJ投資顧問による企業年金の資産消失事件を受け、厚生年金基金のあり方を検討してきた厚生労働省は27日、基金制度を一定の経過期間後に廃止する方針を固めました。28日に開く厚生年金基金の特別対策本部会合で決定し、廃止に関する具体的な方法は10月にも社会保障審議会年金部会に委員会を設置し、詳細を検討します。来年の通常国会での関連法案提出をめざします。

 公的年金の支給に必要な積立金まで不足している基金は、ことし3月末の時点で、全体の50%の280余りに上り、積立不足の総額は、およそ1兆1000億円に達しています。

 厚労省は厚年基金に企業年金への移行を促す方針ですが、自民党は現行制度の存続を主張しており今後の政治情勢によって法案の決定は流動的です。

8割が年金で賄えず 老後の費用 金融広報委調べ

 日銀や民間金融団体などで構成する金融広報中央委員会がまとめた調査によると、老後の費用について、78.3%の人が「年金のみで賄えない」と回答しました。そのうち、62.0%が年金以外の資金で将来への備えができておらず、老後に不安を抱えている姿が浮き彫りになりました。

 調査は2011年11~12月、全国の1万人を対象に個別訪問と郵送・インターネットを併用して行い、3531人分の回答を集計しました。過去に不定期で実施していた「金融に関する消費者アンケート調査」を改めたもので、今回が初めてとなります。外国の類似調査を参考に内容を拡充したそうです。

 お金の蓄えや使用について「長期の計画を立て達成するよう努力している」かとの問いには、46%が「当てはまる」と回答ており、「当てはまらない」の29%を上回りました。「何かを買う前に余裕があるか注意深く考える」「自分のお金や金融に関することに十分注意している」については、それぞれ77%が「そうする」としています。

 老後の費用について「年金のみで賄える」は12%にとどまり、78%と大半が「賄えない」と回答しました。賄えないとした人のうち62%が、準備は「できていない」と答えている状況です。

 
 同委は今回の調査結果を広報・教育活動に役立てる方針。今後の実施予定は決めていないといいます。

労働者派遣法改正に関するQ&Aがアップされました

 厚生労働省のサイトに「労働者派遣法改正に関するQ&A」がアップされました。細かい実務上の質問に対する回答が載っていますので、参考になるかと思います。
 厚生労働省HP

「年金過払い」また先送り

 過去の物価下落時に減額しなかったため本来より2.5%高い年金(特例水準)がはらわれ続けている問題で、支給水準を引き下げる国民年金法改正案が、先の通常国会で成立せず、またも先送りされました。このため、2012年10月から始まるはずだった年金減額は来年4月以降にずれ込むことになりました。

 年金の「過払い」は9月分までの累計で約7兆5000億円に達し、減額が半年遅れることでさらに5000億円膨張する見込みです。

2012年版 労働経済白書

 厚生労働省は14日、2012年版の労働経済白書を発表しました。白書の副題は「分厚い中間層の復活に向けた課題」です。単身世帯で年収300万~600万円、二人以上世帯で500万~1000万円の中所得世帯の割合は2009年に48.1%と、1999年より2.9ポイント低下。一方、年収がこれより少ない低所得世帯は09年で34.1%と、8.6ポイントも上昇しました。

 所得減少の要因に非正規労働者の増加を挙げ、人件費削減が消費の伸び悩みを招き、成長の足を引っ張った可能性があると指摘しました。11年の非正規労働者は前年比46万人増の1802万人で、雇用者全体の35.1%(前年比0.7ポイント増)となりました。

 また、今後も円高が続いた場合、製造業の約20%の企業が賃金・雇用調整をすると答えました。具体的には従業員の賞与や所定外労働時間の削減を検討します。

最低賃金、平均749円 12年度12円上げ

 2012年度の都道府県ごとの最低賃金は、全国平均で前年度より12円引き上がり時給749円になりました。上昇額は2年ぶりに10円を超えました。所得増による景気への影響が期待される半面、賃金の急激な引き上げは中小企業の経営を圧迫しかねません。政府が掲げる「全国で最低800円」の実現には、中小企業の稼ぐ力の向上が課題になります。

 10日に富山県の審議会で答申が出て47都道府県の改定額が出そろいました。中央審議会が決めた目安は全国平均で7円の引き上げでしたが、東日本大震災の復興需要や景気の持ち直しで上乗せにつながりました。沖縄など賃金水準の低い地域の上げ幅が大きかったということです。政府が目標とする800円を上回ったのは東京、神奈川、大阪だけで、最低の高知や島根は652円でした。

 最低賃金引き上げの恩恵を受けるのは、パートやアルバイトです。特に外食や小売りなど流通業で働いている人が多いです。これらの業界は総じて利益率が低いとされています。企業の稼ぐ力が向上しないまま賃金水準を引き上げることには限界もあります。政府は中小企業の競争力を高める政策を進め、最低賃金を引き上げる外部環境を準備できるかも課題になっています。

 日本の最低賃金は先進国の中で最低水準とされています。第一生命経済研究所の永浜利広主席エコノミストは「企業収益の改善ペースに合わせて日本の最低賃金を緩やかに上げていく必要があるのではないか」と指摘しています。

障害年金手続きスタート、早めの請求を―東日本大震災

 東日本大震災から1年半を迎える2012年9月11日、被災によるけがや病気で障害を負った人が「障害年金」を受給するための申請が順次始まります。障害の認定が、障害の程度が固定化しているかを判断するため、原則として初めて医師の診察を受けた「初診日」から1年6カ月後と定められているためです。しかし、震災直後で初診日のカルテが残されていないケースもあり、手続きが混乱することも予想されています。

 障害年金の申請に必要な医師の診断書などが、震災直後の病院や診療所・仮設の医療機関の混乱した状況で散逸したり所在が不明になるなどし、初診日が確認できないケースが想定されます。

 こうした場合、レシートや診察券の記録などで「客観的に初診日を証明していくことになる」(厚生労働省年金局事業管理課)とのことです。社会保険労務士総合研究機構の深澤理香氏は「震災の混乱は、認定の際に十分加味されるだろうが、時間とともに、証明しづらくなる恐れもある」と、早めの請求を呼びかけています。

 障害年金は、傷病による障害で仕事や生活に支障がある場合に支給される年金。年金制度への加入や一定の保険料納付割合を超える必要がありますが、老齢年金と異なり、若年者でも受給できます。障害の程度によって年金額は異なるが、2級の基礎年金額(平成24年度)は78万6500円となっています。

死亡・不明の高齢者 1376人年金差し止め

 厚生労働省は5日、年金を受給している高齢者のうち、合わせて1376人について、すでに死亡しているか所在不明になっていることが分かり、年金の支給を差し止める措置を取ったと発表しました。

 同省は、全国各地で所在が確認できない高齢者の家族らが年金を受給していた問題を巡り、76歳以上の年金受給者のうち、09年7月から1年間、医療機関を受診していない34万2000人について、「現況申告書」の送付や日本年金機構による訪問調査を行いました。

 その結果、これまでに274人がすでに死亡し、1102人が所在不明になっていることが分かりました。

 同省によりますと、死亡していた人の中には、すでに平成3年に亡くなっていたケースがあったほか、所在不明の人のうち、80人は7年以上前から行方が分からず、中にはおよそ50年前から不明になっている例もあったということです。

 同省は、死亡した人の年金については、親族などに対し返還を求める手続きを取ることにしています。また、「不正受給防止のために、今後も定期的に調査を続けたい」としています。

民主党  新年金制度の試算まとめる

 民主党の作業チームは、先の衆議院選挙で掲げた新たな年金制度について、必要な財源の試算を改めて行い、新年金制度についてまとめました。60年後の2075年度には、最大で消費税率10%に加えてさらに6.2%引き上げる必要があるなどとする内容となっています。

 民主党は、所得に応じて年金額が決まる「所得比例年金」と、消費税を財源として所得が少ない人に年金額を上乗せする「最低保障年金」を設け、すべての人が月額7万円以上受け取れるようにする新たな年金制度について必要な財源の試算を今年2月に公表していました。

 党の作業チームは、新たな人口推計がまとまったことなどを受け、「最低保障年金」を満額支給する範囲を広げるなどして改めて試算を行いました。試算では、2016年度から新制度への移行を始めることを前提に、「最低保障年金」の支給範囲に応じて必要な財源を算出しています。

 このうち、支給範囲を最も広げ、満額の7万円を支給する対象者を年収260万円以下とするなどとしたケースでは、60年後の2075年度に58兆7千億円、消費税率に換算すると、10%に加えて、さらに6.2%の引き上げが必要になるということです。

 前回の試算と比べると、出生率が改善したことなどによりおよそ1%分財源が圧縮されています。一方、支給範囲を最も絞り、額支給する対象者を年収60万円以下とする、などとしたケースでは、2075年度に、消費税率にすると、10%に加え、さらに3.5%の引き上げが必要になるとしています。

 作業チームは、新たな年金制度の創設を次の衆議院選挙の公約に盛り込みたいとしており、近く党の全議員を対象にした会議に、試算を示す予定です。

窓口一本化へ 非正規社員の助成金

 厚生労働省は、パートや派遣などの非正社員を雇っている企業への助成金を一本化する方針を固めました。これまで受付窓口がばらばらだったが、ハローワークがすべてを受け持つように改めて利用を促進させます

 現在、非正社員を雇用している企業への助成金には、次のものがあります。

  • 均衡待遇・正社員化推進奨励金
  • キャリア形成促進助成金
  • 派遣労働者雇用安定化特別奨励金

 ただ、窓口は各労働局だったりハローワークだったりと分散。企業には「使い勝手が悪い」との不満が根強く、政策効果も薄いという批判がありました。

 検討しているのは均衡待遇・正社員化推進奨励金と、キャリア形成促進助成金の非正社員への助成金部分を基本に、2015年度末までの時限措置である派遣労働者雇用安定化特別奨励金を恒久化して統合する案です。「有期・短時間・派遣労働者等キャリアアップ助成金(仮称)」という名称にします。

年金法改正案 今国会での成立を断念

 政府・民主党は、過去の特例措置で本来より高くなっている年金の支給額を引き下げることなどを盛り込んだ国民年金法の改正案について、今の国会での成立を断念、2012年10月分から引き下げられる予定だった年金は、当面、今の支給額が維持されることになりました。

 政府は、過去の特例措置によって、本来より2.5%高くなっている年金の支給額を、今年10月から3年間かけて本来の水準に戻すための国民年金法の改正案を国会に提出していました。

 しかし、野田総理大臣に対する問責決議が参議院で可決され、野党側が審議に応じない姿勢を示していることから、政府・民主党は、国民年金法の改正案を今の国会で成立させることを断念。これにより、当面、今の年金の支給額が維持されることになりました。

 厚生労働省の推計によりますと、年金は、過去の特例措置により、平成12年の4月から今年3月末までに、合わせておよそ7兆円、本来より多く支払われており、このまま法案が成立しなければ、今年度は、さらに1兆円程度、本来より多く年金が支払われる見込みとなっています。

「ハローワーク特区」、試験的に実施へ

 2012年8月30日、小宮山洋子厚生労働相と佐賀県の古川康知事は国と都道府県がハローワークを一体的に運営する「ハローワーク特区」に関する協定を結びました。協定は、知事が若者の就労支援などの推進に必要と判断した場合、ハローワークを監督する労働局長に対し業務執行を直接指示できるとしています。国と都道府県による協定は初めてで、適用期間は2012年10月1日から3年程度の予定です。

 政府は、国の出先改革の一環として「ハローワーク特区」を設ける予定です。埼玉、佐賀両県で試験的に行い、運営状況をみた上で事務や権限の地方移管などを検討することにしており、埼玉県とも2012年8月30日午後に協定を結びます。

65歳まで雇用 「義務付け」きょう成立

 60歳の定年後も希望者全員を雇用することを企業に義務付ける高年齢者雇用安定法改正案が2012年8月29日、成立します。来年4月から厚生年金の受給開始年齢が引き上げられるのに対応し、定年後に年金も給料も受け取れない人が増えるのを防ぐ狙いです。2025年度には65歳までの雇用を義務づけます。企業は継続雇用の対象者を能力などで絞り込めなくなるため、負担増に備え対応を急いでいます。

 28日の参院厚生労働委員会で民主、自民、公明などの賛成多数で可決しました。29日に参院本会議で可決、成立する見通しです。

 会社員が加入する厚生年金(報酬比例部分)は現在60歳から受け取れますが、男性は13年度に61歳からとなり、以降3年ごとに1歳上がって25年度には65歳開始となります。

 現在、企業の82.6%(約10万9千社)は継続雇用制度を持ち、定年後も希望者を雇用しています。ただ、その5割強は労使協定の基準を満たす人に対象を絞っています。労働政策研究・研修機構によると、健康状態や出勤率・勤務態度のほか、約5割の企業が業績評価も基準に使っています

 改正法は企業が労使協定で対象者を選別することを禁じます。ただ、企業の負担が重くなり過ぎないよう、厚生労働相の諮問機関である労働政策審議会で指針を作り、勤務態度や心身の健康状態が著しく悪い人は対象から外せるようにします。

 継続雇用する対象者の範囲は年金の受給開始年齢の引き上げに合わせて広げ、受給開始が65歳となる25年度には65歳まで希望者全員の雇用を求めます。指導や助言に従わない企業名は公表するということです。

 2011年6月の厚生労働省の調査では、過去1年に定年を迎えた約43万人のうち10万人以上は継続雇用を希望しませんでした。年金の受給年齢が上がると定年後もしばらく年金を受け取れなくなるため、来春以降は希望者は増えると考えられます。

 みずほ総合研究所の試算では、継続雇用を希望しなかった人と希望しても離職していた人が全員、継続雇用されると賃金総額は来年度に4千億円増える見込みです。25年度には1.9兆円増え、総人件費を約1%押し上げます。 コスト増以上に、能力の低い従業員も雇用しなくてはならず労働生産性が下がると懸念する声も多い。第一生命経済研究所の熊野英生首席エコノミストは「人件費の増加を防ぐため能力の高い高齢者の賃金まで企業が一律に抑制しかねない」と警鐘を鳴らしています。

 高齢者の雇用が増える結果、企業が若年者の雇用を抑える可能性もあります。「高齢者と若者のワークシェアなど柔軟な働き方を進めていく必要がある」と高年齢者雇用コンサルティングの金山驍社会保険労務士は指摘しています。

林業・農業で「就業給付」を検討 農水省

 農林水産省が、林業と漁業における就業者の減少を防止するため、学
生などを対象に年間150万円を給付する制度の導入を検討していること
が明らかになった。同省では、農業においては2012年度から給付制度を
創設済みだが、2013年度をめどに対象を広げたい考え。

「パートの継続希望」は7割超

 厚生労働省が「平成23年パートタイム労働者総合実態調査」の結果を発表し、「パートで仕事を続けたい」と回答したパート労働者が71.6%だったことがわかった。一方、正社員を希望している人は20~24歳(57.3%)が最も多く、25~29歳(41.8%)が続いたが、年齢が高くなるにつれて割合が下がり、全体では22%にとどまっている。
〔関連リンク〕
 平成23年パートタイム労働者総合実態調査(個人調査)の結果

「共通番号制度」導入見送りの見通し

 国民1人ひとりに番号を割り振る「社会保障と税の共通番号制度に関す
る法案」(マイナンバー法案)の今国会での成立が、与野党の対立激化
が原因で見送られる見通しとなった。民主党が検討している「給付付き税
額控除」の前提にもなっているため、消費増税に向けた低所得者対策に
影響が出るものとみられる。

政府、年金埋蔵金1.5兆円を給付へ

 政府は22日までに、年金特別会計で四半世紀余りにわたって活用されず塩漬け状態になっていた1兆5千億円に上る「埋蔵金」を、将来の年金給付費に回す方針を固めました。厳しい年金財政にとって“つなぎ資金”になりそうです。

 社会保障と税の一体改革で、会社員の厚生年金と公務員らの共済年金を統合する被用者年金一元化法が今月成立。これをきっかけに、この埋蔵金の各年金制度への配分ルールが政府内で固まり、活用に道筋が付きました。一元化法施行の15年10月以降、給付に回す案が有力です。

 埋蔵金は専業主婦が任意加入だった1961~85年度に払っていた保険料で、これまで使っていませんでした。ただ、厚生労働省は1.5兆円を給付に回すことを織り込んで見通しを立てているため、年金財政に与える影響はありません。

失業者の住宅手当、恒久化検討 厚労省、再就職支援

 厚生労働省は2012年8月16日、派遣切りなどで仕事や住まいを失った人に家賃を補助する住宅手当制度を、2015年度から恒久化する方向で検討に入りました。最長9カ月の手当支給期間中に再就職先を見つける人が多く、増加する生活保護費の抑制も期待できるためです。

 同制度はリーマン・ショック後の雇用情勢悪化を受け、緊急対策として09年10月に開始しています。設置した基金から経費を出していましたが、12年度末にも財源が枯渇する見通しです。このため厚労省は基金方式から法律に基づく恒久制度に切り替え、国の予算で経費を手当てしたい考えです。

 厚労省は、取りあえず13、14年度は基金制度のまま必要な経費を予算計上して延長することなどを検討しています。15年度から手当を恒久化するため、今秋にまとめる「生活支援戦略」で、方針の明記を目指します。

 住宅手当は失業して住まいを失ったか、失う可能性のある人が対象です。東京23区の単身世帯では月5万3700円を上限に支給されます。ハローワークに通って職探しをしていることに加え、世帯収入や預貯金額に条件があります。失業手当を受けている場合でも、収入などの条件を満たせば住宅手当をもらえます。

 厚労省によると、ことし5月までの受給者は延べ約8万5千人で、支給総額は200億円です。うち6カ月以上か、正社員のように期限がない雇用契約を結んで再就職した人は約3万2千人で、受給者の38・0%に達しています。年度別では11年度54・5%、12年度(4~5月分)52・9%と、近年は5割を超える人の安定した就職につながっています。

雇用調整助成金 支給要件を見直し

 厚生労働省は平成24年10月1日から、雇用調整助成金と中小企業緊急雇用安定助成金について、支給要件の見直しを行うことを発表しました。
平成20年9月のリーマン・ショック後、雇用調整助成金等の支給要件を緩和してきましたが、経済状況の回復に応じて見直すことになりました。

【見直しを行う要件の概要】

  • 生産量要件の見直し
     「最近3か月の生産量または売上高が、その直前の3か月または前年同期と比べ、5%以上減少」を「最近3か月の生産量又は売上高が、前年同期と比べ、10%以上減少」とします。
     また、中小企業事業主で、直近の経常損益が赤字であれば、5%未満の減少でも助成対象としていましたが、この要件を撤廃します。
  • 支給限度日数の見直し
     「3年間で300日」を、平成24年10月1日から「1年間で100日」に、平成25年10月1日から「1年間で100日・3年間で150日」とします。
  • 教育訓練費(事業所内訓練)の見直し
     「雇用調整助成金の場合2,000円、中小企業緊急雇用安定助成金3,000円」を、「雇用調整助成金の場合1,000円、中小企業緊急雇用安定助成金1,500円」とします。
  • ※岩手、宮城、福島県の事業主は、6か月遅れで実施します。

北海道内4万人に年金通知ミス

 北海道内の年金受給者に送付された8月分の「年金振込通知書」約70万通のうち、約4万通の振込先や支給額に記載ミスがあったことが10日、分かりました。すべて札幌市中央区と東区内の年金受給者で、他人の基礎年金番号や振込先、支給額などが記されていたということです。

 機構によると、記載ミスがあったのは、8月の年金額に変更がある両区の受給者の一部に送った通知書。機構では、正しい表示の通知書を15日までに再送付し、記載ミスのあった通知書を同封する返信用封筒で回収する考えですが、いずれにしても8月分の支給は適正に行われるとしています。

 通知書の印刷業務を受託した印刷会社はプログラムミスを原因に挙げています。誤った項目は、基礎年金番号や振込先の金融機関名、年金額などで、口座番号は記されていないということです。他人の情報が誤記載されていることについて、機構は「受け取った人には誰のものか特定はできない」と説明しています。

 通知を受け取った人から「自分の指定している口座ではない」といった問い合わせが、9日に札幌市内の年金事務所や相談センターに相次いだため、機構が調べたところ、記載ミスが判明しました。

 問い合わせは、電話だけでなく、直接相談に訪れた人も多く、同日だけで少なくとも700~800件に上りました。これとは別に有料の「ねんきんダイヤル」へも多数の問い合わせがあったとみられます。

 機構広報室は「ミスを指摘していただいた方々に交通費や電話代は出せず、申し訳ないと言うしかない。印刷業者には確認の徹底などの再発防止を指導する」としています。

厚生年金、国民年金ともに黒字 11年度収支決算

 厚生労働省は10日、年金特別会計の2011年度収支決算(時価ベース)を発表しました。サラリーマンらが加入する厚生年金は2兆9106億円の黒字となり、前年度2682億円の赤字から改善。自営業者らが加入する国民年金も1980億円の黒字と3年連続で黒字でした。東日本大震災の影響が大きかった前年度と比べ、国内外の株価が上昇するなどし、積立金の運用収入がプラスになったのが寄与しました。
 
 厚生年金3069億円、国民年金194億円の運用損となった前年度から一転、11年度は厚生年金2兆4201億円、国民年金1662億円の運用益を記録しました。

 厚生年金の積立金残高は前年度比2兆6542億円減の111兆4990億円となっています。

保険料抑制に重点配分 国民健康保険

 厚生労働省は、市町村が運営する国民健康保険の保険料格差を縮小するために都道府県が給付している「都道府県調整交付金」の配分ガイドラインを改定しました。他の市町村を支援する仕組みが原因で、地元住民の国保保険料が急上昇しかねない自治体に重点配分する方針をあげました。

労働契約法改正法案が可決・成立

 契約社員やパートなど働く期間が決まっている有期雇用の労働者が同じ会社で5年を超えて働いた場合、本人の希望に応じ期間を限定しない「無期雇用」への転換を企業に義務付ける改正労働契約法が3日の参院本会議で民主、自民両党などの賛成多数で可決、成立しました。
賃金や勤務時間などの労働条件は、無期雇用に転換後も有期のときと原則同じとする。2013年春に施行、18年春からの適用を予定しています。

 同じ職場で5年を超えて働いているパートや契約社員を対象に、本人が希望すれば無期限の雇用への切り替えを企業に義務づける改正労働契約法が3日、成立した。正社員との理不尽な待遇格差の改善に道が開けたが、パートが戦力となっている製造業や小売業などには負担増にもなる。企業側がパートの契約更新に慎重になるおそれもあり、運用には課題も多いです。

 労働基準法は1回の雇用契約を原則3年以内と定めているが、何度も契約を結んだ場合の雇用ルールはこれまでなかった。契約更新を繰り返し、5年を超えて同じ職場で働いたパートや契約社員は企業から突然雇い止めされる不安がなくなります。
改正法は2013年度中に施行される見通しです。施行後にパートや契約社員、派遣社員が結んだり、更新したりした契約が対象になります。施行直後に雇われた人の勤務期間が5年を超える2018年度から影響が広がりそうです。

 厚生労働省の試算では、10年の雇用者5111万人のうち、雇用契約の期間が決まっている契約社員やパートは2割強にあたる1200万人。そのうち勤続年数が5年を超える労働者は360万人に上り、企業は対応を迫られることになりそうです

低所得者に5千円給付 年金受給者への給付金法案 閣議決定

 政府は31日、消費税率が10%に引き上げられるのに合わせ、平成27年10月から、年間所得が77万円以下の低所得の年金受給者らに保険料を納めた期間に応じ月最大5千円を支給する年金生活者支援給付金法案を閣議決定しました。

 支給の対象は、政令で定めることになっていて、年金と所得を合わせた額が年間77万円以下で家族全員の住民税が非課税の、およそ500万人が対象となる見通しです。保険料を多く納めてきた人よりも受け取る額が多くなる受給額の「逆転現象」が起きないよう、所得が年77万円超で87万円未満の約100万人にも給付を行います。

 
 このほか法案では、障害年金や遺族年金の受給者のうち、年間の所得が単身の場合でおよそ460万円以下の人など、一定額を下回る人に対しても給付金を支給するとしており、給付対象は約790万人に拡大しました。

 一定所得以下の障害基礎年金の受給者は約180万人、遺族基礎年金の受給者は約10万人で、障害1級の人は月6250円、そのほかは一律月5千円が、通常の年金と同じように2カ月ごとに支給されます。

65歳まで雇用義務づけ 高年齢者雇用法案成立へ

 衆院厚生労働委員会は1日、60歳で定年に達した社員のうち65歳まで働きたい人全員の雇用を義務づける高年齢者雇用安定法(高齢法)を民主、自民、公明3党などの賛成多数で可決しました。 2日の衆院本会議で可決して参院に送られ、審議が順調に進めば今国会で成立する見通しです。

 現行法は労使が合意して基準を決めれば、企業は継続雇用の対象者を選べますが、改正案ではこの規定を廃止します。男性の厚生年金の支給開始年齢が来年4月から段階的に65歳へ引き上げられるのに伴う措置で、基準によって離職した人が無収入に陥るのを防ぎます。雇用の義務化の対象年齢は、厚生年金の支給開始年齢の引き上げに合わせて、2025年度までに段階的に65歳に引き上げられます。施行は来年4月1日。

 ただ改正案に対し経営側から「高年齢者を過剰に保護すると、若年者の雇用縮小につながる」と批判が強まりました。これを受け、3党修正では心身の健康に支障があって仕事が続けられない人などの扱いについて、今後、指針を定めることが追加されました。定年前に解雇が認められるような場合も再雇用が必要なのかという経済界の懸念に配慮した形です。

 このほか改正案は、継続雇用先の範囲を子会社から関連会社へ拡大。また対象者を選別できる基準の完全廃止を25年まで猶予し、それまでは65歳より前に年金受給が始まった社員は選別の対象とすることを認めました。

未納の国民年金、後払い申請開始 8月1日から、過去10年分対象

 国民年金の保険料を納め忘れた人が過去10年間さかのぼって未納分を後払い(後納)できる「年金確保支援法」の施行を控え、2012年8月1日から後払いの申請受付が全国の年金事務所で始まります。

 2012年10月1日施行で2015年9月末まで3年間の時限措置となっています。保険料をさかのぼって支払える期限は2年以内ですが、これを10年に延長し無年金や低年金を防ぐ狙いです。02年10月分から後払いできます。

 問い合わせは、自分の基礎年金番号を確認した上で日本年金機構の専用ダイヤル、0570(011)050まで。

改正労働契約法が衆院を通過

 パートなどの有期契約労働者が5年以上続けて契約更新して働いた場合、本人が希望すれば企業に無期雇用への転換を義務づける労働契約法改正案が26日午後の衆院本会議で賛成多数で可決されました。

12年度最低賃金引き上げ、平均7円

 厚生労働相の諮問機関である中央最低賃金審議会の小委員会は25日、2012年度の地域別最低賃金の引き上げ幅の「目安」をまとめました。厚労省の試算では、時給で示す最低賃金の全国平均は前年度比7円増の744円に上昇しますが、上げ幅は東日本大震災の影響を受けた11年度並みの低水準。最低賃金での収入が生活保護の支給水準を下回る「逆転」現象は、少なくとも北海道と宮城県で残る見通しです。協議では労使の思惑の違いもはっきりと表れ、逆転現象解消の難しさが浮き彫りになりました。

 11年度は震災の影響で7円増と上昇幅が5年ぶりに10円を割り込みました。12年度は景気に持ち直しの動きがあるものの、依然厳しい中小企業の経営状況などに配慮し、引き上げ幅が前年度並みになったとみられます。

 最低賃金が生活保護を下回る「逆転」は現在、東京都など11都道府県で発生。議論の末、中間的立場にある公益委員が取りまとめる形で、逆転している11都道府県について「原則2年以内の解消を目指す」方向を確認。東京都や大阪府などについては「すみやかに解消を図る」、北海道と宮城県については「更に1年を加えた年数(3年)を踏まえる」とし、期限の「縛り」が緩やかになりました。実際の解消時期は地域の審議会に委ねられたといえます。

 そうした結果を反映し、11都道府県の目安額も前年度のようにきっちりした数値ではなく幅ができました。9都府県では、その「上限」の額が引き上げられてようやく生活保護水準に届く設定となり、残る北海道と宮城県はなお逆転が解消されない額にとどまりました。

 同審議会は26日、厚労相に目安を答申。その後、各都道府県の労使代表らが審議会を開き、目安を踏まえて地域ごとの最低賃金額を決めます。実際の改定は10月ごろ実施される見通しです。

スマホで行政手続き、共通番号で16年にも 政府・民主

 政府・民主党はスマートフォン(高機能携帯電話=スマホ)やタブレット(多機能携帯端末)で行政手続きができるようにする方針を固めました。社会保障と税の共通番号の導入を前提に、共通番号による個人認証をスマホなどでもできるようにすることで専用のICカードや読み取り装置が不要になり、確定申告や引っ越しなどに伴う手続きが便利になります。

 政府は共通番号を設けるための関連法案を今通常国会に提出しています。民主党と自民党が法案修正を始めており、今国会で成立する公算が大きいとみられます。その場合、共通番号は2015年1月にも運用が始まり、国民一人ひとりに番号が割り振られて社会保障サービスの提供や所得の把握などに使うことになります。

 政府の予定では共通番号を使って行政手続きを一度で済ませる「マイポータル」という仕組みを16年1月にも設けます。共通番号を個人認証に使うためのICカードを配布する方向で、ICカードはパソコンに読み取り機をつけて使う形になります。

 政府・民主党は希望者にはスマホやタブレットにICチップを入れて個人認証できるようにします。スマホやタブレットにICチップを入れれば、ICカードや読み取り装置が不要になり、スマホやタブレットで手続きができるようになります。

 例えば、確定申告に必要な書類をタブレット上で作成し、窓口に行かなくてもインターネットで申告できるような仕組みを検討します。結婚や転居、退職時などに必要な届け出をインターネットでできるようにする構想もあります。

 ただ、スマホを紛失した場合に個人情報が流出したり、悪用されたりするリスクが高まるため、実施に向けてはセキュリティー対策などを慎重に検討します。

精神障害者の雇用義務化 厚労省研究会が報告書 来年にも法改正案提出へ

 障害者雇用に関する厚生労働省の有識者研究会は2012年7月24日、民間企業などへの雇用義務の対象に、精神障害者を加えるよう求める報告書を正式に取りまとめました。厚労省は今後、労使の代表が参加する労働政策審議会を開くなど障害者雇用促進法の改正に向けた手続きを始めます。早ければ来年の通常国会に改正案を提出します。
 
 精神障害者の求職者数が増加しているため、身体障害者と知的障害者に限っている現在の対象を拡大し、企業に雇い入れを促します。対象の拡大によって障害者の就労が一段と進みそうです。

 新たに対象となるのは、そううつ病、てんかん、統合失調症などの障害者のうち精神障害者保健福祉手帳の所持者です。ハローワークや医療関係者、企業が集まり、障害者への就労支援策を話し合うことも提言しました。

厚労省、「消えた年金記録」2240万件なお未解明

 厚生労働省と日本年金機構は2012年7月24日、約5000万件の消えた年金記録問題で、2240万件の記録が解明できていないことを明らかにしました。コンピューターで管理している年金記録と原簿の紙台帳の内容が一致せず、誰のものか分からない記録が4割強も残っているということです。年金機構は「死亡などで手掛かりがつかめないものが多い」と説明しており、解明作業は難航しそうです。

 消えた年金記録問題は、旧社会保険庁が名前や生年月日を間違えて記載するといったずさんな情報管理で生じました。厚労省は問題を受け、2007年から年金記録の解明を進めてきました。2855万件は解明され、1296万件の記録は正しくなりました。

 厚労省は記録を回復できた人が生涯受け取る年金額は、1.6兆円増えたとしています。

 これまでは年金受給者の記録を優先して確認してきましたが、公的年金加入者の記録を全件照合します。30代から50代までの3030万人を対象に、コンピューター上の記録と紙台帳の記録を突き合わせ、加入者を確認します。作業は13年度中に終了する見込みです。

年金受給者給付金 所得87万円未満も支給へ

 厚生労働省は2012年7月24日、税と社会保障の一体改革関連法案に盛り込まれている低所得の年金受給者への福祉的な給付金制度に関し、年金を含む所得が年約77万円以下の低所得者に加え、87万円未満の人にも給付金を支給する方針を明らかにしました。同日の民主党社会保障と税の一体改革調査会と厚生労働部門合同会議に同省が制度概要を示し、了承されました。政府は関連法案の月内提出を目指します。

 給付金は、消費税率を10%に引き上げる15年10月から、家族全員が市町村民税非課税で年金と所得を合わせた年収が約77万円以下の人に支給されます。支給額は年金保険料を40年間納めた人が月額5000円で、未納期間に応じて減額します。対象者は約500万人です。

 ただ、給付金を加えると年収77万円を超える人の収入の方が少なくなる「逆転現象」が生じます。このため、年収77万円超で87万円未満の人にも補足的に支給することにしました。対象者は約100万人増えることになります。

国年任意加入の拡大措置の施行日が平成25年4月1日に決定

 国民年金及び企業年金等による高齢期における所得の確保を支援するための国民年金法等の一部を改正する法律(年金確保支援法)により、「国民年金の任意加入被保険者(日本国内に居住する60歳以上65歳未満の者に限る。)についても、国民年金基金に加入できることとされたこと」の当該改正の施行日が、「平成25年4月1日」とされました。

後期医療制度廃止法案、提出先送り

 野田佳彦首相は18日の参院消費増税関連特別委員会で、後期高齢者医療制度を廃止する法案について「社会保障・税一体改革関連法案が成立すれば、(廃止法案の今国会提出を定めた)閣議決定の効力は消える」と述べました。後期医療廃止法案の提出時期の先送りを認めたものといえます。

 民主党は、年齢による区分や「後期高齢者」という名称を批判し、2009年衆院選の政権公約に制度の廃止を明記。政府が2月に閣議決定した社会保障・税一体改革大綱では、廃止法案を「今国会に提出する」としていました。

 しかし、財政負担が膨れあがることを警戒する都道府県の同意が得られず、法案化作業は難航。一体改革関連法案を巡る民主、自民、公明3党の修正協議の結果、今後の年金制度や高齢者医療制度は新設する「社会保障制度改革国民会議」での議論に委ねることになりました。

 岡田克也副総理はこの日の答弁で「国民会議で議論されている限り(後期医療廃止)法案を出すことにはならない」という考えを示しました。

最低賃金、11都道府県で生活保護給付水準下回る

 最低賃金引き上げの目安額を決める厚生労働相の諮問機関、中央最低賃金審議会(会長=今野浩一郎学習院大教授)の小委員会が2012年7月10日に開かれ、厚労省は最低賃金が生活保護の給付水準を下回る「逆転現象」の生じている自治体が11都道府県になったと発表しました。

 時間給に換算した生活保護の給付水準と最低賃金の差額が最も大きいのは北海道の30円。以下、東京20円▽宮城19円▽神奈川18円▽大阪15円▽埼玉、広島12円▽兵庫10円▽京都8円▽千葉6円▽青森5円と続いています。

 最低賃金法は、最低賃金について生活保護との整合性に配慮するよう定めています。11年度では逆転現象の自治体は北海道、宮城、神奈川の3道県に減りましたが、生活保護受給者には免除される健康保険料、雇用保険料、厚生年金保険料がそれぞれ引き上げられたことで可処分所得が減り、乖離(かいり)が拡大しました。拡大した乖離幅をどこまで縮められるか、審議は今月下旬に大詰めを迎えます。

日雇い禁止例外 年収500万円以上 改正派遣法

 3月に成立した改正労働件者派遣法で、原則禁止となる日雇い派遣に関し、例外として認める対象を学生や年収500万円以上の世帯の人とすることなどを盛り込んだ政省令案が5日、労働件政策審議会で了承されました。

 厚生労働省は、生計の中心になっていることが少ない学生(定時制は除く)、また年収500万円以上の世帯の人も、労働条件が悪ければ、他の仕事を探す余裕があるとみて容認しました。就職口が乏しい60歳以上の人も認めます。

23年度の年金積立金運用 2年ぶりの黒字

 公的年金の積立金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人の平成23年度の運用結果が約2兆6千億円の黒字であることが4日、分かりました。10年度は2999億円の損失で、運用損益が黒字になるのは2年ぶりとなります。株価が今年3月にかけて上昇したことが寄与しました。

国民年金納付率、最低の58.6%

 平成23年度の国民年金保険料の納付率が58・6%で過去最低を更新したことが4日、分かりました。納付率の低下は6年連続で、60%を下回るのは3年連続。前年度比0.7ポイントのマイナスとなりました。

 収入が低く年金制度への不信感が強い若者の未納に歯止めがかかっていません。加えて、納付率が高かった団塊世代が保険料を払う側ではなく受け取る側に回っていることも要因となっています。
 
 国民年金はかつては自営業者を中心とした制度でしたが、最近は経済状況の悪化で非正規労働者や無職の人が増えています。正社員になれない若者の間では保険料(現在は月額1万4980円)を支払えないケースが目立ち、1990年代半ばに80%台だった納付率は低下傾向が続いています。

 23年度の場合、国民年金の3号被保険者の資格を失ったのに届け出を忘れていた主婦らの一部を、本来の1号被保険者に変更する事務処理を実施。保険料を払わない人は未納になるため、納付率落ち込みの原因のひとつとなりました。

日本年金機構は、滞納者への納付督促を民間業者に委託しており、今後、戸別訪問する担当者の数を増やし、督促の頻度を上げるなど民間業者との連携を強化して、納付率を引き上げる考えです。

民主党  自治体非正規職員への手当検討

 民主党の作業チームは、地方自治体で非常勤などとして働く非正規職員の処遇を改善するため、地方自治法を改正して、非正規職員にもボーナスや退職金などを支給できるようにすることを検討しているということです。

 全日本自治団体労働組合によりますと、全国の地方自治体で働く臨時職員や非常勤職員の数はおよそ60万人に上るとみられており、こうした非正規職員には、ボーナスや退職金などの支給が認められておらず、自治労は改善を求めています。

 これについて、民主党の作業チームは、地方自治法を改正し、自治体が条例で定めることによって、非正規職員にもボーナスや退職金などを支給できるようにすることを検討します。

 ただ、2012年7月3日に開かれた作業チームの会合では、こうした内容を盛り込んだ地方自治法の改正案の骨子案に対し、出席者から「手当の支給を義務づけることにならないか」という指摘や「もっと自治体の意見を聞くべきだ」という意見も出されました。

 自治体側からも限られた人件費の中で新たに手当を支給すれば、その分、職員の数を減らさざるをえないという慎重論が出ており、作業チームは、今後、自治体の関係者からヒアリングを行うなどして、さらに検討を進めることにしています。

公務員の年金加算維持 有識者会議報告

 公務員の退職金や年金の在り方見直しを検討している政府の有識者会議は2012年7月3日、民間より高い公務員の退職金を約四百万円減らす一方、公務員独自の年金加算は「国債利回り連動型」に形を変えて維持するよう求める報告書案を固めました。加算部分の保険料の半額は税金が投入されます。

 5日の会合で報告書を決定し、政府は本年度中にその内容に沿った関連法案を国会に提出します。

 公務員年金の新たな加算制度は「キャッシュ・バランス方式」と呼ばれ、給付額を長期金利の指標である十年国債の利回りなどに連動させる仕組みとなっています。これにより運用環境を原因とする年金財政悪化のリスクを回避します。

 ただ加算部分の保険料は労使折半で半分は税金で賄われることから、「公務員特権」との批判に配慮し、加算額は現行水準より下げるということです。地方公務員も国家公務員と同様の制度にするよう求めています。

 政府は、公務員などの共済年金と民間サラリーマンの厚生年金を2015年10月に統合する法案を今国会に提出、先に衆院通過しました。

 現行の公務員共済年金には「職域加算」と呼ばれる月平均約2万円の上乗せ給付があるが、中小企業には厚生年金に上乗せした企業年金を持たないところも多いため、法案は被用者年金一元化に伴い、職域加算を廃止することを規定。職域加算に代わる新制度を有識者会議で検討していました。

 人事院調査では、国家公務員の退職金と年金を合わせた「退職給付」は民間企業の平均を約四百万円上回っており、政府は被用者年金一元化までに3年かけて退職金を減額することで民間水準まで引き下げる方針です。

 守秘義務違反などをした場合に給付を制限する措置も設けます。

介護認定、最多の506万人 10年で2倍に

 厚生労働省が6月29日発表した2010年度末時点で、介護保険サービスの必要度を判断するための「要介護認定」を受けた人が506万人と、初めて500万人を超えました。人口の高齢化が進んだためで、介護の必要度が高い要介護3以上の人が全体の約4割(193万人)を占めました。介護保険から払う給付費も7兆2536億円と、前の年度より5.6%膨らんでいます。

 都道府県別に65歳以上人口に占める認定者の割合を見ると、最も高いのが長崎県で21.6%。次いで徳島県の21.1%、和歌山県の20.7%と、西日本の県が目立ちます。逆に割合が最も低いのは埼玉県で13.2%。千葉県の13.6%、茨城県の13.7%という結果になりました。高齢化が進み「75歳以上の人口が多い県ほど、認定者の割合が高い」(老健局)といいます。 
要介護認定は、必要度が軽い順から要支援1~2、要介護1~5の7段階に分かれる。厚労省によると、10年度末時点で認定を受けた人は、前年度末より22万人(4.5%)増加しました。

 制度が始まった00年度の約2倍になり、全体の6割を軽度(要支援1~要介護2)の人が占めています。

 10年度の介護保険給付費は7兆2536億円で、前年度より5.6%増えました。高齢化で介護保険サービスを利用する人は今後も増える見込みで、厚労省は今年度の給付費は8.4兆円、25年度には19.8兆円になると試算しています。

厚年基金、連帯負担廃止

 厚生労働省の有識者会議は、6月29日夜、おもに中小企業の企業年金を扱う厚生年金基金が厳しい財政状況に陥っていることを踏まえ、財政健全化の見込みがない基金に解散を促すため、解散の要件を緩和することを検討するよう求めることなどを盛り込んだ報告書をまとめました。
最終報告は基金の深刻な財政問題と、ずさんさが明らかになった資産運用の両面から対策をまとめました。

 主に同業の中小企業が集まってつくる総合型基金が対象になる。厚労省は有識者会議の最終報告を受け、
12年夏に資産運用規制の省令や通知を改正します。連帯返済制度の廃止など法改正を伴うものは、来年の通常国会への法案提出に向け細部を詰める予定です。

 財政悪化に苦しむ基金に限って、解散を促します。解散するときに国に返還が義務づけられている積立金は減額し、加入企業の負担を減らします。厚労相が解散命令を機動的に発動することも検討します。

5月の完全失業率3カ月ぶり改善―厚生労働省

 2012年6月29日に総務省から発表された5月の完全失業率(季節調整値)は4.4%で、3カ月ぶりに改善し、前月に比べ0.2ポイント低下となりました。医療・福祉分野や復興関連の求人増加を背景に雇用情勢は改善傾向にあります。

 完全失業者数(季節調整値)は289万人で、10万人減少しています。このうち、勤務先の都合や定年退職など「非自発的な離職」は2万人減、「自発的な離職」は7万人減です。

 就業者数(季節調整値)は6245万人で10万人減少し、3カ月連続の減少となっています。

精神障害者も雇用確保を…厚労省報告書案

 障害者雇用について議論する厚生労働省の厚生労働省の研究会が26日開かれ、同省は企業などに新たに精神障害者の雇用を義務づけることが適当とする報告書案を示しました。

 義務づけには労使の代表で構成する厚労相の諮問機関・労働政策審議会の合意を得て、障害者雇用促進法を改正することが必要となります。 報告書案では、精神障害者の就職件数が増え、就労支援員のハローワークへの配置が進むなど支援策も拡充しているとし、義務づけが適当としました。対象は精神障害者保健福祉手帳を持つ統合失調症やそううつ病などの患者となります。

 同法は身体、知的障害者の雇用を企業などに義務づけており、企業の法定雇用率は1・8%。雇用率は障害を持つ労働者と失業者が、全ての労働者と失業者に占める割合から計算します。精神障害者の雇用を義務づけると雇用率が上がるため、更なる雇用が求められる使用者側の反論も予想されます。

政権、補正予算編成へ 年金財源2.6兆円は赤字国債で

 野田政権は2012年6月24日、年金財源に充てるため赤字国債を増額する補正予算案を編成する方針を固めました。今年度予算では、赤字国債の発行を閣議決定に沿って44兆円台に抑えるため、年金の国庫負担2.6兆円の財源は別枠の交付国債で計上しました。自民、公明両党が「粉飾」と批判しており、赤字国債に切り替えます。

 民主党の城島光力国対委員長は24日のNHK番組で消費増税関連法案の3党修正合意を踏まえ、「交付国債は削除する。必然的に補正の問題も出てくる。特例公債法案をこの国会で成立させたい」と強調。自公の主張を入れることで、特例公債法案の今国会成立に両党の協力を得たい考えです。

 政権は交付国債に代わる財源について、赤字国債の一種で将来の償還財源が明示されるつなぎ国債とする方針です。2014年以降の消費税率引き上げ分が償還に充てられる見通しです。

 一方、前原誠司政調会長は24日のフジテレビの番組で「成長戦略に資するよう、秋に向けしっかり補正を組む」と述べ、補正には景気対策も含め、編成に時間をかけたいとの考えを示しました。

有期パート 正社員と同等の待遇へ

 厚生労働相の諮問機関、労働政策審議会は21日、パート労働件者に関し、仕事や人事管理が正社員と同じなら、有期雇用であっても待遇を正社員と同等とするよう求める建議を小宮山洋子厚労相に提出しました。同省は建議に基づくパート労働法改正案を来年の通常国会に提出することを目指します。

 現行法ではパートタイム労働者のうち、次に該当する場合は、賃金や福利厚生などで正社員と差別することを禁じています。

  1. 職務内容や異動の有無など人事管理が正社員と同じ
  2. 実質的に雇用期限がない
    建議は2の要件を削るよう求めました。

障害者雇用率 来年4月から民間企業で2%に

 来年4月から障害者雇用率が引き上げられる。民間企業、国、地方公共団体など、いずれも現行より0.2%の引き上げとなります。

この結果、「民間企業1.8%→2.0%、国、地方公共団体など2.1%→2.3%、都道府県等の教育委員会2.0%→2.2%」となります。

また、今回の法定雇用率の変更に伴い、障害者を1人以上雇用しなければならない事業主の範囲が、「従業員56人以上」から「同50人以上」に変わります。

小宮山洋子厚生労働大臣は「国など公共機関は障害者雇用に率先して取り組む立場にあるため、各府省庁や所管する独立行政法人の障害者雇用にしっかり取り組んでいただきたいと各大臣にお願いした」旨を語るとともに、雇用率の周知徹底を図りたいとしました。

建設業者に社会保険書類義務付け、11月から適用―国交省

 国土交通省は2012年6月3日までに、建設労働者の社会保険加入率向上のため、建設業者が都道府県に営業許可を申請する際、雇用保険と健康保険、厚生年金の3種類の加入状況を記した書類の提出について義務付けをすることを決定しました。既に関係省令は改正されており、11月から適用となります。

 2011年の政府調査によると、雇用保険と健康保険、厚生年金のすべてに加入していた建設業者は全体の84%で、労働者では57%に留まっていました。保険未加入の業者を放置すると、技能を持つ人材が建設業界に集まりにくくなり、保険料を支払っている業者が競争で不利益となるため、対策が必要とされていました。

11年度国民年金の納付率が最低になる見通し

 30日に厚生労働省が公表した11年4月〜12年2月の11カ月分の納付率を受け、国民年金保険料の11年度分納付率が3年連続で60%を下回り、過去最低を更新する見通しとなりました。納付率は前年同期比0.7ポイント減の58.0%にとどまり、未集計の12年3月分を加えても過去最低だった10年度(59.3%)を下回ることになりそうです。

 元来、国民年金は自営業者向けの制度ですが、雇用環境の悪化に伴って非正規雇用労働者らの加入が増えています。賃金が低いために保険料(12年度は月額1万4980円)を払えない人も少なくありません。 さらに専業主婦ら第3号被保険者(3号)の年金切り替え漏れ問題の発覚を受け、11年度は保険料納付が不要な3号のままとなっていた人を、納付義務のある第1号被保険者(1号)に切り替えるケースが相次ぎました。3号から突然1号になって保険料を求められた人の中には払えない例も多く、納付率を下げる要因になったと厚労省は分析しています。 国民年金保険料の納付率は96年度までは80%台を維持し、01年度までは70%台だった。11年度の数値が10年度を下回れば、6年連続の低下となります。

雇用調整助成金、年内の縮小を検討へ

 政府は国が休業手当の一部を企業に補助する雇用調整助成金の制度を縮小する検討に入りました。米リーマン・ショックや東日本大震災を受けて緩和した支給要件を段階的に引き上げて元に戻す案が有力です。中小企業の資金繰り環境の改善を考慮し、危機対応を見直す姿勢です。仕事がないまま企業にとどまっている人材に成長分野へ転職するよう促し、経済活性化につなげることが目的となっています。

 2012年5月29日に開くデフレ脱却に向けた閣僚会議で議論し、具体策や実施時期は夏をめどにまとめる日本再生戦略に盛り込みます。景気の回復基調が確認できれば年内にも実施の方針です。

パート労働条件、見直しへ―厚生労働省

 厚生労働省は正社員と同じ働き方をする有期契約のパート労働者の待遇を正社員と同様にするように制度を見直す方針です。約10万人のパートの労働条件が改善される一方で、企業にとっては負担増となります。制度の見直しに必要なパート労働法の改正案を来年の通常国会を目安に提出を目指しています。

 厚生労働相の諮問機関である労働政策審議会の分科会に2012年5月29日に見直し案を提示します。現行では、パート労働者は(1)仕事の内容が同じ(2)転勤などの働く仕組みが同じ(3)実質的に無期契約、のすべての条件を満たした場合のみ、正社員と同じ待遇にすることが企業に義務付けられていますが、このうち、「実質的に無期契約」という条件を削除する方針が決定しました。

改正派遣法、10月に施行か―厚労省

 2012年5月28日、厚生労働省は労働政策審議会の部会に、30日以内の短期派遣の原則禁止を柱とする改正労働者派遣法の施行時期を2012年10月1日とする案を示しました。改正派遣法では、離職した労働者を1年以内に再び派遣として受け入れることを禁止するほか、派遣会社に平均的な手数料割合の公開が義務付けとなります。仕事がある時だけ雇用契約を結ぶ登録型派遣と製造業派遣を原則禁止する規定は与野党協議で削除され、改正派遣法には盛り込まれていません。

被扶養者資格の再確認の実施 協会けんぽ

 協会けんぽは、平成24年度も保険料負担の抑制と、医療費・高齢者の医療費への拠出金の適正化のため被扶養者資格の再確認を実施します。おもに被扶養者解除の届出漏れを重点的にチェックします。

 具体的には、24年5月末から6月末にかけて、協会けんぽより会社に被扶養者調書兼異動届に送付されきます。

退職金と年金の官民格差是正へ、有識者会議始まる

 政府は26日、退職金と年金を合わせると公務員が民間より約400万円多い問題で公務員優遇を見直す有識者会議(座長・森田朗学習院大教授)の初会合を開きました。

 会合では、国家公務員が退職後に受け取る年金や退職金が民間より多い「官民格差」の是正を目指す方針を確認しました。5月中に退職金引き下げの中間整理、6月中に新しい給付制度の基本的な考えをまとめる方針です。

 政府は年金や退職金の官民格差是正を、消費増税に向けた「身を切る改革」の一環と位置付けています。

 政府が今国会に提出した、公務員などの共済年金を会社員の厚生年金に統合する被用者年金一元化法案では、共済年金に上乗せして支給する「職域加算」の廃止を明記しています。有識者会議では、職域加算に代わる新しい給付制度を議論する予定です。

社会保険料、2025年度に年収の3割超か

 厚生労働省の推計によると、厚生年金や医療費などが膨らむため、家計や企業が負担する社会保険料が大きく上昇する見通しです。2025年度の会社員1人当たりの保険料(労使合計)は12年度初めより15%強増え、年収の3割を超えることとなっています。所得増税のように国会の議決が必要ということはなく、給与からの天引き保険料が増額となるだけのため、抵抗を受けにくい形となっています。企業の負担感が高まれば、雇用の抑制につながる恐れもあります。

年金一元化法案が閣議決定

 政府は、社会保障と税の一体改革のうち、厚生年金と共済年金を一元化するための厚生年金保険法などの改正案を13日の閣議で決定しました。

 閣議決定された改正案では、平成27年10月から、共済年金を厚生年金に一元化するとしたうえで、厚生年金の保険料率が平成29年に18.3%になるのに合わせて、厚生年金より低くなっている共済年金の保険料率を段階的に引き上げ、公務員は平成30年に、私立学校の教職員は平成39年に18.3%にするとしています。

 また、共済年金のほうが優遇されているとされる、遺族年金を受け取ることができる条件などを厚生年金に合わせるとしています。

 さらに、共済年金だけにある「職域部分」という月2万円程度の給付の上乗せについては、一元化とともに廃止して新たな給付制度を設けるとしており、今年中にどのような制度にするか検討したうえで、法律で必要な措置を講じるとしています。

年金給付業務、民間委託可能に 民主「歳入庁」チーム原案

 税と社会保険料を一体で徴収する「歳入庁」創設に関する民主党作業チームの原案が10日、明らかになりました。日本年金機構(旧社会保険庁)を分割し、国税庁と年金機構の保険料徴収の機能を統合するのが柱です。給付や加入手続き、相談といった年金機構が手掛ける業務を機構以外の民間企業に委託できるようにすることも検討しています。

 2012年4月11日の作業チーム総会に原案を提示し、月内に政府に提言する方針です。

 原案では、歳入庁を(1)独立組織(2)財務省外局(3)内閣府外局――に設置する3案を明記しています。創設時期については、2015年1月を想定する社会保障と税の共通番号制度の導入に合わせる案を軸に検討しています。消費税率を8%に引き上げる予定の14年4月や、共通番号制度の導入から一定の準備期間を経た後など、複数案を併記する方向です。

 共通番号や歳入庁などのシステムを一元管理するための「システム系技官(仮称)」を新たに置くことや、「システム庁」の設置も課題に挙げています。中長期的には社会保険料を「社会保険税」に改めることも検討しています。

改正国民健康保険法が成立、全医療費の負担が都道府県単位に

 市町村が運営する国民健康保険(国保)の財政基盤を強化する改正国保法が5日の参院本会議で民主、自民、公明各党などの賛成多数で可決、成立しました。平成27年度に全ての医療費を都道府県単位で負担する形になります。

 国保には高額医療費を都道府県単位で負担する制度があり、今回の法改正で、すべての医療費に広げます。導入の結果、保険料の低い市町村は保険料が上がり、保険料の高い市町村は下げられ、保険料の格差が大きくならないようになります。

年金一元化法案を了承

 民主党は3日、社会保障と税の一体改革調査会と厚生労働部門会議などの合同会議を開き、公務員などが加入する共済年金を会社員の厚生年金に統合することを柱とした被用者年金一元化法案を了承しました。政府は来週中の閣議決定を目指します。

 了承された法案は、自公政権が2007年にまとめた「被用者年金一元化法案」(09年に廃案)とほぼ同じ内容。15年10月から両年金を統合します。厚生年金より低い共済年金の保険料率を毎年段階的に引き上げ、公務員共済は18年、私立学校教職員の私学共済は27年に、それぞれ18・3%(労使折半)で統一し「官民格差」の是正を図ります。

 共済独自の上乗せ給付「職域加算」廃止後の新たな制度設計については、提出予定の法案から切り離します。政府側は岡田克也副総理の下につくる有識者会議で、民主党側は作業チームを編成し、それぞれ議論を進めます。

AIJ問題 有識者会議設置へ

 厚生労働省は、AIJ投資顧問の問題で、年金資金の運用の安全性を確保するための規制の在り方や、厚生年金基金の財政の改善策などについて検討を進めるため、来週、学識経験者や企業年金の専門家らをメンバーとする有識者会議を設置することになりました。

 AIJ投資顧問の問題では、資金運用を委託していた74の厚生年金基金のうち、31の基金で、国に代わって運用している公的年金を支給するのに必要な分まで積み立て金が不足しているほか、AIJ投資顧問に委託した資金が戻らなければ、さらに21の基金が積み立て不足におちいるなど、深刻な運営状況となっています。

 このため厚生労働省は、基金の運営状況を改善するための方策などを検討する有識者会議を、来週設置することになり、座長に横浜国立大学の山口修教授が就任するなど、企業の年金担当者や企業経営の専門家ら13人が委員に内定しました。

 有識者会議では、年金受給者を守るため厳しく設定されている保険料の引き上げや給付額の引き下げの条件や、基金を解散する条件の緩和が必要かどうか検討することにしています。

 また、厚生年金基金が、国に代わって公的年金の一部を運用して支給している今の制度の問題点や、資金運用の安全性を確保するための規制の強化策についても議論することにしています。

平成24年度~平成25年度後期高齢者医療制度の保険料率および平成24年度~平成26年度の介護保険の第1号保険料

後期高齢者医療制度

 後期高齢者医療制度における平成24年度及び平成25年度の保険料率について、各後期高齢者医療広域連合(以下「広域連合」という。)議会において決定されましたので、その結果を公表します。

  • 平成24年度及び平成25年度の保険料率について
     各広域連合における保険料率の改定によって、平成24-25年度の被保険者一人当たり平均保険料額は、全国平均で月額5,561円となる見込みです。(平成22-23年度の5,249円から、2年分で312円(5.9%)増加)。
  • 【平成24-25年度の全国平均保険料率】
    • 被保険者均等割額(年額):43,550円 (平成22-23年度:41,700円)
    • 所得割率:8.55% (平成22-23年度:7.88%)
       ※ 各広域連合は、平成23年度末までに生じる剰余金を合計約1,000億円(45広域連合)、財政安定化基金(国、都道府県及び広域連合(保険料)が3分の1ずつ拠出)を合計約1,000億円(41広域連合)、それぞれ活用することを見込んで、保険料率を決定しました。
       ※ 平成22-23年度の全国平均保険料額は、平成22年度の保険料率改定時に剰余金及び財政安定化基金を活用したことによって0.2%の増加(月額5,236円→5,249円)となったため、今回の改定では実質4年分の伸びが反映されることになりました。

介護保険料

 第5期(平成24年度~平成26年度)の介護保険の第1号保険料について、平成24年3月末時点の全国の市町村の動向をとりまとめましたので公表します。

  • 全国平均額(月額・加重平均)は 4,972円(第4期は4,160円)
  • 財政安定化基金取崩しによる保険者への交付予定額は全体で約550億円。これによる保険料(月額)軽減効果は52円。
  • 第5期介護保険事業計画におけるサービス量の見込みについては、在宅サービス、居住系サービス、施設サービスとも拡充

20万人に複数の基礎年金番号

 1人に一つずつ割り振られている基礎年金番号を複数持っている人が推計でおよそ20万人に上ることが29日、分かりました。

 日本年金機構が同日、厚生労働省の年金記録回復委員会の会合で報告しました。加入期間が短いとみなされ、年金受給額が減る可能性もあるため、同機構は対象者に手紙を送るなどして、照合作業を進めて、番号の重複を早急に解消する考えです。

 同機構の推計によると、番号を複数持つのは、受給者7万人、加入者13万人の計20万人。重複は全体の0・2%に当たります。20歳未満で就職して厚生年金に加入した人が、20歳の時点で厚生年金に加入していると申告しないで国民年金に加入したケースなどで重複が発生する場合があります。

後期高齢者医療、44都道府県で保険料上昇

 75歳以上が加入する後期高齢者医療制度で、2012~13年度の1人当たり平均保険料(年間見込み額)が、44都道府県で現(10~11年度)より上昇することが29日分かりました。前回10年度の保険料改定で剰余金や財政安定化基金を多めに取り崩した反動もあり、25都府県では5%以上の負担増となります。

 後期医療制度は都道府県単位の広域連合が運営し、2年ごとに保険料を改定します。12年度の75歳以上の医療費は、高齢化の進行と医療技術の高度化により全国で11年度比6%増の14兆2千億円。平均保険料が最も高いのは東京の9万4460円で7865円増。

改正労働者派遣法が成立

 派遣労働者の保護を目的とした改正労働者派遣法が28日午前の参院本会議で、民主、自民、公明3党などの賛成多数で可決、成立しました。

主要な改正点は、次のとおりです。

  1. 派遣労働者の待遇改善のため、派遣会社が派遣料金と賃金の差額の比率をインターネットなどで公開するよう義務づける。
  2. 雇用期間が30日以内の日雇い派遣に関しては原則禁止とする。 
  3. 派遣先企業が契約期間を超えて働かせるなど違法な派遣があった場合には、派遣先企業が直接雇用しているとみなし、社員に登用させる「みなし雇用制度」を法施行3年後に導入する。

保険料滞納、国税庁が初の強制徴収

 2012年3月22日、厚生労働省は年金保険料などを滞納している企業1社について、国税庁に強制徴収を委任しました。悪質な滞納者について、納付率を上げるため法改正により強制徴収の委任が可能になった2010年1月以降、国税庁が実際に強制徴収に乗り出すのは初めてとなります。問題となっている企業は、「滞納期間2年以上で、滞納額が1億円以上」という委任の要件を満たしているとのことです。

政府、国家公務員再任用を義務化方針 年金支給年齢上げ対応

 政府は21日、国家公務員の年金の支給開始年齢が65歳まで引き上げられるのに伴う雇用対策として、年金支給開始年齢まで希望者をフルタイム勤務で再任用するよう原則義務付ける方針をまとめました。一方で希望者の短期間勤務や早期退職を支援する措置も検討し、若年者の採用などへの影響を抑えるための対策を講じます。

 同日開かれた民主党の公務員制度改革に関するプロジェクトチームの会合で了承され、月内にも政府の国家公務員制度改革推進本部と行政改革実行本部で正式決定する予定です。

 現在の再任用は過去の勤務実績による選考があるほか、6割以上が短時間勤務となっています。フルタイムでの再任用の原則義務化は、60歳で退職した後も年金の受給まで収入を確保できるようにするためです。

 退職共済年金は基礎年金に当たる定額部分について、2001年度から段階的に支給年齢を引き上げています。13年度からは報酬比例部分の支給も3年ごとに1歳ずつ上げ、25年度は65歳となります。

 年金支給年齢の引き上げへの対応では、人事院が昨年9月に「定年を段階的に65歳までに引き上げることが適当」とする意見書を提出しました。

厚生年金で事業所調査へ 加入逃れ、半減目指す

 厚生労働省は21日、厚生年金への加入義務があるのに加入手続きをしない事業所について、3年以内に半減させる目標を定め、約175万カ所ある全ての対象事業所を4年に1度、調査する方針を決めました。

 同日の民主党厚生労働部門会議で示しました。厚労省はパートなど非正規労働者を2016年度から厚生年金、健康保険に加入しやすくする法案を今国会に提出しますが、加入逃れ事業所の把握を徹底し、加入拡大に備えます。

 保険料負担を逃れるため、国の指導を受けても加入手続きを怠る事業所は依然として多く、10年度末で少なくとも約11万カ所に上ります。

「労働契約法の一部を改正する法律案要綱」の答申について~有期労働契約の在り方について~

 厚労省の労働政策審議会は平成24年3月16日、諮問を受けていた「労働契約法の一部を改正する法律案要綱」を「おおむね妥当」として、厚生労働大臣に答申したということです。

 答申を踏まえ、厚労省では、開会中の通常国会に改正法案を提出する予定です。
※以下、厚労省サイトより抜粋※
【法律案要綱のポイント】

  1. 有期労働契約の期間の定めのない労働契約への転換
    有期労働契約が5年を超えて反復更新された場合(※1)は、労働者の申込みにより、無期労働契約(※2)に転換させる仕組みを導入する。
    (※1) 原則として、6か月以上の空白期間(クーリング期間)があるときは、前の契約期間を通算しない。
    (※2) 別段の定めがない限り、従前と同一の労働条件。
  2. 「雇止め法理」の法定化
    雇止め法理(判例法理)(※)を制定法化する。
    (※) 有期労働契約の反復更新により無期労働契約と実質的に異ならない状態で存在している場合、
    または有期労働契約の期間満了後の雇用継続につき、合理的期待が認められる場合には、
    解雇権濫用法理を類推して、雇止めを制限する法理。
  3. 期間の定めがあることによる不合理な労働条件の禁止
    有期契約労働者の労働条件が、期間の定めがあることにより無期契約労働者の労働条件と相違する場合、その相違は、職務の内容や配置の変更の範囲等を考慮して、不合理と認められるものであってはならないものとする。

※詳しくはこちらをご参照ください。

パートの社会保険拡大、医療費増を健保で分担 厚労省検討

 パート労働者への社会保険の適用拡大をめぐって、厚生労働省は高齢者医療費の拠出金などについて負担軽減策の導入を検討します。パートが多い外食や流通業などが対象で、拠出金の負担増の大半を健康保険組合などの加入者全員で肩代わりする枠組みとなります。大企業健保の負担が相対的に増えるのは明らかで、反対意見が出るのは確実です。

 政府・民主党は社会保障と税の一体改革で、45万人のパートを企業健保や厚生年金に加入させることを決めました。パートの加入で高齢者医療の拠出金や介護納付金が膨らみ、また、流通や外食の健保では医療負担が大幅医に増えるのは避けて通れません。

 このため、厚生労働省は2016年の4月の社会保険の適用拡大に合わせて軽減策を導入し、3月末に関連法案を今国会に提出する予定です。厚労省の検討案では月収が98,000円以下のパートについては負担を1~2割にとどめ、軽減された分は大企業の健保組合や協会けんぽ、公務員の共済組合の加入者が肩代わりします。大企業の健保の加入者は約3000万人で、一人当たり1000円の負担増が生じる予定です。大企業を中心に負担を迫られる健保の方が多いとみられます。この法案は2012年3月末に法案を提出します。

共済を厚生に統合-政府方針

 2012年3月15日、政府は厚生年金(会社員が加入)と共済年金(公務員らが加入)を一元化する時期について、消費税率10%への引き上げ時に合わせ15年10月とする方針を固めました。共済加入者を厚生年金に移したのち、共済年金は廃止になり、共済独自の仕組みである遺族年金の受給権が父母や孫に移る「転給」も廃止となるのことです。

 政府は4月上旬に被用者年金一元化法案として国会に提出する意向ですが、職域加算に代わる新たな制度については、引き続き検討するとして結論は先送りされています。民間の企業年金に相当する共済独自の上乗せ年金「職域加算」が廃止となる一方で、代替案作りの難航のため、新たな加算措置は同法案には含めずに先送りとなります。

 厚生、共済両年金の一元化は税と社会保障の一体改革大綱に盛り込まれており、収入が同じ会社員と公務員は、保険料・年金額も同一とすることが柱となっています。

 公的年金の保険料率は将来の固定化に向け、段階的な引き上げの途中ですが、現在は厚生年金が16.412%なのに対し、国家、地方公務員共済は15.862%、私立学校職員共済は12.938%と低くなっています。保険料率の違いがあるのにもかかわらず、共済年金は厚生年金と同じ給付水準で、更に月額2万円程度の職域加算も上乗せとなります。

 政府はこうした格差の是正に向け、2015年10月の制度の一元化後、共済年金の保険料率を厚生年金の上限にそろえることとしましたが、厚生年金の保険料率は2017年9月以降18.3%で固定されるのに対し、公務員共済の保険料率が18.3%への到達は2018年度、私学共済は27年度にずれ込みます。

雇用調整助成金などの支給要件が緩和されます

 厚労省によりますと、雇用調整助成金と中小企業緊急雇用安定助成金について、平成24年3月11日より東日本大震災で被災した事業主などへの支給要件が緩和されるということです。

 これらは、経済上の理由で事業活動の縮小を余儀なくされた事業主が、従業員を一時的に休業させた場合などに、手当てや賃金の一部を助成するものです。震災後、厚労省ではこれらの助成金により被災地での雇用維持を支援してきましたが、徐々に回復しているとは言え、震災前の状態までは生産量などが戻っていない事業主も多いと考えられます。そのため、事業主による雇用維持をいっそう支援する狙いから、現行の生産量要件を緩和し、より多くの事業主が助成金を受給できるようにしたということです。

※詳しくはこちらをご参照ください。

年金不正受給防止対策として所在不明者の届出を義務化

 厚生労働省は、年金受給者である高齢者が所在不明の場合に、同居
する家族に日本年金機構への届出を義務付ける方針を明らかにしました。

 これまでは死亡の場合にのみ届出が必要でしたが、不正受給を防止
するため3月にも改正案を国会に提出する考えです。
 
 また、年金過払い対策として、75歳未満の年金受給者に対し一定期間ごとに生存確認の届出を求めることも検討しています。

65歳までの再雇用義務づけを答申

 厚生労働相の労働政策審議会は23日、企業に対して希望者全員の65歳までの再雇用制度の導入を義務づけることなどを盛り込んだ高年齢者雇用安定法改正案の要綱を小宮山厚労相に答申しました。

 厚労省は3月に改正案を国会に提出し、2013年4月の施行を目指します。

 現在の高齢法では、企業が定年後に再雇用する人を、勤務評価などで選別する基準を設けることができるが、要綱ではこの規定を廃止するとしました。

低所得者の年金加算案など決定

厚生労働省は21日、社会保障と税の一体改革で行う年金制度改革について、所得が低い高齢者の年金額に、一律、月6000円を加算して支給することや、年収が850万円を超える高齢者の基礎年金を減額することなどを決めました。今国会に関連法案を提出し、消費税の10%への引き上げを想定する15年10月の実施を目指します。
年収850万円(控除後の所得550万円)を超える人から徐々に減らし、1300万円(同950万円)以上の人は国庫負担分全額をカットして給付を今の半額とする方針。
 減額対象は基礎年金の税財源部分(2分の1)。厚労省は当初、減額対象者を年収1000万円以上とする方針でしたが、高所得者には税を投入しない民主党の新年金制度案に合わせて減額対象を広げました。同省の推計では、減額対象となるのは24万3000人(受給権者の0.9%)。税財源部分全額が削減され、基礎年金が半額(実施時月額3万2000円を想定)となるのは8万1000人(同0.3%)。

新年金制度:最低保障年金、実質5.8万円 少子化で給付減

岡田克也副総理兼一体改革担当相は22日、衆院予算委員会の社会保障に関する集中審議で、民主党の新年金制度案も少子化の影響を免れず、現行制度と同様の給付抑制策を想定していることを明らかにしました。その結果、「月額7万円」と公約してきた最低保障年金の実質価値が、新制度下では5万8000円となることも政府は認めました。同案は既に大幅増税を要することや、中堅所得層の給付が減ることも判明しています。制度設計を放置したまま「抜本改革」をPRしてきたツケがここへきて噴き出し始めました。
岡田氏は「(低所得者の年金額を増やす)最低保障機能を強化するなどのメリットがある」と述べ、全額税による「7万円」の最低保障年金の意義を強調しました。ただ、マクロ経済スライド同様の給付抑制策を導入するため、新制度移行時の2065年度時点では実質価値が5万8000円に下がることを小宮山洋子厚生労働相らが示してもいます。

労政審、65歳までの雇用について法改正案要綱を了承

 2012年2月16日、厚生労働省は厚労相の諮問機関である労働政策審議会の部会に、企業に65歳までの継続雇用を求める高年齢者雇用安定法改正案の要綱を提出し、了承されました。労使の合意を前提に企業が再雇用に条件を付けることができる現行の例外規定について廃止としたことが柱となっています。年金の支給開始年齢の引き上げへの対応となっており、雇用確保を目指す狙いです。年金を受給できる年齢の人には現行の例外規定を適用してよいとする経過措置を設け、2013年度から12年かけて導入する予定です。

労政審、65歳までの雇用について法改正案要綱を了承

 2012年2月16日、厚生労働省は厚労相の諮問機関である労働政策審議会の部会に、企業に65歳までの継続雇用を求める高年齢者雇用安定法改正案の要綱を提出し、了承されました。労使の合意を前提に企業が再雇用に条件を付けることができる現行の例外規定について廃止としたことが柱となっています。年金の支給開始年齢の引き上げへの対応となっており、雇用確保を目指す狙いです。年金を受給できる年齢の人には現行の例外規定を適用してよいとする経過措置を設け、2013年度から12年かけて導入する予定です。

年金:加算、月6000円了承 低所得者対策、免除期間で上乗せ--社保審部会

 社会保障審議会年金部会(厚生労働相の諮問機関)は14日、社会保障と税の一体改革に盛り込んだ低所得者の年金加算について、一律で月6千円を加算する厚労省案を大筋で了承しました。さらに保険料を免除されている人は、免除期間に応じて上乗せ加算します。厚労省は3月までに詳細を詰め、法案を提出。消費税が10%になる2015年10月からの実施を目指します。

 年金加算の対象となるのは住民税の非課税世帯で、年金やその他の所得の合計が年77万円以下の約500万人。低所得者には一律で月6千円を加算する。そのうえで、現役時代に保険料の免除手続きをした人に対しては最大1万円強を加算します。

 厚労省は一律で月1万6千円を加算する案を打ち出していましたが、「未納者に加算するのはおかしい」との意見が出て、当初案を修正しました。保険料の納付実績に応じて追加加算する仕組みを作り、納付意欲が減退しないように配慮します。14日の年金部会でも「加算対象は免除者に限るべきだ」との意見は出ましたが、大筋で了承されました。

 一方、高所得者の基礎年金減額は、年収850万円以上の人から基礎年金を減らしはじめ、1300万円以上で国庫負担分(月3万2千円)を全額カットする民主党案を軸に検討することになりました。年金部会では1000万円以上の高所得者を減額対象とする案を支持する意見が出ましたが、厚労省は対象者を拡大する方向で調整します。

国民に「マイナンバー」― 共通番号法案を閣議決定 ―

 政府は2012年2月14日、国民一人一人に番号を付けて納税記録や社会保障情報を管理する共通番号「マイナンバー」制度を導入するための「個人識別番号法案」を閣議決定しました。政府は、平成26年6月に番号を交付し、27年1月の利用開始を目指します。番号制導入当初は、年金や税などの分野に限定するほか、個人情報の保護に配慮して行政組織などを監視する第三者機関の設置や、情報漏洩(ろうえい)に対する罰則を盛り込みました。

 番号制は、所得や社会保障の受給実態を把握し、個人や世帯の状況に応じた社会保障給付を実現することが目的です。納税の公平性・透明性を高めるため、政府が実施を求めてきました。このほか、年金の受給手続きの簡略化や、災害時の金融機関による被災者への保険金支払いなどにも活用できます。

 個人情報の流出や不正利用が懸念されていますが、政府から独立した第三者機関「個人番号情報保護委員会」が立ち入り検査などを行う強い権限を持つほか、情報漏洩した行政職員らに最高で4年以下の懲役、または200万円以下の罰金を科すとしました。

 政府は、社会保障と税の一体改革に関連し、番号制を消費税増税に伴う低所得者対策に活用することも検討しています。番号制を使って所得をより正確に把握することで、低所得者に所得税を払い戻したり、給付金を支給したりする「給付付き税額控除」の導入につなげたい考えです。

 ただ、内閣府が実施した世論調査では、8割以上が制度の内容を「知らない」と答え、周知の低さが浮き彫りになっています。

同じ職場で5年超、「無期雇用」転換義務づけ 労働契約法改正案

 同じ職場で5年を超えて働く有期契約のパートや派遣社員を契約期間を限定しない「無期雇用」に転換するよう義務づける政府の労働契約法改正案の概要が7日、分かりました。改正内容の一部について施行を公布から1年以内とし、猶予期間を置く方向を示したのが柱。雇用の固定化により負担増となる企業側に配慮しました。

 非正規労働者の増加に歯止めをかけ、雇用を安定化させるのが狙いです。労働基準法は有期雇用について、1回の契約で働ける年数を原則3年以内と定めているが、契約更新を重ねた場合の上限規定はありません。

 このため、実際には契約更新を繰り返し、正社員と同様の仕事をさせる例も多く、有期契約労働者側から処遇に対する不満や雇い止めの懸念を指摘する声が上がっていました。

 改正案は、有期雇用の通算期間の上限を「5年」に設定します。通算期間がこれを超えれば、労働者の申し出により、企業は同じ労働条件で無期雇用への転換を認めなければならない規定を盛り込みました。

 連続する有期契約の間に6カ月(直前の契約期間が1年未満ならその2分の1の期間)以上の空白(クーリング)期間があった場合は、通算期間がそこで一度リセットされ、クーリング期間後から積み上げをやり直さなければなりません。

 有期雇用の更新についても、勤務実態が無期雇用者と同じだったり、雇用が続くと労働者に期待させていたりした場合は、合理的な理由がなければ会社側は拒否できない規定を設けるということです。

 平成22年の統計によると、役員を除く全産業の雇用者約5111万人のうち、非正規労働者は3割の約1756万人となっています。さらに非正規労働者の7割近い約1200万人が雇用契約に期限がある有期契約労働者となっており、処遇改善が課題となっています。

 ただ、経済情勢に応じて有期雇用を調整する企業にとって雇用の固定化は負担増につながります。法改正により、契約満了前に雇用を打ち切る「雇い止め」がかえって増えるとの指摘も出ています。

消費税:社会保障強化に1.4兆円 大半、制度維持に充当--8%時の使途

 税と社会保障の一体改革で、政府が14年4月に消費税率を8%に引き上げる際の使途の大枠が7日、わかりました。子育て支援や在宅介護の充実など社会保障機能の強化には、増税分3%のうち0・5%分程度(1・3兆~1・4兆円)を振り向けます。増税に伴う増収8兆円の大半は、高齢化に伴う社会保障の自然増や基礎年金国庫負担など、現行制度を維持するために使うということです。

政府・与党は消費税を14年4月に8%、15年10月に10%に引き上げ、社会保障費に充てる方針です。10%に引き上げた場合の使途は公表済みで、社会保障充実に1%分(2・7兆円)を充てます。8%時には、その半分を社会保障の強化に充てると明確にすることで、増税への理解を得る考えです。

増税分の残りのうち、基礎年金の50%国庫負担を維持するために2・9兆円を充当します。このうち0・3兆円は、12~13年度の基礎年金の財源を賄うため発行する交付国債の償還財源にします。現在は赤字国債で賄っている社会保障費の穴埋めにも3・6兆円程度を充てるということです。消費増税で政府の社会保障支出も増えるため、3・6兆円とは別に、0・1兆円程度を振り向ける方針です。ただ、15年度以降は増税に伴う物価上昇の影響で年金支給額も増えることなどから、支出増は消費税が10%となる段階で0・8兆円程度まで膨らむ見通しです。

社会保障費の強化では、①保育所の増設などの保育サービス充実②在宅医療・介護の支援体制強化③低所得者の医療・介護保険料軽減④低所得高齢者の年金加算を14年4月から部分実施します。政府・民主党は国民の理解を得るために先行実施する政策を増やしたい考えで、詳細は今後詰めるということです。

国民年金保険料:2年分の前払いにより4%割引

 2012年2月6日、厚生労働省は、国民年金保険料の2年分の前払いで保険料を4・0%割り引く案を社会保障審議会年金部会に示しました。国民年金保険料の納付率を引き上げ、将来無年金となる人を減らすのが狙いです。法改正の必要はなく、早ければ平成24年度から実施する見通しです。

 現在の国民年金保険料の前納制度は1カ月、6カ月、1年の3種類で、割引率はそれぞれ0・3%、1・1%、2・1%。23年度の保険料(月額1万5020円)で試算した場合、1年分の17万6460円を前払いした場合でも割引額は3780円にとどまります。新たに前払いを2年分まで拡大すると、34万6140円を一括納付することとなりますが、割引額は1万4340円に増額となります。

 前納制度の拡充は、現在25年の受給資格期間を10年に短縮するなど社会保障と税の一体改革で無年金者を減らす政策を進めたことが大きく関わっています。厚労省はすでに無年金となっている65歳以上の高齢者についても法改正後、過去に10年以上の納付期間があれば年金を支給する方針で、これによって無年金者42万人のうち17万人が年金を受給できるようになります。

 国民年金保険料納付率は5年連続で低下しており、22年度は制度開始以来最低の59・3%でした。20代前半が49・2%、20代後半が46・6%-と若い世代ほど納付率が低いのが特徴。厚労省は割引制度拡充による納付率アップを期待するが、雇用悪化を受け、保険料を払いたくても払えない若年層も少なくなく、効果は限定的となる見込みです。

年金、6月支給分から0.3%減額 物価指数下落を受け

 厚生労働省は2012年1月27日、国民年金や厚生年金など公的年金の支給額を4月分(6月支給)から0.3%引き下げると発表しました。消費者物価指数の昨年の下落幅が固まったのを受け、年金額を調整します。引き下げは2年連続となります。これと別に、過去の物価下落時に据え置かれた分も3年かけて引き下げる方針で、今国会で関連法案が成立すれば10月分から実施されます。

 公的年金には、毎年の物価の上昇や下落に合わせて、翌年度の支給額を増減させる仕組みがあります。総務省が27日公表した2011年平均の全国消費者物価指数(生鮮食品を含む総合指数)は、前年比マイナス0.3%です。これを受けて12年度は、国民年金(満額で月6万5741円)の人の場合は月200円、厚生年金の専業主婦のいる標準的な世帯(月23万1648円)の人の場合は月708円の減額となります。
 
 また、政府は過去の物価下落時に特例的に据え置いた年金額を本来の水準に戻すための関連法案を通常国会に提出する予定です。成立すれば、10月分(12月支給)からさらに0.9%引き下げられることになります。

 一方、12年度の国民年金の保険料は、近年の物価や賃金の下落を反映して11年度より40円引き下げられ、月1万4980円になります。

国民年金保険料の追納、10月1日から 年金確保支援法を施行へ

政府は20日、国民年金の加入者が未納保険料を追納できる年金確保支援法の施行日を10月1日にすることを閣議決定しました。
未納になっていた保険料は、現行の過去2年間から10年前までさかのぼって納付できるようになります。
3年間の時限措置で、2015年9月末まで追納ができます。年金確保支援法は、保険料の未納で低年金や無年金になる人を救済する目的で、昨年8月に法案が成立しました。
現行制度では、追納は2年しか認められていない。厚生労働省によると、追納期間を10年に延長すると、最大1600万人の年金額が増えるほか、最大40万人が無年金にならずにすむ可能性があるといういいます。
今回決まったのは法律の施行日のみです。厚労省は具体的な手続き方法はまだ決まっておらず、近く確定し周知する方針です。

国年保険料、平成24年度は40円引下げへ

 厚生労働省は、平成24年度における国民年金保険料について、今年度
より月額で40円引き下げ、1万4,980円とすることを決定しました。
 保険料は、2年連続の引下げになりますが、年金支給額も2年連続で4月分から0.3%下がる見通しです。

後期高齢者医療制度 保険料上限を引上げに

 政府は、75歳以上の人が対象の後期高齢者医療制度に関して、今年
4月から、保険料の上限を現行の「年50万円」から「年55万円」に引き
上げるため、政令を改正しました。中低所得者層の保険料上昇を抑えるの
がねらいになります。

遺族基礎年金 父子家庭に給付検討

 厚生労働省は、公的年金加入者が死亡した際に遺族に支給される遺族年金制度に関し、父子家庭への給付拡充の検討に入りました。現在、母子家庭は遺族基礎年金と遺族厚生年金の両方を受給できるが、父子家庭が受給できるのは、遺族厚生年金のみになっています。所得の低い父子家庭も少なくないため、同省は母子家庭に合わせる必要があると判断しました。早ければ今年の通常国会に法案を提出します。

年金負担財源 交付国債で調整

 政府は20日、国の来年度予算案の焦点となっている基礎年金の国庫負担割合を2分の1に維持するための財源について、赤字国債の発行が難しいことから、不足分の2.6兆円に交付国債を充てることを決めました。交付国債は新規国債の発行額には含まれず、基礎年金国庫負担の財源が一般会計に計上されない異例の決着となります。この結果、「新規国債発行約44兆円以下」という政府の財政健全化目標は見かけ上維持されます。

 2.6兆円分の財源をめぐっては、厚生労働省が将来の消費増税で返済する「つなぎ国債」の発行を主張する一方、財務省は保険料を原資に将来の給付に備える年金積立金の取り崩しを求めて対立。最終的に交付国債で手当てする案を財務省が出し、両省が調整していました。

雇用保険料率1.0%に引き下げ

 厚生労働相の諮問機関である労働政策審議会の雇用保険部会は20日、労使が折半して負担している雇用保険の保険料について負担を軽減するため、来年度から保険料率を今より0.2ポイント引き下げ賃金の1%とすることを決めました。

 雇用保険の保険料は、仕事を失った人に支給される失業給付の財源となっていて、国庫負担のほかに労使双方が賃金の1.2%分の保険料を折半して支払っています。

 雇用保険の積立金は来年3月の時点で4兆3000億円に上る見通しで、政府の行政刷新会議による政策仕分けで保険料の引き下げを検討すべきだと指摘されていました。このため保険料率を引き下げても失業給付の財源を確保できると判断し、保険料率を今より0.2ポイント引き下げ、賃金の1%とすることを決めました。
これによって、労使の負担はそれぞれ0.5%ずつとなり、例えば月収が30万円の人の場合、保険料負担はひと月で1500円と、今より300円安くなります。厚生労働省は省令を改正し来年4月から保険料率を引き下げることにしています。

年金、12年10月から物価下落分を反映 社会保障改革案を決定

 政府は2012年12月20日、年内をメドにまとめる社会保障と税の一体改革素案のうち、社会保障改革案を決めました。過去の特例措置で支給額が本来の水準より高くなっている年金は、来年10月分(12月支給)から減額して、本来の支給水準に戻すことを明記しました。外来患者に受診1回あたり100円の追加負担を求める制度の導入など、一部の負担増となる改革は民主党の意向で見送りました。

 16日に民主党の社会保障と税の一体改革調査会(細川律夫会長)が社会保障改革の内容を固めたことを受け、厚生労働、財務など関係5大臣が会合を開き、政府の社会保障改革の素案骨子を決めました。20日からは消費税の引き上げ時期など税制論議を本格化させます。

 年金は物価変動に合わせて支給すると法律で決まっていますが、特例を設けて物価下落分を反映していない時期があったため、現在の支給額は本来より2.5%多くなっています。支給額は2014年度までに本来の水準に戻すということです。ただ、これまで過剰に支払った分は減額しません。

 社会保障改革の多くは消費税の引き上げと同時に実施します。基礎年金の平均年額に達しない年収65万円未満の高齢者には、年金を月額1万6千円加算します。幼稚園と保育園を一体化して「こども園」をつくり、若い世代の子育て支援を拡充を狙います。

 一方、高額医療の患者負担軽減策の財源として想定していた100円の追加負担は、民主党の反対が強く盛り込まれませんでした。このため、高額医療の負担軽減は規模を縮小し、年収300万円以下の人を対象にします。70~74歳の医療費の窓口負担割合を1割から2割に引き上げることも民主党の反対が強く、来年度は実施しない方針です。

労災保険率の引下げ・メリット制適用対象の拡大案、労働政策審議会「妥当」

 厚生労働省は、労働政策審議会が、2011年12月15日、労災保険率の引下げやメリット制の適用対象の拡大などを内容とする厚生労働省の改正省令案を「妥当」とし、小宮山洋子厚生労働大臣に答申したことを発表しました。

 大臣は、2011年12月5日、労災保険率を現行より平均で0.6/1,000引き下げることなどを労働政策審議会に諮問していました。答申を踏まえ、厚生労働省は、速やかに省令の改正に向けた作業を行い、平成24年4月1日に改正省令を施行する予定としています。

  • 改正案
    • 【労災保険率の改正案】
      • 労災保険率を、平成24 年4月1日から平均で5.4/1,000 から4.8/1,000 へ、0.6/1,000 引下げ
      • 引下げ:35 業種 据置き:12 業種 引上げ:8業種
      • 最低(金融業・保険業など)2.5/1,000~最高(トンネル新設事業など)89/1,000
  • 【メリット制の適用対象を拡大】
    建設業と林業で、メリット制の適用要件である確定保険料の額を、現行の「100万円以上」から「40 万円以上」に緩和。適用対象を拡大。
    これにより、事業主の災害防止努力により労災保険料が割引となる事業場が増えることが予想される。

労災「特別加入者」の補償範囲拡大方針、審議会は「妥当」

 厚生労働省は、諮問機関である労働政策審議会が、2011年12月15日、労災保険の「特別加入者」の補償範囲を拡大する方向での厚生労働省の見直し方針を「妥当」とし、小宮山洋子厚生労働大臣に答申したことを発表しました。

 これは、東日本大震災の復旧・復興作業で主要な役割を果たすと想定される建設業の「一人親方」が、作業中に被った災害について適切な補償が受けられるようにすることを目的とするものです。

 特別加入者が作業中に被った災害について保険給付が受けられるのは、「労働者災害補償保険法施行規則」に規定する事業において想定される作業を行う場合に限りますが、復旧・復興作業では、建設業において通常想定されない作業が必要な場合があります。

 これをうけて、小宮山厚生労働大臣は、特別加入した建設業の一人親方が、これらの作業に従事した際に被った災害についても労災保険による補償の対象とするとして改正省令案要綱を、労働政策審議会に諮問していました。

 厚生労働省では改正省令を平成24年1月1日に施行する予定としています。

65歳雇用義務化 法案2012年提出へ

 小宮山厚生労働大臣は、NHKの日曜討論で、年金の支給開始年齢が65歳まで引き上げられるのを受けて、企業に対し、希望する人、全員を65歳まで雇用するよう義務づける法案を、来年の通常国会に提出したいという考えを示しました。

 厚生労働省は、厚生年金の支給開始年齢が再来年から段階的に65歳まで引き上げられるのを受けて、企業に対し、希望する人、全員を65歳まで雇用するよう義務づけるべきだという方針を、先週、労働政策審議会の部会に示しています。これについて小宮山厚生労働大臣は、「これまでも、企業に対して雇用を確保するよう働きかけてきたが、結局進んでいないのが現状だ。雇用と年金がつながらないと生活ができないので、義務づける必要があり、次の通常国会に高齢者の雇用を確保する法案を提出したい」と述べ、来年の通常国会に関連法案を提出したいという考えを示しました。

 また、小宮山大臣は、暫定的に1割に据え置かれている、70歳以上75歳未満の医療費の窓口負担について、「来年度は2割負担に戻すことを見送ったが、再来年度には、きちんとやる方向にすべきだ」と述べ、再来年度以降は、法律で定められている2割に引き上げたいという考えを示しました。

年金財源に交付国債案 消費増税まで「つなぎ」 財務省

 12年度予算編成で、基礎年金で国が負担するうちの2.6兆円分を「交付国債」でまかなう案を財務省が厚生労働省に対して示しました。交付国債で賄う場合、2.6兆円は歳出に計上されないため、12年度の一般会計総額は約90兆円となり6年ぶりに当初予算が前年度を下回ることになります。消費増税までの「つなぎ財源」として考えているようです。 この法案が通った場合、財政健全化目標である「国債44兆円枠」は維持できる見通しです。

 財務省はこれまで、基礎年金の国庫負担割合を今の50%から36.5%に引き下げるよう主張してきました。年金の給付水準を下げないため、引き下げ分の2.6兆円は、年金保険料をためている年金特別会計の積立金から出すよう求めてきました。

 ただ、財源の裏付けの無い国債発行は好ましくないため、財務省は国庫負担率を予算案段階で36.5%に引き下げ、消費増税法案が成立するまでの間は年金特会の積立金を取り崩す「2段階方式」を主張しています。一方、厚労省は「積立金を取り崩せば年金財政への信頼が損なわれる」として、あくまで国債発行によって差額を穴埋めするよう求めています。

 交付国債の償還財源には、将来の消費増税による増収分を充てる予定です。財政規律を維持する姿勢を示しながら、年金財政を実質的に国庫で支援するという、異例の手法を検討することになります。

 交付国債を活用すれば、厚労省は年金財政を悪化させずに済む一方で、財務省は国債発行額を抑制することができるため、妥協案として浮上してきた模様ですが、市場から「見かけ上の国債発行額を減らす粉飾行為」との批判を浴びる恐れもあり、政府は、交付国債の換金は消費増税法案の成立を条件とすることも検討している模様です。

3月から日本・スイス社会保障協定の発効

  これまで,日本の企業等からスイスに一時派遣される被用者等(企業駐在員等)には,日本とスイス両国の年金制度及び医療保険制度への加入が義務付けられるために,社会保険料を二重に支払わなければならないという問題や,相手国の年金制度への加入期間が短いために,年金の受給に必要な期間を満たさず,年金を受給できないという問題が生じていました。この協定は,これらの問題の解決を目的とするものです。
 
 この協定の締結により,派遣期間が5年以内の一時派遣被用者等は,原則として,派遣元国の年金制度及び医療保険制度にのみ加入することになるほか,両国での保険期間を通算してそれぞれの国における年金の受給権を確立できることになります。これにより,企業及び企業駐在員等の社会保険料負担が軽減され,両国間の人的交流及び経済交流が一層促進されることが期待されています。

 参考〉これまでに発効及び発効が確定している社会保障協定の相手国は、ドイツ、英国、韓国、アメリカ、ベルギー、フランス、カナダ、オーストラリア、オランダ、チェコ、スペイン、アイルランド及びブラジルであり、スイスは、これらに続く、14番目の社会保障協定の相手国となります。

3月から日本・ブラジル社会保障協定の発効

 厚生労働省は7日、日本とブラジルの社会保障協定の発効手続きが終わり、来年3月1日から発効すると発表しました。企業の駐在員らが両国の年金制度に同時加入する義務がなくなり、保険料の二重払いや、相手国での加入期間が足りず年金を受給できない不利益が解消します。

 駐在期間の見込みが5年以内の場合は、元の年金制度への加入を継続し、5年を超える場合は相手国の制度に一時加入。両国での加入期間が通算されるようになります。
 ブラジルでは年金保険料の事業主負担が20%。企業と社員の負担解消により、経済交流の促進が期待されます。

時効後の保険料収納で過払い=年金減額など対応策検討―厚労省

 厚生労働省の調査で、8日までに、2年間の納付期限を過ぎて時効となった国民年金保険料について、旧社会保険事務所(現・年金事務所)が本来は収納できないのに「期限内に支払いがあった」とみなして収納していたケースがあることがわかりました。結果的に年金を払い過ぎているケースがあることから、対応策の検討に入りました。同省は該当する人に時効分の保険料を返還する一方、年金を減額するなど対応策の検討を始めました。

 旧社会保険庁は、こうした「時効後収納」のケースを「期限内に納付したのと同じ扱い」とする異例の措置を内部で決め、厚労省も追認してきました。

改正派遣法案、次期国会で成立へ

 短期派遣の禁止などを定める改正労働者派遣法案は7日、民主、自民、公明による修正を経て衆院厚生労働委員会で可決されました。当初の法案に盛り込まれていた製造業派遣などを禁じる規定は削除されました。8日の衆院本会議で可決される見通しです。ただし会期末を控え参院の審議日程は厳しく、成立は来年の通常国会に持ち越される可能性が高いと思われます。

 改正法案では、派遣労働者の処遇の改善を目指し、法の名称と目的に「派遣労働者の保護」を明記します。細切れな雇用を減らすために、30日以内の雇用契約で働く短期派遣を原則禁止するほか、派遣会社に、派遣料金と派遣社員の賃金の差額の比率を公開するよう義務づけます。

国民年金保険料の納付率が発表されました

 平成23年9月現在(平成23年4月~8月)の国民年金保険料の納付率が厚生労働省HPの報道・広報のページに掲載されました。

被用者年金の一元化要求:社保審部会が改革骨子

 厚生労働省は1日午前の社会保障審議会年金部会(部会長・神野直彦東大名誉教授)で、税と社会保障の一体改革に関する論点整理案を提示し、サラリーマンが加入する厚生年金と公務員の共済年金を一元化することなどを求めた報告書の骨子案を専門部会に示しました。

 骨子案によりますと、優先的に検討すべき事項として厚生年金と共済年金の一元化を挙げ、共済年金だけに上乗せして支給される職域加算を廃止することなどを求めています。また、年金の支給額については、本来の水準よりも2.5%高くなっている特例を解消することも盛り込んでいます。一方、低年金、無年金者への対策としては、年金に一定額を加算することや受給資格を得る期間を現行の25年から10年に短縮することなども挙げています。厚労省はこれらの見直し案について、来年の通常国会への法案提出に向けて検討を進める方針です。

厚生年金パートに拡大、激変緩和条件に…民主案

 「社会保障・税一体改革大綱」の具体化に向け、民主党の年金、医療・介護、生活保護の各作業チームは2011年11月29日、それぞれ報告書案をまとめました。

 年金では、パートやフリーターら短時間労働者に厚生年金の適用を拡大するよう求めたほか、年金の給付額が本来より2・5%高くなっている「特例水準」の解消に取り組む考えを示しました。報告書案は、政府・与党が年末に策定する大綱のたたき台で、社会保障の安定財源を確保する消費税率10%への引き上げの前提となる施策と位置付けられています。

 報告書案は30日の党厚生労働部門会議に示され、12月中の大綱策定に向けて党内議論が本格化します。党執行部は消費税増税に備え、負担増や給付抑制につながる見直しにさらに踏み込むよう求める可能性もあります。

 厚生年金の適用拡大は、将来の低年金者や無年金者を減らす狙いがあります。労働時間が「週30時間程度以上」の場合に加入できる現行制度を見直し、「週20時間以上」に広げる方向です。これにより、約400万人が加入する見込みです。

 ただ、パートらが多い小売業などでは適用拡大により保険料負担が新たに発生することに慎重論が多く、報告書案もこれらの業界を念頭に「激変緩和措置」を講じるよう求めました。

年金減額を容認 民主作業チーム、3~5年かけ  ― 部門会議報告案 ―

 民主党厚生労働部門会議の作業チームは2011年11月29日、「社会保障と税の一体改革」で実施する年金、医療などの改革に関する報告案をまとめました。過去の物価下落を反映していない現在の年金給付を、来年度から3~5年かけて本来の水準まで減額する方針を盛り込みました。外来患者に1回100円の定額追加負担を求める案には「反対意見が多数」と明記。これを財源に実施予定だった長期療養患者の負担軽減は規模を縮小する方向で再検討を求めました。

 30日の厚労部門会議の了承を経て、党の社会保障と税の一体改革調査会(細川律夫会長)に報告します。調査会で最終調整した上で、政府・与党の一体改革大綱に反映させる方向です。

 公的年金は過去の物価下落時に支給水準を下げなかった時期があるため、現在の受給者は本来より2.5%多く受け取っています。年金作業チームは累計で約7兆円の過剰支給になっているこの「特例水準」について「解消に向けて踏み出すべきだ」と減額を容認する見解を盛り込みました。

 ただ年金生活の高齢者に配慮し、減額は3~5年で段階的に進めるよう求めています。2012年度の年金額は今年の物価下落に連動し0.2~0.3%程度引き下げられることが確実な情勢。これに加えて特例水準を解消すると、減額幅は年1%を超える可能性があるからです。

 政府の行政刷新会議は「次世代に負担を先送りすべきでない」として年金減額を提言。小宮山洋子厚労相は12年度から3年間かけて特例を解消する意向を表明していました。

 厚生年金に加入するパート労働者の範囲拡大については、対象を週30時間以上働く人から週20時間以上に広げて約400万人を新たに加入させる政府案を認めたものの、移行期間など激変緩和措置を設けるよう求めました。

また妻を亡くした父子家庭にも遺族基礎年金を支給し、同制度の男女格差をなくすよう来年度の法改正を求めました。

 医療では、70~74歳の高齢者の窓口負担を1割から2割に引き上げる案について「当面、個々人の負担が増加しないように配慮する」と提言。来年度の実施見送りを求めました。また来年度の診療報酬改定については、薬価の引き下げ分を加味した診療報酬全体で引き上げるよう求めました。

 外来医療の定額追加負担は、長期治療の患者の医療費負担を軽減する財源づくりが狙いでした。厚労省は年収200万~600万円の患者の負担の月額上限を引き下げ、年間上限額も新設する計画でしたが、約3600億円の財源が必要になります。定額負担を見送れば財源がなくなるため、民主党の作業チームは負担軽減の対象を年収300万円以下の人などに限定し、財源を再検討します。

「年金減額 来年度から」、厚労相

 政府の行政刷新会議は、23日、「提言型政策仕分け」の最終日となる4日目の討議をし、過去の特例措置で本来より高くなっている年金の支給水準を、来年度から引き下げるべきだなどとする提言をまとめました。

 ただ、すでに受け取っている人の年金を減額することになるだけに、民主党内には慎重な意見も根強く、調整は難航することも予想されます。

 政府の行政刷新会議による「政策仕分け」は、23日、物価の変動などに合わせて調整される年金の支給水準が、過去の特例措置の影響で、本来より2.5%高いままになっていることについて、「払い過ぎた額は累積で7兆円にも上り、若い世代の年金額に影響を与えてしまう」といった指摘も踏まえ、来年度から支給水準を引き下げるべきだなどとする提言をまとめました。

 特例水準を解消すると、基礎年金を満額で月額およそ6万6000円受給している人で月に1600円程度、夫婦2人分の標準的な額であるおよそ23万円の厚生年金を受給している場合、月に5700円程度減額されることになります。提言を受けて、厚生労働省は、特例水準の解消に向けて、今後、社会保障審議会の部会で検討するとともに、与党側とも調整することにしています。

 しかし、22日に開かれた民主党の会合で特例水準の解消を求める声が出た一方、「消費税率の引き上げとともに負担を求めることはできない」といった意見が出されるなど、党内には慎重な意見も根強く、調整は難航することも予想されます。

主婦の年金救済法案 国会提出

 政府は22日、主婦年金追納法案を閣議決定しました。夫が自営業に転職した場合などで、国民年金への切り替えを忘れ、年金保険料が未納になっている主婦を救済するのが目的で、過去10年間の保険料を追納できる特別措置を盛り込みました。

 救済策は、受給額などの大幅な変更を避けるため、未払いの保険料について、3年間に限り対応します。未納期間があるのに、本来より多い年金をもらっている受給者については、過払い額の返還は求めません。高齢者の生活に配慮する必要があると判断しました。

 政府は臨時国会での成立を目指します。ただ、法案の内容は資格を正しく変更してきた主婦から見れば、不公平感が残る内容となっています。野党も反発しており、法案成立までには曲折が予想されます。小宮山洋子厚生労働相は22日の閣議後の記者会見で、「切り替え忘れが発生したのは、行政の取り組みが十分でなかった面がある」と述べ、特別措置を講じることについて理解を求めました。

 年金記録を管理する日本年金機構のシステム改修に時間がかかるため、追納は法律の公布から2年後になる見通しです。未納期間については、年金がもらえる受給資格期間に算入します。将来、無年金者が発生するのを避ける狙いがあります。

国民健康保険料、低所得層の軽減範囲拡大―厚労省

 2011年11月21日、厚労省は市町村運営の国民健康保険(市町村国保)について、低所得者向け保険料軽減の対象者を現行より所得の高い層まで拡大する方針を固めました。公費の投入を増やすことや、財政運営を都道府県単位化の推進をすることで財源を賄うとのことです。

厚労省は市町村国保が、加入者の所得が低く、巨額の赤字であること等、構造上の課題があるため、低所得者支援の拡充と財政基盤の強化を一体的に進める方針です。

配偶者控除、廃止見送りへ=12年度税制改正-政府税調

 政府税制調査会は2011年11月16日、2012年度税制改正に関し、厚生労働省が要望している配偶者控除の廃止・縮小を見送る方向で調整に入りました。社会保障と税の一体改革に伴う税制抜本改革の議論の中で、13年度以降の実施を改めて検討します。

 配偶者控除は、民主党が09年衆院選のマニフェスト(政権公約)で子ども手当の財源確保のために廃止を打ち出しました。しかし、党内で反対論が根強いことに加え、消費増税の議論本格化を控えている事情もあり、先送りはやむを得ないと判断しました。五十嵐文彦財務副大臣は、この日の税調会合後の記者会見で「少し時間を取って根本的な議論を進めたい」と話しました。

労働者派遣法改正案の修正容認―連合会長

 日本労働組合総連合会(略称:連合)の古賀伸明会長は2011年11月17日の記者会見で、労働者派遣法改正案をめぐり民主・自民・公明3党が「製造業派遣」と「登録型派遣」の原則禁止などについての修正方針を固めたことについて法案を成立させるためには修正を容認せざるをえないという考えを示しました。

 修正案は早ければ今国会で成立する見通しですが、「製造業派遣」と「登録型派遣」の原則禁止についても今後の検討事項には残っている状態となっています。「製造業派遣」の禁止は民主党マニフェスト(政権公約)になっているため、民主党内でも不満が残っている状態です。

年金通帳の配布見送りへ 厚労省案、ネット閲覧で代替

 厚生労働省は、日本年金機構が運営するウェブサイトで、みずからの年金記録の確認や、将来受け取れる年金額の試算を、通帳に見立てた画面で確認できるようにする代わりに、民主党が目指していた「年金通帳」の交付は見送る方針を、16日に開かれた有識者の検討会に示しました。

 16日午前に開かれた有識者の検討会で厚労省が明らかにしました。登録すれば、ネット上で保険料の納付実績や将来もらえる年金の見込み額を閲覧できる現行の「ねんきんネット」を衣替えし、「e(イー)―年金通帳」(仮称)とします。ネットを利用できない人などの希望者には、市町村の窓口や郵便局で印字したものを渡す予定。導入にかかる費用は数億円程度で、2013年度中の実現を目指します。

 年金通帳の構想は、旧社会保険庁のずさんな記録管理問題を受けて、民主党が信頼回復策として発案。加入者が自分の年金に関する情報を全国の金融機関の現金自動出入機(ATM)で記帳できる仕組みを想定し、09年の衆院選の政権公約では、全ての加入者に交付するとしていました。

 ところが、政権交代後も苦しい財政事情のもとで具体化が進まず、この夏以降も、厚労省の検討会でATMを設置する関連業界に意見を求めましたが、「膨大な費用がかかり、現実的ではない」(全国銀行協会)と相手にされませんでした。

 また、毎年封書で郵送している「ねんきん定期便」についても、今後、はがきにしたり、郵送の回数を減らしたりして、コストの削減を図る方針です。

労働者派遣法改正案、製造業派遣禁止案削除など大筋合意

 2011年11月14日までに、民主・自民・公明3党は派遣労働者への不当な処遇の防止のための「労働者派遣法改正案」について、仕事が発生した時だけ契約を結ぶ「登録型派遣」や、「製造業派遣」の原則禁止を削除する等の修正で大筋の合意をしました。

 派遣法改正案は登録型派遣や製造業派遣を原則として禁止、また、違法派遣があった場合、派遣先企業が労働者に労働契約を申し込んでいたものとみなす「みなし雇用制度」を導入し、2カ月以内の日雇い派遣も原則禁止としました。

主婦年金、過払い分の返還求めず 政府方針決定

 国民年金の資格変更を忘れた専業主婦の年金問題で、政府・民主党は2011年11月1日、本来より多く年金をもらっている受給者に対し、過払い分の返還を求めない方針を決めました。一定の所得がある人に対し、返還を求める厚生労働省案は見送りました。政府は早ければ来週にも国民年金法改正案を閣議決定し、臨時国会に提出します。 会社員を夫に持つ専業主婦は国民年金保険料を納める必要はありませんが、夫が退職すると、資格を変更し、保険料を納める必要があります。この手続きを忘れ、保険料が未納になっている主婦が多数発覚し、政府と民主党は対応策を協議してきました。特に誤った資格に基づいて年金が支払われ、過払い状態にある人に返還を請求するかが焦点でした。

 厚労省による当初案では過払い分について、時効にかからない5年分の返還を求めることを盛り込んでいました。さらに返還請求額は、支給額の1割以内としていました。

 しかし、低所得者に配慮すべきだとの民主党の意向を受け、厚労省は高齢女性の4割が該当する住民税非課税世帯を返還対象から外す案を再び提示していました。1日に開いた民主党厚生労働部門会議ではこの厚労省案を見送り、返還を一切求めないことを了承しました。政府も民主党の決定に従って法案を作成します。これから受け取る年金については正しい額を支給するため、将来分の年金は減額します。

 ただ、保険料を忘れずに納めてきた主婦から「不公平」との批判が出るのは必至です。1日の閣議後の記者会見で、小宮山洋子厚労相は「どういう形であっても公平でない部分が残る難しい問題だ」と述べました。

介護保険 現役世代・高所得者の負担増検討

 高齢化によって増え続ける介護費用を確保しようと、厚生労働省は30日、40歳から64歳までの現役世代が支払う介護保険料について、年収が高い人ほど負担を重くする新たな制度の検討を始めました。制度を導入した際の試算をまとめたところ、2012年4月以降、大企業のサラリーマンの保険料は900円増えて月額5800円に、一方、中小企業では、900円減って4000円となります。制度の導入によって、およそ1300億円の財源が確保できる見通しだということです。厚生労働省は、確保した財源を人手不足が深刻な介護職員の処遇改善につなげたいとしていて、31日開かれる審議会にこの試算を示し、今後、議論が本格化することになります。

 また、一定以上の所得がある高齢者を念頭に、介護保険サービスの利用者負担を引き上げる方向で検討に入りました。利用者は現在、サービスにかかった費用の1割を負担していますが、経済的に余裕のある高齢者については2割に引き上げる方針です。同省は近く開かれる社会保障審議会(厚労相の諮問機関)の介護保険部会に具体案を提示しました。早ければ2012年の次期通常国会に関連法案を提出し、2012年度からの実施を目指す予定です。

過払い返還求めず…専業主婦年金

 専業主婦が受け取る年金の議論が激しさを増しています。

 国民年金の切り替え手続きをしなかった専業主婦の保険料未納問題で、政府は29日、本来より多く年金を受給している5万3000人に対し、過払い分の返還を求めない方針を固めました。高齢者への配慮を求めた民主党の意見に沿ったもので、厚生労働省は近く、国民年金法改正案を修正した上で臨時国会に提出する方針ですが、法案が審議される見通しは立っていません。

 民主党内の意見に配慮した形ですが、すでに資格変更をして年金18 件を減額された人らから不公平だとの反発が出るのは明らかで、異論が出る可能性も十分考えられます。厚生労働省案では、過払いになっている受給者に過去5年分の返還を求めるが、低所得者に配慮して住民税非課税世帯の受給者は除外する方針でした。しかし、28日の部門会議で、すべての受給者に過払い返還を求めないようにすべきだとの意見が相次いだようです。

 今後支給する年金について、これまでの保険料未納に相当する分を現在の年金18 件額の10%を上限に減額する方針は維持します。

 この問題は、夫の退職などで3号の資格を失ったのに変更の届け出を忘れていた主婦らが年金18 件記録を訂正すると、未納期間が生じて年金が受け取れなくなったり、受給額が減ったりするもです。
法案は、過去10年分の保険料未納分を追加で納付可能(3年間の時限措置)にするなどの内容となっています。

年金支給開始年齢引き上げ、会社員と公務員の年金一元化、先送りへ

 小宮山厚生労働相は26日の衆院厚生労働委員会で、厚生年金の支給開始年齢の68~70歳への引き上げについて、来年の通常国会では法改正を行わない意向を示しました。また、会社員の厚生年金と公務員の共済年金の一元化についても先送りの方向。小宮山洋子厚生労働相は26日の衆院厚生労働委員会で、「(関連法案を)2012年に出すことは厳しい。中長期的に必要だが、直近にすぐやることではない。来年の改正案として国会に出すのかと言えば、そういうことではない」と慎重な姿勢を示しました。ただ、省内の事務方は法案提出に前向きで、足並みが乱れています。

 支給開始年齢の引き上げは、社会保障審議年金部会で検討していますが、給与と年金の両方が支給されない期間が生じる可能性もあり、同部会の委員からは「高年齢者の雇用確保が前提だ」と慎重論が出ています。
厚生年金と共済年金の一元化は、自公政権が07年に国会に法案を提出しましたが、当時は民主党が反対し、審議されないまま廃案になりました。今年6月の「税と社会保障の一体改革」では、民主党の掲げる年金改革が中長期の課題とされ、代わりに現行制度の改善策として盛り込まれました。

 ただ、民主党に対しては、公務員労組の支援を受けているため、本音では一元化に後ろ向きとの見方が根強くあります。一方、省内は消費増税などを進めるうえで、「厚遇批判がある共済年金が手つかずのままでは国民の理解が得られない」との受け止めが大勢です。

産休中は保険料免除へ ―厚生年金―

 厚生労働省は2011年10月25日、厚生年金に加入している女性の産休期間について保険料を免除する方針を固めました。出産前42日、産後56日の最大98日間が対象で、保険料を半額負担している企業にとっても負担が軽減されます。

 企業が産休中の保険料負担を嫌って女性社員に不利な扱いをしないようにすることで、働く女性の出産環境を改善していくのが目的です。31日の社会保障審議会年金部会に厚労省案を提示し、了承が得られれば関連法案を次期通常国会に提出します。

 現行制度では、無給となる可能性もある育児休業期間に限って保険料免除が認められています。産休期間については産休前の日給の3分の2が「出産手当金」として健康保険から支給されるため、保険料免除の対象とはなっていませんでした。

 法改正されると、企業にとっては労使折半で支払う年金保険料について産休中の2~3カ月分の事業主負担がなくなるほか、産休中の女性にとっても出産手当金から本人負担分を支払う必要がなくなります。

 男女雇用機会均等法は、妊娠・出産などを理由に、解雇や雇い止め、賃金引き下げといった取り扱いを禁止しています。しかし、平成22年度に全国の労働局雇用均等室に寄せられた相談では妊娠・出産などを理由とした不利益な取り扱いが3587件と全体の15.3%を占めました。

 調停申請が受理されたケースも前年度の10件から20件に倍増しており、悪質なケースも目立っています。

時間外120時間で労災、精神障害認定で新基準 直前3週間

 長時間労働によるうつ病などを労災と認定する基準について、厚生労働省の専門検討会は2011年10月21日、「発症直前の3週間で約120時間以上の時間外労働」があった場合は「心身の極度の疲弊、消耗をきたし、うつ病などの原因となる」と認める報告書をまとめました。職場のセクハラで発症した精神障害も労災認定しやすくなります。同省は年度内にも新基準を実施する方針です。

 報告書では基準を明確にすることで審査が早くなり、精神障害の労災認定の審査期間を現在の平均約8.6カ月から約6カ月に短縮できるとしています。

 報告書が示した新評価表は、業務による心理的負荷を総合評価する際に「強」と判断する要因の一つである「極度の長時間労働」の具体例を挙げました。うつ病などの発症直前1カ月に約160時間を超えるか、3週間に約120時間以上の時間外労働をした場合と明記しています。同省は「その事実だけで基本的に労災と認定されうる」としています。

 1カ月に80時間以上の時間外労働をした場合の心理的負荷は「中」。この場合はその他の項目を含め総合的に評価します。

 セクハラの心理的負荷は「対人関係のトラブル」に含んでいましたが、新評価表では独立の項目とし、「弱」から「強」までの段階ごとに負荷の内容を例示しました。「胸や腰などへの身体接触を継続して行われた場合」などは「強」と評価し、精神障害を発症した場合、労災と認定しやすくなります。

厚生年金 報酬月額上限、121万円検討

 厚生労働省は、厚生年金の保険料算定基準となる標準報酬月額の上限(62万円)を見直し、高額所得者の保険料を引き上げる検討に入りました。健康保険の上限と同じ121万円に引き上げる案が軸となります。保険料収入を増やすことで年金財政を安定化させる狙いですが、負担増となる人や、保険料を半額負担する企業側の理解を得られるかは不透明な情勢です。

 厚労省は社会保障審議会年金部会で検討を進め、成案が得られれば関連法案を来年の通常国会に提出したい考えです。現在検討しているパートなど短時間労働者への厚生年金の適用拡大が実現すれば、9万8千円の下限も引き下げます。

 標準報酬が上がるほど保険料も上がるが、標準報酬上限の62万円(保険料は月額約10万2千円)で頭打ちとなります。このため、月収が62万円を超える人も保険料は約10万2千円にとどまっており、上限を引き上げることで、負担能力のある高額所得者により多くの保険料を納付してもらう狙いです。121万円に上限を引き上げた場合、保険料は月額約19万9千円となります。

 また、将来受け取る年金額も、払った保険料に見合って上昇するため、高額所得者への支給額が膨らみすぎないよう、現在の上限である62万円を超えた分を半額で計算する案や、年収1千万円以上の人の基礎年金(約6万6千円)を最大2分の1削減することなどが検討されています。

 上限を121万円に引き上げた場合、受け取る年金額をそのまま計算すると月額47万円となりますが、62万円超を半分に計算すれば月額39万5千円になります。

 ただし、121万円の上限に該当する人では、62万円が上限だった場合に比べ、年間で保険料負担が約115万円増額されることになり、上限額をより低く抑える案なども検討します。

70~74歳の医療費、窓口2割負担を検討

 厚生労働省は、70~74歳の医療費について、特例で1割に据え置かれている窓口負担を本来の2割に引き上げる検討を再開します。26日に社会保障審議会医療保険部会で案を示し、議論します。

 医療費の窓口負担は現在、69歳以下が3割(乳幼児は2割)、70歳以上は1割(現役並みの所得がある人は3割)になっています。厚労省の案は、新たに70歳になる人から順次2割負担を適用し、5年かけて完全に移行する内容です。75歳以上は従来通り1割となります。2013年度から実施したい考えです。

後見人による財産着服が18億円超に

 最高裁判所は、後見制度における後見人らによる財産着服が判明した
ケースが昨年度に少なくとも184件あり、被害総額は18億円超に上ると
する調査結果を発表しました。昨年6月~今年3月に家庭裁判所が把握し
た不正行為を調べたもので、最高裁では、家裁の許可なしには後見人が
大きな財産を引き出せない「後見制度支援信託」制度の導入を検討中です。

日中が社会保障協定の締結交渉開始

 日中両政府は、社会保険料の二重払いなどを防ぐため、社会保障協定
の締結交渉を開始したと発表しました。中国は11月から北京で日本企業か
ら社会保険料の徴収を始める意向を示し、日本は協定発効までの経過
措置を求めましたが、中国側は認めず、日本企業にとって協定発効までは
二重払いが続くことになります。

保険料納付の催促業務、達成は目標件数の4割―民間委託業者

 国民年金の保険料未納が増加している問題についての会計検査院の調べで、日本年金機構が納付の催促業務を委託している民間業者が事前に提出した計画が実際には4割の件数しか達成できていないことが分かりました。10月19日、検査院は保険料の納付率を向上させるため、業務の見直しを年金機構に求めました。

 検査院は2010年度の委託業者である債権回収会社や人材派遣会社等、3社の業務の状況について調査しました。 年金機構と検査院によれば、保険料未納が増加したことにより催促業務の民間委託が開始されたのは、国民年金・厚生年金保険及び政府管掌健康保険についての適用・徴収・給付業務を社会保険庁が行なっていた2007年度でした。その後も納付率は年々下がり続け、2010年度は59.3%に低下しました。このような背景があり年金機構は2010年度から、優秀な企画提案書を提出した民間業者が落札しやすい入札方式に変えているとのことです。

政府、介護保険料引き上げ検討 -来年度改定で-

 政府は19日、介護職員の給与水準を維持する財源を確保するため、大企業に勤務するサラリーマンについて介護保険料引き上げの検討に入ることを明らかにしました。介護サービスの一部利用者の負担増も検討課題とする予定です。

 厚労省は、所得水準が比較的高いとされる大企業のサラリーマンの保険料負担を増やした場合、2015年度で最大約1600億円を捻出できると試算しています。

現行制度では、40歳以上65歳未満は、加入する医療保険の加入者数に応じて介護保険料を負担。加入者の所得水準がより低い全国健康保険協会(協会けんぽ)や国民健康保険には国が補助しています。新制度では、収入に応じて負担割合を決める「総報酬割」を導入して大企業サラリーマンが加入する健康保険組合の負担を増やすことで、国庫補助はなくす方式を検討します。

 政府は、他業種に比べて給与水準が低く、人材不足が続いている介護職員の救済策として、政府は09年に「処遇改善交付金」を創設。09年度補正予算で約4000円を計上し、職員1人当たり月平均で1万5000円を支給している。介護報酬の額は介護サービスに携わる労働者の賃金水準に直結しやすい。政府は介護報酬を引き上げることで介護士や看護師などを安定的に確保し、現場に定着させることを目指します。

 交付金は来年3月で期限切れとなりますが、厚労省は職員の給与水準は依然低い状態にあるとして、交付金に相当する財源を確保する必要があると判断。年末までに財源の調達案をまとめ、次期通常国会への関連法案提出を目指します。

社会保険 適用要件緩和に賛否

 社会保障審議会(厚生労働相の諮問機関)の特別部会は13日、パートなど非正規労働者への社会保険の適用拡大について関係団体からヒアリングを行った。部会は厚生年金や健康保険への労働時間に関する加入要件を現行の「週30時間以上」から「週20時間以上」へ緩和する案を検討していますが、事業主団体が反対、労働組合が賛成の立場からそれぞれ意見を述べました。
 
 社団法人日本フードサービス協会は「外食産業は働く88.4%がパート。要件緩和で新たに約100万人が社会保険に加入することになり、上場企業でも保険料負担が増えて経営が困難になる」と述べ、加入要件の緩和に反対する考えを表明しました。

 一方、小売り・流通業の140組合が加盟する日本サービス・流通労働組合連合は「企業で基幹的な労働者になっているパートに労働時間だけで社会保険を適用しないのは差別だ」と、賛成の立場から意見を述べました。

保険料10年追納可能 主婦年金救済法案が判明

 年金資格を変更せずに保険料が未納になっている専業主婦の年金問題で12日、厚生労働省は、年金に関する必要な手続きをしていない専業主婦を救済するため、過去10年間にさかのぼって保険料を納付できる特例を、3年間の時限措置として認めるなどとした法案の骨子をまとめました。

 政府は、ことし1月、年金に関する必要な手続きをしておらず、受給額が減るなどのおそれのある専業主婦を救済するため、2年間分の保険料を納付すれば加入記録に応じた年金を支給する措置を始めましたが、公平性を欠くなどと批判を受けたことから廃止し、新たな救済策を検討してきました。

 厚労省の社会保障審議会の特別部会がまとめた報告書によりますと、-(1)過去10年分の保険料未納分を追加で納付可能に(3年間の時限措置)

  • (2)保険料の未納期間を「カラ期間」として受給資格期間に算入するが、年金額には反映させない―などとしました。

 また、過払いになっている受給者は、追納状況に応じて今後の年金額を減額。過去5年分の過払い分も今後5年の年金から減額する形で返還を求めます。

 厚生労働省は、こうした救済法案を次の臨時国会に提出する方針です。

高齢者が働ける企業半数以下 年金論議に影響も 希望者全員 大企業で2割

 厚生労働省は11日、2011年の高年齢者雇用に関する調査結果をまとめました。前の年の同じ時期より1.7ポイント増え47.9%でしたが、依然として全体の半数以下にとどまっています。
13年度以降、厚生年金の支給開始年齢は60歳から65歳に段階的に上がります。年金の支給年齢が60歳から引き上げられれば、退職せず働き続けようと考える人が増えます。一段の引き上げも検討されている中、高齢者雇用の拡大は容易ではなく「年金も仕事もない」というケースが増える恐れもあります。

 31人以上の社員が働く13万8千社が回答した。定年を過ぎた60歳以上の人にも働く場を確保するため、厚労省は06年度から企業に65歳までの雇用確保を義務付けています。ただ、労使協定などを結べば再雇用ルールを独自で定められます。

 このため、65歳まで希望者全員が働ける企業は全体の半分に届いていません。規模別でみると中小企業が51%、大企業が24%となっています。高齢者雇用を増やすと若者の採用にしわ寄せが来る可能性が高いため、企業は「65歳までの雇用」に慎重になっています。

 調査対象の企業で、ここ1年間で定年になった社員は43万5千人でした。このうち企業に再雇用されたのは32万人(74%)。25%の10万7千人は再雇用を希望せず退職しましたが、本人が希望したのに再雇用されなかった人も7600人(2%)いました。

 厚生労働省は「60歳で定年を迎えたあとの雇用が確保されなければ収入がなくなる高齢者が出るおそれがある。制度を見直し雇用の確保に努めたい」と話しています。ただ、企業側は強制的な高齢者雇用に反発しており、調整は難航しています。

高額医療費負担の引き下げ案

 厚生労働省は、高額の医療費がかかる患者の負担軽減策として、比較的所得が低い世帯の医療費の自己負担額の上限を引き下げる案をまとめ、2011年10月12日、社会保障審議会に示す予定です。

 医療費の自己負担額の上限は、現在、年収に応じて3段階に分かれています。中間の所得層は、夫婦と子ども1人の世帯で年収およそ210万円から790万円の場合、最初の3か月間は、1か月当たりおよそ8万円に設定されています。しかし、医療技術の進歩に伴い、高額の医療費がかかるケースが増えているなか、所得の区分をより細かく分けるべきだという指摘が出ていることから、厚生労働省は、中間の所得層を3つに細分化して上限となる額をそれぞれ設定し、比較的所得の低い世帯の負担を軽減する案をまとめました。具体的には、以下の通りです。

  • ▽年収300万円以下・・・1か月の上限を最初の3か月間、4万4000円とする。
  • ▽年収300万円から600万円まで・・・6万2000円
  • ▽年収600万円以上・・・8万円
     
     厚生労働省は、12日、社会保障審議会の部会にこの案を示す予定です。一方、厚生労働省は、こうした案の導入にあわせて、財源確保の一環として、医療機関を受診する際、診療費とは別に1回当たり100円程度の定額負担を求めることも検討していますが、医師や患者の団体からは反対する声も出ており、今後、社会保障審議会の部会で議論される見通しです。

「ねんきん定期便」封書からはがきに変更

 厚生労働省は、現在は封書で送付している「ねんきん定期便」について、来年度からはがきで送付する方針を示しました。掲載される情報量が減るため、「ねんきんネット」の利用を促していく考え。節目の35歳・45歳・58歳の人については従来通り封書で送付されます。

協会けんぽ 保険料率 初の10%超へ

 「協会けんぽ」は4日、高齢化の進展などによる財政状況の悪化が進み、現在、全国平均で9.5%の保険料率を、来年度、0.7ポイント引き上げる必要があり、初めて10%を超えるという試算を発表しました。
 
 来年度は、高齢化が進み、高齢者の医療費などへの拠出金が今年度に比べておよそ3200億円余り増える見通しだということです。その一方で、保険料収入は景気の低迷から減る見通しで、現在、全国平均で9.5%となっている保険料率を0.7ポイント程度引き上げ、初めて10%を超えて、10.2%にする必要があるとしています。保険料率が引き上げられた場合、3年連続となり、このとおりに保険料率が引き上げられれば、平均的な加入者である月収28万円のサラリーマンの場合、月額でおよそ1000円、年額でおよそ1万3000円の負担増となります。「協会けんぽ」は、引き続き国に財政支援を求めるとともに、高齢者医療の公費負担を増やすなど、制度の見直しを働きかけていく方針です。

厚生年金基金 記録ミス16万件余

 企業年金の1つである「厚生年金基金」に加入しているかどうかの記録に誤りがあり、支給漏れや二重払いにつながるおそれがあるケースが、16万件余りに上ると推計されることが、日本年金機構などの調査で今回分かりました。

 厚生年金基金は企業年金の1つで、厚生年金の一部を国に代わって運用、サラリーマンが受け取る厚生年金に上乗せして支給しているものです。日本年金機構は、国が管理している記録と基金が管理している記録の間で、これまでに何らかの不一致が見つかった記録のうち、およそ5万件に対して調査しました。その結果、国側が加入者として記録しているのに、基金側は記録しておらず、基金から加入者に支払う分が支給漏れになるおそれがあるケースが、5.2%見つかりました。
 
 逆に、国側が記録していないのに、基金側に記録があるケースが、1.2%見つかり、この場合、厚生年金の一部が二重払いになるおそれがあります。日本年金機構によると、厚生年金基金の記録の数から推計した場合、こうしたケースが合わせておよそ16万6000件に上ると見られています。

 厚生労働省は、支給が漏れた分は追加して支給する一方、二重払いした分については、時効になっていない過去5年以内の分の返還を求める方針です。

政府、年金通帳導入断念へ 費用膨大で政権公約撤回

 政府は2011年10月2日、消えた年金対策の切り札として民主党が2009年衆院選のマニフェスト(政権公約)に盛り込んだ「年金通帳」について、導入を断念する方向で検討に入りました。代わりに、インターネットで記録を閲覧できる日本年金機構の「ねんきんネット」の利用を促進するということです。

 民主党は「納めた保険料と受け取る年金額をいつでも確認できる」として、年金通帳をすべての加入者に交付すると公約していました。しかし厚生労働省などは、システム開発や記帳するための銀行の現金自動預払機(ATM)整備の費用が莫大になり、当初想定していた形では実現困難と判断しました。

共済・厚生年金の負担統一 18年度、制度を一元化

 政府は会社員の厚生年金と公務員の共済年金の保険料率を2018年度に統一し、制度を一元化する方向で調整に入りました。民間より低い公務員の保険料率を厚生年金に合わせます。給付は共済の優遇部分である職域加算を廃止し、企業年金のような新年金に変わります。ただ、新年金の設計次第で民間より有利な給付となり、官民格差が残る可能性も考えられます。

 厚生年金と共済年金の一元化は、2007年に自公政権が「被用者年金一元化法案」を提出しましたが、その後年金記録問題の紛糾で審議入りしないまま廃案となりました。民主党政権は2011年6月「社会保障と税の一体改革」案に一元化の方針を盛り込み、保険料率の18年度統一など当時の法案を引き継ぐ形で決めました。来年の通常国会にも新一元化法案を提出する予定です。

 毎月の給与にかかる保険料率は、18年度に18.3%に達した時点で引き上げを止めます。

 給付は保険料率をそろえる18年度に公務員共済の職域加算を廃止し、企業年金に準じた新年金制度に切り替える予定です。給付水準は今後の課題ですが、どの程度官民格差の解消になるかは、不透明のままです。

厚生年金、妻が半分受給・支払者とみなす 厚労省方針

 厚生労働省は29日、サラリーマンや公務員世帯の専業主婦が、夫が支払う厚生年金などの保険料の半分を払ったとみなし、夫が受け取る厚生年金などの受給額の半分を妻の基礎年金に上乗せする仕組みに改める方向で検討に入りました。

 3号の人は保険料を負担せず老後に基礎年金(11年度の満額は月6万5741円)を受給でき、共働きや自営業者の妻らから「不公平だ」との批判が出ていました。このため、「専業主婦らも保険料を負担している」と位置づけることにしました。ただし、夫婦で厚生年金を分割すると、妻が先に死亡した場合に夫が少ない年金のままとなる可能性もあります。

パートの年金、生涯で17万円増 加入拡大で厚労省試算

 「パートで働く月収10万円の女性が厚生年金に1年入ると、生涯にもらえる年金総額が17万3千円増える――。」
 厚生労働省が21日の社会保障審議会特別部会で、こんな試算を公表しました。

  • 正社員が中心の厚生年金を、短時間働く非正社員にも適用することを検討中で、加入者の利点を強調して適用拡大に理解を得る考えです。 
  • 保険料負担については、単身者やシングルマザーが減る一方、主婦パートは負担増となるなど世帯の就業形態によって大きな差が出ると試算。
  • 健康保険への加入で傷病手当金や出産手当金が受給できるようになる利点はありますが、新たな負担に理解を得られるかどうかが非正規労働者への加入拡大の鍵になりそうです。
  • 月収10万円の46歳の女性が、厚生年金に1年入った場合、その間払う保険料と、将来受け取る年金総額がどう変わるかを計算したところ、加入期間が2年なら、保険料の負担額と年金額もそれぞれ2倍になります。 
  • メリットが大きいのは、国民年金の「1号被保険者」として、定額の保険料(月約1万5千円)を払い、将来に基礎年金(満額で月6万6千円)を受け取る単身者や自営業者の妻等です。
  • 厚生年金に入ると、給料の額に応じた保険料が事業主と折半になるため負担は月約8千円に減り、将来受け取る年金額は月500円余り増えます。
  • 46歳の女性が厚生年金をもらい始める64歳時点の平均余命(27年)でみると、生涯の年金総額が17万3千円増える計算です。

公的年金支給額の引下げを検討

 厚労省は、公的年金の支給額を段階的に引き下げることを検討
していることを明らかにした。減額幅は年0.8~0.9%で、国民年金では500~600円の減額とする考え。早ければ2012年度からの実施を目指すとしているが、与野党間の調整の難航が予想されている。

公的年金支給額の引下げを検討

 厚労省は、公的年金の支給額を段階的に引き下げることを検討
していることを明らかにした。減額幅は年0.8~0.9%で、国民年金では500~600円の減額とする考え。早ければ2012年度からの実施を目指すとしているが、与野党間の調整の難航が予想されている。

被災地における失業手当の特例延長期間を再拡大

 政府は、東日本大震災の被災地における雇用保険の失業手当について、給付の特例延長期間を再拡大する方針を明らかにした。特例措置として5月に「60日」から「120日」に拡大していたが、被害が甚大な地域については「210日」に拡大する考え。

年金受給資格期間「25年」から「10年」に短縮を検討

 厚生労働省が社会保障審議会(年金部会)の初会合を開き、年金の受給資格を得るために必要な期間を現行の「25年」から「10年」に短縮することを検討していることがわかった。無年金・低年金となる高齢者の増加を防止するのがねらい。

最低賃金の全国平均が7円増で737円に

 厚生労働省は、2011年度の最低賃金に関して各都道府県の審議会が出した答申状況を発表し、全国平均(時給)が737円(前年度比7円増)となったことがわかった。新しい最低賃金は9月末から順次適用される。
〔関連リンク〕
 平成23年度地域別最低賃金額改定の答申について

外国人実習生への労働関係法令違反が過去最多に

 2010年に外国人技能実習生に対する賃金や残業代の未払いなどで労働関係法令に違反した事業所が2328に上り、過去最高となったことが1日、厚生労働省の調べでわかりました。

 外国人技能実習生制度を巡っては、賃金未払いや長時間労働が問題となり、同年7月、実習生の法的保護の強化を目的とした改正入管難民法が施行されました。施行後、同省が全国の3145事業所を調べたところ、2328事業所で違反が見つかりました。09年より調査対象を836事業所拡大したが、違反も701事業所増えた。違反の内訳では「労働時間」に関するものが929事業所、「割増賃金不払い」が690事業所などでした。

厚生年金適用拡大 『週20時間以上』 検討

 厚生労働省は1日午前、社会保障審議会の特別部会の初会合を開き、「社会保障・税一体改革」で決定したパートら非正規雇用労働者への厚生年金と健康保険の適用拡大について、具体的な基準の検討に入りました。

 専業主婦らが国民年金保険料の支払いを免除される基準である「年収130万円未満」の引き下げについても、検討の対象になりました。

 厚労省は労働時間についても、現行の加入要件である「週30時間(正社員の4分の3)以上」を短縮する方針です。「週20時間以上」への緩和を軸に検討する見通しで、この場合、加入者は約400万人増えると推計されています。

年金運用、黒字2400億円=株安も国内債で補う―4~6月期

 厚生年金や国民年金の公的年金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は2011年8月30日、2011年第1四半期(4~6月期)の運用損益が 2400億円の黒字になったと発表しました。黒字は4四半期連続となっています。東日本大震災の影響や円高、米国景気の減速や欧州の財政不安から国内外の株式が下落する中、運用資産の過半を占める国内債の価格上昇で補いました。

 財投債を含む運用利回りはプラス0.21%。資産別の利回りは、安全資産としてリスク回避の資金が流入した国内債が、プラス1.11%と好調でした。一方、国内株は震災による部品供給網の寸断や電力供給懸念も響きマイナス2.06%、外国株は欧米要因でマイナス1.81%とそれぞれ苦戦しました。

年金担保融資の限度額下げ 

 厚生労働省所管の独立行政法人「福祉医療機構」は、民間金融機関からの借り入れが難しい年金受給者に対し、年金受給権を担保に医療費など一時的に必要な資金を貸し付ける「年金担保融資制度」について、融資限度額を引き下げるなどルールを厳格化させることを決めました。
 
 12月の融資申し込みから実施されます。昨年、政府の行政刷新会議の事業仕分けで将来的に同制度を廃止する方針が決まり、当面の代替措置を検討していました。現行の融資限度額は年間の年金受給額の1・2倍ですが、1倍以内に引き下げます。また、返済額を毎回の年金受給額の半額以下とすることで一定の年金収入を確保します。

国民年金後払い10年前分まで可能 衆院委可決

 国民年金の加入者が未納保険料を追納できる期間を現行の2年から10年に延長することを柱とする年金確保支援法案が4日に成立する見通しとなりました。未納で無年金や低年金になる人を3年間の時限措置で救済します。同法では確定拠出年金の拡充策も盛り込み、企業が運営する制度で2012年1月から従業員個人の掛け金を上乗せ拠出できるようになります。

 3日の衆院厚生労働委員会で民主、自民、公明などの賛成多数で可決しました。4日の衆院本会議で成立する見込み。
 
 これは、国民年金の未納問題が深刻なため、改正案は無年金や低年金を防ぐ狙いがあります。3日の委員会では共産党を除く与野党が賛成。来年10月から実施予定で、3年間限りの特例になります。

 国民年金の保険料は原則毎月払う必要があり、現行では直近2年分しかさかのぼって払えません。例えば、保険料をこれまで14年分しか納めていない58歳の場合、直近2年分と、60歳になるまで保険料を納めても年金はもらえません。払った期間が通算25年に達しないためです。70歳まで払える任意加入制度もありますが、65歳ではもらえません。

 今回の改正では、こうした人も年金を受け取る資格を満たせるよう、後払いできる期間を直近10年まで延ばします。すでに通算25年以上払っている人も、未納分があれば過去1カ月分後払いするごとに年金額は毎月約1,640円増えます。ただ、後払いを無期限に認めると、かえって保険料を納めない人が増える懸念もあります。そこで、与野党の修正協議で3年限りの特例となりました。

改正雇用保険法施行、給付額は引き上げへ

 改正された雇用保険法が2011年8月1日から、施行されました。5年ぶりに失業手当の給付の上限額が引き上げとなっており、再就職手当についても、従来より1割、給付率が引き上げとなっています。給付日数を3分の1以上残した場合は余った失業手当の50%、3分の2以上残した場合は60%が再就職手当として支給されます。

年金確保支援法案が参院通過

 国民年金の未納保険料をさかのぼって払うことができる追納期間を現行の2年から10年に延長することを柱とする年金確保支援法案が平成23年7月29日の参院本会議で、民主、自民、公明各党などの賛成多数で可決されました。衆院に送付され、今国会で成立する見通しです。

 追納期間の10年間への延長は3年間の時限措置。同改正案は昨年秋の臨時国会で衆院を通過していましたが、参院で継続審議となっていました。会期不継続の原則により、参院での可決後、再び衆院で議決が必要になっています。

 国民年金の受給には原則として最低25年間(満額受給は40年間)、保険料を納める必要があります。厚生労働省の推計では、追納期間を10年に延長することで最大1600万人が受給額を増やせ、最大40万人が無年金にならないで済むと見られています。また、同改正案には、加入者本人の運用実績に応じて給付額が変わる確定拠出年金(日本版401k)について、企業の拠出分に加え、加入者も掛け金を上乗せできる「マッチング拠出」の導入や、入資格の上限年齢を現行の60歳から65歳に引き上げるも内容も盛り込まれています。

国民年金3号被保険者切り替え漏れ法改正案提出先送

 政府・民主党は平成23年7月31日、専業主婦らが加入する第3号被保険者の年金切り替え漏れの対策を盛り込んだ国民年金法改正案について、国会への提出を見送る方針を固めました。

 保険料負担のない3号被保険者は、扶養を外れると保険料を払う必要がある1号被保険者への切り替えを届け出なければなりません。過去に切り替え漏れがあるとその期間は保険料未納となり、納付が25年未満だと無年金となります。厚生労働省の推計では、切り替え漏れのある人は97万4000人おり、記録を修正すると、47万5000人の年金が減額されます。

 このため、厚生労働省は

  1. 過去にさかのぼって保険料を納められる期限(現行2年)を10年まで延長
  2. 未納期間を年金受給資格期間(25年間)に算入
  3. 未納のまま年金を受け取っている人の給付カットや過払い分返還

 などの方針を決め、国民年金法改正案を3年の時限立法で、今国会に提出する方針を表明しました。

 しかし、対応策を決める過程で政府方針が変わるなど混乱が生じ、野党側が長妻昭前厚生労働相、細川律夫厚生労働相の責任明確化を厳しく追及した経緯があります。菅直人首相の退陣条件の一つ、特例公債法案の早期成立を巡る与野党の駆け引きが続く中で、国民年金法改正案を審議すれば与野党の対立が激化し、国会運営に影響を与えると判断し、今国会提出を断念しました。

 成立が遅れるほど救済が遅れ、無年金となる人が増える可能性も強まる恐れがあります。

国民年金事後納付法案、参院厚労委で審議入り

 国民年金保険料の未納分の事後納付期間を2年から10年へ延長することなどを盛り込んだ年金確保支援法案の趣旨説明が行われ、民主、自民、公明各党などが合意しました。26日の参院厚生労働委員会で審議入りします。
 同法案は年金の受給権が発生する保険料の納付期間25年に満たない無年金者を救済する、もしくは未納期間により受け取る年金が減額され低年金となる人が発生することを防ぐ狙いがあります。昨年の通常国会へ提出し、自民党などからの要求で3年間の時限措置に修正、衆院を通過しましたが継続審議となっていました。

最低賃金引き上げに向けた中小企業の支援事業を7月22日、厚生労働省発表

 最低賃金について、2020年までのできる限り早期に全国最低800円を確保し、景気状況に配慮しつつ、全国平均1,000円を目指すこと(平成22年6月3日雇用戦略対話の政労使合意、新成長戦略(平成22年6月18日、閣議決定) )との目標の実現に取り組むため、厚生労働省は経済産業省と連携し、最も影響を受ける中小企業に対する以下の支援を実施します。業種別団体助成金、業務改善助成金の紹介がありました。
※改正の詳細は厚生労働省HPをご覧ください。

  • ①全国的支援策として、ワン・ストップ&無料の相談支援体制の整備
     (最低賃金引き上げに向けた中小企業相談支援事業)
    生産性の向上等の経営改善に取り組む中小企業の労働条件管理などのご相談などについて、中小企業庁が実施する支援事業と連携して、ワン・ストップで対応する相談窓口を開設しています。
  • ②業種別支援策として、最低賃金引上げの影響が大きい業種の賃金底上げのための取組を支援
     全国規模の業界団体による接客研修や、共同購入などのコスト削減の実験的取組などへの助成をします。(1団体の上限2,000万円)
  • ③地域別支援策として、最低賃金の大幅な引き上げが必要な地域(700円以下の道県)の賃金水準の底上げを支援
     事業場内の最も低い時間給を、計画的に800円以上に引き上げる中小企業に対して、就業規則の作成、労働能率の増進に資する設備・機器の導入、研修等の実施に係る経費の1/2(上限100万円)を助成します。

障害者を多数雇用する企業に対する税制優遇制度が拡充されました。

 障害者を多数雇用する企業に対する税制優遇制度が拡充が2011年7月22日、厚生労働省より発表されました。障害者を多数雇用する事業所で以下の要件を満たすものが減価償却を行う場合、その事業年度またはその前5年以内に開始した各事業年度に取得・製作・建設した機械装置、工場用建物およびその附属施設並びに一定の車両運搬具について、普通償却限度額の24パーセントの割増償却ができます。

  • ①青色申告書を提出する事業主であること
  • ②平成26年3月31日までに期間内にはじまるいずれかの事業年度において以下のいずれかの要件を満たす事業主であること
    • ・従業員に占める障害者数の割合が50%以上
    • ・雇用している障害者が20人以上であり、かつ、従業員に占める障害者数の割合が25%以上をご覧ください。
    • ・法定雇用率1.8%を達成している事業主で、基準雇用障害者が20人以上であり、かつ、基準雇用障害者数に占める重度障害者数の割合が50%以上

 改正の概要・理由等は厚生労働省HPをご覧ください。

インドとの社会保障協定締結に向け交渉開始

 政府は、インド政府と社会保障協定締結に向けた交渉を開始し、2012
年中の署名を目指す考えを示した。年金保険料の二重払いを解消し、
進出企業の保険料負担を軽減する狙い。インドに進出した日本企業は
725社(前年比16%増)に上り、日本に在留するインド人も2010年時点で
2万2,497人に達する。

メンタルヘルス不全社員を抱える事業所は56.7%

 独立行政法人労働政策研究・研修機構がメンタルヘルスに関する
調査(5,250事業所が回答)の結果をまとめ、職場の人間関係など
によりメンタルヘルスに問題を抱える社員がいる事業所が、全体の
56.7%であることがわかった。

厚生年金基金の財政監視強化へ

 厚生労働省は、厚生年金基金の財政監視を強化する方針を明らかに
した。現行では給付に必要な積立金が3年連続で必要額の9割を下回
った場合に「指定基金」として監視しているが、今後は、1年でも必要額
の8割を下回った場合についても「指定基金」とする。

生活保護が最低賃金を上回る都道府県さらに拡大

 厚生労働省は13日、最低賃金で働くよりも生活保護での収入が多い「逆転現象」が、9都道府県に拡大したとの調査結果を公表しました。2010年度の最低賃金の引き上げ後は5都道県に減少しましたが、生活保護費が上昇傾向にあるため、埼玉、京都、大阪、兵庫の4府県が加わりました。
 生活保護費とのかい離が最も大きいのは北海道の31円で、神奈川の23円が続きました。

国民年金保険料納付率、60%割れ、現制度開始以来最低

 国民年金の保険料納付率が初めて60%を割り込みました。厚生労働省が13日公表した2010年度分の納付率は59.3%で、前年度より0.7ポイント低下しました。過去最低を更新しました。収入が少ない非正規労働者が増えたことや、年金制度への不信感が背景にあるとみられています。
 未納率を年代別にみると、25~29歳が53・4%で最も高く、20~24歳も50・8%と5割を超えた。30歳以上は年代が上がるにつれて低くなり、55~59歳は27・4% 各年齢層ともほぼ毎年悪化しています。

「消えた年金記録」回復に新基準

 厚生労働省は、年金記録回復委員会において、「消えた年金記録」に関する新しい回復基準を了承した。同じ企業グループ内で転勤した場合に記録が抜けていたり、ボーナスの届出漏れが生じていたりした場合に消えた記録を回復する。10月にも全国の年金事務所で回復手続を始める予定。

協会けんぽ、4年ぶり黒字に 2540億円の黒字

 全国健康保険協会は11日、中小企業のサラリーマンが加入する同協会管掌健康保険(協会けんぽ)の2010年度決算が2540億円の黒字に転じたと発表しました。同年度から保険料が大幅に引き上げられたことが要因で、単年度収支の黒字は4年ぶり。同年度末の累積赤字額も前年度末の3179億円から639億円に縮小しました。
 保険料率の引き上げで保険料収入が13.1%増え、収入全体では7兆8172億円と前年度比12.1%増えました。保険給付費は3.6%増えたものの、生活習慣病予防のための健康診査の受診低迷で業務経費が6.9%減り、支出は1.3%増の7兆5632億円にとどまりました。
 黒字分を赤字償還に充て、09年度に3179億円に上った累積赤字は639億円に減りました。
 都道府県単位で決める協会けんぽの保険料率は財政悪化を理由に引き上げが続いています。平均で報酬の8.2%だった料率は、10年度に9.34%に上がり、11年度に9.5%になりました。

公的年金の運用損失、10年度2999億円

 厚生年金と国民年金の積立金を運用する「年金積立金管理運用独立行政法人」は6日、平成22年度の運用結果は、2999億円の赤字だったと発表しました。前年度は3年ぶりに黒字となりましたが、再び赤字に転じました。
年金給付に直ちに影響することはありませんがが、運用方針の練り直しを迫られそうです。年金積立金の取り崩しは6兆円に膨らみました。
 運用資産全体(財投債を含む)の利回りはマイナス0.25%となり、09年度のプラス7.91%から大幅に悪化しました。09年度の運用益は9兆1850億円で、市場での運用を始めた01年度以降の最高を記録していました。
 21年度はリーマンショック後の株安と為替差損の影響から回復して9兆1850億円の黒字でしたが、22年度はギリシャの財政危機に伴う欧州の金融不安や、米国の金融緩和による円高などにより国内株式と外国債券がマイナスに転落しました。また、東日本大震災発生から年度末までの間に国内株式はマイナス5・59%落ち込みました。
 22年度末時点の運用資産額は116兆3170億円で、構成比は国内株式12%、国内債券67%、外国株式11%、外国債券8%、短期資産3%。財投債での収益を除いた市場運用のみでの赤字額は5692億円でした。

雇用安定助成金利用を 申請手続き費用を補助…栃木・宇都宮市

 栃木県宇都宮市は8月までに、経営不振などで休業する事業主が、従業員に支払う手当の原則8割を国が助成する「中小企業緊急雇用安定助成金」の利用を促そうと、申請手続きを社会保険労務士に依頼する際に必要な費用の半額程度を支給する制度を創設するそうです。

 東日本大震災後、県内で同助成金の利用件数が増えていますが「助成金申請手続きが煩雑」との指摘が相次いでいました。市は速やかに手続きに踏み切ってもらい、休業期間中に体力を蓄えて中小企業の再生支援を図りたいという考えです。

 同助成金の支給を受けるには、事業内容や休業理由、期間などを示した「休業計画届」をハローワークに提出することが必要です。審査を通った後は、毎月、前月分の支給申請を行う際に賃金台帳や出勤簿をハローワークに持ち込み、きちんと労働者に助成金を支払っているか、労働者がどの程度出勤しているかなどを報告することが義務づけられます。

 市や宇都宮商工会議所によると、震災以降、中小企業の事業主からは「長年雇ってきた人をそうそう解雇できないが、給料を支払う余裕がない」「震災の影響が落ち着くまで休業したいがその間雇い続けられない」などと、申し込みが相次ぎました。栃木労働局によると、今年4月1日~30日の県内での同助成金(休業)の申請数は736件で、昨年同期比で45件増加。同制度の申請数は年々減少してきましたが、震災の影響で今年3月に上昇に転じています。

 しかし、社労士への依頼には30万円程度必要で、苦しい経営環境にある事業主に対し、さらに高額の負担がかかることがネック。「制度を利用したいが手続きが煩雑。プロに頼むにも費用が高い」などの声に応え、市は負担を決めました。

 同助成金について、同商議所地域振興部は「中小企業の中でも、ある程度の体力のある企業でなければ利用が難しかったと思う」と話し、「今回の制度で、より規模の小さい企業の従業員解雇を防げれば」と歓迎します。

 同市商工振興課は「事業主と労働者両方を救う制度。複雑な手続きをプロに任せるきっかけになれば」と話しています。

厚生年金未加入法人について国税情報活用へ―厚労省

 4日、厚生労働省が厚生年金に未加入の法人を把握するため、2012年度から法務省の法人登記簿情報を活用する方針を固めたことが明らかになりました。

 少なくとも約11万事業所の加入漏れが日本年金機構の調査で明らかになっているとのことで、厚労省が法務省のデータ活用により未加入法人を把握し、加入漏れによる保険料徴収漏れを防止することで、社会保険料収入が数兆円規模で増える可能性があるとのことです。

雇用保険の基本手当日額を5年ぶりに引上

 厚生労働省は、8月1日から、雇用保険の「基本手当日額」を引き上げます。基本手当日額は、平成18年以来5年ぶりに上昇します。
 
 今回の引上げは、基本手当の算定基礎となる「賃金日額」の下限額の引上げなどを内容とする「改正雇用保険法」が8月1日に施行されること、また平成22年度の平均給与額(「毎月勤労統計調査」による毎月きまって支給する給与の平均額)が、平成21年度と比べて約0.3%上昇したことに伴うものです。

【具体的な変更内容】

   項目賃金日額基本手当日額
変更後変更前変更後変更前
 最低額2,330円2,000円1,864円1,600円
 最高額60歳以上65歳未満15,060円14,540円6,777円6,543円
45歳以上60歳未満15,780円15,010円7,890円7,505円
30歳以上45歳未満14,340円13,650円7,170円6,825円
30歳未満12.910円12,290円6,455円6,145円

中国政府、外国人就労者に社会保険加入の義務づけ

 7月1日から、中国政府は外国人就労者に対し、社会保険への加入を義務づけることとなり、中国で事業を行う日本企業とその駐在員は、社会保険料を日中の両国で二重に支払わなければならなくなります。

 日本企業と駐在員の負担の総額は年間600億円近くに達することがよそうされ、日中両政府は二重払い解消に向けた交渉を始める見通しです。経団連も14日の理事会で「二重払い」の早期解消を政府に要請することを決める方針とのことです。

遺族年金、不明者家族への手続き始まる

東日本大震災から3カ月を迎えた11日、全国の年金事務所で、行方不明者の家族に対する遺族年金などの申請手続きの受付が始まりました。今も安否の分からない人を震災当日に死亡したと推定し、遺族給付を通常の1年から短縮して支給する特例措置です。
 
対象は厚生年金の遺族厚生年金や国民年金の遺族基礎年金、死亡一時金などです。被災地では約8千人が行方不明のままで、残された家族の避難生活も長期化していることから、3カ月で死亡と認定できるようにしました。
 
 通常は家庭裁判所が失踪宣告する1年を待たなければ死亡認定されませんが、生活資金が枯渇する被災者も多く早期の認定を可能にしました。

 遺族年金は申請から支給まで2カ月が目安とされているが、石巻年金事務所の担当者は「業務量が急増しており、支給まで3~4カ月かかる可能性がある」と話しています。また、福島県では避難先が散らばり、県外に身を寄せる人も多いので時間がかかるだろうと予想されます。

児童手当、3歳未満のみ増額で民自公が合意

 民主、自民、公明3党は子ども手当廃止後の児童手当拡充案として、一律支給ではなく、3歳未満児に限定して支給額を上積みすることで基本合意しました。

 3党の実務者協議では、3歳未満児は月1万3000円~1万5000円、3歳~中学生は一律月1万円とする方向で最終調整しています。

 現行の子ども手当は、月額1万3000円で所得制限がありません。自公両党は5月、この子ども手当を9月までで廃止し、「中学生以下に月1万円支給・所得制限導入」を柱とする児童手当拡充案でいったんは合意しましたが、月1万円では、年収300万円~800万円の3歳未満児世帯で逆転現象が起きることが判明しました。その理由として、2011年以降、所得税と12年6月以降の住民税の年少扶養控除の廃止により3歳未満児の世帯が減収となり、09年度以前の児童手当支給時よりも収入が減ってしまいまいます。

 このため、3歳未満児に限り、月1万5000円を支給する案をまとめました。同案が実現すれば、年収500万円までの3歳未満児世帯は12年度まで収入増となり、年収800万円世帯の減収幅も緩和されます。

65歳まで雇用、例外排除 定年引き上げは25年度をめどに ― 厚労省研究会

 厚生労働省は7日、有識者による「今後の高年齢者雇用に関する研究会」(座長・清家篤慶応義塾塾長)を開き、希望者は例外なく65歳まで雇用を継続するよう企業に義務付ける内容の報告書をまとめました。厚生年金の支給開始年齢が引き上げられる2013年度までに法改正し、継続雇用制度を強化するということです。また、定年年齢に関しても、現行の60歳から65歳への引き上げを25年度をめどに実施する方向性を打ち出しました。
 同省は今秋、報告書を労働政策審議会(厚労相の諮問機関)に諮り、労使双方の意見を聴いた上で、高年齢者雇用安定法の改正案を策定し、来年の通常国会提出を目指します。 

不明者の遺族年金手続きを簡素化 - 厚労省

 厚生労働省は7日、東日本大震災で行方不明となった人の家族から遺族年金の請求があった場合、事業主などの第三者が行方不明であることを書面で証明すれば「死亡」と推定することを決めました。5月に成立した特別法の対象として、家族に8月にも支給するということです。家族が遺族年金を受給しやすいよう死亡の推定を簡素化にしました。

 日本年金機構への同日付の通知では、6月11日以降、地震翌日から3カ月間行方が分からない場合は、3月11日に死亡したと推定。行方不明者の家族は4~7月分の遺族年金を早ければ8月ごろに受給できる見通しです。

 家族から震災で行方不明になったことの申立書のほか、事業主や病院長、施設長、民生委員、隣人など第三者が申し立てた人の家族が行方不明であることを書面で証明すれば、死亡と推定することを認めました。

 このほか労災保険に基づく遺族補償年金や、行方不明者であることを理由として災害弔慰金の支給を受けている場合も対象としました。同省は「行方不明者として義援金の支給を受けている人も対象とする」としています。

消費税率10%に段階的引き上げ 検討会議が社会保障改革案を公表

 税と社会保障の一体改革を議論する政府・与党の集中検討会議(議長・菅直人首相)は2日、社会保障制度改革案を公表しました。(詳しくは2011/06/01「年収1千万円以上は年金減=消費税、15年度に10%-社会保障改革で原案・政府」のトピックス)

 医療や介護、保育の利用者負担を合算し、自己負担額に上限を設ける「総合合算制度」の導入など若年層と低所得者への支援強化を打ち出しました。

 またサービス拡充を図ることで平成27年度に2兆7千億円の財源が不足すると指摘し、消費税率を「まずは27年度までに10%」と明記。10%引き上げ後も、32年度の基礎的財政収支(プライマリーバランス)黒字化に向けたさらなる増税に含みをたせています。

 原案は一体改革の狙いを社会保障の充実・強化と財政健全化の「同時達成」と強調し、パートなどの短時間労働者の厚生年金加入拡充や、年金受給資格をもらえる加入期間の短縮などを打ち出しました。

 改革案では、2015年度に社会保障の充実に必要な追加の費用が、子育て支援で7,000億円、医療介護の分野で2兆4,000億円、低所得者への年金加算など年金分野で6,000億円と、あわせておよそ3兆8,000億円にのぼると試算しています。

 一方、抑制策としては、高額所得者の年金給付の見直しや、支給開始の年齢の引き上げ、70~74歳までの医療費の窓口負担を2割に引き上げることなどで、1兆2,000億円程度を削減できると試算しています。
新たに必要な財源は、差し引きでおよそ2兆7,000億円となり、こうした試算などを基に消費税率を2015年度までに10%に段階的に引き上げるとしています。

 また、改革を進める上での優先順位も示し、(1)子育て支援(2)医療・介護(3)年金(4)貧困・格差-としました。

 社会保障改革案を受け、今後は関係閣僚と与党幹部を中心に検討を進め、消費税増税を含む一体改革案を6月20日までに一体改革の最終案をまとめることにしています。

年収1千万円以上は年金減=消費税、15年度に10%-社会保障改革で原案・政府

 政府の「社会保障改革に関する集中検討会議」(議長・菅直人首相)が6月2日に提示する予定の社会保障改革の原案が31日、分かりました。年収1000万円以上の高齢者は基礎年金の支給額を減らす一方、年収65万円未満の場合は月額1万6000円を加算。約2兆7000億円の追加費用が必要で、2015年度までに消費税率を現在の5%から段階的に10%に引き上げる必要性も打ち出されています。

 現在、基礎年金は40年加入した場合の支給額が月額6万6000円。低所得者には加算措置を講じる一方で、年収1000万円以上の高所得者の給付は減額し、同1500万円で国庫負担相当(2分の1)を減らして支給額を半分にします。また年金支給開始年齢の引き上げも検討しています。

 医療分野では、70~74歳の医療費で患者負担を現行の1割から2割に引き上げます。外来診療時の患者負担とは別に、毎回100円程度を支払ってもらう定額負担制度も導入し、その財源はがん治療や難病などの高額医療費の軽減に充てるということです。

 改革原案のうち、低所得者の年金加算などの社会保障の充実に約4兆円が必要になります。一方で、医療費の患者負担見直しなどで約1兆3000億円を抑制し、現在よりも約2兆7000億円の財源が必要と試算しています。

 改革原案では、超高齢化に伴う自然増(約1兆円)や、基礎年金の国庫負担維持(約2兆5000億円)など、社会保障財源を安定的に確保する必要性を強調しています。現在5%の消費税率を15年度までに10%に引き上げ、財政健全化との両立を目指す方針も盛り込んでいます。

民主の年金改革案判明 消費税の増税は明記せず   

 民主党の社会保障改革案が明らかになりました。最低保障年金の導入や、年金保険料を一律15%程度にすることなどが盛り込まれています。
民主党案は公的年金を一元化して収入に応じた保険料を負担する所得比例年金と、年金の少ない人を対象にした最低保障年金が柱。しかし、政権に就いてからも具体的な制度の内容は示さず、必要な財源規模も不明な状態が続いていました。

 焦点の年金改革については、サラリーマンや自営業者も同じ制度に加入する年金一元化を提唱し、保険料は一律15%としています。また、所得の低い人や保険料未払いの人にも最低7万円以上の年金を保障する制度を盛り込みました。ただ、制度設計が具体化されていないため、最終案には、保険料15%や最低保障年金7万円に「おおむね」という文言をつけ足すことになりました。財源については「国民負担率を国際的な水準に引き上げる」という表現にとどめ、消費税の増税は明記しませんでした。民主党は、26日夕方に最終案を決定する方針です。

 新制度移行には40年かかります。その前に制度が破綻しないよう、完全一元化と最低保障年金は棚上げし実現可能な改革案に絞るべきでしょう。

全件照合、断念へ 65歳以上2000万人限定、続ける意向--厚労省検討

 厚生労働省は25日、年金記録漏れ問題をめぐり、コンピューター上の記録と7億2000万件の紙台帳の全件照合を断念する方向で検討に入りました。費用対効果を踏まえた判断で、今後の作業については、65歳以上の厚生年金受給者の記録照合に限定し、年金回復額が比較的少ない国民年金の記録照合は見送る方針。しかし、全件照合は同党マニフェスト(政権公約)の柱で、党内から反発も出ており、調整が難航する可能性もあります。 全件照合は、民主党がマニフェスト(政権公約)で「国家的プロジェクト」と位置付け、作業を平成25年までに完了させる予定で昨年10月に開始しました。これまで、約5千万件の「宙に浮いた年金記録」を含む約7億2千万件について、1万8千人態勢でチェックしてきました。11年度予算は736億円。13年度までに全件を終える目標でしたが、総額で3000億円程度かかるとされています。 しかし、同機構の抽出調査によると、65歳未満や国民年金のみの加入者の場合、照合して記録訂正をしても、死亡までの平均の年金増加額が500~3000円にとどまり、1人分の照合費用約3400円を下回りました。 一方、65歳以上の厚生年金受給者は、平均で生涯2万2000~7万円増加します。このため、厚労省は65歳以上の厚生年金受給者分(2000万人)に限り、照合を続ける意向です。

震災2カ月、労災関連の状況

 震災から2カ月余り、相談内容は少しずつ変化し始めました。 震災直後は、被災した雇用主が従業員を解雇せずに済む方法を相談に来ることが多くありましたが、最近では、仕事を失った被災者自身が失業保険や労災の申請などの手続きを尋ねるケースが増えているようです。。

 また、東日本大震災では、大津波で建物が倒壊し、鉄骨への吹き付けや建材に使われたアスベスト(石綿)が大量に露出しています。

 被災地の復興作業従事者は、防じんマスクを着けていない姿も目立っています。がれき撤去をするボランティアは自己責任となり、行政からの啓発も必要となってきました。
アスベストは天然鉱物繊維で、耐熱性や断熱性、防音性に優れており、一九五〇年代半ばごろから建築材料などに約一千万トンが使用されてきました。繊維が目に見えないほど細かく、吸い込むと悪性中皮腫や肺がんなどの病気を引き起こすため、現在は使用が禁止されています。

 アスベストは「静かな時限爆弾」と評され、発症するまでの潜伏期間が十五~四十年と長いのも特徴です。

主婦年金追納10年に延長 救済案に合意 - 厚生労働省審議会

 専業主婦ら第3号被保険者の年金切り替え漏れ問題で、厚生労働相の諮問機関、社会保障審議会の特別部会は17日、新たな救済策に関する報告書案を大筋で合意しました。過去にさかのぼって保険料を納められる期限(現行2年)を10年まで延長する「特例追納」を認めることや、追納がなければ既に年金を受給している人に対しても時効にかからない過去5年分の過払い年金の返還請求と、今後の給付減額に踏み切ることが柱になっています。

 厚労省は国民年金法改正案に盛り込み、今国会に3年の時限立法で提出します。自民、公明両党は基本的に賛成するとみられ、同法案は成立する見通しです。

 切り替え漏れ期間について、報告書は年金の加入期間に算入する一方、年金額には反映させない「特例カラ期間」にすべきだとしました。追納に関し、同省は当初届け出漏れ時点までさかのぼれる案を示しましたが、国会で審議中の一般未納者の追納期間を10年に延長する国民年金法改正案との整合性や、自公が同法案修正に合意した点を考慮し、「直近10年」としました。

 一方、年金受給者への対応では、「若年世代の年金不信」を理由に、年金の返還・減額を明記しました。年齢にかかわらず50~60歳の間の未納を追納できますが、追納がなければ民主党は「返還・減額の合計を基礎年金受給額の1割程度」とする意向で、厚労省も踏襲する方針です。

 3号の人は扶養を外れますと、自営業者らの1号被保険者(1号)に切り替える必要があります。厚労省の推計では、切り替え漏れがある人は97万4000人、受給者の切り替え漏れ期間は平均6.8カ月、となっています。

年金、10年で受給資格(厚労省の改革原案)

 菅政権が検討している新しい年金制度で、新設される最低保障年金は現役時代の平均年収が600万円以下の人を対象にすることになった。民主党と厚生労働省が最終調整し、6月末に菅政権がまとめる消費増税と社会保障の一体改革に盛り込まれる方向です。

 民主党の「社会保障と税の抜本改革調査会」では、月額7万円の満額を支給するのは、現役時代の平均年収が300万円以下と限定。年収がそれを超えると減額し、600万円超で支給額をゼロとする方針を固めた。これを受けて、厚労省は財源の試算を始めました。

 現行の基礎年金(満額月6万6千円)は加入者だけが対象で、財源は税と保険料で折半する仕組みです。一方、最低保障年金はすべて税金を財源とし、ほとんど収入がなかった人も含む低所得者に支給するため、年収300万円超の所得層の多くは年金支給額が減る見通しです。財源は、基礎年金より5兆円程度増えるそうです。

 新年金制度は、2015年度の移行開始を目指します。当面は現行制度の見直しから手をつけ、徐々に移行させていくため、新制度が完成して月額7万円の最低保障年金が支給されるのは開始から40年後になります。

 そのため、民主党の調査会は、制度設計の先送りも検討していますが、年金の具体案を示さないと与野党協議の実現がさらに難しくなるため、近く具体案をまとめることとしました。

主婦年金、過払い分返還か減額

 民主党は10日の厚生労働部門会議で、専業主婦の国民年金の切り替え忘れ問題(夫が会社を辞めて厚生年金を脱退したにもかかわらず、国民年金の切り替えを忘れ、保険料が未納になっている問題)について、間違った記録が確定し、本来より多い年金を受け取っている約5万3000人のうち、低所得者を除く約6400人の支給額を減額した上で、過払い分の返還を求める方針を決めた。
同党は週内にも細川律夫厚生労働相に提案し、政府は今国会に関連法案の提出を目指している。

 同党のワーキングチームがまとめた案によると、過払い分は時効になっていない過去5年に支給された年金。過払い分を今後受け取る年金から減額するか、一括返還も認める。ただ、低所得者が多い高齢者の生活に配慮し、住民税が非課税の低所得者(一人暮らしで年金収入が年155万円以下)は返還対象から除外。これにより、対象の88%は例外となる。返還を求める場合も、年金額から10%を超えない範囲にとどめ、過去10年は遡って保険料を追納すれば、その分の減額を免れることもできるとした。また、保険料を支払えない期間は、その分、年金支給額を減額するものの、受給資格(加入期間二十五年)に算入できる特例を講じるとした。

年金記録不一致266万人に-国民年金分含めて

 日本年金機構は10日、年金記録をめぐる問題で、国民年金と厚生年金の加入者と受給者計8100万人のうち、コンピューターで管理している年金記録と原簿の紙台帳の内容が一致していない人が計約266万人に上り、このうち約213万人の年金が増額するとしたサンプル調査の結果を発表いたしました。

 旧社会保険庁による年金記録問題の全容が明らかになるのは初めてで、同機構は人海戦術による照合作業で実態解明に向けて緊急に対応していくということです。

 対象が厚生年金だけだった昨年12月公表の調査では、不一致は約100万人でしたが、今回は国民年金も加えたため、不一致数が大幅に増えました。

 調査では、加入歴が「国民年金のみ」(サンプル数5814人)で0・7%、「厚生年金と国民年金の両方」(同1万797人)で5・5%、「厚生年金のみ」(同5901人)で8・1%の誤りが見つかりました。
このうち、今回初めて公表された「国民年金のみ」の場合は67%、「両方」の場合は79%で年金額が増えることが分かりました。

厚労省研究会、65歳定年要請へ 継続雇用違反企業の公表も-高年齢者雇用

 厚生労働省は9日、有識者による高齢者雇用の研究会「今後の高年齢者雇用に関する研究会」を開き、法定の定年を60歳から65歳に引き上げる提言を盛り込んだ報告書の素案をまとめました。

 同研究会はかつて60歳だった厚生年金の支給開始年齢が段階的に65歳へと引き上げられているため定年年齢を65歳に引き上げるよう求めています。

  • (1)厚生年金の定額部分で支給開始年齢が65歳に引き上げられる13年度に定年を65歳にする
  • (2)定年の年齢を年金の報酬比例部分の引き上げに沿って段階的に65歳に上げる、の二案を示しました。

 ※仮に定年を引き上げない場合も、希望者が全員65歳まで働ける制度をつくるべきとの考え方を示しました。

 現行の法律では定年は60歳以上としなければならないとされており、65歳までは再雇用などで働ける制度の導入が義務付けられている。ただし、労使協定を結べば継続的に雇う高齢者に「勤務評定が一定以上」などの条件を付けることが可能となっています。

 2010年6月の厚労省の調査「高年齢者の雇用状況」(2010年6月)では、全企業の96.6%が65歳までの雇用確保策を導入していますが、うち83.3%は継続雇用制度で対応しています。「希望者が皆65歳までか、それ以上まで働ける企業」は46.2%にとどまっており、高齢者の雇用拡大は進んでいない状態です。

公的年金未納広がる 10年度、国民年金納付率は最低に

 公的年金の保険料を納めない個人や企業が増加しています。2010年度の国民年金の納付率は2月末までの累計で58.2%にとどまり、過去最低の更新は確実となる見通しです。会社員が加入する厚生年金では未納額が過去最大になる見通しです。厚生労働省は滞納事業主の年金給付を制限するなど対策の検討に入りましたが、年金制度の維持には抜本改革が避けて通れないようです。

 未納の背景には、低所得や専業主婦の年金をめぐる国の対応も負担の空洞化に拍車をかけているようです。

 一方で低所得を理由に保険料を免除される人も増えています。免除されている人の割合は2月末で28.3%で過去最高で8年連続の増加になりそうです。

 未納が増えると年金財政が悪化し、将来的には給付水準の低下や保険料率の引き上げにもつながります。

 このため、厚労省は悪質な事業主を対象に、保険料を滞納した期間に応じて年金給付を制限したり、事業所名を公表することも検討しています。

介護保険料の納付、40歳未満に拡大検討 厚労省

 厚生労働省は、政府が進めている「税と社会保障の一体改革」で、介護保険料を納付する対象者を現行の40歳以上から引き下げ、40歳未満に拡大する検討にはいりました。

 高齢化で介護の給付費は増え続ける見通しで、保険料を負担する年齢を拡大することで、介護保険の財政基盤を強化したいためだといいます。税と社会保障の一体改革に合わせ、早ければ2013年度にも導入を検討します。

震災の行方不明者、3カ月で死亡推定

 菅内閣は26日に、東日本大震災の被災者を支援する特別立法の一環として、津波などで行方不明の場合は死亡推定までの期間を短縮する法案を閣議決定しました。

 遺族年金や労災保険の遺族補償の支給を早めることが狙いで、行方不明者の家族からの申請を前提に、現行の「災害から1年」を「3カ月」に短縮します。

 年金関連法の遺族年金や労災保険法の遺族補償の支給申請をするには、死亡が認定される必要がありますが、津波などによる行方不明者については、災害から1年以上たたないと家庭裁判所が失踪を宣告できず、それまでは死亡が認定されません。

 一方で、飛行機事故と海難事故に限り、3カ月後に死亡したと推定して支給する規定もあります。

 災害時でも1年以上経過しないと死亡が認定されませんが、家族が行方不明となり、自らも被災した人の多くは、早急に生活資金が必要となります。

 このため、家族が申請した場合には、災害時から3カ月後に死亡したと推定し、支給を認めることにしたものです。
 
 推定期間の短縮により、家族が申請すれば、最短で震災発生から3カ月後の6月から遺族年金を受け取れるようになります。

 遺族年金などは、災害が起きた月までさかのぼって受け取れますが、後に生存が判明した場合には、返還することになります。

 このほか、被災したサラリーマンの年金や医療の保険料減免や、現在最大360日となっている失業手当の支給を60日間延長することなども、法案に盛り込まれています。

 自営業者らが加入する国民年金や国民健康保険の保険料は、現行法で減免が可能です。

 また、被災地で医療や福祉を提供する体制の復旧を急ぐため、公的医療機関や認知症の高齢者を対象としたグループホーム、障害者支援施設などの整備に対する国庫補助の割合が、2分の1から3分の2に引き上げられます。

主婦年金、過払い分の返還請求へ

 政府・民主党は26日、主婦らの年金未納問題について、本来より多く年金をもらっている受給者に対し、過払い分の返還を求める方針を固めました。

 過去にさかのぼって未納者が保険料を納めることができる期間は10年とされる予定です。

 主婦の年金問題は、夫が会社員を辞めた後に、主婦自らが「第3号被保険者」から「第1号被保険者」に切り替える届けを出す必要がありましたが、国民年金への切り替えを忘れていて、保険料を払わないままにしていたことで生じています。

 切り替え漏れの人のうち、5万3000人は本来よりも平均で年1万1150円多く年金を受け取っています。

 政府・民主党は公平性を保つため、過払い分の返還を求めることにしました。

 厚生労働省が第3号被保険者として見なして救済した「運用3号」の988人についても過払い分を返還してもらう方向です。

 これから支給する年金を減らすのか、分割で払ってもらうのかなど返還方法についてはまだ、決まっていませんが、受給者の生活に支障が出ないように配慮する予定です。

 未納期間の解消策については、過去の保険料をさかのぼって納付できる期間を10年分とする方針で、現役世代の42万2000人が対象になるほか、受給者も追納することができますが、追納できない人は年金額が減額される見込みです。

 厚労省は今年の1月から、過去の未納分について保険料を納めていたと見なす救済策を実施していましたが、この救済策は保険料を払っている人と不公平が生じるとの批判が続出しました。

 このため厚労省は今年の3月に救済策を撤回し、未納期間がある人に全期間追納させるなどの方針を打ち出していました。

 しかし、この対策でも主婦と一般未納者の取り扱いが不公平との批判が出て、主婦、一般未納者ともに、追納期間の上限を10年で区切ることにしたものです。

 5月には党の方針および改善策を正式決定し、法案を国会に提出する予定です。

 厚労省も社会保障審議会の特別部会で主婦年金問題を議論しており、党の意見を参考にしながら決めることにしています。

第3号被保険者切り替え漏れ 過受給5.3万人 現役世代に減額可能性―国民年金

 専業主婦ら第3号被保険者(3号)の年金切り替え漏れ問題で、厚生労働省は11日、年金額が本来より多い「過払い」になっている高齢者が5万3000人いるとの推計を明らかにしました。平均の過払い額は年約1万1150円です。また、年金受給はこれからで、年金の減る可能性のある現役世代が42万2000人に上ります。

 政府は切り替え漏れのある現役の人が保険料を追納しなければ、将来の国民年金(満額で年約78万9000円)を減らす意向で、この場合、年間に平均約3万9000円、最も多い人で約37万円減額される見通しです。

 同省によると、切り替え漏れのある人は97万4000人(受給者14万3000人、現役83万1000人)。さらに1400人を抽出して推計したところ、切り替え漏れが1カ月以上あるなど年金額に影響するのは47万5000人(受給者5万3000人、現役42万2000人)でした。

 国民年金は40年間(480カ月)完納で満額受給できますが、1カ月の未納で年間約1640円減額されます。受給者の切り替え漏れ期間は平均6・8カ月、最長で128カ月。平均では年1万1150円、最長の人は年約21万円本来より多い年金を受け取っている計算だ。政府は過払い分の返還も検討しているが、難しいとみられています。現役の切り替え漏れ期間は平均23・5カ月、最長224カ月でした。

 厚生労働省は多くの主婦の保険料が未納になった背景に国の周知不足があるとの判断から、一定の救済策を4月中にまとめる方針です。すでに年金を受給している人には過払い分の返還を求める方向です。

政府の被災者の緊急雇用対策 決定

政府の被災者就労支援・雇用創出推進会議は5日、東日本大震災の被災者を対象とした緊急雇用対策の第1弾を取りまとめました。

  • 緊急雇用対策の主な内容
    • 仮設住宅建設などの復興事業を被災地企業に優先的に発注
    • 復興事業の発注調整と被災者向け求人の発掘を行う「しごと協議会」を各都道府県に設置
    • 被災者を雇用した中小企業に1人当たり90万円を助成(大企業は50万円)
    • 被災者向けに建設関連分野の特別コースを設定するなど職業訓練を強化地方自治体や企業が清掃作業などで被災者を臨時雇用することを可能に
    • 卒業後3年以内の被災者を雇用した企業の奨励金を1人当たり10万~20万円増額
    • 遠隔地での企業面接や就職のための転居にかかる費用を助成
    • 休業手当を企業に助成する雇用調整助成金の要件を緩和し、岩手・宮城・福島など9県に適用
    • ハローワークが被災者向け求人情報の提供を強化
    • 被災者向けの合同企業説明会を5月中をメドに開催

東日本大震災、不明3カ月で死亡推定

 東日本大震災による行方不明者を死亡したと推定するまでの期間について、厚生労働省は2日、「災害から1年」を「3カ月」に短縮する方針を固めました。残された家族の生活再建に配慮し、遺族年金などの支払いを早めます。政府が通常国会に提出予定の被災者支援関連法案に盛り込みます。
 国民年金法や厚生年金保険法等は、遺族年金の支給申請をするには、死亡の認定が必要になります。
 民法の規定では、通常、災害時は行方不明となって、1年以上たってから親族などの申し立てに基づき、家庭裁判所が失踪宣告し、その後死亡が認定されます。
 家族が行方不明となり、自らも被災した人の多くは、早急に生活資金が必要と見込まれます。このため、家族が申請した場合には、災害時から3カ月後に死亡したと推定し、支給を認めることにしました。
 推定期間の短縮により、家族が申請すれば、最短で6月から遺族年金を受け取れるようになります。

東日本大震災 年金受給者から6、8月は天引きせず

 厚生労働省は1日、東日本大震災の被災者で年金を受給している人について、保険料や住民税を6月と8月に支給される年金から天引きしないよう自治体に通知しました。
 天引きしないよう求めたのはこのほか、介護保険、国民健康保険、後期高齢者医療の保険料と個人住民税です。4月の年金支給分については事務処理上、手続きが間に合わないことから、通常通り天引きされますが、後日被災者に還付されます。
※国は保険料や住民税の未納を防ぐため、年金から保険料や住民税を徴収したうえで、
差額の年金を支給する仕組みを採用していています。

「専業主婦年金」救済策を了承 年金回復委

 厚生労働省の年金記録回復委員会は、「専業主婦年金」の問題に関
して、「運用3号」に代わる国民年金法改正による新たな救済策につい
て、大筋で了承したことがわかった。未納期間をカラ期間として扱うこと
とし、特例納付を実施して過去の保険料を2年以上遡って支払えるよう
にする内容。
〔関連リンク〕
 第3号被保険者不整合記録問題対策特別部会の設置・開催について

計画停電による休業の扱い

厚生労働省が出した「・平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震の被害状況及び対応について(第15報)」に次のことが明記されていました。

計画停電の時間帯における停電を理由とする休業については、原則として労働基準法第26条の休業手当の支払を要しないことなどの計画停電の場合の休業手当の取り扱いについて、各都道府県労働局に通知の6ページを参照して下さい

被災者支援、ハローワークに窓口 住宅提供も―厚労省

 被災地のハローワークに、震災による失業や雇用の相談に応じる特別窓口が設置された。被災者が失業手当を受け取りやすくするため、居住地以外の全国のハローワークで手当を受け取ることができる特例措置も始まりました。

 厚生労働省は、所管する雇用・能力開発機構が管理する「雇用促進住宅」の中で空いている計4673戸を被災者に提供する対策に着手しました。実施が決まれば自治体が窓口になる方向です。岩手県内で空いている住宅は2615戸、宮城県では819戸、福島県では1239戸があります。ただ被害のために利用できない住宅もあるとみられています。要望があれば3県以外にある住宅も提供する方針です。

  • 各県にあるハローワークの運営状況は以下の通りです。
  • 【岩手県】
    • オープン:盛岡、沼宮内、遠野、花巻、一関、水沢、北上、二戸
    • クローズ:釜石、宮古、大船渡、久慈は閉まっています。
  • 【宮城県】
    • オープン:仙台、大和、石巻、古川、大河原、白石、築舘、迫
    • クローズ:塩釜、気仙沼
  • 【福島県】
    • オープン:福島、平、磐城、勿来、会津若松、南会津、喜多方、郡山、白河、須賀川、
           相馬、二本松
    • クローズ:相双、富岡

失業手当の受給要件、被災地で緩和

 厚生労働省は東北地方太平洋沖地震に対応した緊急雇用対策をまとめました。被災地で失業保険の支給要件を緩和するほか、ハローワークに特別相談窓口を設置するといいます。
 災害の影響で一時的に失業した人や、事業再開後に再就職が予定している人でも、「災害救助法」の指定地域に住んでいる場合、雇用保険の失業手当(失業保険)を受給できるようにします。
要件緩和することで被災地の失業者の生活を保障することが目的です。
 また、手続きは住所地のハローワークでないと出来ませんが、避難している人のために、特例的に住所地以外でも受給をできるようにします。
 14日以降、雇用の維持や失業に対応するため、特別相談窓口をハローワークの各拠点に設置します。しかし被災しているハローワークも多く、各地での窓口対応は復旧次第となるようです。

医療保険、非正規雇用者への拡大を検討

 政府は10日、社会保障と税の一体改革で、パートや派遣社員などの
非正規雇用者が健康保険などの医療保険に加入する要件を緩和する
検討に入りました。

 菅首相はすでに厚生年金の適用拡大に向けた加入基準の見直しに
意欲を示していますが、10日の参院予算委員会で「健康保険でも
同様だと思う。しっかりやるべき分野だ」と述べました。
細川厚生労働相も「非正規雇用の医療保険の適用拡大を年金制度と
合わせて検討していきたい」と語りました。

 現在、企業のサラリーマンが加入する健康保険組合などの
加入基準は、厚生年金と同じで、非正規雇用者は労働時間や
労働日数が正社員の4分の3以上でなければ加入できません。
ただ、健康保険組合には会社側も保険料を支払うため、
同じ仕組みである厚生年金の適用拡大と合わせて実施すると、
企業の負担が増えることになり、多くの非正規雇用者を抱える
流通・外食産業や中小企業などの反発も予想されます。

厚労相- 主婦年金 救済で保険料免除検討 低所得者対策で

 細川厚生労働相は9日午前の衆院厚労委員会で、専業主婦ら第3号被保険者(3号)の年金切り替え漏れの救済策について、社民党の阿部知子政審会長の質問に答え、保険料を納めることができなかった低所得者層に対する保険料の免除措置を検討する意向を示しました。

 政府が8日発表した新救済策では、切り替え漏れ時点にさかのぼって保険料を納めない場合は公的年金の加入期間に算入する一方、年金給付額には反映させないとしていましたが、阿部氏は「所得の低いことが証明された人は(保険料)免除期間とすべきだ」と質問し、細川厚労相は「低所得者だった場合のことも念頭に入れて検討している」と答弁しました。保険料が免除扱いになれば、税金で賄う国庫負担分(現行2分の1)が年金額に反映されることになります。

主婦年金の現行策廃止し 特例納付認める法改正へ

 細川厚生労働大臣は8日夜に菅直人首相と会談し、1月から導入し、一時停止された厚労省課長通知による救済策を8日付で廃止し、法改正で対応することを決めました。
 
新しい救済策では、保険料未納となっているすべての期間についてさかのぼって保険金の納付ができるようになります。納付しない場合は、未納期間が「カラ期間」として算入されます。そのため、年金額は減るものの、25年の要件を満たさず無年金となる人の救済になります。

 現行救済策は昨年12月に課長通知が出され、今年1月に導入されましたが、「不公平」との批判を受け、2月24日に一時停止されました。救済策の適用申請は5854件。停止手続きが間に合わず15日に年金が支給される人も493人にのぼります。

 細川大臣は一連の問題の責任を取り、大臣就任当時から来月までの給与を全額返還するとともに、厚生労働省幹部らの処分を行いました。引責辞任については改めて否定しました。

非正規社員も厚生年金に加入条件緩和の意向

 菅直人首相は5日、首相官邸で開かれた社会保障改革に関する集中検討会議で、パートや派遣社員など非正規雇用労働者の厚生年金適用拡大に関し、「非正規労働の人たちに社会保険に入ってもらうことは、ほとんど合意ができている。全力を挙げてやってみたい」と述べました。

 厚生年金の加入条件をゆるやかにし、非正規雇用の労働者にも対象を広げる考えを示しました。

 非正規労働者の多くは国民年金に加入します。十分な保険料が払えず将来、低年金や無年金となる恐れがあり、その対策が今回の社会保障改革の焦点の一つになっています。
ただ、保険料による負担増を嫌う企業側の反対が予想されます。

 厚生年金の加入要件は正社員の労働時間の4分の3以上で、大半の非正規労働者は国民年金の対象になります。だが、国民年金は月々の保険料(現行1万5100円)を40年間払い続けた満額でも受給額は月額6万6000円程度。総務省の労働力調査によると、10年(平均)の非正規労働者は1755万人と全雇用者(5111万人)の34・3%に達しています。

労災 介護補償給付の最高額・最低額の引き下げ方針 

 業務上の事故によって重度の障害を負い、介護を必要とする状態になった場合、労災保険から支給される「介護補償給付」について、厚生労働省の労働政策審議会(会長 諏訪 康雄 法政大学大学院政策創造研究科教授)は4日、平成23年度の「最高限度額」と「最低保障額」を平成23年度から40円~200円引き下げる厚生労働省の見直し方針を「妥当」とし、厚生労働大臣に答申しました。
 
 これにより、平成23年4月以降、常に介護が必要な場合の最高限度額は104,530円、最低保障額は56,720円となります。平成23年4月1日に改正省令を施行する予定です。

「運用3号」撤回で国民年金法改正へ

 厚生労働省は、一時的に凍結中の「運用3号」による取扱いを撤回し、
国民年金法の改正により専業主婦の救済を図る方針を明らかにしました。
特例納付を実施して過去の保険料を2年以上遡って支払えるようにす
る案、未納期間をカラ期間として扱うことにする案などが浮上しています。
〔関連リンク〕

完全失業率は横ばいの4.9%

 総務省が2011年1月の完全失業率を発表し、前月と同水準の4.9%だ
ったことがわかりました。また、厚生労働省が発表した同月の有効求人倍
率は0.61倍(前月比0.03ポイント上昇)となり、9カ月連続で改善しました。

社保未加入事業所対策で国税庁のデータ活用へ 

 細川厚生労働大臣は、社会保険に加入していない事業所を把握するた
め、国税庁が保有する法人情報を活用したい考えを示しました。これに対して、菅総理大臣は国税庁による情報提供について前向きな姿勢を示しました。

51の厚年基金で積立不足が約3,660億円

 厚生労働省は、全国約600の厚生年金基金のうち、財政が特に悪化し
ている(給付に必要な積立金が3年連続して基準の9割を下回っている)
51の基金で生じた積立不足が、総額で約3,660億円(昨年3月末時点)
となっていると発表しました。

厚労省が「ハローワークサービス憲章」を策定

 厚生労働省は、公共職業安定所(ハローワーク)の窓口サービスの基
本方針などをまとめた「ハローワークサービス憲章」の策定を発表しました。
「ハローワークの役割」「サービスの基本姿勢」「窓口サービスの基本方
針」で構成され、今後、窓口サービスの向上に取り組むとしています。
〔関連リンク〕

「ねんきんネット」本日午前9時から開始

 日本年金機構は28日午前9時から、自分の加入する年金の保険料納付状況や将来受け取れる年金額などがインターネット上で確認できる「ねんきんネット」サービスを始めます。

 旧システムはIDとパスワードの送付に約2週間必要でしたが、ねんきんネットは約5日間に短縮。さらに、来年度の「ねんきん定期便」の中に同封されている17ケタの数字「アクセスキー」を基礎年金番号と一緒に打ち込めばIDとパスワードが即時発行できるようになります。

 ねんきんネットでは、年金加入開始時から現在までの保険料納付状況を月単位で表示します。未納や重複加入などの疑いがある月を赤く表示することで、記録漏れなどを見つけやすく工夫されています。そして、今秋からは、退職時期や年金受給開始時期など好きな条件を打ち込めば、将来受け取れる年金額を試算するサービスも始めるようです。

 市区町村の一部では、パソコン操作が苦手な高齢者らを対象に、操作を代行して年金記録を提供します。また、郵便局204局でも代行サービスを試行実施するようです。

 日本年金機構のホームページから利用可能です。

専業主婦の年金未納問題 救済見直し

 国民年金第3号被保険者の切り替え漏れ問題について、細川律夫厚生労働相は24日の予算委員会で、1月から始めた救済を一時停止する方針を示しました。

 この問題は、会社員の専業主婦の妻らが、配偶者の脱サラなどで3号被保険者の資格を失う場合、国民年金1号への切り替えが必要ですが、切り替えないままの人が数十万人以上いるとみられる問題です。厚労省が1月から、過去2年分の保険料を払えば、さかのぼってそれ以前の未納分を納めたとみなす救済策を始めました。

 この制度は、総務省の年金業務監視委員会が「正直に届け出た人が損をして、忘れていた人が救済される制度で不公平」と指摘されており、対応が注目されていました

専業主婦年金救済策(運用3号)“見直さず”(厚生労働省)

 厚生労働省は今年1月から始めた主婦の年金救済策に関して、手続きに関する周知が不十分だったとして、過去2年分の保険料を納付すれば、さかのぼって国民年金を支給する救済策を先月から実施していますが、総務省の年金業務監視委員会などは「正しい手続きをして保険料を支払い続けている人との間に不公平が生じる」などと批判しています。
 会社員の夫が脱サラをすれば、妻は3号ではなくなり、国民年金の保険料を払う必要があります。ところが、こうした場合に国民年金に切り替える届け出をしていなかった人が、厚労省の推計で数十万人から100万人に上るといいます。
 この問題は2009年末に判明し、年金記録回復委で対応策が検討された。年金記録の誤りを厳密に訂正すれば、国民年金に切り替えていなかった時期は保険料の未納期間になり、年金が減るか無年金になる人が続出します。
 総務相からの是正勧告があれば、厚労省は見直しを検討しなければなりません。しかし、すでに2331人(1月30日時点)が救済策の適用を受けており、変更するのもは困難を極めそうです。また、細川厚生労働大臣は、この救済策について「行政側の不手際によって加入者に不利益があってはならない。年金行政に対する信頼を失う可能性を考えても救済策は妥当だ」と述べ、見直す考えはないことを明らかにしました。

「ねんきんネット」サービス2月末より開始

 2月末頃から、「日本年金機構」のホームページで「ねんきんネット」
サービスが開所されます。平成23年度の「ねんきん定期便」に、「ねんきんネット」に登録するためのアクセスキーが記載されています。

 それにより、「ねんきんネット」にアクセスすると、最新の年金情報を見ることができるようになります。

 年金ネットの説明は、こちらでご確認ください。

国民年金「運用3号は是正を」 年金業務監視委員会

 総務省の年金業務監視委員会は、厚生労働省が今年1月から実施
している国民年金のいわゆる「運用3号」について問題があるとして、
是正を求めたことがわかった。厚生労働省は、必要な措置であるとし
て反論している。
〔関連リンク〕

国民年金法施行規則・厚生年金保険法施行規則の一部改正

  • 国民年金法施行規則等の一部を改正する省令(平成23年厚生労働省令第10号)
    国民年金法・厚生年金保険法の改正に伴い、障害基礎年金・障害厚生年金の受給権発生後に、加算額・加給年金額の対象となる子・配偶者の生計を維持することとなった場合に必要となる手続等を定めることとされました。

    ※この内容は、平成23年4月1日から施行されます。

  1. 国民年金法施行規則の一部改正
    1. 従来の「胎児出生の届出」の規定が、「子を有するに至ったときの届出」に改められました
      改正後の規定の概要は次のとおりです。
       障害基礎年金の受給権者は、国民年金法に規定する子を有するに至ったことにより、加算をしようとするとき(子供が生まれた、などでその子供に対する年金の加算をするとき)は、事実のあった日から14 日以内に、その子どもの氏名、生年月日等を記載した届書に、その子が受給権者によって生計を維持していることを明らかにすることができる書類等を添えて、日本年金機構(以下「機構」という。)に提出する必要があります。
    2. その他
       子の加算を行うに当たり裁定の請求等で提出が必要となる書類について、その時点で生計を維持していることが証明できるものとすることなど、所要の規定が整備されました。
      また、必要な経過措置が設けられました。

      【解説】
       これまでは、障害基礎年金の「受給権が発生した時」に生計維持している子がある場合にのみ、子の加算を行うこととしていました。
      しかし、法律の改正により、障害基礎年金の受給権発生「後」に生計維持関係にある子を有するに至った場合にも、子の加算が行われることになりました(平成23年4月1日施行)。
       即ち、障害を負って年金が支給されるようになった後に生まれた子供についても、加算の対象とすることとなりました。
       これに伴い、政令の改正により、障害基礎年金の受給権発生時点で生計維持を認定するのではなく、子を有している又は有するに至ったその時点時点で生計維持を認定することとされました。

  1. 厚生年金保険法施行規則
    1. 「配偶者を有するに至ったときの届出」という規定が設けられました
      概要は次のとおりです。
       厚生年金保険法施行令に定める1級または2級の障害の状態にある障害厚生年金の受給権者は、配偶者を有するに至ったことにより、加算をしようとするとき(たとえば、障害年金をもらっている人が結婚して、配偶者を扶養するときなど)は、その事実のあった日から10日以内に、その配偶者の氏名及び生年月日等を記載した届書に、その配偶者が受給権者によって生計を維持していることを明らかにすることができる書類等を添えて、機構に提出する必要があります。
    2. その他
       配偶者加給年金額の加算を行うに当たり裁定の請求等で提出が必要となる書類について、その時点で生計を維持していることが証明できるものとすることなど、所要の規定が整備されました。
       また、必要な経過措置が設けられました。

      【解説】
       これまでは、障害厚生年金の「受給権発生時」に生計維持している配偶者がある場合にのみ、加給年金額の加算を行うこととしていました。
      しかし、法改正により、障害厚生年金の「受給権発生後」に生計維持関係にある配偶者を有するに至った場合にも、その加算が行われることになりました(平成23年4月1日施行)。
       また、政令の改正により、障害厚生年金の受給権発生時点で生計維持を認定するのではなく、配偶者を有している又は有するに至ったその時点時点で生計維持を認定することとされました。

  • これらの改正に対応するよう、省令(厚生年金保険法施行規則)も、その一部が改正されています。

雇用保険料、据え置き 11年度1.2% 厚労省方針

 厚生労働省は1日、雇用保険料率を2011年度は1.2%に据え置く方針を発表しました。労働者・使用者それぞれ0.6%ずつ支払い、事業主は雇用保険2事業の分を合わせると1.55%を払うということも変わりません。
 
 失業給付は引き上げます。算定の基礎となる賃金の下限額を日額2000円から2320円にするということです。これにより、失業等給付の基本手当の日額の最低ラインは1600円から1856円に上昇します。早期に再就職した人に支給する手当も増やす方針です。
 
 詳しくは厚生労働省のサイトを参照下さい。

日本年金機構 専業主婦の資格変更忘れを秋に一斉調査

 日本年金機構は31日、今年の秋に専業主婦の年金記録で実態と食い違いがあるものを一斉調査する方針を明らかにしました。

 細川律夫厚生労働相が直轄する年金記録回復委員会(委員長・磯村元史函館大客員教授)で詳細を示しました。
 
 サラリーマンの専業主婦は年金の保険料を支払わなくてもいい第3号被保険者となりますが、夫の転職などで第3号被保険者としての資格を失っても資格の変更を届けていないケースが数十万~100万人以上もあるとされています。

 現在の年金制度では、専業主婦らが扶養者である夫が自営業になったり、主婦本人がパートで130万円以上の収入を得たりすると、資格の変更を自ら届け出る必要がありますが、この仕組みを知らない人が多くいます。

 そのため、同機構は調査を踏まえ、食い違いの解消を目指すとしています。

 資格の変更がされていない被保険者について、過去にさかのぼって保険料を納められる2年間分については、本来の資格での保険料を納めてもらうようにします。

 ただ、それ以前については行政による取り組みも不十分だったとの反省も踏まえ、保険料の未納期間とはみなさない方針としています。

 また、すでに年金を受け取っている人には変更を求めません。

 厚生労働省は「旧社会保険庁の周知活動も不十分だった」としています。

2011年度の都道府県別の保険料率について

 全国健康保険協会は1月31日、2011年度の都道府県別の保険料率を決定しました。

 それによると、全国平均の保険料率は今年度の9.34%から9.50%へと上昇しています。

◇協会けんぽ新保険料率 (単位・%)
北海道  9.60
青森県  9.51
岩手県  9.45
宮城県  9.50
秋田県  9.54
山形県  9.45
福島県  9.47
茨城県  9.44
栃木県  9.47
群馬県  9.47
埼玉県  9.45
千葉県  9.44
東京都  9.48
神奈川県 9.49
新潟県  9.43
富山県  9.44
石川県  9.52
福井県  9.50
山梨県  9.46
長野県  9.39
岐阜県  9.50
静岡県  9.43
愛知県  9.48
三重県  9.48
滋賀県  9.48
京都府  9.50
大阪府  9.56
兵庫県  9.52
奈良県  9.52
和歌山県 9.51
鳥取県  9.48
島根県  9.51
岡山県  9.55
広島県  9.53
山口県  9.54
徳島県  9.56
香川県  9.57
愛媛県  9.51
高知県  9.55
福岡県  9.58
佐賀県  9.60
長崎県  9.53
熊本県  9.55
大分県  9.57
宮崎県  9.50
鹿児島県 9.51
沖縄県  9.49

年金財源、消費増税などで確保…法改正案に明記

 2011年度の基礎年金の国庫負担割合を5割に維持する国民年金法改正案の内容が30日、明らかになりました。09年度から続く「埋蔵金」を充てることは11年度で終了し、12年度以降は消費税を含む「税制の抜本的な改革」で財源を賄うと明記しました。政府は2月上旬にも国会に法案を提出し、今年度内成立を目指すとのことです。しかし、民主党は先の衆院選マニフェストで、月額7万円の最低保障年金と所得比例年金を組み合わせた年金改革案を掲げています。最低保障年金は全額税方式にするため、国民年金を含む基礎年金は将来全廃されることになります。

 制度移行の際にこれまで積立てた基礎年金をどう扱うかの詳細が決まっていないため、制度導入時は大混乱となる可能性があります。全額税方式を導入するには莫大な財源が必要。政府の社会保障国民会議の試算では消費税率は最大19%となる見通しです。

年金・保険カード1枚に…社会保障・税に共通番号

 政府・与党社会保障改革検討本部(本部長・菅首相)は28日、「社会保障と税の共通番号制度」の実務検討会を開き、共通番号制度の導入を2015年1月からスタートする方針を決めました。

 国民一人一人に番号を付け、年金手帳や健康保険証などの機能をICカード1枚にまとめます。政府が個人の所得や社会保障に関する情報を一括で管理し、税金の徴収や社会保障サービスのをさらに充実させてたいそうです。

 政府は、31日の本部会合で正式決定する予定です。6月に「社会保障・税番号大綱(仮称)」を策定し、今秋の臨時国会にも「番号法(仮称)」案の提出を目指します。与謝野経済財政相は28日の会合で、「長年の社会保障制度の課題が、第一歩を踏み出した。秋に向けてきちんと一歩一歩進んでいきたい」と意欲と述べたそうです。

平成23年度の年金額は0.4%の引下げ

 1月28日、総務省は平成22年平均の全国消費者物価指数(生鮮食品を含む総合指数)の対前年比変動率がマイナス0.7%となった旨を発表しました。

 これをうけて厚生労働省は、同日、現在支給されている年金については、法律上、直近の年金額引下げの年(現在は平成17年の物価が基準)よりも物価が下がった場合は、これに応じて年金額を改定することを発表しました。

 平成22年の物価は、基準となる平成17年の物価と比較してマイナス0.4%となったことから、平成23年度の年金額は0.4%の引下げとなります。(4月分が支払われる6月の支払から変更)

 また、法律に、年金と同様の物価変動に応じた改定ルールが規定されている各種の手当についても、平成23年度は0.4%の引下げが行われることになります。

額については、以下のようになる予定です。

  • 国民年金  [老齢基礎年金(満額):1人分]
    • 平成22年度 (月額)66,008円
    • 平成23年度 (月額)65,742円 (▲266円)
  • 厚生年金  [夫婦2人分の老齢基礎年金を含む標準的な年金額]
     (厚生年金は、夫が平均的収入(平均標準報酬36.0万円)で40年間就業し、妻がその期間全て専業主婦であった世帯の新規裁定の給付水準)
    • 平成22年度 (月額)232,592円
    • 平成23年度 (月額)231,650円 (▲942円)

協会けんぽで無資格約87,000人

 中小企業の会社員とその家族(約3500万人)が加入する協会けんぽ(全国健康保険協会)で、本来は資格がないのに扶養家族として加入していた人が昨年9月末時点で約87,000人いたことが分かりました。

協会けんぽは昨年5月から全国の加入者を対象に被扶養者資格の確認調査を実施しました。今後は毎年同様の調査を実施する方針です。

協会けんぽは無資格加入だった人を除くことで、年間約40億円の負担減になるとしています。

公的年金受給者数が最多 現役1.8人で1人を支える

 厚生労働省は24日、2009年度における厚生年金保険と国民年金の事業概要に関する報告『平成21年度厚生年金保険・国民年金事業の概況について』を発表しました。

 それによると、公的年金の受給者数は09年度末でのべ5988万人、前年度末に比べ245万人(4.3%増)となり過去最多であることがわかりました。

 重複を除いた年金の実質的な受給者数が3703万人と前年度と比べ3.1%増える一方で、支え手である加入者数は6874万人となり、62万人(0・9%)減少しています。

 現役1.8人で受給者1人を支える構図で、安定的な年金制度の基盤が揺らいでいることが浮き彫りとなりました。

 公的年金の総額は09年度末現在で50兆3000億円(前年度比2.8%増)と、初めて50兆円を突破し、名目国内総生産(GDP)に対する割合が1割を超えることとなりました。

 政府は6月めどに税と社会保障の一体改革案を取りまとめる方針です。
 
 年金制度改革を巡っては、与謝野馨経済財政担当相が、原則65歳の年金の支給開始年齢の引き上げに言及するなど、給付削減についても課題になりつつあります。

「閉鎖型」適格年金、移行を簡素化

 厚生労働省は2012年3月末で制度が廃止される税制適格退職年金(適年)について、特例措置を設ける方針です。

 他の企業年金制度への移行を促すため、移行に必要な手続きを簡素化するのが目的です。

 すでに年金を受け取っている人だけで構成する「閉鎖型」と呼ばれる適年が対象となります。

 この閉鎖型年金は主に生命保険会社と中小・零細企業との契約で、2010年11月末時点で約3000件が残っています。

 適年は2012年3月末で税制優遇が廃止され、確定給付企業年金などの他の企業年金制度に移行しないと、同年4月から年金受給者に税負担が発生します。

 会社が企業年金制度を変更するには、労使合意が必要で、労使合意の経緯など多くの書類を作成する必要があります。

 厚労省は特例措置で必要性の低い書類を不要とし、さらに変更後も運用の基本方針の作成を求めないほか、決算書類も簡略化する方針です。

 適年のうち現役社員が加入する約1万3000件については特例措置の対象になりません。

男女差のある障害等級 2月1日に改正省令施行予定

 業務上の事故で、頭や顔、首といった「外貌(日常的に人目に付く部分、外見)」にやけどや傷跡などが残った場合、労災保険から「障害補償給付」が支給されますが、現在の施行規則によると、顔などに重い傷が残った場合、女性は7級、男性は12級になっています。

 この規定について、昨年6月、「男女の障害等級に5等級の差を設けていることは違憲」とする京都地裁判決が確定しました。これを受けて、厚生労働省は、「外ぼう障害に係る障害等級の見直しに関する専門検討会」を設置。障害等級の男女差の解消などを内容とする「労働基準法施行規則及び労働者災害補償保険法施行規則の一部を改正する省令案要綱」を作成し、同年12月6日に労働政策審議会に諮問していましたが、答申を踏まえ、厚生労働省は、速やかに省令の改正に向けた作業を行い、平成23年2月1日に改正省令を施行する予定だと発表しました。
 ※詳細はこちらを参照下さい。

就職支援強化で助成金の対象を拡大

 厚生労働省が「卒業前の集中支援」の内容を発表し、2月1日から、
大学等を卒業後3年以内の既卒者を採用した事業主への奨励金
(3年以内既卒者(新卒扱い)採用拡大奨励金)の対象者が平成22
年度卒業予定の未内定者まで拡充されることが明らかになった。
〔関連リンク〕
 新規学校卒業予定者の厳しい就職環境を踏まえた就職支援の強化
 3年以内既卒者(新卒扱い)採用拡大奨励金

協会けんぽ保険料率 都道府県格差は0.2ポイント程度に

 厚生労働省は、2011年度における協会けんぽの保険料率について、
都道府県による格差を「0.2ポイント程度」に抑える方針を示した。
2010年度の保険料率(全国平均)は9.34%だが、2011年度は9.5%と
なる見込み。

雇用調整助成金の教育訓練費を引下げへ

 厚生労働省は、雇用調整助成金・中小企業緊急雇用安定助成金の
うち事業所内訓練の教育訓練費について、4月1日以降の支給申請
分から、対象労働者1人1日当たり大企業は4,000円から2,000円に、
中小企業は6,000円から3,000円に引き下げると発表した。
〔関連リンク〕
 雇用調整助成金の教育訓練費の支給額一部引下げ

国民年金の保険料 11年度、初の引き下げへ

 厚生労働省は2011年度の国民年金の保険料を引き下げる方針を決めました。10年度の月額1万5100円のところ、80円下がり、1万5020円となります。制度に沿った見直しで、1961年度に国民年金制度が発足してから、引き下げは初めてになります。

 自営業者らが加入する国民年金の保険料は2年前の物価や賃金の伸びに応じて調整する仕組みで、04年の年金制度改革で17年度まで毎年引き上げ、その後は1万6900円に据え置くと決めました。年280円の引き上げを基準に想定していますが、これは、04年時点の物価水準に基づく指標で、実際の見直しは物価や賃金の動きを反映して見直すことになっています。

 11年度の保険料の算定は、09年の全国消費者物価指数(CPI)と06~08年の実質賃金をもとに計算しました。09年のCPIはリーマン・ショックや原油価格の下落などで、前年比でマイナス1.4%、06~08年の実質賃金は年平均でマイナス1%減となり、これらを反映して計算すると月80円の引き下げになります。

 尚、会社員が加入する厚生金の保険料率は、物価の動向に影響を受けず、保険料率は17年度まで毎年0.354ポイント上昇し、11年の10月納付分から16.412%(労使折半)となります。

企業の厚生年金、代行返上が増加

 企業の厚生年金基金が運用している厚生年金を、国に返還する「代行返上」が2010年度は2011年1月までで11件に上り、2009年度の7件を上回りました。

 年金運用の低迷や企業業績の不振を背景に、代行部分を国に返還する動きが広がっています。

 厚生年金基金は国から預かった厚生年金の一部と企業独自の上乗せ部分を一体運用して給付を手厚くする企業年金の一つです。

 企業は代行返上すれば、厚生年金を運用・給付する必要がなくなります。

 今年度、代行返上を決めたのは住友信託銀行や七十七銀行のほか、日本テキサス・インスツルメンツや象印マホービンなどの基金となっています。

 2011年1月までに累計で887の基金が代行返上を決めており、基金数が最も多かった1996年度の1883基金から約47%が代行返上したことになります。

国民年金保険料の納付率

 厚生労働省は2010年12月27日付にて、国民年金保険料の納付率(平成22年10月末現在)を発表しました。

 それによると、平成22年4月~22年9月分(現年度分)の納付率は、56.0%(対前年同期比△1.6%)となっています。

 参考:国民年金保険料の納付率について(平成22年10月末現在)

年金機構の発足から1年 問題は山積?

 日本年金機構が旧社会保険庁より衣替えしてから約1年がたちました。

 「電話は3コール以内に出る」といった目標を掲げ、組織改革に取り組み、待ち時間短縮等成果が出ているものの、国民年金保険料納付率は2010年10月時点で56.0%。低下に歯止めがかからない状態となっています。

 肝心の記録問題の解決については、持ち主が不明な5,095万件の年金記録のうち、昨年末の段階で本来の持ち主の記録と統合されたのは約1,539万件あまりで、残りの3,556万件のうち、すでに亡くなっている人の記録などを引いても、1,991万件が未解明となっています。この一年間のうちに統合された記録は192万件で、このままのペースでいくと、全解明に10年はかかってしまう計算になります。

 オンライン上の年金記録と原簿の紙台帳を全件照合する「突き合わせ作業」は2013年度の作業完了を目指していますが、新たに入力ミスや入力漏れの可能性が発覚することも考えられ、年金業務に対する信頼回復の道は遠いものとなりそうです。

有効求人倍率が7カ月連続で改善

 総務省が11月の完全失業率を発表し、前月と同じ5.1%だったことが
わかった。厚生労働省が発表した同月の有効求人倍率は0.57倍(前
月比0.01ポイント増)で、7カ月連続で改善した。

約180万人分の企業年金が持ち主不明

 手続きの不備などが原因で持ち主が不明となっている企業年金の資
産が、今年3月末時点で約180万人分あることが明らかになった。総額
は3,000億円程度。

社会保障制度改革に向け検討本部を設置

 厚生労働省は、社会保障制度改革について検討する「社会保障検討
本部」を設置し、初会合を開いた。「医療・介護」、「年金」、「子育て
支援」、「就労支援」、「貧困・格差」、「社会保障と税の共通番号」の
各テーマについて検討を進めていく予定。

定年等の中高年者の半数以上が仕事を継続

 厚生労働省は、定年等により退職した中高年者のうち52.5%の人が
何らかの形で仕事を続けているとする調査結果を発表した。就労形態
は「契約社員・嘱託」が19.3%、「パート・アルバイト」が13.8%だった。

協会けんぽの保険料が2年連続上昇

 全国健康保険協会は、2011年度における協会けんぽの保険料率が
全国平均で9.5%(2010年度から0.16%上昇)になる見込みであると発表
した。医療費支出が増大する見込みのためで、2年連続の上昇となる。

介護保険制度改正案のポイントを発表 厚労省

 厚生労働省は、2012年度実施の介護保険制度改正案のポイントを発
表し、「介護保険料の軽減」、「24時間対応の訪問介護サービスの創設」、
「介護療養病床の廃止期限猶予」などが盛り込まれたことがわかった。
来年の通常国会に改正法案を提出の予定。
〔関連リンク〕
 介護保険法等の一部を改正する法律案(仮称)のポイント

来年度年金財源 鉄建機構から1.2兆円

 国民に基礎年金を払うための来年度の財源が21日、決まりました。
  
 国の負担分を3分の1から2分の1に引き上げたことで、新たに必要となる2兆5000億円分の財源について、国交省が所管する独立行政法人「鉄道建設・運輸施設整備支援機構」の利益剰余金1兆5000億円のうち、1兆2000億円を充てることで合意しました。

 ただ、この剰余金は来年度限りの財源にしかなりません。
 
 野田財務相は「ぎりぎりの努力を積み重ねて、やっと(財源を)確保する見通しとなってきたが、(今後は)税制の抜本的改革を法律上やることによって財源を確保することが筋だと思う」と語ったということです。

年金支給額引き下げを決定 2011年度0.3%

 政府は20日、2011年度の公的年金支給額を5年ぶりに引き下げる方針を決めました。

 公的年金制度には物価水準を年金支給額に反映させる「物価スライド」が導入されていますが、前年の全国消費者物価指数を基準年と比べ、翌年度の支給額に反映させることが定められています。
 10年の物価指数は基準年である05年の水準を下回るのが確実なため、年金支給額は引き下げられることになります。

 厚労省は現在、年金額の引き下げ幅を0.3%程度で調整しており、40年間保険料を納めた人の基礎年金の満額(66,008円)受給者で、月200円、年額で2400円程度下がる見込みです。また厚生年金では夫婦のどちらか一方が働く家庭で月700円程度の引き下げとなる見通しです。

 来年春の統一地方選を控えて引き下げの影響を懸念し、当初首相は見直しを指示していたということですが、物価も賃金も下がっている状況下での年金支給額の据え置きは、公的年金への信頼を揺るがし、実質的な引き上げともなるため、次世代間のへの負担のつけ回しという批判を避ける決定となりました。

求職支援の恒久化を決定 2011年10月実施

 政府は17日、職業訓練の受講を条件に長期失業者に生活費を支給する「求職者支援制度」を来年度から恒久化することを決めました。

 求職者支援制度は、雇用保険の受給資格のない長期失業者や非正規労働者を対象に最長2年間にわたり月10万円を支給するものです。

 この制度は自公政権下の09年度補正予算で時限措置として始まり、民主党はマニフェストで制度の恒久化を明記していました。 最大月額12万円の生活費支給額は10万円に一本化する一方で、対象者を世帯主以外にも拡大しています。

 厚生労働省は現行の全額国費負担を打ち切り、国庫負担割合は2分の1とし(来年度は暫定措置として約4分の1)、恒久化後は、労働保険特別会計のうち失業手当などに充てる雇用保険の勘定から大半を拠出することになります。

 一方、同マニフェストに明記された雇用保険の国庫負担割合(現在13.75%)を法律に定めた25%に引き上げることは約2000億円の財源のめどが立たないことから見送りとなりました。

 また、国民健康保険組合(国保組合)への補助金のうち、定率補助(給付費の32%)をやめ、12年度から所得水準に応じた補助に切り替えるということです。

子ども手当 給食費・保育料の滞納分を天引き 政府方針

 厚生労働省は、中学生までに支給される子ども手当(月額1万3千円)から、11年度以降の子ども手当から給食費や保育料の滞納分を差し引くことができる仕組みを導入する方針を固めました。20日にも開く閣僚会合で正式に決め来年の通常国会に提出する子ども手当法案に盛り込む方針です。
 
 子ども手当には強い受給権が定められ、差し押さえが禁じられています。そこで給食費については、事前に保護者と同意文書を交わすことが前提となります。 文部科学省の推計では、2009年度の公立小中学校の給食費の滞納額は26億円に上ります。 一方、06年度(厚労省調べ)で約8万5千人が総額83億7千万円滞納していた保育料については、強制徴収できる法的な規定があるため、子ども手当から天引きできるよう検討するようです。年金から保険料を天引きできる介護保険制度なども参考にして、法制化を目指します。

失業手当、5年ぶりに引き上げへ―厚労省

厚生労働省は16日、失業手当を2011年度中に引き上げる方針を決めました。

最大360円増額する方針です。

失業手当は毎年改定されていますが、07年度から減少が続いていて、引き上げは5年ぶりになります。

引き続いている雇用情勢の厳しさと、最低賃金が上昇していることなどを踏まえました。

失業手当は離職前6カ月の平均賃金に連動していて、1日当たりの下限額と上限額が決められています。

今年度の改定では、下限額を256円引き上げ、1856円となります。

上限額は30歳未満で6435円(290円増額)、30歳~45歳未満で7150円(325円増額)、45歳~60歳未満で7865円(360円増額)となります。

短期間で再就職した失業者に向けて支給されている「再就職手当」も増額します。

現在は失業手当の残り受給日数の40~50%分相当額を給付していますが、2012年度中に給付率を50~60%に引き上げます。

昨年度の失業手当受給者数は10月まで月65万~73万人でした。

前年比では2割超減りましたが、引き続き高水準となっています。

景気が不透明な中、11年度も高水準の受給状況が続く可能性が高いといえます。

この改正により、受給者の大半が増額される見通しとなっています。 

財政健全化目指す「指定基金」に48の厚生年金基金が指定

厚生労働省は12月15日、「指定厚生年金保険法」第178条の2第1項の規定に基づき、平成22年12月8日付で48厚生年金基金を、早期かつ確実に財政健全化を図ることを目的とした「指定基金」に指定したことを発表しました。

指定要件について

積立金の資産額が、3事業年度(今回の指定では平成19~21年度)決算で連続して、解散した場合に返さなければならない額の9割を下回った厚生年金基金。
 ※ 平成22年12月末時点の実績で必要な資産額が確保されている場合は、積立状況を示す書類を平成23年2月末までに厚生労働大臣に提出すれば指定は解除されます。

健全化計画の内容について

•事業および財産の現状
•財政の健全化の目標
•目標達成のために必要な具体的措置
•措置に伴う財政の見通し
健全化計画の提出時期は平成23年2月末。承認時期は平成23年3月末となっています。

平成22年度指定基金は次のとおりです(都道府県別)

1北海道北海道石油業2北海道北海道トラック
3秋田県秋田県建設業4福島県常磐交通
5千葉県千葉県機械金属6東京都全国警備業
7東京都全国塗装8東京都全国マーガリン製造
9東京都全日本バルブ10東京都東京貨物運送
11東京都東京港12東京都東京写真製版
13東京都東京都家具14東京都東京都自動車整備
15東京都東京都鉄二16東京都東京皮革産業
17東京都日本界面活性剤工業18東京都日本建設工事業
19東京都日本ハム・ソーセージ工業20東京都東日本硝子業
21東京都東日本段ボール22東京都東日本ニット
23神奈川県神奈川県貨物自動車24神奈川県神奈川県乗用自動車
25神奈川県神奈川鉄鋼産業26長野県甲信越印刷工業
27長野県長野県建設業28岐阜県岐阜県繊維工業
29静岡県静岡県中部機械工業30愛知県高砂殿グループ
31愛知県中部電気工事業32愛知県名古屋乗用自動車
33愛知県尾西毛織34京都府京都機械金属
35京都府京都府トラック事業36京都府京滋石油
37大阪府大阪菓子38大阪府大阪港
39大阪府大阪府貨物運送40大阪府大鋼連
41大阪府西日本自転車42兵庫県尼崎機械金属
43兵庫県兵庫印刷工業44兵庫県兵庫県トラック運輸
45兵庫県兵庫ゴム工業46岡山県岡山県被服
47山口県山口県建設業48山口県山口県トラック

厚生年金記録 8.1%が不一致

 日本年金機構は、「宙に浮いた年金記録」に関して調査を行った約6,000人分の厚生年金の記録のうち、8.1%について紙台帳とコンピューター上の記録に不一致があったと発表した。なお、高齢になるほど記録が一致しない割合が高く、年金額が年105万増額となるケースもあった。

「未払賃金立替払制度」は存続へ 

 厚生労働省は、事業仕分けで「原則廃止」と判定された「未払賃金立
替払制度」について、従来通り存続させる方針を明らかにした。連合
など労働界が激しく反発していることを受けたもの。
〔関連リンク〕
 未払賃金立替払制度の概要

再就職手当の支給率5~10%引上げを検討 厚労省

 厚生労働省は、現在は失業手当の残りの受給日数分の40~50%相当
額を支給している「再就職手当」について、来年度にも支給率を5~10%
程度引き上げることを検討していることを明らかにした。

大学病院などの未払い賃金で是正勧告 東京労働局

 東京労働局が、東京大学医学部付属病院など複数の同大学関連機関
に対し、未払い賃金があるとして是正勧告を行っていたことがわかった。
2004年12月~2010年3月までの間の未払い賃金は9,776万円で、対象
者は医師や事務員など延べ約700人。

約8割の健保組合が赤字決算

 全国1,473の健康保険組合の2009年度決算(見込み)の経常収支が過
去最悪の5,235億円の赤字を記録し、全体の約8割の組合(1,184組合)
が赤字となったことがわかった。拠出金負担と給与減少により保険料
収入が減少したことが要因。

印影ミスで94万人に保険料通知を再送付 年金機構

 日本年金機構は、約94万人分の国民年金保険料の控除証明書(10月
1日付発行)を再送付したことを明らかにした。受注業者が間違った印
影で印刷を行い、発送前の確認で機構側も見過ごしたため。

「共通番号制度」中間整理案を公表 政府・与党

 政府・与党は、「社会保障・税に関わる番号制度に関する実務検討会」
を開き、中間整理案を発表した。プライバシー保護など問題は残るもの
の、2011年6月をめどに「社会保障・税番号大綱(仮称)」を策定し、来秋
以降に法案提出の見込み。
〔関連リンク〕
 社会保障・税に関わる番号制度に関する実務検討会(第2回)

厚労省-国保を都道府県で運営

 厚生労働省は1日、市町村が運営する国民健康保険(国保)の財政運営を2018年度から都道府県に移す検討に入りました。現在、市町村の人口構成の違いなどから国保保険料は全国で5倍近い差があります。運営主体を都道府県に移して格差を縮める考えですが、新たに重い責任を負う都道府県の反発は必至で、実現へのハードルは高いものとなっております。

 厚労省は75歳以上を対象にした後期高齢者医療制度を廃止し、13年度から新しい制度に移行する方針を決めています。約1400万人いる75歳以上の8割強が国保に移り、その部分の運営は市町村ではなく都道府県が担う方向になっています。

 これに加え、同省は74歳未満の国保加入者についても18年度から都道府県を担い手とする考えで、保険料収入と医療費支出などの財政のバランスをとる最終責任を都道府県が負う仕組みとします。今月開く有識者会議で議論し、新制度を盛り込んだ関連法案を来年の通常国会に提出する予定です。

 現在、国保の保険料は市町村が医療費の水準や加入者の負担能力を踏まえて設定しています。ただ、高齢化率や所得水準の違いなどによって市町村間で保険料に最大4.8倍の格差があります。18年度以降は、都道府県が標準保険料を設定し、同じ都道府県内では保険料水準がほぼ均一になります。

勤務先の労働保険をネットで確認 厚労省

 厚生労働省は30日、勤務先が労働保険(労災保険と雇用保険)に加入しているかどうかについて、インターネットで確認できるようにすると発表しました。12月1日正午より運用が開始されます。

 厚労省によると、全国約400万の事業所のうち、労働保険の未加入者は約12万人と推測されています。労働者や求職中の人がチェックできるようにすることで、労働保険未加入の事業所に加入を促すのが狙いです。

 事業所のある都道府県や会社名などを入力すれば保険の適用状況が表示される仕組みだということです。検索ページ

精神障害に関する労災の支給決定までの期間を短縮へ

 厚生労働省は、現在、支給決定まで平均で約8.7カ月かかっている精
神障害に関する労災認定の期間について、6カ月程度まで短縮する
方針を明らかにした。来夏までに検討会が報告書をまとめ、その後、
通知(認定指針)を改定する考え。

年金事務所での年金記録訂正が可能に

 厚生労働省と日本年金機構は、年金記録の回復手続を一部変更し、
勤務先の手続ミス等により保険料支払いの記録が消えていた場合に、
年金事務所での記録訂正を可能にする方針を明らかにした。これまで
は、年金記録確認第三者委員会による審議が必要だった。

会社員の「時給」減少止まらず 、民間推計で9月2408円

 給与総額を労働時間で割ったサラリーマンの「時給」の減少に歯止めがかかっていないという分析を第一生命経済研究所がまとめました。 同研究所は、国税庁の民間給与実態統計調査や厚生労働省の毎月勤労統計をもとに、サラリーマンの給与水準や労働時間を分析、9月時点の時給は2408円で、1990年代後半の2500円前後から大幅に減っていることが分かりました。

 今年に入って給与総額は増えていますが、労働時間も伸びており、時給の減少傾向に歯止めがかかっていないようです。同研究所は、サラリーマンの時給が減少傾向にあるのは賞与カットが主因だと指摘しており、賞与が直近ピークの1997年に比べて38%減ったことが響いたとみています。

顔の傷 労災障害等級の男女差撤廃へ

 厚生労働省の検討会は19日、労働災害で顔に傷跡が残った場合の障害等級から男女の差をなくし補償額を統一する報告書案をまとめました。今年5月の京都地裁の違憲判決を受けた見直しで、実行には、省令である労災保険法施行規則の改正が必要になります。同省は労働政策審議会での議論を経て、年度内の改正を目指します。

 労災保険法施行規則が改正されれば、1947年に制定されてから初めての見直しになります。

 労災保険法施行規則は、障害等級を1~14級に分類していますが、現在の施行規則によると、顔などに重い傷が残った場合、女性は7級、男性は12級になっています。7級は直前3か月の平均賃金の131日分が毎年支払われるのに対し、12級は平均賃金の156日分が一時金として支払われるだけです。軽い傷の場合は、女性が12級、男性が14級となります。
 報告書案では、「著しい醜状」が残った場合は男女ともに7級、軽傷の場合はともに12級に統一することにしました。

 さらに、切り傷のような細長い傷は、これまで7級でしたが、医学技術の進歩などを考慮し、中間の9級を新たに設置することも決めました。9級では平均賃金391日分の一時金が1度支給されます。

高所得者利用料2割に 高齢者の月額保険料を5,000円以内に抑制 -介護保険-

 厚生労働省は平成24年度の介護保険制度改革の素案を、社会保障審議会の介護
保険部会に提示しました。高所得者の利用料を現行の1割から2割に引き上げて、高齢
化に伴うサービス増などに対応できるようにすることなどが柱となっています。

 ただし、65歳以上の月額保険料が平均5,200円程度と、現行に比べて1,000円の
大幅増となるために、基金の取り崩し等で保険料を4,000円台に留める方向性も示し
ています。厚労省は、この関連法案を来年の通常国会に提出する方針としています。

その他、素案の骨子として以下のような案が出ています。
・65歳以上の介護保険料は、サービスや負担を見直さずに5千円以下に
・高所得者の自己負担を2割に引き上げを検討
・ケアプラン作成費への利用者負担の導入を検討
・軽度者家事援助を縮小させる給付のあり方を検討
・24時間地域巡回型の訪問サービスを新設

介護保険について、税での負担増加を約4割が容認 -内閣府調査-

 内閣府は、 「介護保険制度に関する世論調査」を発表しました。

 保険料抑制のために取るべき手段を聞いたところ最も割合が高かったのが、「公費負担の引上げ」43.1%、「保険料負担増はやむを得ない」35.7%、「40歳未満からも保険料を徴収」29.1%、「自己負担割合の引き上げ」20.1%などが続き、4人に3人が自分自身が寝たきりや認知症の要介護者になるかもしれないと不安に思っていることが分かりました(複数回答)。

 また、家族が要介護者となることへの不安についても、約8割の人が抱いていて、少子高齢化の進行に伴う不安感の拡大がうかがわれる結果となっています。

 調査は今年9月から10月にかけ、全国5,000人の成人男子を対象に行われ、有効回答は3,272人(65.4%)でした。

高齢者医療:都道府県運営に 広域連合協が要望書

 後期高齢者医療制度を運営する広域連合(市町村で構成)の全国協議会は、18日、2013年度に導入予定の新しい高齢者医療制度の運営を都道府県にするように要望書をまとめ厚生労働省に提出しました。

 厚労省は年末にまとめる新制度案で、市町村の国民健康保険を広域化し、都道府県に運営させることを模索しています。

 いまの後期高齢者医療制度は市町村で構成する「広域連合」が運営していますが、住民の認知度が低く、市町村と都道府県のはざまで責任があいまいとの指摘があります。

 厚労省は新しい制度で財政の運営を都道府県にする意向ですが、全国知事会は都道府県による運営には反対しています。

出産一時金:42万円で恒久化…厚労省方針

厚生労働省は15日、の社会保障審議会医療保険部会(厚労相の諮問機関)で
出産時に公的医療保険から支払われる「出産育児一時金」について、
来年度以降も現行の42万円とし、恒久化する案をに提示しました。同省は年内に結論を得る方針です。
 出産育児一時金は、少子化対策の一環で09年10月から来年3月までの暫定措置として、38万円に
4万円を上乗せした42万円が支払われています。しかし、同省の調査(今年8月)で全国平均の出産費用は約47万円と判明し、一時金を上回る実態が明らかとなりました。来年度以降も現行水準を維持する必要があると判断しています。4万円増には年間約415億円の財源が必要です。現在は国が182億円を補助し、
残りを企業の健保組合など医療保険者が負担しています。上乗せ維持には健保などの反発が予想され、
調整が難航する可能性もあるようです。

同居の親族のみを雇用する事業も中小企業退職金共済制度に加入できるようになりました(平成23年1月1日施行)

単独では退職金制度を備えることができない中小企業者の相互共済の仕組みによる退職金制度である
「中小企業退職金共済制度」について、厚生労働省はこのほど、「中小企業退職金共済法施行規則」
を改正を発表しました。この改正により、これまで本共済制度に加入できないこととされていた同居の親族のみを雇用する事業にあっても、事業主との間に使用従属関係が認められる同居の親族については、「従業員」として本共済制度に加入できることとされました。
 改正規則は、平成23年1月1日の施行です。 詳しい加入手続については、本共済制度を運営する独立行政法人勤労者退職金共済機構中小企業退職金共済事業本部のホームページ上で12月頃発表があります。

厚生労働省 特区方式による国と自治体の一体運営方式のハローワークの創設を提案

厚生労働省は11月2日、内閣府に対して「出先機関改革の再検討の指針」を踏まえ、特区方式による国と自治体(都道府県・市町村)の一体運営方式のハローワークの創設 (自治体によるハローワークへの指示を初めて可能にしたもの)を提案しました。

目的は、地域の実情に即した自治体の意向を踏まえた職業紹介サービスの提供と、ハローワークを核として他のサービスを含めた、雇用・生活サービスのワンストップ化を実現するものとのこと。

概要は、特区において、職業紹介、福祉相談、住宅相談、職業訓練などを総合的に提供する国と自治体の一体運営施設を創設。また、一体運営施設においては、都道府県に加え、市町村も参加し、自治体がハローワーク(国)に指示できる制度を創設するものとのこと。

一体的運営施設を支える法的枠組みは法定事項であり、以下の内容が提案されています。
○「雇用対策協定」の締結
自治体から国に対する要請権と国の誠実応諾義務
○「運営協議会」の設置
自治体、国、地域の労使等が参加し、運営
○自治体の指示権の創設
自治体から一体運営施設の職業相談・職業紹介業務に対する指示を可能
○一体運営施設
職業紹介、福祉相談、住宅相談、職業訓練などを総合的に提供

3歳未満児のみ月2万円に 来年度子ども手当- 政府

 政府は3日までに、来年度からの子ども手当支給額について、3歳未満児を持つ世帯に限定して現行の月1万3000円から2万円に引き上げる方向で調整に入りました。この場合、3歳以上の支給額は据え置かれます。所得税の配偶者控除の一部廃止などにより、財源を確保する予定で、4日に開かれる財務、厚生労働など関係5閣僚会合で議論し、月内に結論を得る方針です。
 民主党の試算では、子ども手当の支給額が現行のままだと来年度以降実施される年少扶養控除の廃止などの影響で、3歳未満児を持つ世帯は2012年度からは、月6000円の負担増となる見込みです。
 このため3歳未満児を持つ世帯のみ優先的に支給額を月2万円に引き上げるべきだと判断しました。増額に必要な財源は2000億-3000億円とみられます。財源確保のために来年度の税制改正では、年収1000万円以上の高所得世帯の配偶者控除について廃止を検討していくこととなる模様です。

ハローワーク 国、自治体との一体運営 国は権限移譲に応じず- 厚労省

 厚生労働省は2日、国の出先機関改革の一環として、ハローワークを国と地方自治体が一体で運営する仕組みを導入する案をまとめました。国がハローワークで行う職業紹介事業に対し、自治体が指示できるよう法整備することなどが柱となりますが、政府の地域主権戦略会議から求められた「権限移譲」には応じておらず、不十分と判断される可能性があります。
厚労省案は、ハローワークで行っている国の職業紹介事業と自治体の福祉や住宅相談などを一つの施設内で行えるようにし、総合的に住民サービスを提供する「ワンストップサービス」の実現化が柱になります。職業紹介は国が行いますが、自治体に「指示権」を与え、地域の実情に合わせた施策を実施できるとしています。ただし、希望した自治体が特区を申請する仕組みになっており、住民サービスの組み合わせは国と自治体が協議して決めます。
 細川律夫厚労相は2日の会見で、権限移譲に踏み込まなかった理由について「職業紹介は広域的な連携・調整が必要で、単純に地方移管できない。地方主権改革と国の責務を両立させる案だ」と理解を求めました。

「65歳以上まで働ける会社」46% 目標の50%に届かず 厚労省調査

 厚生労働省は29日、高齢者の雇用状況調査を発表しました。今年6月1日時点の高年齢者の雇用状況調査によると、希望者全員が65歳以上まで働ける企業の割合は46・2%で、前年と比べて1・6ポイント増加しました。また、70歳まで働ける企業の割合は、0・8ポイント増の17・1%でした。
 しかしながら、厚労省は今年度末までに同比率を50%まで高める目標を掲げてるなかで、今回の結果について同省は「高年齢者の就業機会はかなり増えている。ただ、先行き不透明な景気の影響もあり、増加率は伸び悩んだ」との認識を示ています。景気低迷の影響で高齢者雇用の取り組みが遅れていると判断しているようです。
 従業員が31人以上の企業約13万8千社を対象に、年金の支給年齢の引き上げを踏まえた「定年廃止」や「継続雇用」などの状況を調査しました。今年4月から年金が受け取れる年齢が63歳から64歳に引き上がりましたが、この年齢まで働ける仕組みを導入した会社は全体の96.6%となり、前年に比べ1.0ポイント上昇しました。
 雇用確保の取り組みを実施する企業の内訳は、継続雇用が最も多83・3%を占めた。定年引き上げは13・9%、定年廃止は2・8%であり、希望者が例外なく65歳まで働ける企業は全体の半分に満たなかった。

介護保険:「自己負担増」に批判

 厚生労働省は28日に、厚労相の諮問機関である「社会保障審議会介護保険部会」に対して、2012年度の介護保険制度改革に向け、介護サービスを利用した時の自己負担割合(現行1割)の引き上げなどによる負担増により財源を確保することを提示しました。
 これに対して、委員から「財源は政治の責任で確保すべきだ」との批判を受けました。
 厚労省が提示したのは
・介護の必要度の低い人(軽度者)や高所得者の自己負担割合の引き上げ
・軽度者の生活支援サービスの縮小
・ケアプラン作成への自己負担導入
・現役保険料を収入に応じて決める「総報酬割り」の導入
などとなっています。
 軽度者の負担については、2割への引き上げを想定しているとみられますが、「軽度者が利用を抑制し結果的に重度化を招く」と反対意見が相次いで出されました。
 ケアプラン作成の自己負担については、「介護保険の入り口で利用を抑制しかねない」との懸念が出されました。
 「社会保障審議会介護保険部会」は、この厚労省の提示を受け、来月に意見書をとりまとめることにしています。

24時間 定額制の介護訪問サービス 厚労省検討会

 厚生労働省の検討会は26日、2012年度の介護保険制度改正の目玉となる24時間巡回型の訪問サービスについての素案をまとめました。24時間訪問サービスは時間帯を問わず必要なときに、必要な訪問サービスを提供する仕組みです。介護が必要な人の在宅生活を支える狙いで、1日複数回の定期訪問と緊急時30分以内の対応が柱です。
 現在の訪問介護は利用回数が増えるたびに料金も加算される仕組みになっていますが、12年度改正では、必要なサービス量が変わっても対応できるよう一定の利用範囲内での料金定額制を採用することを検討しています。利用者が料金を気にして必要なサービス利用を控えないようにするのが狙いです。
 有識者会議は来年1月に最終報告をまとめ、厚労省が来年の通常国会に関連法案を提出し、来年度の社会保障審議会で制度の詳細を詰める予定です。

有期労働契約、規制強化へ=具体策の検討開始-厚労省労政審

 厚生労働省の諮問機関である労働政策審議会(労政審)の分科会は、パートや契約社員など雇用期間が定められた有期労働契約に関する規制強化策の検討を始めました。正社員と比較して、雇用が不安定かつ待遇も低くなりがちな有期契約労働者に対する権利保護を強化することが狙いとされています。
法改正を含めた具体策を検討した上で、2011年度中に結論を出す見通しです。
 有期労働契約をめぐっては、厚労省の研究会が9月に問題点や検討課題を上げた最終報告をまとめていました。この報告は、規制強化の具体策として、有期労働契約が特定時期に生じる一時的な業務以外には認めない「入り口規制」と、現在無制限になっている契約更新回数を制限する「出口規制」の双方を例示したものです。入り口規制はフランス、出口規制は英国やドイツで採用されており、労政審はこれらを参考として具体策を協議することとしています。
 また、有期契約労働者が特定企業と雇用契約を繰り返し更新してきたにもかかわらず、合理的な理由なしに「雇い止め」になったケースに対して「無効」とする判例が確立しています。今後は判例を参考にして、雇い止めを制限するルールの法制化なども検討課題となります。
 2008年のリーマン・ショック後の雇い止めなどが相次いだため、有期労働への規制強化を求める声が強まっていますが、経済界からは「規制強化は生産拠点の海外流出や中小企業の廃業に拍車を掛け、かえって雇用情勢を悪化させる」といった批判も多いのが現状です。規制の大幅強化を主張する労働側と、経営側の主張が対立し、調整が難航する恐れもあるとみられています。

新高齢者医療制度 70~74歳の自己負担が2割へ 

 厚生労働省は70歳から74歳の高齢者の医療費について、現在1割となっている窓口負担を2013年から段階的に2割に引き上げる案を示しました。
 本来、2008年度から2割負担となる予定でしたが、負担軽減策として自民党時代から暫定的に1割に凍結されてきました。
 厚生労働省は、高齢者増加により年々保険料が増加する中、患者の窓口負担を増やすことで、健康保険組合の負担が軽くなっていくものとしています。

サービス残業で1221社に労基署指導 前年度比大幅減

 賃金不払い残業(サービス残業)をさせているとして、2009年度に労働基準監督署の指導を受け、合計100万円以上の残業代を支払った企業は、前年度比332社減の1221社だったことが厚生労働省の調査で分かりました。残業代の総額は同80億1053万円減の116億298万円。企業数は過去2番目に少なく、支払額は過去最少でした。
 残業代支払いの対象となった労働者数も前年度より6万8841人減り、過去最少の11万1889人。
 1人当たりでは平均約10万円でした。1社当たりが支払った額の平均は950万円。1千万円以上支払った企業は162社で、業種別では、製造業が329社で最も多く、指導を受けて支払った残業代は計23億2094万円でした。次いで商業が287社で計22億1270万円。金融・広告業は69社だったが、対象の労働者数が多く、支払額も19億3818万円に膨んだといいます。
 厚労省は「経済情勢の厳しさから残業自体が少なくなっていることが原因」と分析している。

厚労相試算 10年後は2万2千円増 75歳以上の国保料

 政府が後期高齢者医療制度の代わりに検討している新制度について、厚生労働省の試算が20日、明らかになりました。
 国民健康保険(国保)に移る75歳以上の約1200万人の平均保険料は2020年度に年8万5000円となり、現在より2万2000円増える計算になります。
 厚労省は2013年度の導入する新制度の中間取りまとめで、後期高齢者医療制度の1400万人のうち1200万人を市町村が運営する国民健康保険(国保)に、200万人を大企業の健康保険組合(健保組合)など被用者保険に移ってもらうことを決めています。
 現行制度では、75歳以上の平均保険料は年6万3000円で、現行のままだと、2013年度に6万8000円、20年度に8万7000円となる見込みですが、新制度になった場合、13年度は2000円増えるものの、20年度には2000円抑えられるとしています。
 尚、高齢者の負担が実質減る分、税金と現役世代の負担は膨らむ見通しです。 
 また厚労省は70~74歳が病院の窓口で支払う負担割合(現在は制度上は原則2割負担ですが、自公政権時代に負担軽減策として1割に据え置いています。)について、2013年度から段階的に2割に引き上げる方針を固めました。

日系人労働者の4割以上は公的年金未加入

 国内事業所(民間)で勤務する日系人労働者(ブラジル人・ペルー)を対象とした就業実態調査において、公的年金未加入者の割合が4割以上、健康保険は6割以上の者は加入しているものの、約1割の者が未加入であるなどの環境におかれていることが判明しました。

 就業形態においては45.9%がパートやアルバイトといった不安定な就業形態となっており、前職と現職を比較した場合6割強は賃金が減少したと回答し、「20万円以上25万円未満」が約3割を占め、最多でした。

 この調査は、日系人労働者の就業実態を把握し、失業中の者を含めた日系人労働者に対する就職支援を実施する基礎資料とするため、厚生労働省が独立行政法人労働政策研究・研修機構に要請して、実施したものとされています。

生活保護受給権訴訟判決  永住外国人も適用外

 外国籍であることなどを理由に大分市が生活保護申請を却下したのは違法として、日本で生まれ永住権をもつ同市の中国籍の女性(78)が処分の取消や保護開始決定を求めた訴訟の判決が18日、大分地裁でありました。
 
 女性側は「少なくとも永住外国人には憲法で保障された生存権があり、生活保護法が適用される」と主張しましたが、「生活保護法は日本国籍者に限定した趣旨。外国人への生活保護は贈与にあたり、受給権はない」として女性の請求を退けました。弁護団によると、永住外国人に対して生活保護の受給権を認めないと明示した判決は初めてということで、女性側は控訴する方針です。

 判決によりますと、この女性は2008年12月、大分市福祉事務所に生活保護申請をしましたが「女性名義の預金が相当額ある」という理由で却下されました。 外国人の受給権の有無と、経済状態などからこの女性が要保護者に当たるかということが争点でした。

 裁判長は受給権について、「永住外国人を保護対象に含めないことが憲法に反するとは言えない」と述べて、事実上門前払いとする裁決をしています。

うつ「労災」認定迅速化へ

 厚生労働省は、業務上のストレスが理由でうつ病などの精神疾患になった労働者の労災認定を早めるため、労災認定の「判断指針」を改正する方針を固めました。

 現在、労災認定まで平均8・7か月(昨年度)かかっていますが、申請者から「治療や職場復帰が遅れる」との声が出ていました。

 同省では6か月以内の認定を目指すことにしています。

 15日から始まる専門家の検討会で協議し、来夏までの改正を目指します。

 現在の指針は、ストレスの元となる職場での具体的な出来事について「対人関係のトラブル」や「長時間労働」などと例示した一覧表を基にして、ストレスの強度を3段階で評価しています。

 その上で、職場外のストレスなどと比較し、職場の出来事が精神疾患の有力な原因と判断されれば原則として労災認定されます。

障害年金認定の基準を明確化へ(厚労省) 

 厚生労働省は、知的障害者とエイズ患者が障害基礎年金を受給する際に、年金の障害等級の認定基準を明確にする検討を開始しました。審査期間を短縮することで、請求から支給開始までのスピードアップを図ることとしています。

 これまでは、知的障害者の場合、1級の認定基準が「日常生活への適応が困難で、常時介護を要する」2級の認定基準が「日常生活における身辺の処理に援助が必要」という両者の違いが分かりにくく、判断を行うのに時間を要するとの指摘がありました。 同省はてんかんぜんそく、心疾患の認定基準についても、見直しを進めています。

 障害基礎年金の認定については、日本年金機構が「請求から決定まで3カ月半以内」と目標を掲げているものの、実際には平均で半年程度かかっているのが現状です。
「審査が遅い」という批判を受けて、今年の4月に担当職員を56人から97人に増やしています。

支給漏れで14万人に通知 厚生年金の脱退手当金

 日本年金機構は11日までに、結婚退職などで厚生年金の加入期間が短かった人に保険料の一部を払い戻す「脱退手当金」(現在は廃止)について、支給漏れの可能性がある約14万3千人に「受け取っていないと思う人は年金事務所に申し出て」と呼び掛けるはがきの送付を始めました。

 年金機構の管理記録上は脱退手当金をもらったことになっているのに実際には受け取っていない人の場合、記録を訂正すれば受給資格期間が延びて年金額が増えるためです。厚生労働省の試算では、最大で約8千人が記録訂正につながる可能性があるといいます。

 年金機構は既に約6万5千人分を発送済みで、残る7万8千人分も近く送付するそうです。

 脱退手当金は昭和30~40年代に会社を辞めた女性が主に受給することができます。手当金の受取額に見合う勤務期間は厚生年金の加入期間から除かれます。

 支給漏れは事務処理ミスが原因とみられ、複数の会社に勤務した人に最後の1社だけの分しか支給しなかったなどのケースが考えられるそうです。

 機構はこれまで脱退手当金の支給漏れを約19万2千人としていたが、その後に精査したところ約5万人減ったとのことです。

介護保険料平均5千円も(厚労省見通し) 

 厚生労働省は6日、社会保障審議会介護保険部会で、65歳以上の保険料の全国平均額(現行は月4160円)について、次回改定(2012年度)では5千円を上回るとの見通しを示しました。介護職員の処遇改善を図るための交付金等の特例措置が積み重なり、2012年度以降の給付費が当初試算よりも約2千億円上回る可能性が大きくなったことが要因とされています。

 政府は2012年度の介護保険制度見直しに向けて、11月までに結論を出して来年の通常国会に関連法案を提出する方針としています。

 また、65歳以上の保険料については発足当初の2911円から大幅に増加しています。

 なお、介護保険の給付費について、2000年度の制度発足時の総給付費は約3・6兆円でしたが、2012年度は7・9兆円に倍増しています。

老齢厚生年金 賠償求め国に提訴 

 旧社会保険庁年金相談センターの不適切な対応で、約3年半特別支給の老齢厚生年金を受給できなかったとして、東京都中野区の男性が6日、この間の年金相当額など計約417万円を賠償するよう、国に求める訴えを東京地裁に起こしました。

 訴状によりますと、2004年11月当時この男性は61歳でしたが、立川年金相談センターに相談したところ、職員から「被保険者期間が220か月のため、受給に必要な300か月に足りない」と指摘されました。

 しかし、2008年1月に別の社会保険事務所に相談した際、学生等任意加入であった期間が47か月、失業し妻に扶養されていたものの被保険者の届出をしていなかった期間が36か月あり、受給権があったことが判明しました。

 男性側は「職員は、学生だった時期や婚姻していた期間といった基本的事項について確認すべき義務を怠った」と主張しています。

適格年金、移行遅れで所得課税も。退職2.6万人、手取り減も。

 中小企業の退職者約2万6000人が2012年4月以降、現在受給している税制適格年金に所得課税される可能性が高いことが分かりました。税制適格年金は12 年3月末に廃止され、所得税の公的年金等控除を受けられなくなることが決まってます。、一部の退職者は別の年金制度への移行措置が期限内に間に合わないためです。控除がなくなれば、年金の手取り額が目減りする見通しで、対象になる退職者の反発が強まりそうです。

厚生年金基金、国の記録と260万件不一致? 

 2日、日本年金機構は厚生年金基金の加入記録約4000万件のうち、約260万件で国の年金記録と一致していない可能性があることを公表しました。
 
 このうち約180万件は年金額に影響するとみられ、さらに約半分の90万件は増額修正になる可能性があるとみられています。

 厚生年金基金制度は企業年金制度の一つで、厚生年金の一部を国に代わって運用・支給している。

 国は年金記録問題の発覚を受けて昨年春から基礎年金番号や加入期間、標準報酬月額など国が保有する記録を各基金に提供するなどして、照合作業を進めていましたが、転職者などの記録を管理する企業年金連合会が今年5月までに確認した約2812万件について記録に約6.4%の不一致がありました。

 この割合を各企業の基金が管理する分も含めた厚生年金基金の全記録(約4000万件)に広げて推計すると、約260万件が不一致ということになります。

 企業年金連合会の記録では、加入期間や標準報酬月額が一致せず、記録を訂正すると年金額に影響するものが約4.5%あり、連合会の記録上の報酬月額などが国の記録より多いのが約2.3%で、逆に少ないのが約2.2%という結果でした。

 すでに年金を受給している人の記録については、年金が減額になる訂正はしない方針です。

2009年度の国民年金保険料、実質納付率は43% 

 国民年金保険料の納付率が過去最低の59・98%に落ち込んだ2009年度納付率について、全額免除や猶予を受けている人の分を除外せずに算出した場合は、実質的な納付率は43・4%となることが9日、厚生労働省の試算で分かりました。2008年度の45・6%から2・2ポイント低下、50%を割り込んだのは4年連続となります。

 この実質納付率をめぐり、民主党野党時代であったときに「政府の発表は実態を反映していない」と批判したことで、当試算が公表されるようになりました。今回の試算は、民主党が与党になって初めて公表した数字ですが、厚労省は「正式な納付率は、あくまで
59・98%」としています。

 年代別では、実質納付率が最も高いのは55~59歳で57・7%。若くなるほど低くなり、20~24歳では学生納付特例などの猶予制度の影響もあって23・0%となっています。

 2009年度末現在、国民年金の加入者は1985万人(うち全額免除者は335万人、猶予者は200万人)ですが、納付時効の2年間滞納を続けて、保険料を一切支払わなかった未納者は321万人いたとされています。

事業主未納の厚生年金保険料 国が肩代わり 

 厚生労働省は27日、事業主が従業員の給料から天引きしたにもかかわらず、実際には国に納めていなかった厚生年金保険料が、2007年6月から今年3月末までに計2万3359件見つかったと発表しました。未納保険料の総額は約15億4900万円だということです。事業主側に支払いを求めていますが、約4億5900万円が未払いのままです。厚労省は納付に半年間応じない場合は、企業名などを公表することにしています。

 厚労省は同時に、事業主の死亡などで保険料の支払いが難しい13件、計約875万円の保険料を初めて国が肩代わりしたことを発表しました。厚生年金の記録が消えた被害者を救う特例法に基づく措置です。

平均寿命、過去最高をまた更新 女性86・44歳で25年世界一 

 日本人の2009年の平均寿命は女性が86・44歳、男性が79・59歳で、いずれも過去最高を4年続けて更新したことが26日、厚生労働省が公表した「簡易生命表」で分かりました。

 女性は25年連続の世界最長寿で、08年より0・39歳延びました。男性も0・30歳延びましたが、08年の4位から5位に順位を下げました。4位より下になったのは1973年以来36年ぶり。前年の平均寿命からの延び(男性は0.30歳、女性は0.39歳)は、前年の延び幅(男性0.10歳、女性0.06歳)を大きく上回りました。 男女差は6・85歳で、昨年より0・09歳広がっています。

 厚労省は「がん、心疾患、脳卒中という日本人の三大死因と肺炎の治療成績が向上したことが主な要因。インフルエンザが大流行しなければ今後も寿命は延びるだろう」と分析。さらに、3大疾患が克服されると、男性は87.63歳、女性は93.43歳まで平均寿命が延びるといいます。

 女性の2位は香港の86・1歳、3位はフランスの84・5歳。男性は1位がカタールの81・0歳で、前年より4.3歳延びていました。2位が香港で、アイスランドとスイスが続いています。

 09年に生まれた赤ちゃんが75歳まで生きる割合は、男性71・9%、女性86・5%、95歳まで生きるのは男性8・2%、女性23・7%と試算しました。

配偶者退職後も「第3号被保険者」45万人

 日本年金機構のサンプル調査で、20日、配偶者が退職して資格を失った後も第3号被保険者のままとなっている人が今年1月時点で103万人に上り、このうち約半数が3月時点でもそのまま変更手続きを行っていなかったことが明らかになりました。
 
 機構では、今年3月に103万人から100人を抽出して追跡調査していましたが、44人の年金記録が「3号」のままで、そのうち13人がすでに年金を受給していたということです。この調査を103万人に当てはめて推計すると、約45万人が年金記録と実態にずれが生じていることになります。

 日本年金機構によると、届け出が必要になることを知らない人が多く、第3号の資格を失った後も、本来は支払うべき保険料が未納のままになっている加入者が多いということです。

 ただ、平成17年以降は配偶者の退職などから4か月たっても手続きを行わないケースについては職権で「1号」に変更することとなっています。このため、長妻昭厚生労働相は記者会見で「すでに一定の改善がなされている」という認識を示しました。
 
 厚労省は、年金記録が「3号」のままで保険料を払ってこなかった加入者に時効で消滅していない過去2年分の未納保険料を請求する方針です。

「経済上の理由」等により、年金受給後も7割が就労 

 60~64歳の男性で、すでに年金を受給している人の約7割が、年金以外にも収入を得るための仕事をしていることが、労働政策研究・研修機構(厚生労働省所管)の調べで分かりました。

 働く理由の約8割は「経済上の理由」が占め、平成13年からはじまった定額部分の年金支給開始年齢の段階的引き上げより、定年後も働かざるを得ない高齢者が増えているという実態が浮かび上がったこととなります。

 これは、同機構が昨年8月、高齢者の労働促進について研究するため、55~69歳の男女約3600人にアンケート調査をしたものです。

 それによりますと、年金受給中の男性のうち、60~64歳の69・4%が就労しており、平成16年に厚生労働省が行った同様の調査よりも6・3ポイント上昇し、65~69歳でも50・8%が仕事を続けていました。

 所得が多く年金を受給していない人も含めると、60~64歳で75・1%、65~69歳で52%が働き続けていることになります。

その他の理由として、次いで「いきがい、社会参加」(約19%)、「健康にいい」(約10%)などがあがりました。

 一方で、働いていない人のうち「働きたくても仕事に就けなかった」という人も約45%、就業形態は約54%が正社員を望んでいるものの、実際には嘱託や契約社員での雇用形態が最多、賃金も退職時の4~5割程度となった人が最も多いという結果となりました。

外国人技能実習生:『中国実習生は過労死』 初の労災認定へ 

 外国人研修制度で来日した中国人技能実習生、蒋暁東さん(当時31歳)が、茨城県潮来市の金属加工会社「フジ電化工業」で実習中に死亡したことについて、鹿嶋労働基準監督署は2日、違法な長時間労働による「過労死」と判断し、労災認定することを決めました。

 親族確認などの書類がそろい次第認定されます。蒋さんの代理人の弁護士によると、外国人実習生の過労死による労災認定は初めて。

 同労基署によると、蒋さんは05年12月に来日し、技能実習生としてメッキ処理工場で勤務。08年6月に心不全のため社宅で死亡しました。遺族側が昨年8月、労災申請しました。

 死亡直前の08年3~5月には、労使協定で定めた1か月30時間を超え、1カ月に最大で98時間の時間外労働をしていたことが確認されました。さらに、遺族側代理人によると、来日2年目からは月150時間の残業が常態化し、07年には180時間残業し、休みが2日だけの月もあったといいます。

 同労基署は、同社が長時間労働をさせていたほか、虚偽のタイムカードに基づく賃金台帳を作成したうえ、台帳を破棄したことが判明。残業代不払いなどがあったとして、代表取締役(66)を労基法違反の疑いで2日、水戸地検土浦支部に書類送検しました。

 毎日新聞の取材に対し代表取締役は「忙しい部署なので、(蒋さんに)ほかの実習生と交代制にすると助言したら『一人でやる。もっと働かせてくれ』と言った。亡くなる前月の健康診断でも体調に異常はなかった」と話しています。

 遺族側代理人の指宿昭一弁護士は「研修生の労災は、遺族と連絡がとれず申請が困難。今回の事件は氷山の一角だ」と指摘しています。

年金一元化など 新制度7原則決定 

 政府は29日、「新年金制度に関する検討会」(議長・菅直人首相)で、2014年度以降の導入を目指す新制度に関する基本原則を決定しました。「全国民が1つの制度に加入」「最低限の年金額の保障がある」など7項目を決めましたが、具体的な制度設計や財源は盛り込みませんでした。2013年度までの関連法案の成立を目指します。
《新制度の基本原則》

  1. 年金制度の一元化
  2. 最低保障年金の導入
  3. 負担と給付の関係の明確化
  4. 持続可能な制度の構築
  5. 年金記録の確実な管理とチェック
  6. 未納・未加入をなくす
  7. 国民的議論で制度設計

労災で顔に傷、性差別は違憲、障害等級表の男女差を見直しへ(厚労省)    

 労災で顔や首に大やけどをした京都府の男性が、女性よりも障害等級が低いのは男女平等を定めた憲法に反するとして、国の補償給付処分取り消しを求めた訴訟の判決で、京都地方裁判所労災は、5月27日「不合理な差別的取り扱いで、違憲」と判断し処分を取り消した件について、厚生労働省は、6月10日、国としては、控訴を行わないことを発表しました。そのなかで、違憲とされた障害等級表については、本判決の趣旨を踏まえ、見直すこと。併せて、今後、本年度内の同表の見直しを目指し、具体的な内容を検討することとしています。
 ※(参考)外ぼうの醜状障害に関する等級設定について

  • 障害の程度
    • ほとんど顔面全域にわたる瘢痕で人に嫌悪の感をいだかせる程度のもの
      •   男7級
      •   女7級
    • 外ぼうに著しい醜状を残すもの
      •   男12級
      •   女7級
    • 外ぼうに醜状を残すもの
      •   男14級
      •   女12級

【判例】遺族年金不支給で国が敗訴 仙台地裁 

 離婚後に死亡した男性(当時59)の遺族厚生年金の不支給処分は違法であるとして、仙台市の女性(63)が、、国に処分の取り消しを求めた訴訟の判決が7日、仙台地裁でありました。

 畑一郎裁判長は、女性が離婚後も男性と行き来し、経済的支援をしていたことなどを指摘し、訴えを全面的に認め処分を取り消しました。

 判決文によると、2000年に男性が事業に行き詰まり、商工ローン業者らからの厳しい取り立てを受け、身を守るために離婚しましたが、03年3月男性が死亡するまで、病気だった男性の世話をしていたほかに、家賃を代わりに支払うといった経済的援助も行っていました。
 
 判決理由として、「社会通念上夫婦の共同生活をし、家計を一つにしていたと認められる。厳しい取り立てから免れるための別居はやむを得ず、原告側の受給要件に欠けるところはない」としています。

年金加算金法施行、物価上昇分を上乗支給

 年金が未払いになっていた原因が旧社会保険庁の記録漏れであった場合に、物価上昇分を上乗せ支給する「年金支払い遅延加算金法」が今月30日から施行されることとなりました。

 遅延特別加算金は約1万6千円(平均的なケース)で、早い人では5月に受け取れることとなります。

 対象となっている人は、①5年超の未払い期間がある、②年金記録を訂正した受給者となっており、未払であった年金を既に受け取った人も、請求した場合は加算金を受け取ることができます。

 この加算は、大幅に年金支給が遅れたことで、年金に以前の貨幣価値しか反映がされていないとする不利益解消を目的とし、、厚生労働省によると、本年度は約260万人が対象となる見通しです。
 ただし、年金額は受給時の物価に応じて変動することから、未払い期間が5年以内の人は対象外で、5年超の人も直近5年間分には加算されないこととなっています。

障害年金の加算要件拡充法案が成立へ

衆院厚生労働委員会は9日、障害年金受給者に配偶者や子供もがいる場合の加算について、受給開始後に結婚したり子供が生まれたりしたケースにも対象を広げる「国民年金法等改正案」を、委員長提案として本会議に提出することを全会一致で決めました。週明けの衆院本会議で可決後、参院に送付されます。今国会で成立する見通しです。

 障害年金は、20歳以上の人が、病気やけがで重い障害を負った場合や、障害がある子どもが20歳になった場合に原則支給され、障害年金の「受け取りを始めた時点」で、子どもがいたり、サラリーマンで配偶者がいれば、年金額が加算されます。改正後は、障害年金をすでに受け取っており、その後、子どもが生まれたり、結婚した場合も受給できるように要件を緩和します。

 障害年金の受給者は平成20年度末時点で約182万人。厚労省は法案成立により数万人が新たな加算対象になると見込んでいます。

脱退手当金制度を巡り、新基準による救済認める

1986(昭和61)年に廃止された厚生年金保険料の相当額を払い戻す脱退手当金制度を巡り、29日、年金記録回復委員会は、年金事務所窓口で訂正を認める新しい救済基準を了承しました。

当制度は、結婚などで厚生年金を脱退する際、納めた保険料を一時金として受け取る仕組みとなっており、算定期間に漏れがあった人は19万人に及ぶとされています。

新しい基準は「手当の支給日以前に、漏れていた厚生年金の加入期間がある」ことが要件で、同じ年金番号に手当の対象期間と漏れていた期間がある人や、別の番号でも手当支給日から1年以内に厚生年金に加入、もしくは国民年金に加入し未納がない等の場合は、支給はなかったとみなされます。

また「ねんきん特別便」での記録漏れにより年金が減額となる場合は、対象の受給者に訂正が必要か確認する方針で合意されました。

特例老齢農林一時金の導入が平成22年4月1日より開始。new

特例老齢農林一時金の支給に関して必要な手続等が定められた(抜粋)。

  • ① 特例老齢農林一時金の決定の請求をしようとする者が存続組合に提出する請求書には所定の事項を記載し、公的年金制度の管掌機関の確認を受けた年金加入期間確認通知書又は厚生年金保険法による老齢厚生年金の年金証書の写し等を添付することとされた。
  • ② 存続組合は、特例老齢農林一時金の請求書の提出があったときは、遅滞なく、これを審査し、決定し、その決定内容を請求者に通知しなければならないこととされた。
  • ③ 特例老齢農林一時金の支給を受けた者が厚生年金保険の被保険者となったときは、その間の各月分年金相当額を返還しなければならないこととされていること等に対応し、特例老齢農林一時金の支給を受けた者が、厚生年金保険の被保険者となったときは、その旨を存続組合に届け出出なければならないこととされた。
    ※特例老齢農林一時金とは
    農林年金(農林漁業団体職員共済)は、平成14年4月1日、「厚生年金保険制度及び農林漁業団体職員共済組合制度の統合を図るための農林漁業団体職員共済組合法等を廃止する等の法律」(平成13年法律第101号)に基づいて厚生年金保険と統合し、それ以降は、職域年金相当部分の特例年金のみを農林漁業団体職員共済組合(以下「存続組合」という。)が支給している。
    特例年金を長期にわたり支給することは、その事務負担を勘案すると存続組合、受給権者双方にとって不経済な面があり、受給権者自らの判断で年金を一括して受給するという選択肢を増やす観点から、「厚生年金保険制度及び農林漁業団体職員共済組合制度の統合を図るための農林漁業団体職員共済組合法等を廃止する等の法律の施行に伴う存続組合が支給する特例年金給付等に関する政令」を改正し、受給権者の請求により年金の支給に代えて一時金で受け取ることができる特例を新設することとした。それが、『特例老齢農林一時金』です。

年金確保支援法案を決定 保険料追納期間を10年に

政府は5日、国民年金保険料を追納できる期間を現行の2年から10年に延長したり、企業型確定拠出年金の加入要件を緩和する「年金確保支援法案」を閣議決定しました。今国会で成立を目指します。

公的年金は、原則25年以上保険料を納めないと受給資格が得られず、納付した期間に応じて将来受け取れる年金額が変わります。施行日からさかのぼって10年分の保険料が追納できるようになることで、無年金や低年金の人を減らすことが目的で、同法案は、厚生労働省は2011年10月1日までに施行する方針です。

平成22年度年金額据え置き

厚生労働省は平成22年度の年金額を据え置くことを発表致しました。
平成22年度の主な年金額は次のとおりです。

(金額は年額です)平成21年度平成22年度
国民年金老齢基礎年金792,100円792,100円
障害基礎年金1級990,100円990,100円
障害基礎年金2級792,100円792,100円
遺族基礎年金(子1人)1,020,000円1,020,000円
10年年金481,300円481,300円
5年年金409,600円409,600円
障害年金1級990,100円990,100円
障害年金2級792,100円792,100円
母子年金(子1人)1,020,000円1,020,000円
老齢福祉年金405,800円405,800円
厚生年金保険標準的な年金額2,791,100円2,791,100円
障害年金・遺族年金(最低保障額、旧法)792,100円792,100円
遺族年金(2子・最低保障額、旧法)1,513,800円1,513,800円

平成22年度の国民年金料は、15,100円に

国民年金の保険料は、平成29年度まで毎年度引き上げられることとなっていて、平成22年度の保険料は、月額15,100円なっています。保険料Ah、厚生労働省から毎年4月上旬に送付される「納付書」によって翌月末までに納めます。
支払窓口は、金融機関(ゆうちょ銀行も含む)、コンビニで、金融機関では口座振替もできます。
また、前納することによって、割引もあります。
なお、前納(1年又は6ヶ月)を希望する方は、2月末までに年金事務所に申し込む必要があります。詳しくは最寄りの年金事務所に相談してください。

児童扶養手当、父子家庭にも支給へ

 政府は12日、低所得の母子家庭に支給されている児童扶養手当を8月分から同様の父子家庭にも支給するため児童扶養手当法改正案を閣議決定した。今国会で成立を目指す。施行予定日は8月1日。児童扶養手当は支給月が4、8、12月で、実際に父子家庭へ初支給されるのは12月。8月からの4カ月分が支払われ、対象は父子家庭約10万世帯の見込み。支給額は子ども1人の場合、所得に応じ月額9850〜4万1720円。2月12日(金)

英国年金法改正に関して(英国で短期間働いた方へ)

2007年の英国での年金法改正により、平成22(2010)年4月6日から英国の年金制度への最低加入期間が撤廃されることとなりました。その結果、英国の基礎年金(Basic State Pension)に1年間以上加入していた方は、2010年4月6日以降に受給開始年齢に達する場合には基礎年金を受け取ることができるようになりました。該当する方は、現在日本にお住まいの場合でも受給が可能です。
なお、日英社会保障協定に基づき英国の年金制度への加入が免除されていた期間は、加入期間の算定の対象となりません。
その他今回の改正に関する詳細は、厚生労働省ホームページでご確認して下さい。☞こちら

平成22年度年金額について(厚生労働省HPより)

  • 1月29日、総務省より、平成21年平均の全国消費者物価指数(生鮮食品を含む総合指数)の対前年比変動率がマイナス1.4%となった旨発表された。
  • 年金額の改定のルールは法律で定められている。平成22年度の年金額の場合、平成21年の物価水準は対前年比では下落したものの、法律で、これを下回らなければ引き下げない基準としている平成17年の水準と比較すれば、依然として0.3%上回っている状況にあり、法律の規定に基づき、平成22年度の年金額は据置きとなる。
  • 《平成22年度の年金額》 (月額)
      平成21年度平成22年度
    国民年金(老齢基礎年金:1人分)66,008円66,008円
    国民年金(老齢基礎年金:夫婦2人分)132,016円132,016円
    厚生年金(夫婦2人分の老齢基礎年金を含む標準的な年金額)232,592円232,592円
     (※) 厚生年金は、夫が平均的収入(平均標準報酬36.0万円)で40年間就業し、妻がその期間全て専業主婦であった世帯の新規裁定の給付水準

平成22年1月から、確定拠出年金の拠出限度額が引き上げられました

 平成22年1月1日から、確定拠出年金の拠出限度額が引き上げられました。
[企業型]
 ・他の企業年金がない場合 :月46,000円 ―引き上げ→ 月51,000
 ・他の企業年金がある場合 :月23,000円 ―引き上げ→ 月25,500

[個人型]
 ・自営業者等        :月68,000円 ―改正なし→
 ・企業の従業員*      :月18,000円 ―引き上げ→ 月23,000
 *確定拠出年金の企業型、厚生年金基金等の企業年金に加入していない者等に限ります。

年金受給資格者3万5000人が未申請(社保庁推計)

社会保険庁は25日、公的年金の受給資格期間(25年)を満たしているにもかかわらず、受給資格があると知らずに、年金の受給申請をしていない人が推計で約3万5千人いると発表した。同庁のオンラインシステム上の2338人分の記録をサンプル調査して判明した。長妻昭厚生労働相は有資格者を早急に見つけ出し、受給申請するよう通知する考えを明らかにした。
 サンプル調査では2338人のうち、470人が年金受給資格を満たすにもかかわらず受給していないことが確認できた。実態聴取できた249人のうち40人が受給資格を満たしていたことを知らなかったという。(日本経済新聞12月25日付け記事より)

厚生年金加入記録のお知らせ

平成21年12月24日より約2800万人の受給者に対して順次、送付されます。「お知らせ」には、年金加入履歴、標準報酬月額、標準報酬賞与の月別状況、年金加入記録の回答表が同封されています。

  • うす緑色の封筒:一般の受給者
  • オレンジ色の封筒:不適正な遡及訂正処理の可能性のある記録(約6.9万件)の3条件の1つ以上に該当する受給者
    ※受給者の中でも高齢者から優先的に送付されます。
    内容等で不明な点は、「ねんきん定期便専用ダイヤル」0570-058-555に問い合わせをしてください。

平成22年1月1日に日本年金機構がスタートします

いよいよ平成22年1月1日に非公務員型(民間)の法人で圧日本年金機構が業務開始します。詳細は、☞こちらで確認をして下さい。
国(厚生労働省)が財政責任・管理運営責任を負いながら、公的年金の運営業務を日本年金機構に委任・委託されます。
国(厚生労働大臣)から権限の委任を受けた業務(資格の得喪の確認、届出・申請の受付等)については、「日本年金機構の名」で機構が実施し、国(厚生労働大臣)から事務の委託を受けた業務(裁定、給付等)については、「国(厚生労働大臣)の名」で機構が実施することになります。
現在、全国に312ある社会保険事務所は、そのままの事務所・場所で「年金事務所」という名称になります。

平成22年1月より改正船員保険制度が実施されます。

詳細は、こちら 画像の説明 でご確認ください。

年金、28万人が増額の可能性 記録回復へ(厚労省推計)

長妻昭厚生労働相は11日、年金記録回復のために進める8億5千万件に上る紙台帳とコンピューター内の記録の照合作業について、国民年金の被保険者名簿を全件照合すれば、約28万人の年金受給者が増額になる可能性が高いと発表した。1人当たりの年間増額は平均10.4万円。厚労省が実施したサンプル調査をもとに推計した。
サンプル調査は、全国の市町村が保有する約1億4千万件の被保険者名簿のうち約2千件を抽出して実施。年金受給者でコンピューター記録と一致しなかったのは5件で、不一致率は0.2%だった。厚労相は今後の照合作業について「高齢者から順次照合するなどして効率的に記録を回復したい」と強調した。
同時に、社会保険庁が保有する国民年金の特殊台帳約3096万件とコンピューター記録との照合作業がほぼ終了したことも発表。年金受給者の不一致率は0.2%で、約6万人の年金が年額平均1.5万円増える計算になった。(日本経済新聞12月12日付け記事より)

厚生労働省よりお知らせ

厚生労働省より、雇用保険の適用漏れを防止する観点から、平成21年12月16日から雇用保険適用事業所あてに、被保険者数を通知するハガキを発出されます。ハガキの内容をご確認ください
ハガキの内容詳細はここを確認ください。

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